3つの光跡、3つのティアラ   作:サンタクララ

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シニア級前半
初詣


 もうすぐで1年も終わろうというところ。トレーナー室で担当ウマ娘と二人でトレーニングメニューの見直しをしていたら、緑色のスーツを着用したいつも通りの姿で、理事長秘書のたづなさんが来室した。

 

「失礼いたします、トレーナーさん、インデアゾンネさん。ぜひお伝えしたいことがございまして!」

 

「伝えたいこと、ですか?」

 

 そう既視感のあるやり取りの後、彼女は伝えたいこと、について話す。

 

「インデアゾンネさんの活躍が評価されまして、URA賞の『最優秀クラシック級クイーンウマ娘』に選定するとの通達がありました!」

 

「えっ、ジュニア級クイーンウマ娘に続いて……ですか?」

 

「はい!それに加えて、URA年度代表ウマ娘の選出もインデアゾンネさんが最有力と見られているようですよ」

 

 最優秀クラシック級クイーンウマ娘については、他でもないトリプルティアラを達成したウマ娘がここにいるのだから選ばれるのは当然だが……年度代表ウマ娘か。

 

「ゾンネはよく頑張ってくれましたからね。見合った評価でしょう」

 

 年度代表ウマ娘は年間を通じて最も活躍したとされるウマ娘が授かる、栄誉ある称号だ。ただ、過去のトリプルティアラウマ娘から見る傾向としては、ティアラ3つに加えてジャパンカップなど他のGⅠでの勝利実績がないと選定されにくい。

 だが今年は対抗となるのがダービーと有馬記念で勝利を挙げたプルーヌスムーメくらいで、選出の基準となりやすい中長距離のシニア級GⅠもそれぞれ勝者が違う群雄割拠状態だったためにゾンネが抜けた形だろう。

 

「トレーナーってばまた……」

 

 そう冷静に分析してはみたものの、担当の活躍が評価されたことには変わりないのでもちろん単純に嬉しくも思う。なのでここは余計なことを言わずにゾンネを褒めるだけに留める。

 

「トレーナーさんは、インデアゾンネさんのことをとても信頼されているのですね♪」

 

「もちろんです、表彰セレモニーの準備をしておきますね」

 

 「それでは、これからもお二人のご活躍を期待しています♪」と退室するたづなさんを見送ったら、デスクへ戻る。

 

「はあ、たづなさん相手によくあそこまで言いきれるね……」

 

「俺はゾンネはそれだけ評価されていいウマ娘だと思ってるぞ」

 

「はいはい」

 

 そうして二人でトレーニングの内容を軽くまとめたら解散とし、来年のシニア級に備えてゆっくり休むように伝えた。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 ついにインデアゾンネのシニア級の年度を迎えた。トゥインクル・シリーズにおいてもっとも重要な『最初の3年間』もラスト1年というわけだ。

 そういうことで、早速トレーナー室にて研究のためレース特集の番組をチェックする。今年クラシック級を迎える有力なウマ娘の紹介の後、シニア級の話に移る。

 

『まず期待するのは、やはり新生トリプルティアラのインデアゾンネですね!引き続きティアラ路線のレースで素晴らしい走りを見たいところです』

 

『インデアゾンネといえば、彼女とティアラで競ったクルーシャルテイクやカルドロンディーニについても、皆さん気になることでしょう!カルドロンディーニの陣営は既にドバイへの春遠征を発表していますが──』

 

 ゾンネのライバルになり得るウマ娘たちについて、世間での評判を出演者のコメントを通じて収集していたところ、トレーナー室のドアが開く。

 

「あけましておめでとう……トレーナー、去年もなんかテレビ見てなかった?」

 

「情報を集めてるんだ。ゾンネも見るか?」

 

「いや、わたしはあんたを外に連れ出そうと思って来たの」

 

 聞いたところ、初詣をして今年一年の願い事をしようと思い立ったという。

 

