とりあえず生存として投げますね。
所で、久々にゼンゼロ開いたら知らない子が増え過ぎて過去も関わらなければ大丈夫と信じたいけど、
大丈夫だよね?
ね;
遠くで何が聞こえる──。
何処かで聞いた懐かしい音だ──。
ああ、そうか──。
完全に黒い景色が輪郭を宿しぼやけていた形が浮き上がる。
それは、地獄。
彼にとって生涯忘れてはならない/忘れてしまいたい記憶。
彼が己を自覚した時、そこは人気のない路地だった。見渡す限り人も出歩かず、何人か壁や隅っこで俯いていた。
呆然としていると、頭痛の様な刺激が頭を叩き割ろうとしていた。
想起される過去、自分を、己を、俺を思い出す。
「あ、あぁ、ああぁあぁぁあぁあああ”あ”あ”あ”あ”!!!!!」
つまらない人生、裏切られた過去、人を信用出来ず、人との信頼を壊した。
見える人の顔が恐怖させた。
侮蔑、拒絶、憎悪、否定、恨み。
全てが俺に向けられ刃物で刺すように俺を射抜くようだった。
それから無我夢中で走った。
どこに行き着くでもなく、ただ単に頭を空っぽにしていたかった。
己を掻き毟りたくなる衝動を抑え走る。
岩に頭を叩き付けたくなる衝動を抑え走る。
辿り着いたのはゴミ溜めの様な裏路地の一角だ。
色んなものにぶつかったのだろう、全身を痛みと寒気が襲い全身を這う異物感を払う余力もなかった。
俺は生き返ったのだ。
俺は、生き返らせられたのだ。
誰かわからない存在に、第二の生を押し付けられたのだ。
これほど苦痛な地獄はない。
絶望に暮れ、暗い場所で死を待つ。
1時間か、3時間か、1日か、3日か、明暗を繰り替えす世界を傍観し干からびる己の姿に幸福を感じた時だ。
光が、差し込んできた。
『おじさん、大丈夫?』
目を覚ました。
鼻を衝く痛み。
思わず咳き込むと鼻の奥までチューブが刺さってることに気づいた。
「ごほっ、がはっ、うええええ……」
込み上がる吐き気に咳き込みながら包帯でぐるぐる巻きだった手を使い人工呼吸器のチューブを剥がし一息つく、辺りを見渡したらとそこは病院の様だった。
すると扉がスライドし、女性が入ってくる。
「………え?」
朱いメッシュの入った美人だったが、自分を見るなり硬直した。
「か、看護婦さん!看護婦さん!?」
慌てた彼女はそのまま廊下に出ると看護婦と医者を連れてやってきた。
「これは、気分は大丈夫かね? 目に異常は? 耳は? 反応できるかい?」
「あ、はい」
「奇跡だ!もうだめかと思いきやこれほどまでに快復するとは!これは医学がひっくり返るぞ!」
興奮気味の医者は看護婦を連れて出ていくと女性だけが残った。
「あの…」
「すいません、同僚から大ケガしていたと聞き応急処置のあとこちらの病院に運びました。私は治安官の朱鳶と言います」
「ど、どうも」
穏やかな目をして自分を見た朱鳶だが、その目が鋭くなると雰囲気も張り詰めた物になる。
「貴方は大ケガ負った状態でバレエツインズにて見つかりました。一体何があったのか私達から質問したいのですが、よろしいですか」
「え、いや、あの」
「貴方の持ち物からも貴方自身を証明するものがありませんでしたので確認したいのです。失礼ですが、お名前と住所を聞いても?」
「…アポレイア」
「アポレイアさんですね」
几帳面にメモを記録する朱鳶、その手が止まるとメモから目を離し聞きにくそうに尋ねた。
「……もしかしてですが、貴方はアルゴスの「それ以上はっ!」
アポレイアはかすれた声で叫んだ。
触れたくない、触れてほしくない場所に至る前に声で遮った。
「……それ以上は…何も、言わないで、くれ」
胸を抑える、息が詰まり、心電図が異常な数値を訴えた。
言葉を止めた朱鳶は息をして粗い呼吸を繰り返すアポレイアから視線を俯かせた。
呼吸が静まり心電図が一定の電子音を鳴らすと朱鳶は静かに口を開く。
