相変異 黒蝗   作:エターナルドーパント

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憧憬

(コウサイド)

 

「良い訳、無いでしょうッ!!」

 

━ガッシャァン!━

 

「おーい、落ち着けぇ」

対策委員会部室。ブチ切れた奥空が、テーブルを派手にひっくり返して絶叫した。

”あらら、そんなにダメだったかな?アイドル”

「まぁあの中では唯一マシだったが・・・」

奥空が激怒している理由は他でも無く、アビドスの借金の返済方法について。定例会議にて奥空が具体案を募ったのだが、ものの見事にグダグダだった。

まず、先陣を切った黒見はゲルマニウムブレスレットなんぞと言うチャチなマルチ商法詐欺に引っ掛かっていた。会計責任者の肩書きが泣くだろう。少なくとも俺が名札なら泣く。脳天にチョップを入れた俺は悪くない筈だ。

続いてホシノが提案したのは、バスジャックによる他校からの強制的な人員の吸い上げ。勿論そんな事をすれば外交問題待った無しなので拳骨を叩き込んで沈めた。

3番手に名乗りを上げたシロコは眼も当てられない。何と銀行強盗を企てていやがった。用意周到に計画も立て、全員分の覆面まで用意している準備の良さ。無論ノータイムでアイアンクローの刑である。お前ホシノが殴られるの見て良く提案出来たな。

オオトリとなったのはノノミ。コイツが挙げたのは、何とスクールアイドルの結成。廃校し掛けている母校を救うスクールアイドルのアニメを見たらしい。何処のラヴなライブなんだろうねぇ。

この中から選べと言われて、アイドルを選んだ先生はマトモな感性をしているらしい。まぁシームレスに自分がプロデューサーになると高らかに宣言したのはどうかと思ったが。

で、現在全員仲良く正座して奥空の説教を聞いている訳だ。幸いと言うべきか、俺は要所要所で突っ込みを入れる側だったのでターゲットにはなっていない。

「頭の悪いマルチ商法、他校と軋轢を生むバスジャック・・・挙げ句の果てには、重大犯罪でしかない銀行強盗!誰も彼も、真面目にやりたい私を好き勝手振り回して・・・皆、皆なんて・・・うぅっ、グスッ・・・うぇぇ・・・っ」

怒りのボルテージがゲージを振り切ったのか、遂に泣き出してしまう奥空。まぁ、大事な母校の存亡に関わる会議で巫山戯倒されたらこうもなるだろう。

「あー、よしよし、一旦落ち着こうぜ。な?」

「えぇ!?な、泣く程だった?・・・ご、ごめんねぇアヤネちゃ~ん」

「あ、アヤネちゃん・・・ごめん、私、しっかりしなきゃいけないのに・・・」

「ん。アヤネ、泣かないで」

「うんうん、アヤネちゃんは充分頑張ってくれてますよ」

取り敢えず、無罪放免な俺が筆頭になってアヤネを慰める。ホシノとセリカも反省したようで、萎れた様子で頭を下げた。ノノミに関してはそこまでふざけていた訳でも無いので、俺と一緒に頭を撫でてアヤネを宥める側だ。

「泣かれたら、何だかこっちが悪い事したみたいで気分悪い」

 

━ブチッ━

 

”おい”

何かが、キレる音がした。気のせいか否か、俺の中の1つに加えて、もう2つ。

「ッ!?」

怖じ気に毛を逆立て、扉へと向かうシロコ。しかし、逃亡を許す俺では無い。

【SPIDER】

「わっ、あぐっ!?」

疑似メモリでスパイダーショックを起動。シロコの脚にワイヤーを放ち、縛り上げて捕らえた。

「おい、シロコ・・・いやバカ犬。言って良い事と悪い事があるだろうが」

「今回と言う今回は、許しませんよ、シロコ先輩」

「ひっ・・・やっ、た、助けて・・・!」

ワイヤーを手繰り寄せ、ジタバタと暴れるシロコをそれ以上の力で押さえ付ける。脚まで使ってガッチリと俯せに拘束されたシロコを、俺とアヤネと先生の冷え切った眼が貫いた。

「おう奥空、()()が良い?」

「そうですね・・・では、軽く10回で」

「じゅっ!?」

真っ黒なニッコリ笑顔を浮かべる奥空の要請に、シロコの顔が真っ青になり、恐怖からか歯をガチガチと鳴らし始める。

「ゆ、許してアヤネ!ごめん!謝る!謝るから!私が悪かったから!10回なんて、死んじゃうっ!」

「嫌です。あんな酷い事言って、更に真っ先に謝罪じゃなくて逃走を選んだ。そんなシロコ先輩には、本当は100回でも足りないと思ってるんですよ?」

「お?100回でも200回でも叩いてやるが?」

「!?」

「そんなの時間の無駄です。感覚が麻痺して効果も無くなるだけですから。なので、10回で充分です」

「そっか。流石は奥空、賢いな」

シロコの命乞いを、無慈悲にバッサリと切って捨てる奥空。いやはや、まだ1年なのにそのレベルの養豚場の豚を見る眼が出来るとはな。恐れ入る。

「せ、先生!助けて先生!!」

”・・・”

「せ、先生・・・?」

”残念だけど、シロコ。今、君に味方なんて居ないんだ”

