ミリモン   作:ブルーな雛菊

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包囲網
セレブ・ソリューションズ・エージェンシー


~ベスプッチ・オフィスビル~

広大な砂浜、観光客向けのリゾートホテルや土産屋が立ち並ぶビーチ沿いの街である。

サンアンドレアス島の南西に位置する。また、セレブ層が住まうロックフォードヒルズとも隣接している為か治安も比較的良好。

 

その一画に建てられたオフィスビルの中、とある人物から呼び出された少女は興味深げに中を見渡した。

 

エレベーターを降りて正面には受付、待合室を兼ねた広々としたロビー。

受付の横には上のフロアへと繋がる開放的な階段、右手には2階層にも及ぶ巨大な窓。外の景色に目をやれば道路を行き交う一般車両や歩道を歩く観光客、遠くを眺めればビーチや海の景色も堪能する事が出来る。

 

「そこで少々お待ちください。『ボス、来客です・・・ええ、分かりました』」

受付に座っていたアシスタントが訪れた少女の姿に気が付き、上司へ内線で連絡を行う様を無言で見守る。

 

「ようこそエージェンシーへ。ボスは上の階です。案内します。」

アシスタントの後に続き上の階へ。

 

従業員をすし詰めにして馬車馬の如く働かせているような一般のオフィスとは内部の様子が異なり、壁に飾られているのは『現場猫のポスター』ではなく彫刻や絵画。

光を放つのは避難用の誘導灯ではなく、美術品を照らすスポットライト。

ガラス張りのブースが二つ、それぞれのブースの中には資料保管用の本棚と金庫、PC、ディスプレイの置かれた机にフカフカな一人用のオフィスチェアー。廊下には休憩用のベンチ。

少女は一般のオフィスとの違いを見渡しながら案内に従ってブースの中へと赴いた。

 

「よう、あんたの事はアイツ(ラマー)から聞いている・・・なんでも、なかなか腕が立つらしいな。俺はフランクリン。この会社の経営者だ」

 

短髪、無精髭、青のスーツに金のネックレス。

彼の握手に応え、話の続きを促した。

 

「此処をどう思う?いい感じだろう?・・・見てわかるようにここは一般の企業とは違う」

「地元で育ち、ちっぽけな犯罪者から成り上がった俺だからこそ見える景色がある。ここは、それらを実現するために立ち上げた会社と言ってもいい」

 

この町の権力者は誰か知っているか?

警察?道端でたむろしているチンピラか?それとも喚くだけしか能のない市民か?

 

「違うな・・・この街を支配しているのは金持ち共さ・・・だが、残念なことに彼らは問題の解決方法を知らない」

例えば自分の子が車を盗み厄介な相手に金を要求されたり、奥さんがテニスコーチと浮気してたりとかな。

 

「俺たちならその問題も解決できる。紹介する・・・彼女はイマニ。情報解析担当だ」

 

経営者であるフランクリンがセレブ層のクライアントと契約を結び、依頼を持ってくる。

ターゲットの位置特定、情報収集などをイマニ率いる解析班が担当する。

 

「話を聞いていてわかると思うが、この会社は人材が不足しているんだ・・・現地に赴き依頼を実行する作業員がな」

 

この会社のオーナーと数名の従業員が契約を履行している状況。

舞い込んでくる依頼も内容次第では数日間現地に滞在し本部に戻れない事もあれば、病院送りになり現場に復帰できない事もある。

 

「・・・」

「沈黙は美徳なりか・・・アンタの様なヤツを知っている・・・最もヤツは声に出さないだけで表情は豊かだったがな」

 

だが、ここまで話を聞いて席を外さないのなら了承したと考えていいのだろう?と少女の様子を伺う。

 

おおよそ150cm前後の女児とも言える小柄な体躯にそれと同等の可愛らしい顔立ち。

濡羽色の黒髪ロング。

カチューシャに模したイヤマフには飾りリボンが施されており、その下には獣人の象徴である獣耳が押さえつけられている事だろう。

白いなめらかな光沢を帯びたハイネックブラウス。

その上からゆるやかに纏った肩ひも付きの黒いハイウェストスカートは上品なレースで縁取りされている。

 