「………ごめんんさい、不躾な質問でしたね。では、こちら、貴方の所持品はどれも傷だらけでしたが、こちらは傷も無かったのでお返しします」
そうして渡されたのは最後に見ていた写真、今は共生ホロウ「アルゴス」という名に変わってしまったかつての街の風景が残る唯一の写真。
朱鳶は救護ベッドの横にある机にその写真を置いた。
「また、時間を見て来ますね」
そう言うと朱鳶は立ち去り静寂な時間が始まった。
恐らく朱鳶と名乗った彼女はこの写真を見てさっきの質問をしたのだろう、あの街にいた俺と隣で笑顔な女の子と治安官のいた集合写真。
「……これ以上ここにいるのは、まずいよな」
手の包帯を解き、写真を持ったアポレイアは体に張り付いたセンサーを外す。
心電計が高い音の警報を鳴らす。
アポレイアは右手の包帯の下に赤く光る結晶から異能を開放した。
「朱鳶よ、その者がアルゴスの前の街にいた元住人というのは本当であるか?」
「はい。本人からは聞けませんでしたが、持ち物の写真から恐らく中心地付近だったかと」
「そうか」
病院の廊下を一組の女性が歩いていた。
一人は先程アポレイアと話ししていた女性「朱鳶」、そして彼女より背丈が低く古風な言い回しをする少女「青衣」。
二人の歩みはどこか重く引きずる様なものだった。
「朱鳶、その男が持っていた写真についてだが」
「さすがに、本人へ返却しました。念の為にコピーは取りましたが…」
「本当にそこへ写っていたのだな、
朱鳶の歩みが止まる、立ち止まった朱鳶の気配に足を止める青衣。
「件の男から聞きたかったのだろう。かつてお主を導き教育担当だった彼女について」
「……公私混同になります。私個人の我儘に病人である彼に辛い思いをさせるのは…」
唇を噛み何かを堪える表情の朱鳶。
その心情を察した青衣は何も言えなかった。
「事情聴取の上での雑談だ。私としてもかつての同僚の行方は気になる」
「ですが……あれ?」
朱鳶の視線が慌ただしく移動する看護婦と医者に止まる。
「あ、治安官さん、ちょうど良かった!」
汗だらけの医者がただならぬ様子で駆け寄る。
「どうかしましたか?」
「か、患者が、患者が消えたんだ!」
二人の顔に緊張が走った。
「あ、ちょっと、走らないように!」
医者の警告を無視し病室へ駆け込んだ二人、そこには窓を全開にした無人の部屋。
朱鳶はベッドに近づき確認する。
温もりは残っていた、そして包帯を捨てた跡から自分の意志で脱走したと判断。
青衣も視覚情報を通してサンサーを起動、痕跡を推察しても朱鳶と同じ結論に至った。
「患者は窓からの逃亡、ですね」
「うむ。しかし、ここは3階。外に人がいるにも気づかれずに飛び降りるなど出来るものだろうか」
「分かりません……おや?」
朱鳶の足が何かを蹴った感触、それを青衣が拾う。
「何じゃこれは、エーテル結晶にしては血生臭い…」
「先輩?なんでそれがエーテル結晶だと?」
「む?朱鳶よ、お主感じぬのか?これは極めて高純度に濃縮されたエーテル結晶だぞ。血と混じってるがな」
「まさか…」
憶測を組み立てる朱鳶の元へ着信が入った。
「はい、こちら朱鳶」
『朱鳶治安官、こちらルミナス定期巡回班です!先程高エーテル反応がありまして、恐らくどこかでエーテル燃料が流出したかと。現在警報を出していた所です!そちらから近いので現地の治安官と協力して住民の避難誘導をお願いします!』
「わかりました。急ぎ現地へ向かいます」
「朱鳶、もしや…」
「恐らく彼、アポレイア君の仕業かと」
「聞くことが増えてしまったな」
「他人事みたいに言わないでください!」
今回もこのような拙い小説に
お気に入り登録して下さった方、
評価して下さった方、
このような拙い文でも一読して下さった方々に感謝を!
スタレに実装されたお2人はやっぱ人気なんですね
……持ってないよぉ