「ヒュッ・・・」

頼みの綱の先生にすら見棄てられ、絶望に息を呑むシロコ。そんな犬っころの尻に狙いを定め、俺は平手を振り上げた。

「3!」

「ひっ・・・!」

「2!」

「や、止めて!ごめんなさい!止めて、許して!」

「3!」

「助け・・・3?」

 

━ドッパァンッ!━

 

「ッ~~~ッッッッ!!!?」

 

(NOサイド)

 

「フゥ、スッキリしました」

「おう、そいつァ何よりだな」

柴関ラーメン。分け与えられたチャーシューを咀嚼し、水を飲み下して、漸くストレスに一区切りを付けるアヤネ。近くのカウンター席で専用メニューを啜りながら、イナホが応える。

再び、柴関ラーメンに全員集合。各々好きなものを頼み、食べていた。そんな中、シロコが身を捩る。

「くっ・・・まだヒリヒリする・・・」

「シロコ先輩は自業自得でしょ」

何故シロコが痛みを堪えているかと言えば、尻だけでは面積が足りないと半分程背中をぶっ叩かれたからである。現在、彼女の身体の背面は尻から背中の真ん中辺りまで真っ赤になっており、ジリジリとした痛みを残している。ブツブツと文句を言いつつ、シロコはラーメンを啜った。

「あ、あの~、すみません・・・」

そんなタイミングで、怖ず怖ずと入店する1人の少女。黒と紫を基調とした服と帽子を身に付けた彼女は、眼が泳ぎ言葉は吃り、絵に描いたような挙動不審な様子で店の中を伺っている。

「あ、はーい!いらっしゃいませ、ようこそ柴関ラーメンへ!何名様ですか?」

「あの、えっと・・・こ、ここで一番安いメニューって、おいくら、でしょうか・・・」

オドオドと異常に腰の低い態度で質問する黒紫の少女。その点を不思議に思いつつ、セリカが答える。

「安いのですか?なら、580円の柴関ラーメンになります!看板メニューなので美味しいですよ!」

「あ、ありがとうございます!」

パッと眼を輝かせ、直ぐ様外へと出て行く少女。そして間も無く、3人の仲間を連れて戻って来た。

「えへへ、やっと見付かった~!600円以内のメニュー!」

「フフフ・・・言った通りでしょう?何事にも、解決策はあるものよ。これも全て、私の想定通り・・・万事、掌の内なのよ」

「さ、流石です社長!何でもご存知で・・・!」

「はぁ・・・」

 

「へぇ、社長ねぇ」

リーダー格らしき、帽子を被った赤毛の少女。彼女の気取った台詞に、白黒髪の仲間が溜め息を吐く。そんな彼女らの口から出た社長と言う単語に、イナホは小さく反応した。

「4名様ですか?では、お席にご案内しますね!」

「んーん、どうせ1杯しか頼まないから大丈夫」

赤いミニワンピースの少女の応答。そのあまりにも違和感のある内容に、セリカは首を傾げる。

「え、1杯だけ?いやでも、丁度空いてる時間ですし、座ってゆっくりされても良いと思いますよ?」

「へぇ、優しいねぇ店員さん。じゃ、お言葉に甘えちゃおっかな~。あ、ワガママついでで悪いんだけど、お箸は4膳でお願いね?」

「え、4膳!?もしかして4人で1杯を!?」

「あ、ご、ごめんなさい!お金無くて、貧乏でごめんなさい・・・!」

責められたように感じたのか、強迫観念に呑まれたが如く謝り倒す黒紫。店員として対応しなければならないセリカは、その尋常ならざる様子に慌てふためく。

「あ、いやいや!そんな謝らなくても・・・」

「いいえ!金が無いとは首が無いも同じ!生きる資格なんて無いんです!虫けら以下の存在なんです!虫けら以下ですみません・・・!」

「明らかにトラウマの類い抱えてんな。ワカモ(アイツ)とは発露の方向が逆だが」

際限無い自己否定に、知り合いを思い出すイナホ。流石に看過出来ず、その4人組をじっと直視した。

「ちょっとハルカ、迷惑だよ・・・すみません、うちの子が」

「いえいえ!何より、お金が無いのは罪じゃないのよ!胸を張って!」

「え?・・・は、はい!」

「何より、金は天下の回り物!あるお金をかき集めて食べに来てくれたんだから、そっちの方が大事だよ!」

 

「・・・大将」

「ん?」

「ん、ん、ん」

「・・・ん、分かった」

「おう」

そんな彼女等を見て、イナホは柴大将に手で幾つかのサインを送った。柴大将も大きく頷き、作業に取り掛かる。

 

「アルちゃんじゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書きはちゃんと着けて欲しいわね?」

「え~?だってもうお仕事片付いたじゃん。それに、社員にラーメン1杯も奢れない社長ってどうなの~?」

「うぐっ・・・」

「今日の仕事の人員集めに、有り金殆ど叩いちゃったしね」

「・・・でも、こうして無事ラーメンにありつける訳じゃない。これも想定内よ、カヨコ課長?」

「いやいや、せめて人数分の食費ぐらい取っとかないと・・・」

「ぶっちゃけ忘れてたんでしょ?夕飯代残しとくの」

「ハハハ!成る程そう言う事かい」

4人組・・・アル達の会話から情報を拾い、自分のラーメンを平らげたイナホがくるりと翻って混ざり込む。

「え、えっと?」

「さっきの社長ってのからちっとばかし耳を立ててたが、成る程。仕事を受けてこんな辺鄙な所まで来たは良いが、現状の人員で熟すには不安が残る。故にフリーの人材を募り、そっちの報酬に予算を気前良くぶちこんだ結果がこの状況って訳だ」