「願掛けに頼らずとも、ゾンネなら何でも成し遂げられると思うが……」

 

「半分自分への宣言も含めて、って感じだよ。というか、さすがにわたしもそこまで万能じゃないし」

 

 もちろんゾンネがそうしたいのであれば、トレーナーの自分が断る理由などない。テレビを切り、初詣に出かける準備を始めた。

 

 

 

 

 いつぞやにお出かけで向かった場所とは別の、幾分か建物も華美で人も多い神社へとやって来て、お参りをする。特にこういったことに熱心なわけではないが……願うことがあるとするなら当然。

 

(ゾンネが、さらに活躍できますように)

 

 そうしてお祈りが終わった後、歩きながら担当ウマ娘と会話する。

 

「ゾンネは何を願ったんだ?」

 

「教えない。恥ずかしいし、願い事は言ったら叶わないって言うし……」

 

「やっぱりゾンネはそういう、スピリチュアルなことを信じるタイプな……痛い、ストップ」

 

「余計なこと言うからだよ」

 

 もう何度目かも分からない彼女による脛への攻撃を食らい、また怒らせてしまったと自省していると、見慣れた集団に声を掛けられる。

 

「はろはろ~☆ゾンネっちにトレーナー、あけおめことよろじゃんね♪」

 

「お二人も初詣ですか?ほんま仲良さそうでうらやましいなぁ」

 

 チームハチサのうちクルーシャルテイク以外の3人が揃っており、彼女たちも初詣に訪れているようだ。

 

「……あれ、テイクは?」

 

「テイクちゃんなら食べ過ぎんようトレーナーに見張られとうよ」

 

 クルーシャルテイクとハチサのトレーナーもこちらに来ているが、別行動らしい。

 

「折角会うたんですし、ゾンネはんたちもうちらと遊ばへん?案内しましょか?」

 

「わたしは問題ないけど、トレーナーはどう?」

 

「そうだな……」

 

 参詣は済んだので、後はトレセン学園に帰るだけ。ある程度時間を取ることはできるが……3人のうち、誰と一緒に行動しようかと考えて。

 

「……じゃあ、コレオプシスカラーと行ってみるか?」

 

「お、あーしちゃんご指名?そんじゃ、この辺の映えドリンク巡り行っちゃうじゃんよ☆」

 

 早速、ゾンネと自分の手を引っ張って移動しようとするギャルウマ娘。彼女のバイタリティは目を見張るものがあるなと思いながらなんとかついていく。

 

「そやったらうちらももうちょいお店見てこか、ムーメちゃん」

 

「うん、キヨミズ先輩!」

 

 残った方言ウマ娘二人も歩き出し、一旦それぞれに分かれていった。

 

 

 

 

 コレオプシスカラーの案内で、神社の近くにあるドリンクスタンドを訪れる。外は寒く体が温まりそうなものでもと思い、ホットハニーレモネードを注文する。

 

「あーしちゃんはミラクルゼリーソーダフロートで☆」

 

「わたしはベリー×3スムージーでお願いします」

 

 そうして数分後、出来上がったそれぞれの品を受け取る。自分のホットレモネードはグラスの縁にレモン、赤レモン、ライム、グレープフルーツと思わしき輪切りの果実が十字状に添えられており、まずはそれらを取ってグラスの中に入れてから飲むことになった。商品名の通りハチミツはもちろん、ジンジャーも少し入っているのか飲み始めて少しすると体の芯が温まってきた。

 

「おお、ゼリーソーダやっぱ綺麗じゃんね☆映える~♪」

 

「わたしのも撮る?」

 

「ゾンネっち撮らせてくれちゃう?じゃあ一緒に写メろうじゃんよ☆」

 

 ウマ娘二人の方は飲み始める前に一通り自撮りをしてから口を付ける。コレオプシスカラーのものは様々な果物の風味らしいボール状のゼリーにバニラアイスまで入ったブルーソーダで、夏なら涼しげで良さそうなものの……冬の今は冷たすぎるように見えるが、彼女は平気な顔で飲みきった。

