目撃者を残す場合においては一瞬で阿鼻叫喚の地獄絵図を作れるのだが、そこから鎮圧も早い。
なので。
なんとなく悲鳴が聞こえたかなというタイミングではほぼ手遅れで。
それが静まった時に「あっ
つまり、原初の黒の接近は避けられなかった。
わー。男のはずなのにすっごい美人ー。
「クフフフフ。あなたは私を楽しませてくれるのですか?」
よくみれば原初の黒に付き従うシモベは、肉塊を大事そうに抱えている。ああ、あれラー
あああああああもうやだああああああああ!
前兆とかくれよ! なんもないとこからスッと出てくんなよ! 心折れそうだよ!
しかし悪魔三体から心折れそうな威圧感を覚えるかと思ったらそうでもない、こりゃ精神攻撃無効の賜物かな。
普通に会話はできそうで安心した。
「……
「……ほう」
あっやべ初見で敵の格を見破る強者プレイしてしまった。でもやりたかったんだもん! 許して!
「貴殿に、私では名を語ることが許されない、貴殿の偉大なる主人に言伝を頼みたい」
「聞きましょう」
コイツリムルに尊敬表現使われてニッコリしてる。チョロブロさんだ。尊いね。おれは
「『この世界の理想の王として、同郷人として敬意を表する』、と」
「……リムル様と同郷、ですか」
「ああ。当然、同格ではなく、こちらからは仰ぎ見るべき存在だよ」
いやほんとにユニークがバカほど強いし早々に名付け貰うとかの爆運もあるけど、理想を実現するためになんでもやる、と言う点では
37歳……37歳?!
前世年齢だけ比較したら一個下やんけ。うそだろ。初出の時は俺が年下だったのに……時の流れ残酷すぎる……。
「……わかりました。特別に伝えましょう。しかし」
「ああ。我が身のユニークスキルがどうにも曲者でね、如何しても、何をしても、誰からも、敵と見られる因果になっている」
「あなたは私の、ひいてはリムル様の敵であると?」
「心情的にはそうではないのだがね」
「言葉と殺意が合っていません」
俺めがけて飛んできたのは蹴り。
こいつ
でも
数拍遅れて蹴りの衝撃がやってくる。
吹き飛ばされて痛い痛い痛い痛い!
思考加速、思考できるだけで体が早く動くわけではないから高速戦闘になるとゆーっくり相手の攻撃見た後ほぼなすすべなく痛みが遅れてやってくるだけになる、キツい。でも思考加速がないと間に合わない判断だってある。痛みが一瞬で終わるけど死ぬよりは痛みが長く続くけど死なない方がマシ!
「だからユニークのせいだっつってんだろ……!」
あっ口調荒れる荒れる。
そして
『
●
きっくぱんちひじうちひざげり。
それしかしてこないんだけどこちらは守りを固めるしかできません。なんだこのスペック差。ガードできてるだけマシか。あれそれならこの体大概スペック高くね? 腐っても中世風ファンタジー世界で馬与えられるぐらいの精鋭か。騎兵はエリート、みんな知ってるね。そのせいでこの手でシオン殺すハメになったんだよそうでなきゃまだ生きる目あったのによ。
あと無限に続くかのように思えた一方的にサンドバッグにされる経験のおかげで耐久系スキルを得て防御能力の絶対値は上がったみたいですけど、世界の言葉さん無差別に告知するもんだから原初の黒にも知られて攻撃の質が上がってしまい受けるダメージは相対的にほぼ変わりがない。
さっきからサッカーボールみたいにぽこぽこ吹っ飛ばされてる。ジョインジョイン原初の黒ゥ。よく生きてるなあ俺。でもあとちょっと殴られたら死にそうだぜ俺。意識朦朧としてきた。
ふと攻撃が止まる。俺はべちゃりと地面に落ちる。なんでさ。戦闘中会話パート開始か?