「っ・・・!」

「・・・ま、そりゃ気付かれるか」

「おうともさ。気付いてるついでに忠告だが、ここのラーメンは美味い。()()()()()で、汚すべきでは無いな?」

「ッ・・・!」

カヨコの表情が強張る。接触して来た時から、テーブルの下でホルスターの留め具を外していた手に、じっとりと汗が滲んだ。

「え~?何なに?カヨコちゃん、このお姉さんにぶっぱなそうとしたの?」

「いや、まだ撃とうとは・・・」

「いやいや、その警戒心は悪くない。仲間を守りたいと言う意思の現れだ。愛されてんな、社長さんよ」

「そうですよ。悲しい事ですけど、この辺では警戒し過ぎなんて事は殆ど無いですから・・・」

このタイミングでノノミも介入。ピリピリとしていた空気を和ませる。

「お待たせしました、柴関ラーメン4()()()です!」

そこにセリカが持って来たのは、彼女等のオーダーとは異なる4杯のラーメン。ドンと置かれたどんぶりに、全員が眼を見開いた。

「え、いや、私達お金無いのだけど・・・」

「あぁ、えっと、彼方のお客様からです!」

セリカがにっこりと示す先。イナホが頬杖を突きながら、ヒラヒラと手を振る。

「ど、どうして・・・」

「いやなに、同じ若年社長のよしみだ。これからの活躍に期待してってのと・・・折角アビドスに来てくれたんだ、1つぐらいは良い思い出を持って帰って欲しいってのもある。あと、個人的にもう1つ。俺は、腹を空かした奴は見逃したくねぇのさ。その1杯の余裕で、他の誰かに優しくしてやりな」

脚を組んでパチリとウィンクし、格好を付けて見せるイナホ。その恵まれた肉体美も相まって、それなりに様になる。

「あり・・・んっ、感謝するわ。便利屋68の社長として、ね」

「ほぉ、便利屋!同業だったか。じゃあ、次会う時はライバルかもな」

「え?ど、同業?」

その言葉にリーダー、アルは小さく狼狽える。金次第で何でもやる便利屋の同業、ともなれば、確かに時と場合によっては敵になる事もある。

「まぁ、飽くまで此処はプライベート。お仕事の話はナシにしようや。それと、お嬢ちゃん。ちっとお節介なんだが・・・食事の場では、帽子は取るのがマナーだぜ」

「え?あ、ちょっと!」

流れるような重心移動で立ち上がり、アルの帽子を取るイナホ。その裏に眼を向け、そしてスッと細めた。

「ほう・・・この刻印、ボルサリー・マーキュリーだな。オーダーメイド専門の職人集団・・・大分値が張っただろう?」

「え、分かるの?」

「まぁな。俺も此処に注文を出してる。時間も金も凡百よりは掛かるが、それに見合う良い仕事をすると聞いてるが・・・成る程、噂に違い無しと見える。色味も、服装や髪色に良く合ってるな。良いセンスだ。

こんな良い帽子こそ、輝くのはグッドマナーの中さ。気品ってのは、マナーが作るものだ。それを破って格好を付けるなんざ、未熟未満の五流の仕業よ。分かるな?」

「は・・・はい・・・!」

眼を輝かせ、アルは強く頷いた。高身長のイナホを見上げるアングルは、アル視点のイナホを4割増しで美化している。

「・・・っと、いかんいかん。説教が過ぎたな。繰り返しになるが、良い帽子だ。コイツに見合う、良い女になりな、お嬢ちゃん。大将、ご馳走様!今日も美味かったよ!」

「おーう!毎度!」

アルに帽子を返し、柴大将に挨拶を送りながら、イナホは対策委員会の面々を置いて一足先に店を出た。

「・・・にしてもあのお嬢ちゃん、どっかで見たような・・・?」

 

(コウサイド)

 

「これは・・・!」

「ん?どうした奥空?」

昼飯を済ませ、部室に戻って休んでいた俺達。ソファに寝転びながら、シロコとの指相撲に目隠しのハンデありで6連勝していた俺の耳に、狼狽えたような奥空の声が届く。

「ここから5km地点、中規模の兵力を確認!」

「まさか、またヘルメット団?」

「いいえ、ヘルメット団じゃありません!これは・・・傭兵!恐らく日雇いの・・・」

「傭兵バイトねぇ、アレ結構高い筈だけど」

「あぁ、相場ばかり高い癖して大した戦力にもならねぇ恥知らずの役立たず共だな。向上心も無くただダラダラとよだれのように弾を垂れ流すだけ。アレで生活は出来るってんだから全く世界ってのは優しく出来てるぜ。高給取るってんならそれに見合った力量と技術と実績持ってブランド打ち立てやがれってんだ」

堰を切ったように口から溢れ出す罵倒。多分、今鏡を見たら絵に描いたような『苦虫を噛み潰したような顔』ってのをしてるんだろう。あぁ、思い出しただけで腹立って来た。

”うーわ、イナホ何があったの?大分怨恨溜まってるけど”

「あぁ。仕事柄、何度も相手をしてな。標的が金に物言わせて大量に雇ってたが、どいッつもこいッつも歯応えの無い骨無しばっかりだ。たっぷりの熱い白飯を掻き込むのが大好きなのに、茶碗にへばりついた冷や米を1粒1粒喰わされたような気分になったんだよ」

