新エリー都に導かれる銀の運命   作:黒瀧汕

10 / 11
新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

案外早い投稿が出来嬉しい限りです。
時間が進むたびにゼンゼロの進行度が進み……進み…これ、追いつけるかな?

感想いくつもありがとうございます。
何か主人公が極晃星使えそうな雰囲気してますが実際は魔星止まりです。
ただし、デメリットも…ふふふ。


第9話

 ??? 共生ホロウ

 内部

 PM 20:50

 

 〈ライカンside〉

 

 私達が移動して数分の頃、エレンのいた辺りから続いていた戦闘跡を辿り大きめな交差点に近付くと地響きのような戦闘音が聞こえ建物の陰に身を潜ませます。恐らく少女が言っていた被災者がこの先に居るのでしょう。

 これまでの痕跡を辿ればその方は決して一般市民の様な被害者でないのは明らか、軍が使用する対エーテリアス用無人兵器、その最新機種と思われる大型タイプの機体が3体も再起不能なまでに破壊されていました(・・・・・・・・・・・・・・・・・)

 どの様な手段でやったのか、鉄パイプや標識等そこら辺にある物で滅多打ちにされ貫かれていたのです。鋼鉄の装甲を武器でも素手でもない稚拙な手段で撃破したその事実に戦慄を覚えました。

 

(まるで人が行った所業ではない。力自慢のシリオンでもここまでの事は出来ないはず……一体どのような御仁でしょう)

 

 音は徐々に小さくなり次第に静寂となっていきます。

 

「エレン、様子だけ確認です。不測の事態ですので自分達の身を第一に行動しましょう」

「了解、ボス」

 

 部下であるエレンに警戒を告げ慎重に歩みを進めていきます。

 夜というのもあり視界は全体を見渡せませんでしたが、道路の真ん中に大きな窪みがありその中を覗くと血塗れの人間が一人佇んでいるだけでした。

 

「なにこれ。血が(・・)いっぱい(・・・・)…」

 

 私の後ろから様子を伺っていたエレンですが、彼女の様子が少しばかり変わっていることに気づきました。

 普段気だるげな彼女でしたが今はどこか興奮状態に見えます。恐らくサメのシリオンとしての本能である部分が大量の血の匂いで刺激されいるのでしょう。

 

「いけません、エレン。これ以上は……」

 

「離れましょう」そう言いかけた時、耳元で金属同士のぶつかる甲高い不快音が鳴り響きました。視線を音の方へ向けると先ほどの血塗れの御仁が赤い棒のような物を私に向け振り下ろしている所をエレンが遮ることで鍔迫り合いをしていました。

 

「エレン!」

「アハハ!」

 

 血の匂いに当てられすぎたエレンは昂ったまま得物を振るい打ち合っていました。10合、20合と金属の応酬が鳴り響くと再び鍔迫り合いへと戻っていきます。拮抗した状態からエレンは僅かに力を抜き逸らすと下から柄を振り上げ御仁の腕が跳ね上がるとがら空きの胴へ横薙ぎに振るった。しかし、寸でのところで御仁は腕を戻すも鈍い打撃音が響きました。

 

「チッ、マジでうざい! うざい! うざい!! うざい!!!

「エレン、それ以上の攻撃はいけません! 今回は救出が目的です!」

「うっさいな! 動けなくすればいいんでしょう!」

 

 再び激しい剣戟が始まると周囲の標識や信号が吹き飛ばされ地面のアスファルトも罅が広がっていきました。

 

「仕方ないですね。先に御仁を止めます!」

 

 昂ったエレンにまだ理性が残ってると信じ自分に向けて攻撃してきた御仁の攻撃を受け止めると声を掛けました。

 

「私共は『ヴィクトリア家政』の者です。先ほど保護しました少女より貴方の事を伺い救出に来ましたので敵ではございません。どうか、武器を収め治療の為にホロウから脱出しましょう」

 

 赤い棒を義足で受け止め呼びかけました。フードにより目元は隠れている為、人相は分かりませんでしたが私は御仁に既視感を覚えました。

 

「……ら……かん…?」

 

 小さく呟いた言葉は狼のシリオンである私にも拾うのが難かしいくらいのボリューム。しかし、その声には(・・・・・)聞き覚えがありました。すると御仁は苦しそうな声を上げ距離を取りました。覚束ない足取りで数歩下がり乱雑に頭を振りフードが脱げるとボサボサな黒髪が露わになり前髪に隠れた赤い双眸が私を睨みました。数時間前、確かに言葉を交わしたあの青年が狂気が入り混じった複雑な目で確かに私を見ていました。

