ミリモン   作:ブルーな雛菊

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gta6が出る前に完結させたいけど無理かな…(;´・ω・)


バッグからチェーンガンを出しなよ

「ワタメ、話がある・・・」

 

宝石店前。周辺の道路は既にFIBの指示で封鎖されており、この場に居るのは執行機関と強盗犯だけとなっていた。

 

「これ、どう思う?」

 

ロスサントス市警中央署、署長スバルはこの場に駆けつけた部下のワタメに問いかける。

 

「これって、宝石店に立て籠ってる強盗犯があっけなく包囲されている状況の事?それとも・・・」

――この襲撃自体が囮かもしれないってこと?

 

あえて言葉に出さないワタメに対してスバルは無言で相槌をうった。

宝石店強盗。立て籠もる犯人と包囲するFIBや要請で駆けつけた特殊部隊の面々・・・

 

同じ執行機関でありながら現在の市警とFIBは水と油、この手の会話を彼等の耳に入れたいとは思わなかった。

 

「FIBがこの件には関わるなと言っていたし、この場を離れるぞ・・・仮にこの後でFIBが犯人を取り逃がしたとして、その失態まで市警の責任にされちゃ敵わんからな」

 

ワタメと共に自身のパトロールカーに乗り込み一息・・・ここなら周囲の聞き耳に気を使わなくても良い。

 

「それで、スバルちゃんはこの一件を模倣犯の仕業と思ってるってわけだ」

今回の標的になったのはダガンファミリーの経営する店。

目撃された襲撃犯の服装もミリモンに酷似している。

 

「まだ分からんよ…確かにミリモンが狙いそうなターゲット、手口も酷似。だからこそだよ」

計画は完璧。FIBが事前に宝石店を張込みしていなければ、この一件が発覚したのは全てが終わった後だっただろう。

だが、実際は違う。

市警に通報があった…市民の目撃とあったが本当か?

 

「そもそも包囲されたのは想定外だったのか?私の知っているミリモンはいくつもの状況を考えた上で複数の計画を行っている」

もし本物ならば『包囲』される事自体想定済みだし、この状況でも逃げおおせる手段を用意している筈だ。

 

「ならば、逃げれるのに実行しないのは何故だ」

未だ動きのない宝石店に視線を向けながら問う。

 

「これが無策で押し入った模倣犯でなければこの膠着状態も作戦の内?」

「そうだなブレイン郡、フリーサ銀行で起こった強盗と一緒だよ」

 

報道、執行機関の目をブレイン郡に集めた上で、無防備となったロスサントスを別働隊が襲撃した。

陽動の負担は大きいが本隊は安全かつ確実に目的を達成できる。

 

「これが陽動だとして、お前なら何処を襲う?」

「う~ん・・・危険を冒すだけの価値がある場所」

 

この島に複数点在する麻薬製造工場?

その程度ならここまで派手な陽動を行う必要は無い。

ワタメの頭に浮かんだのは大金のあつまる場所・・・即ち銀行やカジノ。

 

「ロスサントス最大級の銀行・・・パシフィック・スタンダート銀行。それかこの島、唯一のカジノであるダイヤモンド・カジノ&リゾートとか?」

「それとブレイン郡が手薄になる。ブレイン郡貯蓄銀行の可能性もあるな」

 

「・・・」

「・・・」

 

これまでミリモンが襲撃を行った標的や手口を思い返す程、『現在発生してる宝石店強盗』が本命でないと2人の中で警鐘が鳴っている。

 

「ワタメ、ブレイン郡に行ってくれるか?北署のボタンに連絡して銀行を手分けして巡回してくれ。スバルは他のメンバー連れてパシフィック銀行とカジノに行く!」

「わかった!ちょっと行ってくるね!」

 


 

 

LMG・・・トワ達が使用するミニミ軽機関銃は分隊支援火器として1979年に選定、採用されたものだ。

敵の進軍を止めるために行う制圧射撃。

逆に友軍の移動を支援するために行う掃射など、この武器があれば幅広い戦術が可能となる。

 

重機関銃よりは軽く、取り回しが良い。

そして、アサルトライフルよりもパワフル。弾幕を張れば敵を釘付けに出来る。

 

200発弾帯入りのボックス。1門あたり毎分725発のレートで放たれる5.56mmNATO弾。

フォート・ザンクードからテロリストの追跡を任された兵達にとって、3門の軽機関銃から放たれる暴力の嵐は正に悪夢そのものだった。

 

軍用車の車体、フロントガラスへと弾丸は突き刺さる。

防弾ガラス、アーマープレートで強化された車体は弾丸を受け止め乗員を守る一方で、絶え間なく続く銃撃は車体にダメージを蓄積させていく。

 