「あなたはなぜ攻撃してこないのですか?」
戦闘中会話パートだったわ。ここで交渉クリティカル出さないと死ぬな。いやでも喋るのめちゃきついんだけど。
「勝てない……からだ。貴殿は物理攻撃……無効あたりを持っているだろう。そして我が身は……げほっ、武器に魔法を纏わせるなどという曲芸は……できない。単純物理攻撃しか攻撃手段がない」
有効打がない。しかも攻撃姿勢は防御姿勢より隙が大きい。なら小学生でもわかるよね、攻撃する意味がないんだよ。なお俺の守りに隙がないとは言ってない。俺の体はボロボロだ!
「勝てないのに挑んできますか」
「馬鹿野郎お前から蹴りかかってきたろうが!」
怒るぞ。怒っても手は出せないが。
そんなそういえばそうでしたみたいな顔されてもなー。
「おや? ……そういえばそうでしたね」
「……まあ、いい。今は勝てない。……今はな。いずれ勝ち目が出たら……また挑ませてもらうさ」
「ほう」
警戒はしたまま。言いたいこと、言うべきことを言わねば。ペラ回すしか今生きる道はねえ。
喋るのがだいぶ楽になってきた。あれ、なんか回復早くない? 気のせいか、体めちゃくちゃ痛えもんな、アドレナリン出てるだけだわ。
「ああ……それと。貴殿の偉大なる主人の同胞を、私が殺した。しかも子を庇うところをだ。これは許されざる行いだ」
「自覚がありますか」
「殺して……それから自覚した」
「救いがありませんね」
「だが貴殿もそれまでの人生観……悪魔生観か? が全く変わる、という出来事は経験済みだろう」
具体的にはシズさん周りからのリムル発見で。
たしかこいつ、書籍版でシズさんとの絡みが盛られてるんだよな?
俺の言葉を聞いた原初の黒は訝しげな顔をする。
「……あなたは何を、どこまで知っていますか?」
「……辿る可能性のある未来を一つ。貴殿の偉大なる主人が、基軸世界に平和をもたらすまで」
原初の黒がめちゃくちゃ変な顔をする。いやまあ、そう言う顔するのもわかるよ。
「……それを知っていて、リムル様の敵に?」
「順序が逆だ。敵であることが確定して、その後未来を知った……貴殿も同じ立場になることを想像してみるか?」
原初の黒が作画崩壊した。
おもろ。これSNSで拡散されるやつだ。
「悪夢ではないですか」
「そうだな」
本当にそう。マジでどうなってんの? なんか悪いことした?
「……決めました。あなたは今は生かしましょう」
「ほう、なぜ」
本気か? 信じていいんだな?
「集団が団結するには共通の敵がいることが望ましい。……あなたが敵だというのであれば、存分に苦しんでいただきます。そのまま悪夢を見続けるといい」
「
いや
うおおおお、詰みからの生存編……完……!?
1.生存が目的のため全く反撃せず、時間経過で原初の黒に「なんか変だな」と思われたこと
2.原初の黒がリムル様大好きだけど魔国連邦に対する仲間意識がまだないこと
3.原初の黒がリムル様大好きだけど根本的にバトルジャンキー気質なのでまた強くなって挑むね! と言われたらちょっと興味が湧いてきちゃったこと
4.原初の黒からしても目の前の相手が今リムル様大好きなのは十分伝わったこと
5.シモベ2匹がいないと"反魂の秘術"が成功しないことを知らされたこと
6.リムルの命令が「1人(ラーゼン)を生かして捉えて捕まえろ」であったこと(主人公は偶然リムル・ランガの探知範囲外だった)
7.総合的に原初の黒は主人公を敵認定しつつも本気になる必要がなく、ずっと舐めプをしていたこと
以上が生存に繋がった要素です(将来にマイナスがないとは言ってない)。6、7は強引かな……強引かも……
また、この時点で「話が通じて物理的に接触可能」な相手がそもそも原初の黒しかいない(他はリムル含め全員完全にブチ切れてる)ので短期的な生存ルートはこれの類似ルートしかありません。 ないよね?
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