 

「貴方はもしかして、アポr「隙あり!」

 

 エレンが冷気を纏いながら地面に武器を突き立てると巨大な氷山がその場に生まれました。

 

「アポレイア様!!」

 

 呼びかけは虚しくエレンが私の隣まで下がり武器を再度構える頃には全てが静寂に包まれました。

 

「ボス、動き止めましたよ」

「エレン、貴女はっ! ……はあ、相手は救出対象、もう少し傷つけないように加減してください。今後の訓練メニューに加えときますよ」

「……ごめん。途中意味わかんないくらい暴れちゃった」

「サメのシリオンである貴女にはこの場はある意味毒でした。素早く指示出せなかったのは私の落ち度です。でも、先程私を守ってくださりましたね。ありがとうございます」

 

 エレンに対し小言と感謝を述べ軽く頭を下げるとエレンは照れているのでしょう。そっぽを向きサメの尾が左右に揺れていました。

 音を立て氷山が解凍されていくと私達は警戒しつつ中心地へ向かいました。

 

「え、マジ?」

 

 エレンが完全に解凍された跡を見て思わず呟きました。私も同じ気持ちです。

 エーテルで疑似的に再現された氷は通常より早く解凍され霧散します。しかし、目の前には抉られた跡の地面だけでした。

 

「……撤退します。エレンは他に人影が居ないかの確認と警戒をお願いします」

「わかった」

 

 私は彼が最初に佇んでいた窪みまで歩きその周辺を観察しました。

 周りは砕けたアスファルト、破損した自動車、ビニール袋などのよく見られる物の他に薬莢、銃器、砕けたナイフ……人の指や足。あまりにも悲惨な現場に思わず嫌悪感が込み上がりました。

 

『ボス、こっちに負傷者いた。今着いたリナが治療してるけど……』

 

 周囲を確認させたエレンからの通信は思わぬ連絡が来ましたが、どうも歯切れが悪く言い淀んでいます。

 

『あ〜、説明ムズいからこっちに向かって欲しい』

「分かりました」

 

 場所の詳細を聞き負傷者がいる場所へ向かうと、そこには重症の兵士がいました。片手片足を失い、フルフェイスヘルムは窪んでいて取り外すのが難しい状態でした。兵士は昏睡しており、リナは欠けた四肢に入念な止血処置を施し治療をしていました。

 壁に寄りかかっているエレンに何が起こったか順を追って聞いたところ、見つけた時既に兵士はかなりの恐慌状態で叫び傷が広がるのも構わず暴れた模様。抑えようにも下手な抑え方であれば余計な出血を誘発し失血死になりかねない所に少女を治安官に届け戻ってきたリナと合流。救急キットを持ってきた彼女に任せ麻酔を投与し今に至るとのことでした。

 

「なるほど。重症者もいますし今よりこのホロウから脱出しましょう。依頼主への報告は私の方で行います。エレンとリナはホロウから出た後解散してください。これ以上結果は出ないでしょうし明日に響きます」

「わかりましたわ」

「りょうーかい」

 

 即席の担架を作った後、負傷者の運搬を二人に任せた私は運搬上のルート確保と斥候等を請け負いました。

 ホロウから脱出し、重傷者は【ヴィクトリア家政】が頼る医療施設へ搬送。現地解散したあと、私は一人で【ヴィクトリア家政】の拠点へ戻り今回起こった出来事を依頼主へ報告しました。

 今回の依頼は以前何度か依頼を請け負ったこともあり常連の方でした。子煩悩なこともあり姪へのプレゼントやサプライズの相談に乗っていましたが、今回その姪の少女が行方不明となって急ぎ私達に依頼したことが今の流れとなります。

 依頼主はずっと待っていたのか、報告はすぐに受理され感謝の言葉を頂きながらいつも座っている上質な椅子に深く背中を預けました。

 自然と今日起こった濃密な出来事が回想されます。昼行った講習が過去の様に思え、その時出会った人物について、つい口に出してしまいました。

 

「アポレイア様……貴方は一体何者なのでしょう」

 

 誰かに問うでもなく私は一人、虚空に向けて呟き疑念を抱くばかりでした。




ようやく話が進みました。
己の稚拙さが少々憎く感じます…。

ちなみに今回ライカンさん視点で進めましたが、次は主人公視点で進めていきますね。
まだ、1日が終わらない…。

お気に入り登録して下さった方、
評価して下さった方、
このような拙い文でも一読して下さった方々に感謝を!

ちなみに瞬光様は迎えれました!

モチーフ武器?






次回をお楽しみに!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。