どこからどう見ても女児、そんな相手に『僕と契約してエージェントになってよ』と持ち掛けている自身に罪悪感を覚える一方、何の動揺も見せない少女の黄色い瞳を見て「要らぬ心配は不要」なのだと悟る。

 

 

「早速だが依頼を頼みたい。先日のフリーサ強盗に関わる案件だ」

 

1週間前に5軒の銀行が立て続けに襲撃を受けて以来、ブレイン郡とロスサントスを繋ぐ道路は封鎖された。

では街は平和になったのか?答えは否。

 

強盗を行った容疑者以外にもこの街には複数の犯罪組織が存在する。

では、その組織はいつ解除されるか分からない警察の包囲網の中で上層部から『利益を上げろ』との圧力を無視できるのか?

 

「あの一件から『追う者』『追われる者』そして『後に続く者』が出てきた」

 

追われる者・・・すなわちフリーサ強盗を成功させた当事者

追う者・・・警察だけでなく不利益を被った市民、警察の包囲網に捕捉され荷揚げされ身動きがとれなくなったその他犯罪組織…即ち、一連の損失のツケを払わせようとする者

後に続く者・・・難攻不落と言われた銀行強盗に模範解答があるならばとアプローチを真似て襲撃を行う模倣犯

 

「そして狙われるというわけだ。『速い車』が・・・」

「事の発端となった強盗団・・・以降『オリジナル』と呼ぶわ。彼らが調達した盗難車両は全て放棄され、警察が回収済み。問題はその後よ・・・模倣犯が次々と高性能なスポーツカーやスーパーカーを盗み出している。しかも紫のパーカーと般若面を被ってね」

 

フランクリンの説明に解析担当のイマニが補足を入れた。

 

「勿論、オリジナルがそんなヘマをするとは思えない。綿密に練り上げた作戦を完遂できる連中だ。完全に逃げおおせた状況で自ら警察に捕捉されるリスクを冒すとは思えない」

「模倣犯としては自らの犯した犯罪。警察の捜査の矛先がオリジナルに向かえばいいと擦り付けようとしたのだろう」

 

「だけど、盗まれたセレブ達にとってオリジナルであろうと模倣犯であろうと関係ない」

 

富豪達は自らの富と権力を誇示する為に、高級車や馬鹿でかい豪邸を購入するのだ。

その車を盗むという事はすなわち・・・

 

「クライアントにとって盗まれた車両はどうでもいい。重要なのは自分の名前に泥を塗られたって事だ」

チンピラからは『金づる』と認識され、セレブ達コミニュティ内では何の対策も行わず『まんまと車を盗まれた間抜け』というレッテルが貼られる。

 

「今回の依頼はクライアントの車を盗んだ窃盗団の殲滅」

「場所は盗難車両のトラッカーで特定しているわ」

 

了承したと頷き、ブースを出る少女の後ろ姿にフランクリンは声をかける。

 

「セキュリティーサーブやメリーウェザーとは違う。エージェンシーの従業員は少数精鋭のエージェントだ・・・使い捨てではない。上の階に武器庫がある。必要なものを持っていけ」

 

 

~上層・武器庫~

階段を上がって右手にオーナー用の休憩室、簡単な調理の出来るキッチンスペース

正面にはイマニ率いる解析班のブース。各机には複数のモニターとPCや様々な機器が稼働状態で鎮座している。

右手には同じくガラス張りで仕切られたブース。照明の付いたラックにはライフルやショットガンなど複数の重火器が立てかけられており、弾薬、防弾ベスト等もハンガーで飾られていた。

 

「こんにちは、お嬢さん。私はこの武器庫の管理と物資の調達を担当しております。以後お見知りおきを。ボスから連絡を受けています。今日はどのような『味』をお求めで?」

 

