スターフォックスFree実況プレイ 帝国設立縛り   作:竹製手桶

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今回も100%捏造でお送りします。




side A.O『少年時代の終わり』

 

「あたし、ここのことよく分かんない。だから、任せていい?」

 

あの日はいつもより舞い上がっていたんだと思う。普段は絶対に私の言うことを聞かない彼女が珍しく、私に全てを委ねてきたのだから。

メイ・イルード。彼女は幼い日から私に反抗的で、生意気だった。だけど彼女と競うのは楽しかった。彼女に負けるまいと色々なことに挑戦し、今の私を形作る土台となったのは否定出来ない。別に感謝などしていないが。断じてない。

 

「……!! ああ、分かった。絶対に忘れられない日にしてやろう!」

 

――後から聞いた話によると、あの街には異民族排斥のテロリストが潜伏していたらしい。それに感化された者がアンドルフおじさんの身内として我々を狙っていたのか。それとも異種族なら誰でも良かったのか。彼らが皆物言わぬ肉となった今となっては分からない。

 

「アンディ!危ない!」

 

お前に私を愛称で呼んでいいと言った覚えはない、と口に出す前にそれは起きた。

強く手を引かれ、前のめりに倒れかける。聞こえた舌打ちは彼女のものではない。聞いたことのない声色だった。何か良くないことが起きていると遅れて理解した。

 

「走るよ!」

 

言われるがままに走る。道が分からないなんて嘘だった。お前は何を思って私に今日の主役を譲ったんだ。何故そこまで必死になっているんだ。お前如きに守られなくても、私を守ってくれる大人はたくさんいるのに。

 

彼女は自分の身を守るために持たされていたであろう拳銃を出して、男に向かって撃った。しかしそれは不発だった。彼女は顔を顰めると地面にそれを捨てた。代わりに石を投げた。

明らかに慣れている手つきだった。

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「メイ……」

「ここでじっとしてて。出来るよね?」

 

頷くほかになかった。メイは泣きそうな顔をしていた。悲しさの中に覚悟を決めていた。

どちらか片方しか生きて帰れないかもしれない。だから私を守るという選択をしたのだと気付いた。

 

当時の私はあらゆる我儘が許されていた。おじさんの威光に誰もが平伏し、私に対して強い反抗はしてこなかった。メイとの競争はあくまでも子供の遊びの範囲を出なかった。私の思うままに世の中の多数は動き、世界の中心に私がいた。

だが、それは私のいた狭い箱庭での話だ。世の中にはメイよりももっと意地が悪くて、私の宝物をめちゃくちゃにしようとする奴がたくさんいる。メイは私より先にそのことに気づいて、箱庭の中の幸福を守ろうとしていたのだ。私には何も言わずに。

 

 

――幼い万能感は銃声と共に砕け散った。

 

 

片方の男はメイが振り回したブラックジャックが当たって昏倒した。しかし、我々に襲い掛かった二人の男の片方は拳銃を隠し持っていた。

当然だ。この辺りの大人で後ろ暗いことに手を染めている者は必ず武器を携帯している。メイも私もそれを知らなかった。

 

最初は右足、次に右手。血飛沫と共にメイが膝をつき、武器にしていたブラックジャックを取り落とす。男はさらに彼女の左足を撃った。次は殺すぞと愉しげに笑った。

だけど彼女は決して逃げようとしなかった。逃げれば私が狙われると分かっていて、命尽きるまで戦おうという気だった。

 

「やめろ……!」

 

乾ききった口から絞り出した声は誰にも聞こえなかったに違いない。しかし、あるものが目に入った。メイが護身用に持っていた拳銃だ。男達に取られないよう遠くに投げていたもの。手を伸ばして、それを拾った。

ずっしりと重いそれの使い方を、私は知っている。ピグマ・デンガーは、弾詰まりが起きたときの対処法も懇切丁寧に教えてくれた。

 

タップ、ラック、バン。

マガジンを叩き、スライドを引く。そして発射。発射後も暴発するかもしれないから銃口は十秒、相手に向ける。

失敗すれば手が吹っ飛ぶから弾が詰まらないよう普段から整備しておけと、ピグマはカラカラと笑いながら私に語った。

 

震える手で銃を持った。マガジンを叩き、男の背中に銃口を向ける。どこでもいいから当たってくれと祈りながら撃った。

幸運なことに手が吹っ飛ぶようなことはなかった。一発目は外れ、二発目で右肩に当たった。男は倒れると痛みに呻きながら地面を転げ回って動かなくなった。悲鳴は不快だったが、人を殺めたという罪悪感はそこまでなかった。それよりも優先するべきものがあった。

 

「メイ!しっかりしろ!」

 

彼女はまだ生きていた。私が何故銃を扱えたのか分からないと言うものだから、習ったからだと返した。良かったと彼女は口にした。

いつだって生意気で、自信に溢れていて、私を困らせるのが趣味みたいな女なのに、安心しきった表情を浮かべてゆっくり目を閉じた。当時の私は彼女が死んだかと思って人目も憚らず泣いた。

 

その後、メイは病院に運ばれ一命を取り留めた。だが両足は切断せざるを得ず、右手も使い物にならなくなってしまった。

 

「……あいつらは、何者だ」

「多分やけど、コーネリア軍の異民族排斥派の連中やと思うで。特に坊ちゃんはアンドルフ様と血の繋がりがあるからなぁ。怖くて堪らんかったんちゃうか」

「そうか。……メイは、知っていたんだな」

「せやろなぁ。だから、坊ちゃんに何も言わんと一人で片付けようとしたんやろ。あの嬢ちゃん、ええ子やなぁ」

「……ああ、本当にな」

 

走り回ることが好きな彼女から両足を奪ってしまった。上手にボールを投げていた右手も壊してしまった。

胸を潰されそうな気持ちと、代わりに燃え盛るような怒りが湧いてきた。

 

アイツらは勝手にアンドルフおじさんを怖がって、勝手に暴力を奮った。その矛先はおじさんを虐めるだけじゃ収まらなかった。メイにも向いた。

アンドルフおじさんはただ皆の役に立つものを作りたかっただけなのに。メイは、何も悪くないのに。

 

なら私もアイツらの大事なものを奪ってやる。同じことをやり返して何が悪い。家族を殺し、財を掠め取り、己の罪から目を逸らしてのうのうと生きている奴らに思い知らせてやるのだ。

 




???「(とても都合が)ええ子やなぁ……」

アンドリューの周囲で銃器の扱いを教えてくれそうなのはコイツぐらいしかいないよなぁ……と思っています。
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