”あぁ、そりゃ腹立つわ”

有象無象の雑魚共を並列処理で叩きのめして気絶させていくあの作業の虚しさったら。そう言う仕事だった日は1時間ぐらい凹んじまってた。今は何とか割り切れるが、コレ俺じゃなくても良くね?って感情が脳味噌にこびりついて離れん。

そうこうする間に、どうやら校門前に集結したようだ。

「と言う訳で、俺は今回パス。お前らでも充分どうとでもなるだろ。じゃ、俺ァ寝る」

「あのローザストがこんなに戦いたがらないなんて・・・よっぽど酷かったんだね。じゃあ、私達で始末して来る」

シロコがフンスと鼻息を荒げ、やる気十分と言った様子で部室を出て行った。それに続こうと皆が席をたった時、黒見があっと声を上げた。

「アイツら、さっきの!」

「うへぇ、世間って狭いもんだねぇ」

「さっきの?・・・ほう、アイツらか」

僅かに興味を引かれて立ち上がり、窓から敵を見遣る。そこにいたのは、有象無象を率いる柴関で出会ったご一行・・・便利屋68が居た。

「な~んだ、アイツらの仕事ってそう言う事か。しかし、ふむ・・・アイツらは美味そうなんだよな・・・」

”およ、食指が動いたかい?”

「まだ様子見だ。退屈はせずに済みそうだが、な」

再び外に目を向ければ、セリカがギャンギャンと便利屋に噛み付いている。しかし、便利屋は一切気にせず攻撃の意思を示した。対策委員会の指揮に移った先生を余所に、双方勢力の衝突を観察する。

相手方は、傭兵バイトは完全に弾幕要員として使う算段らしい。確かに、面制圧は厄介だ。不意の被弾は重心がブレる事もある。だが、矢張りと言うべきかどいつもこいつも米粒だ。制度も威力もなっちゃいない。寧ろ、それ故に弾幕のみの運用なのだとすれば、成る程悪く無い使い方ではある。

あの黒紫は、前線で敵弾を引き付けつつスラムファイアで一気に押し込み制圧するタイプ。後輩に合わせてる時のホシノと似たスタイルだが、まだ前線ではそれしか出来ないってタイプだな。そう言う動きだ。

白黒髪は、傭兵に指示を出しながらノノミのガトリングを蹴って逸らしたか。重心の取り方も脚の踏みも、迷いが無く狙う場所も絶妙。何処か体系化された技術の匂いがするが、果たして何処かで習っていたのか独学か・・・現状、最も周囲に気を配っているフィールドモニターは彼女だな。

金髪は爆発物の投擲を好むらしい。巫山戯ているように見えて、しかし敵の意識の隙間に投げ込む不意打ちも、わざと目立たせ注意を引くデコイも上手く熟している。白黒髪の次に広域観察が出来てるみたいだな。遊び半分みたいな態度とは逆に、油断ならねぇ。

そして、リーダーの赤毛。指示出し等はしていないようだが、それは白黒髪に一任してる訳か。本人は後方からの狙撃に徹してる。肝心の命中精度だが、これが中々に高い。シロコのドローン、そのプロペラ基部が撃ち抜かれて墜落。更に黒紫とぶつかってるホシノに対しても横槍を入れてプレッシャーを掛けている。

「良いねぇ・・・フルコースだ!」

歓喜。思わず脈拍と体温が上がり、蒸気が噴き出す。だが・・・

「楽しむには、邪魔が多過ぎる・・・先生、ちょっと良いか?」

”何!?今ちょい忙しいんだけど!”

「傭兵を下がらせる。手伝ってくれ」

”!へぇ、じゃあやってみよっか!”

 

(NOサイド)

 

「えぇいもう!めんどくさい!」

傭兵バイトの1人を殴り倒しながら、我慢ならぬと叫ぶセリカ。倒れた敵は回収され、その隙は周囲の要員がカバーする。その及第点の連携は、今までマトモな教導も無いチンピラばかり相手にしていた彼女らにはやりにくい様子だ。

「このままじゃジリ貧、どうすれば・・・」

 

”あーっあーっ、えーっと、傭兵バイトの人~!聞こえてるカナ~?”

 

「っ、先生?」

校舎のスピーカーから流れる広域放送。シロコが振り返ると、1階の放送室でマイクの前に座る先生の姿が窓越しに見えた。

先生からの呼び掛けに、傭兵達は一時的に射撃を中止する。

 

”オッケーオッケー、聞こえてるっぽいね。取り敢えず、君達にプレゼントがあるんだ。ホイ、交代ね”

『傭兵バイトの諸君。此方は、アビドス対策委員会だ』

 

「うぇっ、イナホ?」

「何するつもり?」

流れて来たイナホの声に、ホシノ達は首を傾げる。

 

『単刀直入に言う。これより即刻、戦闘行動を中止して貰いたい。無論タダでは無い。報酬は、便利屋提示の2倍!キャッシュレス決済に対応しているならば即座の支払いを約束し、此方からも攻撃しないものとしよう!傭兵諸君!色好い返事を期待している!』

”だってさ。どうする?そっちにとっても、こんな美味しい話は中々無いと思うんだけど?”