 

「イチゴと、ブルーベリーと……あとはなんだろこれ」

 

 ゾンネが頼んだドリンクはベリー類の果実をスムージーにしたもので、切り分けられたイチゴやブルーベリー、ラズベリーが盛り付けられている。こちらも冬に飲むには寒そうだが、無事に完飲。

 

「そんじゃそろそろ次の店行くじゃんよ☆」

 

「ちょっと待って、折角正月だし甘酒にしない?温かいやつ」

 

 どうやら、さすがに冬場にスムージーは体が冷えてしまったらしくゾンネは甘酒を希望し、コレオプシスカラーもそれに乗った。そうして神社で配られている甘酒を頂いて、他のハチサの面々と合流しトレセン学園に戻る。

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 それから1週間ほど経って、URA賞の表彰式に呼ばれたので担当と共に向かう。そこには何人か、ゾンネと交流のあるウマ娘たちも並んでいた。

 そして年度代表ウマ娘の座は、プルーヌスムーメ*1、キヨミズノマイ*2、フラッフィトップ*3らをおさえて担当ウマ娘が勝ち取ったようだ。

 

「──それでは、栄えある『年度代表ウマ娘』ならびに『最優秀クラシック級クイーンウマ娘』に選出されたインデアゾンネさん、コメントをお願いいたします」

 

「はい、選出していただき光栄に思います。昨年の『最優秀ジュニア級クイーンウマ娘』に続いて活躍を残すことができましたが、これは周囲の支えがあってこそだと考えています」

 

 それから、他の受賞ウマ娘たちのコメントとなる。交流のあるウマ娘では、プルーヌスムーメ、キヨミズノマイ、コレオプシスカラーとハチサのメンバーたちが表彰されており。

 

「はぁ~!お堅いコメントとかもぅマヂ無理じゃんね……」

 

「ふふ、別にいつも通りで良かったんちゃいます?」

 

「さすがに普段通りは困るけれど、もう少し肩の力を抜いても良かったわね」

 

 ハチサのトレーナーにその担当ウマ娘たちと帰路を共にし、歩いていく。今年もまたゾンネが目覚ましい活躍を見せ、URAに表彰されるような結果を残せるように、自分もできることをやらなければ、と改めて感じながら。

 

*1
皐月賞4着、ダービー1着、菊花賞5着、有馬記念1着

*2
大阪杯3着、天皇賞春1着、宝塚記念2着、天皇賞秋3着、マイルCS1着

*3
皐月賞1着、ダービー3着、ジャパンカップ2着、有馬記念2着




遅くなって申し訳ありません。以下はインデアゾンネの詳細なアプリ風設定です。



キャッチコピー:
いつか輝く時のために!
クールな頑張り屋さん

自己紹介:
インデアゾンネ、です。あんまり自分に自信はないけど…わたしを応援してくれる人がいるなら、その人のために頑張ります…!

[リヒト・エントゲーゲン]インデアゾンネ
『Möchte vorankommen Lv1』
最終直線で前の方にいると持久力を回復し
さらに速度が少し上がる
阪神、東京、京都レース場のマイルか中距離レースなら速度が上がる

初期適性:
芝A/ダG
短F/マA/中A/長F
逃E/先A/差A/追E

成長率:
スピード+10%/スタミナ+0%/パワー+0%/根性+10%/賢さ+10%

育成目標:
ジュニア級メイクデビュー に出走
阪神JF で5着以内
桜花賞 で5着以内
オークス で5着以内
秋華賞 で1着
大阪杯 で3着以内
ヴィクトリアマイル で1着
宝塚記念 で3着以内
エリザベス女王杯 で1着

固有二つ名:『陽の光を戴く女王』
やる気「絶好調」で阪神JF、桜花賞、オークス、秋華賞、ヴィクトリアマイル、エリザベス女王杯を勝利し、ファン数が320,000人以上になる
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