厚さ74.6mm、何層にも重ねられた強化ガラスは着弾する度に表層が弾け飛び、白い罅と弾痕の跡を残す。

パンクしないと言われるコンバットタイヤもその実、万能ではない。

空気が抜けても走行は可能ではあるが、あくまでもその場凌ぎ。基地へ帰還し交換するまでの間、走行出来ればいいという要求の元で開発されたものだ。

従って空気が抜ければ本来の性能は損なわれる。

 

横倒しになったトレーラーが道を塞ぎ、崖に面した道路を車で迂回する事は不可能。

弾頭を積んだトラックは今も尚、目的地へと進んでいる。

追跡にはバリケードを突破するしか方法が残されていないが、易々と見送って貰えるほどミリモンは甘くは無い。

 

LMGの掃射によってガラスに弾痕が刻まれ視界が潰される、無論タイヤも同様だ。

トワ、コヨリ、アヤメによる道の閉鎖及び追手の足止め。

この時点で彼女達の役割は7割方完了したとも言える…

 

ポン付け装甲のピックアップトラック『ガーディアン』ではエンジンを盾にアヤメが交戦。

トワは荷台に張り付けた2枚の鉄板の陰で米軍へ制圧射撃。

道を塞ぐ横転したトレーラー、その向こう…トレーラーヘッド側では迂回する兵士へコヨリが牽制。

 

三人の銃口から発せられる鳴り止まない銃声。

対する米軍も5.56mmの高速弾を撃ち返すがガーディアンの装甲に阻まれ、甲高い音を奏でていく。

 

「本当に役に立ってる余!?」

「言ったでしょ?7.62までなら何とかなるって」

 

この前の高速道路で起こった銃撃戦とは訳が違う。

今回はトワ達、ミリモンが攻撃を仕掛ける番だ。当然、弾薬も潤沢。相応の準備を行っている。

 

「銃座の排除を優先して!」

 

この場で一番の脅威となるのは、追跡者である州軍が乗り付けた軍用車両に搭載されたM2重機関銃。

車両破壊、装甲の貫徹を目的に作られた弾薬だ。

M2機関銃が火を噴けばガーディアンの装甲のみならず、州軍の軍用車両の装甲すら容易く貫通するだろう。

 

「最前列からお願い!」

 

最強の矛。それは自軍にも適用される。展開した位置が悪ければ仲間から背中を撃たれる事もある。

あらかじめ交戦に備え、一足早く準備を行っていたトワ達と銃撃を受けて停車、部隊の展開を行った州軍とではトワ達の立ち位置に立地的な有利が発生していた。

 

(仲間が射線上に居るのに撃つわけにはいかないからね)

 

次々と到着する車列。

銃座に座る者が複数いれども、脅威度が高いのは最前列となっている。

 

「リロード!」

ガーディアンの装甲に隠れ、空になったボックスマガジンを入れ替えようとトワが視線を落とした時だった…

これまで聞いていた鋭く刺さる様な高音ではなく、空気を裂くような低音の爆発音が装甲越しに響いた。

 

「tango!?」

 

吹き飛ばされるように倒れたトワ。

並大抵の事では決して銃を手放さない彼女であったが、使用いていたミニミ軽機関銃は彼女の手から離れ、無造作にアスファルトの上に転がっていた。

盾になっていたガーディアンに取り付けていた鉄板には大きな穴が開いており、大口径の弾丸が貫通したという事を雄弁に物語っている。

 

倒れたトワの元へ駆けつけようとするアヤメの目前を、M2から放たれる50口径の弾丸が次々と鉄板に着弾し、甲高い音と火花を散らしながら穴を穿つ。

車両を横薙ぎするように放たれる弾幕。アヤメは咄嗟にバックステップ。転がる様にガーディアンのエンジンブロックを盾に身を隠す。

 

「tango!!」

アヤメは倒れたトワへ「大丈夫か?」等とは聞く事はない。無事な筈がない…いくら丈夫な鬼人と言えどもソノ弾丸ならば容易に命に刈り取る事も出来る。

常人とは比べ物にならない耐久力をもつアヤメですらそうなのだ、自身とは種族の違うトワが直撃して無傷な筈がない…

 

路面に倒れたまま意識のないトワを呼び続けるアヤメ…彼女の身を隠すボンネットからトワの倒れた荷台までほんの1.5m。手を伸ばせば届く距離にもかかわらず、激しい弾幕で身を乗り出す事も叶わない。