 

「な、なななな、なっ、何ですってぇ~っ!?」

イナホからの提案に、アルは白目を剥いて頭を抱える。そんなリーダーを余所に、傭兵達は銃を逆持ちして頭上で振り始めた。交渉成立の合図である。

「ちょ、ちょっと!?あんた達裏切るって言うの!?」

「当たり前じゃん。定時までの日当すら値切られてるんだよ?あっちがあの条件出して、あんたらに従う訳無いじゃん」

「はっ。まるでお話にもならん。茶番だな」

「おっ金♪おっ金♪」

誰1人として、便利屋側に残る傭兵は居なかった。そもそも傭兵とは金の亡者、買収や裏切りは常である。

「うへぇ~、こりゃキツいよねぇ」

「だけど、これでやりやすくなったわ!覚悟しなさい便利屋!」

「待ってセリカ」

ギラギラと勇むセリカを、シロコが抑える。彼女は銃にセーフティを掛け、肩に担いで撤退準備を始めていた。

「ちょっ、何やってるのよシロコ先輩!?戦わないの!?」

「冷静に考えて。あのバトルジャンキーが、私達に戦わせるつもりでこんな事する訳無い」

「えっ?」

「うへへ、シロコちゃんもイナホの事、大分分かってきたねぇ?下がろっか、ノノミちゃん」

「そうですねぇ。あんまりここにいる意味も無さそうですし」

「・・・あ、あ~、そう言う事・・・」

他3人の態度の正体に察しが付いたセリカは、気が抜けたように遠くを見据える。そして自分も持ち物を片付け、校舎へと歩き出した。そして、昇降口から出て来る規格外と擦れ違った。

「よく答えてくれた!傭兵諸君、2列に並んでスマホを出せぇい!」

イナホの号令に従い、キビキビと隊列を作る傭兵達。そして差し出されたスマホに、イナホは次々とスマホとスタッグフォンを重ねて決済を済ませて行く。

そして、報酬を受け取った者から次々と撤収し、最後の2人も立ち去った。そして、イナホの眼前には便利屋68の面々。ショックから漸く復帰したアルが、イナホを睨む。

「まさか、私が雇った傭兵を引き剥がすなんて・・・」

「必要経費はケチっちゃいかんぜ?お嬢ちゃん。もっと数を削いで、確実に運用しきれる料金で契約してりゃ、お前達の連携の穴埋めとして十全に機能したものを。このキヴォトスにおいて、戦いは数、とは一概には言えん。知らんとは言わせんぞ?」

「クッ・・・えぇ、認めましょう。そこは私の失態だったわ。でも・・・いいえ、だからこそ!私達の働きで取り返すッ!」

「その意気や良ォしッ!」

自分の頭にスナイパーライフルを向けるアルに対して、イナホは実に愉快そうに笑う。そして顔を異形の右手で覆い、その紅い瞳をメラメラと輝かせた。

「無粋な雑魚は排除した。慣れの無い味方も下がらせた。さぁ・・・パーティタイムだ!」

顔面を撫で上げると、ダークグリーンの生体装甲が滲み出す。掻き上げた髪からは触角が飛び出し、口から吹き出した蒸気に目の輝きが散乱した。

「か、かか、仮面ライダーローザストぉ!?」

「マジ!?ひっさしぶりじゃん!そっか~お姉さんだったんだー!」

「・・・久し振り?」

はしゃぐムツキに首を傾げるローザスト。しかし、彼女自身、便利屋に微かな既視感がある。

「あれ、覚えてない?あのブラックマーケットのオークション!」

「・・・あぁ~っ!お前良く見りゃその髪その角そのヘイロー!あん時の小娘共か!」

「うぐっ、こ、小娘って・・・!」

モヤモヤと胸中に燻っていたものが晴れ、ローザストはポンと手を打った。一方アルは小娘呼ばわりに思う所こそあるものの、年期が違う為に文句も言えず歯噛みする。

「・・・そう、そうよ。私達は、貴方からすれば所詮小娘・・・だけど、例え相手が強くとも、例え憧れの対象だとしても、私は仕事をするだけ!それが私達便利屋68、真のアウトローよ!」

「くっ、ククッ、クハハハハ!そうだ、そう来なくては!来いッ!」

「片手でだって命中させられるわ!喰らいなさいっ!」

 

━ズガンッ ドゴンッ!━

 

「ぐおっ!?」

頭を狙った、アルの片手持ち狙撃(ハードボイルドショット)。ローザストは右の裏拳でパリィしようとし、着弾した瞬間。弾丸が爆発し、黒煙が舞う。

「フッ、驚いた?只の小娘では無くってよ!」

「炸裂弾・・・いや、この匂いは・・・そうか、そうか!そこまで到達していたか!素晴らしい、素晴らしいぞ便利屋ァ!」

煙を腕で切り裂き、狂喜するローザスト。全身から圧力鍋のように蒸気が吹き出し、五体にはドス黒いオーラが絡み付いている。

「な、何かヤバいスイッチ入っちゃったかしら!?」

「そうみたいだね。仕方無いか、仕切り直すよ」

 

━ドガァンッ!!━

 

