転生したらスライムの敵だった件   作:一宮 千歳

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今話は主人公視点がありません。


怨恨

さて、今まさに魔国連邦(テンペスト)を攻めんとしている帝国の中に、ガドラという男がいる。

帝国の重鎮、大魔法使い、輪廻転生を操るもの。

多くの言葉をもって語られる彼の本性は、復讐者。

彼の目的はルミナス教の駆逐と、"七曜の老師"の抹殺。

友をルミナス教と"七曜の老師"によって失ったガドラは、その生を全て復讐に費やしていた。

 

そのガドラは、暴風竜ヴェルドラは危険視していたが、魔王リムルは対策をとればなんとかなる相手と認識していた。

それに、ガドラの目的は最終的には魔王ルミナスの撃破。新参者の魔王何するものぞ、という気概を持っていた。

その上で、ユウキ=カグラザカからもたらされた"ダンジョン"の情報。"前哨戦(対魔国連邦)"で万全の勝利を迎えるため、ユウキが選抜された"異世界人"三人、谷村新司(シンジ=タニムラ)、マーク=ローレン、シン=リュウセイを同行者に迎え、情報収集を行うべく、ガドラは動き出した。

 

本来(原作)とは少々異なる運命を辿ることは知らず。

 

 

転移にて魔国連邦(テンペスト)近郊に現れたガドラと一行。

"異世界人"たちはすぐさまダンジョンの調査へ。

十日程の時を置いてガドラは単身、かつての弟子が居る旧ファルムス王国、現ファルメナス王国に入国した。

ファルメナスの実力者に己の力を示し、情報収集の場を得たガドラは、しかし自らの弟子ラーゼンが語る言葉に驚愕した。

 

シルトロッゾ王国(ロッゾ一族)が、膝を折っただと……!?」

「ええ。正確なところはわかりませんが、魔国連邦(テンペスト)が『開国祭』を行った時分には随分と近づいておりました」

 

さらには、ファルムス王国軍がどのように全滅したかの真実を知らされる。

 

「魔王となる前の魔王リムルが、単独で……? しかも原初の黒!? 原初の悪魔を召喚したというのか!?」

「師よ、間違いございません。我が国の騎士であったものが、召喚直後の悪魔を原初の黒と述べ、それを否定せず肯定いたしました」

 

ガドラは魔王リムルの真の実力を知る。帝国はこれに勝てぬと結論づけた。

だが、それと同等の危険性に思い至った。

一兵卒が原初の黒を知る? 不自然だ。

 

そしてガドラは直感した。その騎士だ(・・・・・)と。

ラーゼンに掴みかかる。今はなんとしてもそいつの情報が欲しい。

 

「名は!? 行方は!?」

「師よ! 師よ! 落ち着いてください! 名は分かりません! 死体は悪魔に捧げられ残っていないのです! その中からただ一人の生き残りを特定することなど不可能!」

 

ガドラは内心、これが落ち着いてなどいられるか! と強く思った。

 

「あのロッゾ一族(強欲)が黙って経済戦で敗北するわけがなかろう! 知るはずのないことを知るその兵だ! そいつが鍵だ!」

「鍵!? 一騎士ですよ!?」

一騎士が原初の悪魔と戦って(・・・・・・・・・・・・・)

生還できるはずがなかろう(・・・・・・・・・・・・)!?」

アレは精鋭でした(・・・・・・・・)!」

 

違和感。

それは確実に我が弟子ラーゼンであれば口に出し得ない言葉。

ガドラは脱力し、諦観した。ラーゼンが、近くにいるファルメナスの人間が、呆然とする。

 

「おぬし、精神操作を受けておるな。……解呪もできそうにないわ」

「……は?」

 

捜査魔法をかけてみれば精神操作の痕跡があり、しかし自力での解除は不可能と悟れた。

かの騎士はもう追えない。追えぬように細工がされているのだ。それもわざと目立つ形で。

追うな、という警告だろう。

ガドラは推測する。ロッゾ一族だろうか、ルミナス教だろうか。遥か格上の力量の術者による精神操作、それにより隠されている騎士。

追いたいが、簡単に追えるものではないとスッパリ諦めた。

 

なお、この後ディアブロが悪魔公(デーモンロード)であるとか、原初の白(ブラン)が受肉してるとかの情報にめちゃくちゃ驚愕(原作再現)させられた。

 

 

そして。

"異世界人"三人によるダンジョン攻略を観戦していた"ダンジョン"司令室に、ラーゼンからディアブロを通して、ガドラという男の来訪の報があった。

 

「個人的にどうしても相談したいことがあるらしく……」

「相談かあ……そのままお帰りいただいていいんじゃないか? スパイっぽいぞ?」

 

ディアブロとリムルはどことなくどうでも良さそうだったが、先ほど見事に侵入者を打ち破り、出世を遂げたアダルマンがもじもじとリムルに申し出る。

 

「……あの、その、ガドラという男、私の友なのでは、と」

「友ぉ?」

 

リムルがアダルマンに詳しい話を聞けば、たしかにアダルマンの友本人だろうと判断できた。

そしてアダルマンが敵ではないと言うのであれば、それを信じていいのではないかという空気になった。

 

そうしてガドラとリムルの会談が用意された。

 

 

名乗りからの平伏×4、からのアメリカンコーヒーでの異世界人バレと、細々(こまごま)としたイベントはあったものの。主題であるガドラの訴えたいことに話は移った。

 

「実はワシ、西方聖教会に恨みがありましてな」

 

語られるガドラの過去。アダルマンを殺された恨み、帝国への亡命、それを踏まえてのヴェルドラとの戦い、ガドラ自体は西に目を向けさせたがジュラ大森林の侵攻は避けたいと主張していたこと、本来は西方に広がるルミナス教を潰すことで西側の弱体化を狙っていたこと、など。

 

「結局アダルマンが無事……死霊の王ではありますが……存在している、こんなに嬉しいことはありません。しかし」

「しかし?」

 

不穏な話の流れを感じ取ったリムルが次を促す。

 

「魔王ルミナスは、詫びと称して友にスキルを与えたと聞きます。これはまあ、いいでしょう。友もそこまで気にしておらん様子。新たな神を得ることが出来たとも言っており、魔王ルミナスのことは水に流しましょう。しかし我が友を嵌めた"七曜の老師"、奴らは罪を償わず、ただのうのうと生きている。ならばやつらは、やつらだけはこの手で縊り殺さねばならぬと思っておるのです……」

「なるほど……恨み、恨みか……」

 

それ(仇への恨み)は、リムルにも他人事ではなかったものの。

 

「それで? 別に大事にならないなら個人的な復讐は好きにしていいと思うけど? まあルミナスに面倒をかけることになるかもしれないけど……」

「"七曜の老師"の筆頭、日曜師は名をグランと申しましてな。ワシはグランベル=ロッゾと同一人物だと思うとります。故に、リムル陛下に許可をとるべきかと思いましてな」

 

既に付き合いのある人間が別の誰かの強い恨みを買っているという事例、それはリムル=テンペストにとって異世界では初めての出来事であった。




なんでガドラを一話以上使って描写してるかって原作とめっちゃズレてるので……

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