飛び交う銃弾、けたたましく鳴り響く銃声。車は着弾のたびに車体全体が小さく跳ねる…こんなに近くに居るのに助けを呼ぶ声は誰にも届かない。

 

 

『tango・down‼tango・down‼ 身動き取れない!』

『わかった!私がトレーラー側に引っ張る!援護を』

 

無線を通じてようやくコヨリと連携をとる。

 

『制圧射撃カウント3…2…1…やって!』

カウントと共にアヤメは身を乗り出し、ボンネットにミニミのバイポットを叩きつける様に振り下ろし体制を安定させる…そして吐き出される銃弾。

 

州軍の乗る『パトリオット』上部、OGPKとよばれる銃座シールドに弾痕を刻み込み、シールドから僅かに突出した機関銃のバレルや機関部にも着弾し、火花を散らす。

 

「市民、軍や警察の死者は0」

強盗を行う際に設けた自らを縛るルール…アヤメはそんなものどうでもよかった。

仲間を…自分を殺そうと銃口を向けてくる相手に何故、命の保証をしなければならないのだ!?

 

だからアヤメは引き金を絞る…トワを撃った者へと…耳障りな音を奏でていた銃座へ座る兵士、車両の陰に隠れながら回り込もうと移動する兵士へ向けて引き金を絞る…

 

 ・

 ・

 ・

 

『alpha!tangoは無事!』

 

 

制圧射撃。路面には薬莢とベルトリンクの残骸が無造作に転がっていた。

赤熱した軽機関銃のバレルを交換したアヤメは遮蔽物として使用しているガーディアンの陰に身を隠している。

 

一方、道の反対ではコヨリと意識を失っているトワ。

コヨリは盾に使用している横転したトレーラーヘッド『ファントム』のボンネットの陰から顔を出し、辺りを確認するが・・・

 

「やっばい!!」

軍用車両(パトリオット)の銃座で重機関銃を握る兵士と目が合い、慌てて顔を引っ込める。

直後に響く重い発砲音。

 

大口径の弾丸はトラックの荷台に固定したコンテナを易々と貫いた。

障害物とはいえ、弾丸を防げるのは車両のエンジンブロックくらいだろう。

 

鈍い衝撃音。エンジンが弾丸を受けるたびにアイドリング音は不安定になり、オイルは漏れ白煙が辺りに立ち込める。

…数刻もしないうちにエンジンは停止するだろう。既に走行は不可能な状態だが問題なのはソコではない…コヨリが心配しているのは度重なる銃撃でエンジンブロックの深部にまで破壊が進み、いずれはエンジンそのものを貫かれるという事実。

 

このまま隠れていてもエンジンごと撃ち抜かれる可能性も出てくる…従ってアイドリング音が鳴っている間が『私達に残された時間』なのだとコヨリは正しく理解していた。

 

「…どのくらい…意識飛んでた?」

「無事で良かった…ざっと3分くらい」

 

「パパ!後どれくらい持ちこたえればいい!?」

「もうすぐよ!『alpha』(アヤメちゃん)プレートを頂戴!」

 

アヤメから投げ渡されるプレート。

アスファルトの上を転がるソレを拾い上げたトワは、50口径を受けて胸の部分に大きく穴の開いたプレートキャリアからボロボロになったプレートを取り出し、新しい物と入れ替える。

 

(防弾プレート2枚重ねじゃなければ詰んでたな・・・)

出だしこそ優勢だったが時間が経つにつれて戦局は兵士側に傾いている様だった。

体制を立て直した兵士達が応戦。大小様々な口径の銃弾が両者の間を行き交い始める。

 

 

(こりゃ骨逝ったか)

通常の7.62mmライフル弾すら耐えるプレートも大口径の機関銃の前には無力。

2重ねのプレート、表層は完全に貫徹。2枚目で辛うじて弾は止まっていたが弾丸の持つ膨大な運動エネルギーは被弾したトワの胸部へ衝撃を与えていた。

 

呼吸の度に胸が痛む…指示を出すのも苦痛が伴う。

トワは自身の体の状況を把握し計算を行う。

 

(この作戦で体調の回復は望めない…悪化する一方…更に綱渡りになったな)

 

多勢に無勢。

兵士達は強力な兵器を所持しているのに私達は3人で押し留めている状況・・・

 

(ミサイルを撃ち込まないだけマシか・・・)

血の混じった唾を吐き捨てながら計算する・・・

この防衛線が崩壊するまで2分・・・持てばいい方だろう・・・

つまり米軍と正面から殴り合うというのは()()()()()なのだ。

 

撤退の手配は済んでいる。

 

「後は待つだけよ・・・」

 