「なっ!?」

カヨコがハンドガンのリロードを済ませ、上に向けて撃つ。凄まじい銃声(パニックブリンガー)の音圧がローザストの全身を打ち据えた。

その爆音は体表の神秘から伝播し、浸透した内部に恐怖を植え付け恐慌状態に陥れる━━━━

「カハハハハッ!神秘を乗せた音波による精神への浸透勁か!誰に習った!独学でこれか!?あぁ、何と言う才覚か!!」

━━━━筈だった。

「えっ・・・焼け石に水?」

「火に油じゃな~い?」

思惑とは真逆に、興奮のボルテージを一段上げるローザスト。カヨコはドン引きしムツキも笑うが、その額には冷や汗が滲んでいる。

 

「あァ、なぁ!もう良いか!?攻めても良いか!?良いよなァ!?あぁ、アァ!滾って滾ってしょうがねェ!!熱くて熱くて、腹の底から、焼けて燃え上がっちまいそうだァ!!ゲァハハハハハハハッ!!」

 

「ねぇあれ、ホントに蝗屋さん?」

「何か、人として大事なものを結構投げ捨ててるように見える」

「う、うへぇ、あんなテンション高いイナホ初めて見たな~」

「ま、まぁまぁ、秘めた部分は誰にでもあると言う事で・・・」

『よっぽど戦いに餓えてたんでしょうね・・・』

”あ~れは半端に介入したら邪魔になっちゃうなぁ”

 

一様に顔を青ざめさせ、カヨコと同様にドン引きする対策委員会。そんな彼女等を端から眼中に置かず、ローザストは身を屈めて力を溜め、全身のバネを発火させるが如く解き放ち突貫する。標的は、最前線のハルカ。

 

━ドグォッ━

 

「ぐっ!?あぁッ!?」

突き出された左右の拳が、挟み打ちの形となってハルカの身体を襲う。高速の大質量を拳に集中させ穿ち抜く一撃は、華奢な体格のハルカを容易く打ち飛ばした。

「・・・あ?」

「は、ハルカ!」

「ぐぅっ、ゲホッゲホッ・・・だ、大丈夫、です、アル様・・・!」

「ほぉ・・・」

ショットガンを杖に、ふらつきながらも立ち上がるハルカ。それを見て、ローザストの眼の輝きが鋭く、スリットのように細まる。

「ぐっ・・・!?が、っは!?」

何とか銃を構えようとした矢先、ハルカの身体がぐらりと傾いた。そのまま地面に倒れ、手足をビチビチと痙攣させ始める。

「は、ハルカ!?」「ちょっと、ハルカちゃん大丈夫!?」

「っ!アンタ、ハルカに何したの?」

呼吸を荒げ、眼は焦点を失い、全身から冷や汗が噴き出す。そんな尋常ならざる状況のハルカにアルとムツキが駆け寄り、3人を守るようにカヨコが立ち塞がって銃口をローザストに向けた。

「あぁ、その症状、低血糖を引いたか」

「引いた?低血糖って、どう言う事?」

「飢餓の呪毒・・・俺の攻撃の副次効果さ。俺の攻撃に当たった対象は、大体4割弱程度の確率で3つの症状の何れかが発症する。全身から力が抜ける筋虚脱、内臓を握り潰されるような激痛にも似た強烈な飢餓感、そして・・・今ソイツが発症した、低血糖症」

「・・・チッ」

指を3本立てながら、丁寧に説明するローザスト。それを聞いて、カヨコは焦りを噛み締める。現在、彼女等は無一文。当然、糖分を摂れる物など持ち合わせていない。

「安心しろ、暫くすれば呪毒は抜ける。しかし・・・まさか、3秒前後とは言え立ち上がれるか・・・中々に硬い、やはり出て来て正解だな」

「・・・にしても、えらく冷静になったね。さっきまであんなに興奮してたのに」

「ん?あぁ、まぁ最初に殴ったのがソイツだったからだな。そこまで踏ん張り無く吹っ飛んでくれた上に、分析対象になってくれた。お陰で、少しばかり冷静になった。多分拍子抜けの類いでもあるんだろうが・・・幾らはしゃいでたとは言え、あの態度は人間として宜しく無かった。そこは済まん」

会釈程度に頭を下げるローザスト。先程からのテンションの異常な変遷に、カヨコは薄ら寒いものを覚える。

「お前達の才能、連携、そして修練。それらに感謝と敬意を込めて、俺の切り札をお見せしようじゃあないか。それが礼儀ってもんだろ?」

そう言って、ローザストはヒュパッと左手をスナップさせる。次の瞬間、その手の中には緑色のメモリが握られていた。

CYCLONE(サイクロン)!】

「レイズ」

【CYCLONE!】

ドライバー左側、レイズスロットに装填されるサイクロンメモリ。そして左の袖を捲ると、ローザストの左腕がその形を大きく変える。

ダークグリーンで工学的且つ生物的な装甲から、渦巻く風を象形化した明るい緑のフレームに。手の甲には金色の球体があしらわれ、周囲の風がその一点に流れ込み始めた。

「っ!腕が変わった・・・?」

【CYCLONE!MAXIMUM DLIVE!】

「ハァァァァァ!」

メモリの頭を叩き左手を突き上げ、更に叫ぶローザスト。やがて風の収束範囲はグラウンドを軽く超え、凄まじい吸引力に引かれてコリオリ力により渦を巻き、周囲の物体をすら舞い上げ始める。

「な、なななな、何よコレぇぇ!?」

「嘘、でしょ・・・!?」

「や、ヤバいヤバい!ヤバいってアルちゃん!?」

それは本来、高温多湿且つ強烈な上昇気流によって産み出される積乱雲の根元に発生する暴風のミキサー。地上にあるもの全てを等しく巻き上げ、引き千切り、擂り潰す天災。しかし、その破滅の螺旋は上空高く立ち上がる事は無く、巨大な漏斗のように異形の左手に流れ込んでいる。

