~アメリカ合衆国・サンアンドレアス州・ブレイン群・サンディ海岸飛行場~
ここは『ロスサントス国際空港』のように綺麗なアスファルトで舗装された上等な滑走路などは存在しない。
砂漠のように乾燥した荒野の中に劣化し、ひび割れたコンクリートで設けられた滑走路。
当然の様に飛行機が離陸・着陸する度に大量の土埃が周囲に発生する。
何より彼女が搭乗していた小型飛行機…単発レシプロ機の『ベラム』には乗員が安全に地上に降り立つ為のタラップもない。
機体の翼付近に設けられた扉から外界へ・・・途端に砂埃にその身を巻かれ、丁寧に整えた紫色の髪や皴一つないスーツを汚す。
『快適な環境』から程遠い現状。
常闇トワはその心境を示すように僅かにライトグリーンの瞳を細めた後、整った眉をひそめた。
・・・僥倖なのはトワが自身から連絡するよりも早く、偶然にも通りかかったタクシーを拾えたことだろう。
「丁度良かった・・・今からタクシーを寄せてもらおう思っていたところ」
大都市とは真逆。良く言えば『自然豊かな』悪く言えば『開拓時代から時代が止まっている』を体現したような環境。
彼女が乗り込んだタクシーを除いて周囲を走る車両が見当たらないほどのド田舎といえば想像ができるだろう。
もしも、当初の予定どおり飛行場に到着した上でタクシー会社へ連絡して迎えに来て貰うとしたならば何時間かかる事になるのやら・・・
トワは事前に把握していたにもかかわらず実際に見る景色に唖然としていた。
「この度はダウンタウン・キャブをご利用いただきありがとう御座います。ここら辺は何もありませんからね~今日はどちらまで?」
「え~と8037へお願いします」
観光用に省略された簡易的な地図とは違う・・・番地が表記された地図を取り出しながら目的地を伝えるトワ。
窓の外に見える景色が動き始める。
「つかぬ事をお聞きしますが、この町にはビジネスでお越しになったのですか?」
「いいえ、観光です」
後部座席に座る彼女側から見て、ルームミラーに写る運転手の少女が苦笑いを浮かべている・・・
反射的に答えたトワは自身が現在着ているフォーマルに近い服装を見直し失敗を悟った。
「別に詮索をするつもりはありませんよ。ただ、この町は観光には向かないので・・・」
もしも観光ならば今すぐ回れ右して空港に引き返し、ハワイやグアムに行ったほうが安全に楽しめると彼女は言う。
マフィアが鎬を削るリバティーシティー
麻薬取引が盛んなバイスシティー
都市の特徴を上げていくならばここ、ロスサントスは麻薬の製造拠点といっても過言ではない。
「サンアンドレアスの南側は工業区、貧民街、ストリートギャング共がたむろして治安は悪いです」
麻薬取引、売春、みかじめ料という名の恐喝・強盗。
敵対派閥の抗争で銃弾が飛び交い、日常的に車の盗難やひき逃げが起こる。
「極め付けは薬物依存者による襲撃殺人でしょうか」
確かにビーチや遊園地などの観光地や娯楽施設も島の南側に位置するが『ここの島に住んでいる真っ当な市民』ならばその近辺には近づかないほうがいい。
「その上に位置する島の中央は高層ビルが立ち並ぶビジネス区、その上は高級住宅街。そして山脈を挟んでブレイン群と呼ばれるこの糞田舎」
「ロスサントスの南側に比べると治安は良さそうね?」
「ところがどっこい!このド田舎の何処かには大規模な麻薬の製造工場や畑が広がっているの」
ストリートギャングをただのチンピラとするならば麻薬カルテルなどの武装した犯罪組織はさながら軍隊のようなものですよ
「安全なところなんてないじゃない・・・」
「カーサーシティーを地獄と例えるならここは肥溜めみたいなものです。だけど、住めば都ってもんですよ」
高速道路、島中央の山脈を抜けるように作られた長いトンネルへと差し掛かる。
周囲の光量が少なくなり、まるで夜のような景色に変わる。
天井の等間隔に設置された照明をぼんやりと眺めながら情報を整理する。
(複数の犯罪組織、対立、抗争、そして麻薬売買。大量の武器が消費され、莫大な『汚れた資金』が市場に出回っている。)
(当然、使用するためには資金の洗浄が必要であり、国際的にマネーロンダリングが取り締まられている中でそれが出来るのは一部の金融機関もしくは政府機関が絡んでいると考えてもいいかもしれない)
資金洗浄を行う上で複数の手段があるとしても日々莫大な金銭が動き、洗浄コストを抑え利益にする。
大規模な犯罪組織が使用する抜け道、それらに各機関が絡んでいてもおかしなことではないとトワは結論した。
・・・そしてもう一つ問題がある。