コロコロとトワ達の隠れるトレーラーの陰へ投げ込まれた手榴弾をハンドガンで弾き飛ばしその時を待つ・・・・

 

「此方メリーウェザー所属、ヴァルキリー26。作戦空域に入った。オーダーをどうぞ」

 

激しい銃撃の応酬。1秒・・・2秒・・・永遠に感じる時間の中、均衡を壊したのは無線から響いた声だった。

トワは待ってましたとばかりにホルスターから無線機を取り出しコヨリに投げ渡す。

 

「kilo…指揮を引きついで」

「…わかった!」

 

コヨリはPTTボタンを押し込む。

 

【此方フォート・ザンクード所属、ジェーンだ。階級は大尉。ジョン大佐から連絡を受けている】

【現在、グレートオーシャンハイウェイでテロリストと交戦中。反撃が激しく膠着状態が続いている。上空から援護を頼む!】

【テロリストは特殊弾頭を保持。車両荷台への攻撃を禁ずる。エンジンを撃ち、逃走を阻止してくれ】

【標的はスモークを挟んで南側の車列だ】

 

「カバーー!」

コヨリの合図と共にアヤメとトワのミニミ軽機関銃から銃弾が吐き出される。

 

そして天秤は傾いた・・・

ピンを引き抜いたコヨリは身を乗り出しトレーラーと停止した車列の前に発煙筒を投げ込む。

 

「要請受託・・・巻き込まれるなよ」

 

cease fire(撃ち方止め!)

無線の応答を聞き届けコヨリはメンバーへ撤退の合図を送る。

 

スモークグレネードから立ち上がる紫色の煙。

トワ達の頭上を大きな鳥が通り過ぎる。

 


 

「copy。陸上部隊と合流、荷台への攻撃を控えエンジンを破壊、逃亡を阻止する。・・・作戦地点への侵入まで残り20分。指定座標へ到達後、再度指示を仰ぐ」

 

「「BAUBAU~」」

 

山脈に鳴り響くブレードスラップ音。

その機体の側面には車両や人のシルエットのペイント、そして横に並ぶ夥しい数の星マークがその機体の武勲を物語っている。

幾多もの弾痕。そして被弾する度に丁寧に補修、補強された体躯は機械でありながらも何処か誇らしげに見えた。

使い古した筈のエンジンは今もご機嫌に咆哮を上げ老体とは思えない軽快さで空を駆ける。

 

機体のノーズには、でかでかとペイントされた戦女神。

ボスであるルイが自ら操縦するガンシップ、『ワルキューレ』。

機体左右に設けられたガンナー席には姉のフワワと妹のモココの姿があった。

 

時は遡り、5分前。

通信を終え、基地の司令官が指定した地点へ急行する最中。

丁度ザンクード基地を通過した頃。

 

作戦間近。

しかし機体内は緊張でピリ付いた様子は無く何処か弛緩したような『ほわほわ~』っとした緩い空気が流れている。

 

「よし!タスクをやろ~う!」

「タスクは殺す事だよ!モコちゃん!「・・・いや、違うからね?殺しちゃ駄目だからね??」」

 

双子の空気に当てられて頬が緩みっぱなしのルイは、背後から聞こえてきた不穏な会話に慌てて訂正を入れた。

「私達の任務はちゃんと覚えてる?」

 

「「勿論!!」」

「班長さんが人は殺しちゃいけないって言ってた!」

「うんうん。お客さんの都合で壊すのは車だけだって!」

 

「勿論覚えてるよ」「心外だな~」と言う風な双子の会話にルイは今更ながらに「人選ミスなのでは?」と既に軽い頭痛を覚え始めていた。

 

「目的地に付いたら依頼主さんを機銃で援護するんだよね!」

「うんうん!そうだよモコちゃん!」

 

「でも依頼主さんも基地の兵士と同じ格好をしてるんだっけ・・・?」

 

今回はいつも使用していた紫のパーカーではなく、基地の兵士達と同じ迷彩服を着用する手筈となっていた。

敵、味方の判別が出来なければ誤射しちゃうかもよ?と心配するモココにフワワは良い事思いついたとばかりに話しかける・・・

 

「モコちゃん!逃げる奴は皆ゲリラだよ!逃げない奴はよく訓練されたゲリラだよ!」

「つまり全員killすればいいって事?」

「ちょっと待って!!違うからね!スモークとかで敵の位置を指示してくれる手筈だから!!」

 

『大丈夫?ちゃんとわかってる?』と頭を抱えるルイとは対照的に、まるで遠足へ行くかのように談笑する双子。

 

「此方メリーウェザー所属、ヴァルキリー26。作戦空域に入った。オーダーをどうぞ」

不安はある・・・しかし、今更引き返してメンバーを入れ替える事は出来ない。何故なら・・・到着してしまったのだから!