 

━━サイクロン・スピラファンネリア━━

 

「う、ウソ・・・蝗屋さん、こんな事まで出来るの・・・!?」

「ローザストさん周辺の気圧が急激に低下!こんな数値、平地では有り得ません!?」

「な、何ですか、これは・・・」

「小さな、砂嵐・・・?」

「こんなの、私も見た事無い・・・あいつ、何を考えて・・・」

”何だ・・・何なんだ、あの力・・・”

 

周囲の砂すら取り込み、黄土色の擂り鉢と化した異質の竜巻。焦ったムツキが束ねられた改造手榴弾を投げ込むが、その爆風すらも内側へと呑み込まれた。

「・・・っ!?」

そんな中、カヨコの顔がまた青ざめる。違和感は想起へ。想起は仮説へ。仮説は瞬く間に確信となり、一瞬にして恐怖を呼び起こす。

「まずい、皆逃げて!」

「っ!?」

違和感は、立ち延びず広い円錐形となっている竜巻の姿。

想起したのは、水を溜めたシンクの栓を抜いた時の渦。

仮説は、通常の竜巻とは逆のプロセスによる大渦の発生。

確信に至った時、既にローザストの手にはハンドボール大の透明な何かが握られていた。

「まぁ、こんなもんだろ。死ぬ程の威力じゃねぇが、打撲程度は覚悟しとけ」

左手を前方に突き出し、ローザストはニヤリと笑う。そして透明な球体への干渉を緩め、その中身を・・・超高圧の圧縮空気を放出した。

 

━━サイクロン・アドモスピアーズ━━

 

斜め上を目掛けて放出された、音速の壁を突破する超高速のジェット気流。それは周囲にあった空気を剥ぎ取るように巻き込み、大気ごと切り裂く轟音と共に飛び去った。その余波に巻き込まれ、便利屋は文字通り容易く引き飛ぶ。

「ハァ・・・ハァ・・・フゥ~・・・まぁ、ぶっつけ本番にしちゃ悪くねぇだろ・・・」

荒れ高ぶり、呼吸に疲労を滲ませるローザスト。跪き、サイクロンメモリを引き抜けば、元に戻った腕からは血が噴き出す。

”イナホ!大丈夫かい!?”

「あぁ、大丈夫大丈夫。すぐ治る」

小さく唸りながら痛みに耐えれば、ミチミチと音を発ててみるみる内に傷が塞がり始めた。最低限止血が済んだ所で、ローザストは再び立ち上がる。

「流石に、あの高出力は堪えるわな」

修復した腕をグリグリと回しながら、ぼやく。腕の表面にこびりついた血を地面から掴み取った砂でこそぎ落としていると、幾つかの唸り声がローザストに届いた。

「コイツは驚いたな。拡散させたとは言え、まさかもう起きたのか」

「くっ、ぐぅっ・・・」

膝が笑い、全身傷だらけになったアル。しかし歯を食い縛りながら、帽子に手を当てて立ち上がって見せる。その姿に、ローザストはまたゾクリといきり立つものを覚えた。

「良く立ち上がったな。矢張り、上澄みも上澄みだ。だが、今にも膝から崩れて落ちそうだな。どうする?撤退するなら、お前達の才覚に免じて見逃すが・・・」

「ッ~!」

「社長・・・ダメ・・・」

「コイツ、普通じゃないよ・・・!」

「・・・そうね。私達だけでは、届かない・・・ここは、撤退するしか無さそうね」

「賢明な判断だ」

部下の消耗具合も鑑みて、アルは撤退の意を決する。そして未だに動けないハルカを担ぎ、撤退を始めた。

「・・・覚えておきなさい。次こそ、必ず貴方達を打ち倒して見せるわ」

「あぁ、そいつは何とも素敵だ。とても、とても楽しみだ。ならば、名を聞いておこう」

「・・・アル。陸八魔、アルよ」

「そうか。その名、忘れんぞ。陸八魔アル」

アルの頬に、苦い雫が伝う。その味を噛み締め、アルはこの仕事の成就を誓った。

 

To be continued・・・




~キャラクター紹介~

・奥空アヤネ
アビドスの良心担当。
定例会議にて新しい金策を募ったものの、寄せられるもの悉くがろくでも無いものばかりで遂にブチギレ。ちゃぶ台返しを披露した挙げ句、何と泣き出してしまった。今日の被害者。

・黒見セリカ
アビドスのポンコツ担当。
真面目ではあるのだが、会計責任者と言う肩書きを泣かせるPONを起こす。流石にマルチ商法に引っ掛かるのは擁護出来ない。
イナホが便利屋にラーメンを奢ったので、原作程裏切られた感は強くない。しかし、それでもしっかり激昂している。

・小鳥遊ホシノ
アビドス昼行灯気取り。
バスジャックなんてして良い訳ねぇだろいい加減にしろ。
何と言うか、この時点のホシノには若干諦めに精神を侵食されてるような気配がある。

・砂狼シロコ
アビドス畜生オオカミ。
アヤネを泣かせておいて一切悪びれる様子も無くこれである。背面全体真っ赤ッかも妥当。
尚、イナホの思考回路が大分理解出来るようになってしまった模様。

