ミリモン   作:ブルーな雛菊

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ころねベーカリー

 

「これから言うのは大事なことよ」

トワはミーティングに集うメンバー全員の顔を見回した後にそう切り出した。

 

「この島にはフリーサ銀行は7軒支店が存在する。その内の5軒を襲撃する・・・4軒でも6軒でもない5軒よ」

「これまでの計画を聞いて分かるように陽動と隠密は同時進行で行っていく。隠密はブレイン郡にいる陽動が引き付けている間に撤退まで済ませる必要がある。ここで欲を出して6軒、7軒と襲撃を行えば陽動で集めた注目が無駄になる。全メンバーの撤退に影響するからこれだけは守ってね!」

 

 

「状況は?」

 

ブレイン郡とロスサントスを隔てる山脈、その一画にある農家。

土地の所有者が住む家屋から離れた位置に建てられた農具等を保管する為の納屋には、おおよそ農家が所有するには似つかわしくないスーパーカーが止められていた。

 

「順調。ロスサントスに存在するフリーサ銀行5軒中、3軒を襲撃後に湾岸線から反対側のセノーラ高速道路を使ってブレイン郡に離脱完了」

トワの問いに答えるアキ。

前日のミーティング通りに最後までメンバーが計画を守ってくれた事に安堵の息をもらす。

 

警察が現在、把握している情報は2つ

・ブレイン郡で2件の銀行強盗。

・ロスサントスへ逃走した犯人。

 

警察のコールセンターは問い合わせや苦情だけではなく、銀行強盗に関係性のない盗難車両の目撃情報や、シャッターを下ろされたフリーサ銀行ロスサントス支店に集った市民が暴動を起こした等・・・様々な通報が立て続けに殺到し、情報の処理が行われていない状態が続く。

 

「まさかロスサントスも本当に襲われているなんて考えてなかったでしょうね」

 

そして、後にこの情報も警察へ行きつくことになる。

・ロスサントス支店への連絡が途切れた事を不審に感じた本部は警備員を派遣、襲撃が行われた事を把握し警察へ通報する。

 

情報が混線している状況。連絡を受けた警察はメンバーが離脱した後の町中で、現在進行形で銀行強盗が行われている様な錯覚をしてもおかしくはない。

 

少なくても市内に潜伏していると警察は考えて街側に検問を敷き、通行を遮断。その上で犯人を炙り出すという手順を踏む。

 

「車の色を変えてブレイン郡へ舞い戻るなんて考えもしないでしょう?」

「オカユには頭が上がらないわ」

 

車の塗装は何層にもカラーやコーティングが施されておりカラーを吹きかければ色を変える事が出来るというわけではない。

マスキング、塗料の剥離、サンディング・・・通常の工程を踏むのなら数週間から1か月程の工期が必要となる作業となる。

 

「ラッピング・・・1日はかかるはずだけど半日で綺麗に仕上げるなんて流石ね」

「剝がすのが勿体ないくらいの出来よね・・・」

 

トワとアキはバンシーのトランクから大量の紙幣の入ったバッグをアキの乗るイッシースポーツへと移し替える最中、アヤメとコヨリの手によって逃走に使用していたバンシーは車体の上に張られたカラーフィルムを取り払われて黒から本来の塗装である赤へと様変わりしていく。

 

「おかげで警戒度は格段と下がる」

 

それでも確実ではない。

逃走車両と同じ車種ならば当然、引き止められてもおかしくもない。

だから、アキの車に略奪品と発見されては都合の悪い使用した銃や服やバーナーを移し、トワ達よりも先にこの場を去ってもらうのだ。

 

「アキ・・・ありがとう。10分後に私達も出る」

「それじゃ、集合地点で」

 

~~~

 

~ロスサントス市内、『コロネのパン屋』~

 

「妻よ!移動販売で持ち出した分、全部売れたぞ!ねぇ、マリンのスカートの中・・・気になるんでしょう?見たい?

「そう・・・凄いじゃない。それじゃあ、一旦お店に戻ってくる?」

 

時刻は18:00。店舗を訪れる利用客の波を乗り切り、品揃えも閑散となった店内で狼の獣人『ミオ』は内心ため息を吐きたい気分になりながらも夫である『コロネ』からの通話を受けた。

 

「いや!今日は十分な利益を上げたし仕事は此処までにしようと思う。誰に電話かけてるの?奥さん?

「・・・」

 

店舗を訪れる客だけでなく、工業地帯や各施設など業務中に遠出できない方の為に『パンの移動販売』を提案した夫・・・ここまでは良かった。

だが、夫からの通話節々に僅かに聞こえてくる『女の声』には疑問を抱かずにはいられない。

 

「貴方・・・今何処にいるの?」

「ア・・・ああ!ちょっと遠くまで販売で来ちゃって・・・帰り遅くなるから娘と一緒に先に飯を済ませててくれ」

「ちょっとあ「此方も先に済ませてくるから!愛してるよミオ」貴方!?・・・ッチ!」

 

一方的に用件だけ済ませて切られた電話にミオは思わず舌打ちをした。

 

「・・・カナタちゃん。パパは今日の帰りは遅くなるって」

「そっか・・・・」

 

限りなく黒に近いグレー()

当然の様に店内に残された妻と娘は沈黙に包まれている。

本来ならば悲しみに打ちひしがれて泣いていたかもしれない。あるいは居場所を突き止めて殴り込みに行ったかもしれない。

だが、今日に限っては夫の不在は彼女達にとっては都合が良かった。

 

『もしもし、聞こえますか?どうぞ?』

イヤホンから聞きなれた『副業仲間』の声が聞こえ、ミオは自然と背筋を伸ばす。

 

『先方は予定通り待ち合わせ場所で取引をご要望。何人か向かえますか?どうぞ』

 

ミオは娘のカナタへと視線を向けると、同じ無線を聞いていたカナタも無言で同意の意を示す様に頷き返した。

 

「・・・さて、・・・やりますか」

 

 

 

 

 

 

 

 




コロネ・・・犬科の獣人。パン屋の女主人。ミオと共にパン屋を経営していたが養子(カナタ)を迎え入れた際に「ミオしゃがママなら私はパパだね!」となった。
ミオ・・・狼の獣人。パン屋の嫁。とある組織の構成員
カナタ・・・ゴリ・・天使の亜人。パン屋の娘(養子)。とある組織の構成員。敵はギュッギュと握りつぶしちゃうぞ♡

鷹嶺ルイ・・・とある組織のボス。鷹の獣人。表向きはタクシー会社を運営

一章も残り一話!
二章は少しお時間いただいてから投稿し始めます!

嘘予告
次章:ぺこら死す!?
デュエルスタンバイ!
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