 

【此方フォート・ザンクード所属、ジェーンだ。階級は大尉。ジョン大佐から連絡を受けている】

【現在、グレートオーシャンハイウェイでテロリストと交戦中。反撃が激しく膠着状態が続いている。上空から援護を頼む!】

【テロリストは特殊弾頭を保持。車両荷台への攻撃を禁ずる。エンジンを撃ち、逃走を阻止してくれ】

【標的はスモークを挟んで南側の車列だ】

 

『ボス。聞こえますか?これより基地及び地上部隊との通信を妨害します』

ミリモンからの攻撃指示。続けて作戦基地に待機するコナタからの情報戦開始の合図・・・賽は投げられた・・・

 

眼下には紫色のスモーク

北側に3人、南側には複数の車が渋滞を起こしている。

 

「フワモコ。標的は南側の車列。発砲許可」

「「BAUBAU!!」」

待ってましたとばかりにモココが機銃の押金を押し込んだ。

 

 

毎分6000発。秒間100回転するバレルが初弾を発射するまでに必要な時間はどれほどだろうか?

答えは簡単。『体感で引き金を引いたと同時に発砲する』だ。

 

ゲームの様に発砲まで2秒も必要になる事は無い。

そもそも本来ミニガンが発砲する為に予めスピンアップする必要などない。

トリガーとなる押金が押された瞬間、6本のバレルが回転し給弾と発砲・廃莢を行っていく。

 

空を旋回するヘリから放たれる鉛玉。5発毎に1発の間隔で曳光弾は発射レートの高さからレーザーの様に連なって見える。そして、雨の様に地上へ降り注ぐ薬莢とリンク。

 

人が痛みを感じるまでに必要な時間は0.2秒と言われている。

この銃で撃たれた場合、痛みを感じる頃には既に20発の弾丸が撃ち込まれている。

故に付いたあだ名が『無痛ガン』

 

ヘリに備え付けられたミニガンは毎分3000発にレートを抑えられているが地上の兵士達の戦意をくじくには十分だった。

次々と車両はスクラップと変わり果てていく。

 

『ブブブブブブブブブブ』

連なる発砲音は銃声らしからぬ大きな音へと変換されて物陰に隠れる者達へ恐怖を植え付けた。

 

「ねぇ、フワワ?班長さん、弾詰まりするから引き金から手を離すなって言ってた?」

「うんうん!言ってた!」

「・・・」

「・・・・・・」

 

「「BAUBAU!!」」

尤も、彼女達なら言いつけがなくても引き金から手を放す事は無かっただろうが・・・

 

 


「彼等にとって最大の誤算は何だと思う?」

 

『本部!どうなっている!ヘリが掃射してるぞ!?』

『そのヘリはメリーウェザーの物だ。航空支援の為に当空域へ手配した』

『なら、何故我々が掃射を受けているんだ!今すぐ止めさせろ!』

 

『・・・通信が妨害されている。テロリストが情報を操作し標的をすり替えた様だ』

『撃墜の許可を!』

『許可できない。そのヘリは友軍だ『このままでは全滅するぞ!?』許可できない。持ちこたえろ』

 

「今、相対しているのはミリモンだけではないって事よ」

 

 

 

移動式、陸上電子戦機。通称『テラーバイト』。

元はFIBが情報収集の為に多大な資金を投入し、トラックの荷台に最新鋭の機材を設置し作り上げたものだった。

出来る事は秘匿通信は勿論の事、ハッキングやセキュリティーコードの解析。情報の改竄など。

その気になれば一時的に通信やGPS信号のジャミングも可能。

つまり、敵がいくら高性能な誘導砲弾を所持していたとしても、着弾座標自体を偽造する事で無力化することだって出来るのだ。

 

高度化されていく現代戦において、この情報戦機は最強の矛となり盾でもある。

 

そしてテラーバイトはこの作戦においては作戦司令部となっていた。

ミリモン、組織。そして友軍と思っている相手から攻撃を受け混乱状態に陥っている基地と現地の兵士達の会話が次々とこのトラックへ舞い込んでくる。

 

作戦は順調・・・陸上の追手は追跡不可能。誤射を演じたヘリからの掃射の間にミリモンの3名は撤退。同時に友軍と識別されているヘリは撃墜のリスクは極めて低い

(まぁ、ボスなら反撃があったところで自力で解決するでしょうしね)

 

 

「・・・ふぅ」

 

だが、基地の兵士達が不憫で仕方ないなとテラーバイトのモニタを見ながらコナタはため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

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