彼女は管理人の問いに答えるように手提げバックからラマ―から貰った自身の銃を取り出し、弾倉を抜き薬室に弾丸が入っていない事を確認したうえで管理者の机の上に置いた。

 

「成程、手入れはされていますが随分とパーツが消耗しているようですね・・・」

 

管理人は遊底をスライドさせた後に引き金を引き、動作確認を行った。

「それにこの銃はお嬢さんには少々トリガープルが重いようにも感じますね」

 

新しい銃への乗り換えを提案します。とスーツ姿の管理人はラックから2つの銃を取り出し机の上に並べる。

 

「オーストリア産の新しいおすすめの品があります・・・グロックの34と26。特殊形状のグリップ、容易に弾倉を交換できるマグウェル・・・銃口もカスタマイズ致しますので」

 

差し出された銃を手に取り、管理人と同じように動作確認を行い『これではない』と首を振る。

「何かお気に召さない点がございましたか?」

 

銃のグリップを握り締める様を管理人に見せた後にガバメントの弾倉を差し出す。

 

「これは失礼しました。近年の拳銃は装弾数を増やすためにダブルカラムマガジンを採用する傾向が強く、その為それに合わせて銃握も太くなりがちです。残念ながら現在、この保管庫にはシングルカラムマガジンを使用する拳銃の在庫は御座いません。後日、お嬢様の手に見合う品を取り寄せさせていただきます」

 

『それは残念』と少女は少し目を伏せた後、再び視線を銃器の飾られたラックへと向ける。

『ゴツくて正確なヤツ』がご所望なのだと管理人は察し、再び銃を手に取り机に置く。

 

「TR-1です。銃身は11.5インチボルトキャリアはイオンボンド加工で強化されています。スコープはトリジコンの1×6です」

 

「近年は防弾性能が進化しています。弾丸の変形の少ない12ゲージスチール弾を使用するのもいいですがショットシェルよりも装薬の多いライフル弾を・・・M855A1辺りを使用するのがおすすめです」

「ケブラーやダイニーマ、カーボンナノチューブ等の防弾素材を縫い込んだスーツなども手配が可能ですが、残念ながらお嬢様はサイズとの兼ね合いで『特注』となります。本日は通常のベストをご使用ください」

 

ハンガーから一着、ベストを取り外し机の上に『ゴトリ』という音を立てながら並べる。

「ベストはケブラーが使用されています、正面と背面に一枚ずつセラミックプレートが挿入されており7.62mmまで耐えることが出来ます・・・もっとも銃撃に晒され続ければプレートは破損し、弾丸を防弾繊維のみで受け止める事になりますのでご注意ください・・・最後にデザートです」

 

手渡されたナイフを受け取りながら少女は年相応の笑顔を浮かべる。

全ての装備を身に纏いブースを去る少女の後ろ姿に管理人は声をかける・・・「どうぞ、楽しいパーティーを」と。

 

 




ハンドガン・・・ラマーから受け取ったガバメントのまま。後日特注の物が届く予定

ライフル・・・AR-15カスタムモデルTR-1

防弾スーツ・・・アメリカ人の成人男性基準のサイズしかない為、従来の防弾ベストをプレゼント。最新の技術が盛り込まれた防弾スーツはお高いので自分で稼いで買ってね!
ミスターウィックが使用していたスーツも実在するようで一枚220万円位だそうです

ナイフ・・・鉄板から型抜きグラインダーで成形されたものではなく『最高級のナイフを砥石で研磨した物』らしい。

武器庫管理人・・・ゲームで登場する机の上に足を組んで偉そうにしているヤツはどこに行った!?「君の様に勘の良いガキは嫌いだよ」(顧客の前でふんぞり返ってる姿をボスに見られて別の支部に転属)
ってことで前任者の代わりに配属されたその道のプロ
通称『ソムリエ』


単に求人を出しただけのフランクリンさん
だが実際に来たのが見た目、女児で「流石にこのまま行ってこいはアカンヤろ」とフランクリン叔父さんの驕りでオモチャを買い与えた。

久々の狼っ子ちゃん!ケモミミはいいぞ~!
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