・十六夜ノノミ
アビドスの比較的常識人。
今回はほぼ無罪だったので、アヤネのフォローに回った。但し、アイドルをやるにしても資金はノノミを頼らざるを得ないんだからそれご実家企業の資本になるんじゃねぇの?と思う。

・叢雲コウ/草薙イナホ/仮面ライダーローザスト
ものの見事に大暴走した飛蝗少女。
個人的な心情もあって、腹を減らしてる奴には施したい気質。更に面白そうなのもあって、便利屋は1人1杯のラーメンにありついている。
アルに帽子のマナーを説き、それに見合う良い女になれと激励。色使いのセンスも褒め、成長に期待した。
バトルジャンキー過ぎて、美味しい戦闘が一定期間断たれると機嫌が悪くなる。そんな気質と本人の経験も相まって、戦力を商品として売ってる癖にろくに鍛練もせず成長せず、数合わせに甘んじる傭兵バイトの事は大ッ嫌い。
更に最近は大して強くも無い小粒ばかり叩いていたので、便利屋相手にテンションMAX。しかし、ハルカを殴り飛ばした事で何とか冷静さを取り戻した。踏ん張りが足りず吹っ飛んだ事に若干落胆こそしたものの、数秒とは言え飢餓の呪毒に抗った点については賞賛。
便利屋メンバー、特にカヨコとアルの素質に敬意を表し、サイクロンのマキシマムを使用。超局所的異常気象を発生させ、高圧空気弾をブッ放した。このように短期決戦が出来るならば、怪我は治る、痛みは押さえられる、の理論で自爆に近い反動技も何の躊躇も無く使う。因みに、サイクロンメモリとはかなり適合率が高い。
傭兵を買収する際の台詞はまんまAC6のミドル・フラットウェル。

・先生
叱る時は叱るし、見捨てて問題無い時は割と見捨てる人。
今回のシロコは流石に庇わなかった。アニメ版準拠で柴関には行っていない。
傭兵相手と言う事で主任ムーヴに磨きが掛かっている。

・陸八魔アル
ハーフボイルド便利屋社長。
ヒューマンオークションでの件から帽子に強い憧れを抱き、そこそこお高めな中折れハットをオーダーメイドした。似合ってはいるが、まだまだ被り熟してはいない。
無自覚とは言え、神秘を弾丸に封入して固有属性の攻撃を放った事でローザストのテンションが着火。結局サイクロンのマキシマムで吹っ飛ばされたが、それでもまだ心は折れていない。

・伊草ハルカ
便利屋のタンク。
その頑丈さと神秘的防御力は、飢餓の呪毒にほんの少しながら耐えられる程。
今回、飢餓の呪毒で擬似低血糖症に陥り行動不能となった。
意識を取り戻したら腹を切らんばかりの勢いで謝り倒す。

・浅黄ムツキ
便利屋のスクリューボール。
悪戯者の性として、人の意識の向きを読み取るのが上手い。その隙間を通すか、あえて引っ掛けるデコイか、投擲物の使い方を2つに分け、状況に応じて切り替える器用さが強み。
戦場の俯瞰視はカヨコの次に上手く、前線を誰かに任せられる場合はアルのサポートに回る。

・鬼形カヨコ
便利屋の司令塔。
頭の回転が早く体術もそれなり以上。アルの方針に従い、多方面に指示を出すフィールドモニター。
興奮し始めたローザストをパニックブリンガーで牽制しようとしたが、火に油処かガソリンをぶっかけるような結果に。
ローザストの使ったスピラファンネリアと自然現象としての竜巻の相違点に気付き、次に何が来るかを理解出来る自然科学知識も併せ持つ。

~用語紹介~

・ボルサリー・マーキュリー
帽子をメインに、装飾品のオーダーメイドを請け負う技術者工房。値は張るが、それに見合う出来を約束する。
因みに名前に入ってこそいるが、加工に水銀は使わない。

・サイクロンメモリ
疾風の記憶を内包した緑色のメモリ。使用者に風圧や風向を操る能力を与え、更に身体に当たる風をエネルギーとして取り込み、スタミナを回復しつつ心肺機能を増強する機能も持つ。
普段からエアロディテクターによって周囲を感知しているローザストとは感覚面でも相性が良く、より多くの風を、より繊細に掴み操る事が出来る。

・サイクロン・スピラファンネリア
サイクロンのマキシマム。突き上げた手の甲の黄金球に急速に風を取り込み、強烈な低気圧によって擂り鉢状の竜巻を発生させる。
厳密には技では無く只の予備動作なのだが、その時点で1つの技として成立するレベルの干渉力を誇る。
名前はラテン語で螺旋を意味するスピラと、漏斗を意味するファンネルから。

・サイクロン・アドモスピアーズ
スピラファンネリアから派生する攻撃。
圧縮空気を掌に集め、指定した方向に一気に噴き出す技。収束して直撃すれば装甲車すら貫通し、今回のように拡散しても重戦車を吹き飛ばし転がす威力がある。更に射線周囲の空気も剥ぎ取るように巻き込み呑み込んで噴射するので、近くの物体も引き摺り込まれ、吹き飛ばされる。
名前通り、標的を大気ごと貫く規格外の一撃だが、そんな超高圧、超高速のジェット噴射には当然ながら莫大な負荷が掛かる。練習もしていないぶっつけ本番だった事も相まって、ローザストの左腕はズタズタになった。
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