タクシーの運転手がトワを観光に来た一般人と思っていないように、トワからしても運転手は堅気とは思えなかった。
具体的に言うと・・・
(ギャングや犯罪組織に詳しすぎる・・・)
「それで、貴女はどの組織に所属しているの?」
タクシーのハンドルを握る女性は運転手としては若すぎる少女。
皴のないスーツ。癖のない黒髪ロング、帽子からは黒色の狼耳が出ており彼女が獣人なのだと察することができる。
この街に来たばかりのトワからするならば、話を聞くだけで秩序が崩壊してると窺える異常な街で、タクシーの運転手という色んな人間が利用する職種。
その上で強盗に怯えることもなく平然と普段の日常の一つとして業務をこなす・・・そのこと自体が異常なのだ。
「私の事をギャングの構成員と疑ってるのならそれは考えすぎだね。黄色カラーのバゴス(VAGOS)・紫のバラス(Ballas)・緑のチェンバーレインギャングスタファミリーズ(CGF)カラーギャングと言うように昔はそれぞれの色を身に着けていたけれど、今じゃカラーギャングも組のカラーがついた物を身に着けちゃいないよ」
「せいぜいファミリーの頭文字の付いた物を持ってるくらいさね。じゃないと黄色いタクシーに乗ってる同業者は全員バゴスになっちゃう」
「恐喝されている人を見かけても素通りしろ。困ったことに巻き込まれたら警察に通報しろ。危険な地域にそもそも近づくな。お客さんも覚えておくといい」
自身が犯罪組織に詳しいのは巻き込まれないように調べた結果だと少女は言う。
「ギャングってやつは貧困差から身を守るために群れた結果なんです。それぞれの出身地、人種、宗教とか・・・そういった者たちが集まって結束しているんですよ。私みたいな獣人を受け入れる組織なんてありませんよ」
世界の人口の大半を占める『只人』と呼ばれる何の特色もない人間。
それを画する様に人種の中に能力を持った人種が少数ではあるが存在する。
例を上げるなら只人と比べ聴覚、嗅覚など五感に優れ俊敏な機動力を持つ『獣人』、異常な筋力と耐久力を持ち合わせる『鬼人』等だ。
かつては個々が優れた能力を持つが故に恐れられていた。
…ただし、月日の流れは悲しいもので只人達は何故『亜人』から身を離していたかも忘れ、『自身達が優れている』『亜人達は只人の管理下に置くべきだ』など過激な思想を持つ者も増えている始末。
「・・・そうね」
トワ自身も只人との隔たりは嫌というほど経験しており、運転手の言葉に納得せざるをえなかった。
荒野、山間部の郊外からロスサントス市内へ。
町の明かりが煌々と輝き、道行く車のテールランプが赤い線を描いてゆく。
鳴り響くサイレン。スポーツカー顔負けの速度で通過していく救急車両。
遠くで鳴り響く銃声。
運転手の少女が説明した通り、この町の治安が褒められたものではないという事実を雄弁に物語っているようだった。
「8037・・・ここらへんですね。お支払いはどうされます?」
トワは現金を運転手に手渡しタクシーから数時間ぶりに地面に足を下す。
到着を見つけたのか見慣れた顔ぶれが駆け寄ってくるのをその目に収め、微かに彼女の表情が和らいだ。
「ご利用ありがとうございました。良き休日を」
走り去るタクシー。
かつて、全米最重要指名手配犯と呼ばれた強盗犯『マイケル・タウンリー』に並ぶ鮮やかな手口でロスサントスの街に混乱をもたらした窃盗団『ミリオンモンスターズ』。
伝説的な52日間。
その始まりの日を知る者は少ない。
ホロライブにわか勢!
だけどホロスサントスの動画が面白かったので書いてみた!
当然ですがキャラの解像度は低めとなりますのでガチのファンの人は回れ右した方が良いかもしれません
ゲームで行ってたルールを実際に置き換えたならば…
動画では出番がほぼ無いgtaストリートギャングなどの勢力を盛り込んでgta風味強めでお送りします
独自設定
*ホロライブのキャラはgtaのアバターではなく配信画面のキャラとする(Dr.フブキでいうと狐仮面ではなくいつものふぶきちゃん)
*獣人含む『亜人』の種族追加
只人よりも高性能だが人口は少な目
現在のキャラ説明
常闇トワ様・・・小悪魔の亜人。ギャング団のボス(後にパパと呼ばれるようになるが女性※重要)
容姿は紫色の髪(ショート版)、緑色の目、スーツ姿
様を付けたいところだけど小説内では呼び捨て(ユルシテユルシテ
タクシーの運転手…狼の亜人。黒髪ロング。スーツの制服。フブキちゃんの様に毛の長い尻尾。ロスサントスの犯罪に対して物知り。(オリキャラ)
むろあおい様からイラストいただきました!(*'ω'*)
【挿絵表示】