猛き炎がこんなにしんどいはずがない   作:誠一

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カムラが誇る美人双子姉妹。
その妹であるミノトはある日、猛き炎へこう言った。



「自害してください、コウヅキ様。ホワイトデイまでに。」





「なんで????????」



猛き炎に未来はあるのか?



続・断頭台かショコラ

 

 

 

「自害してください、コウヅキ様。ホワイトデイまでに。」

 

 

 

集会所の奥、肌寒い風が幾分和らぎ春の訪れの足音が聞こえる庭園にて、

俺の命が再び危機を迎えている

 

 

 

「なんて??」

 

 

 

わけがわからぬ。最初から最後までわけがわからぬ。

どうしてこうなってしまったのだろう。と言うかホワイトデイってなに?

今、俺の目の前と頭が真っ白になってる事と関係ある?

 

 

 

「あるいは私が死にます」

 

 

 

悪夢かと思った。むしろ悪夢であって欲しかった。

というか前回の出来事は心の傷としてガッツリ残っており悪夢として正直何度も見た。

夜中にも明け方にも見た。その度フルフルの叫び声みてぇな悲鳴を上げて飛び起き

うんざりする日々を送っていたが、まさか夢である事を望む日が来るとは思わなかった。

 

 

何があったのか。それは命以外で清算できる事なんじゃなかろうか

今度こそと思い、ゴコクさんの方に救いを求める視線を送ってみるも、

何やら真剣な面持ちで紙に筆を走らせている。

いや、あれは偽装だ。その証拠に筆に墨が付いていない。

筆で紙を撫でているだけだ。なにがなんでも関わるまいという決意を感じる。

ふざけやがって、「ゴコク、自害しろ」と言いたい。今すぐにだ

しかしこのままでは俺かこのキチガイの命。もしくは俺の心が粉々に砕け散る事だろう。

DEAD & DEADだ。救いは無い。

しかしこのままでは悪夢と現実が一体化して絶望しかない。つらい。

やむを得ず俺は慎重に、そして少しでも心の傷を浅くする為状況把握に努める事にした

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

「つまり要約するとまたロンディーネさんからバレンタインデーのお返しという、

ホワイトデイという風習を聞き、ヒノエさんがずっと上の空でかまってもらえない…って理解でいいかな」

 

 

「そうです。わたしがヒノエ姉さまとの時間を過ごせるようその知略を使って頂いた時にはそれはもう感謝いたしましたが、その歓喜があってからのこの落差。とても耐えられません。どんなお返しが頂けるか期待してソワソワしてしまうヒノエ姉さま。もし苦手な物だったら…と難しい顔をするヒノエ姉さま。そもそもホワイトデイの存在を知らなかったらどうしようと愕然とするヒノエ姉さま。教えようか…でも自分から言ったらお返しを催促するみたいではないかと懊悩するヒノエ姉さま。お返しは欲しい…けど言えないと悶々とされるヒノエ姉さま。その全てが見る者全てを虜にする金剛石の万華鏡のようでしたが、そこに私が介入できないのがとても許容できません。消えたい。

あるいはコウヅキ様、自害してください」

 

 

あのエセ行商人、マジで余計な事ふき込みやがって。というかこの竜人ガチおかしいよ

人の命を何だと思ってんだ。いやそれ以前に、もしや人権って概念ご存じない方です?

 

「待ってください、ミノトさん。その結論を出すのはもうやめましょう」

 

里を守る為に戦っている以上、俺の命は消耗品だ。いつかカムラの民の為、空へ消える

覚悟はしている。しかし今はその時ではない。そもそもいい加減にしてほしい

 

「ミノトさんはヒノエさんが喜ぶ顔が見たい。そこは間違いないですか?」

 

「喜ぶ顔に越した事は無いですが困り顔も悩む顔も全部が全部を見たいです」

 

 

ここ…か?思ってた答えと全然違うけどこのまま押し通すしかない。

 

 

「ミノトさん。俺はバハリさんとヨモギちゃんと協力して新作団子を作ります」

 

「新作団子…ですか?」

 

「そう、ヒノエさんの好みを把握してるヨモギちゃんが絡めばお返しとしてハズレはないでしょう。更にバハリさんが入る事で今までカムラでは生まれようがなかった新感覚の団子が作れるはずです。そしてミノトさんは『コウヅキがお返しの新作団子を作る為、内緒で頑張っているようです』とこっそり教えるのです。こちらの情報はミノトさんへ何らかの方法で小まめに報告しましょう。するとどうでしょう…新しい情報を持ってこないかとヒノエさんはミノトさんの事を待ちわびるようになり、そしてミノトさんはソワソワ、ウキウキするヒノエさんの表情をしばらくの期間独占できる。俺はヒノエさんを失望させずお返しを用意できる。これは誰の命も損なわれずみんなが幸せになれる…そうは思いませんか?」

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

嵐は去った。「流石はエルガドでもその名を轟かすコウヅキ様。その神算鬼謀の前では古龍も頭を垂れるでしょう。脱帽致しました」とか早口で言って霞のように消えていったけどもういいんだ。全て忘れよう。後日、乗せた机が軋む程の鬼盛り団子を差し上げたが瞬く間に消えてヒノエさんに物足り気な顔をされた事も忘れよう。団子ってなに?

ホワイトデイ?知らない子ですね。

 

それはそれとしてまたもやミノトさんに呼び出されたワケなんだけどなんなの。

もうやだよ。無視も出来ないし。次なんか妙な事言い出したら俺はもう…

 

 

 

 

「コウヅキ様、自害してください。エイプリルフールとイースターと花祭りです。

あるいは私が死にます」

 

 

 

 

 

※ ※ ※ ※

 

 

 

 

 

「炭治郎ぉォォォ!!!!あのイカレ行商人はどこいきやがったァァァァ!!!!」

 

鬼火とキュリア、そして迸る殺意を身に纏い、瞳に狂気を宿した猛き炎が吠える

抜刀された太刀には赤い光が妖しく宿り、限界を超える力で握り締められた柄からは、

ミチミチと軋む音が絶え間なく響いている。

 

 

「た、炭治郎??えと…ロンディーネさんなら『ひとつなぎの財宝を仕入れてくる』から

しばらく留守にするとか言って出かけましたけど…」

 

 

イオリが震える中、新たに生まれた暴風が過ぎ去るのは…まだ先の話のようである




お読み頂きありがとうございます。
こちらは前回の断頭台かショコラの続編。
ホワイトデー企画として書き上げたお話です
荒ぶる勢いのまま書き上げました。
後悔はしていない。反省もしていない

ここまでお読み頂きありがとうございました
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