「実はね、この世界のバランスが悪くなってることに対して、ある程度の解決策として考えてる方法はあるのよ」
「本当か!? 聞かせてくれ!」
マリアベルの提案に飛びつくリムル。
さっきまでマジで困り果ててたからな、しょうがない。
「武力と経済力で
そして表面的に
前世でいう東西対立、冷戦状態ね」
「加えていうと、この世界が『転生したらスライムだった件』という作品ベースで動いているとすると、ミカエルとフェルドウェイは絶対に
だから、連中を倒すまではそのままの
あとそれをリムルに喋ってる時点で完全にマッチポンプをやるつもりでいる」
「……ふーん……?」
ちょっと悪い顔してるなリムル。
まあマリアベルも結構悪い顔してるが。
俺が話の続きを促すと、マリアベルが続ける。
「知っていると思うけど、お爺様……グランベル=ロッゾと魔王ルミナス様はマッチポンプをやっていたわ。
それを私たち、私とソウゴ、そしてサトルで再度演じるのよ。
たとえば
サトル、ラミリス様、ミリム様、ディーノ様がそちら。
こういう感じで裏につく
「レオンとルミナスはクロエとヒナタがこっち寄りな以上難しくないか? ギィもラミリスとミリムと仲良いし。ダグリュールとルミナスは仲悪いらしいし。ていうかその分け方、戦力差が相当ついてないか?」
リムルがそう返してくる。
俺もそう思う(ただ、ミリム一人でほか全員敵に回してもお釣りが来ると思う)けど、マリアベル的にはそもそも意味が違うと思われる。
「あくまで庶民向けの、対立を演出するための名義貸しをお願いするのよ。
今の例は支配領域の東西で分けただけで、実際は誰がどちらでもいいの。
なんなら実態は変装してみんなテンペストに住んでても良いわ」
「極端だ……」
「それで実際は経済発展で覇を競う。
こっちは本気でやるからそっちも本気でやっていいのよ。
基本的にはこの世界の人の人生をより楽しくするための経済発展、が主題になるのよ」
マリアベル憑依二次でそのあたり触れてたな。
「前世の専門が
「お褒めに預かり光栄なのよ」
「俺それとやり合わなきゃいけないの……?」
リムルが戦々恐々といった感じで怯えていると、
マリアベルが頷く。そうですがなにか。シエルさんおるやろ。
「あとこれはサトルに絶対にやってもらわないと困る、というのがあるのだけど」
オッ内政干渉パートだ。内心ワクワクしながら聞く。
「ナ、ナンデスカ」
「魔物・魔人でやってる各地の産業スパイの類を一度全部撤退させなさい。
場合によっては技術を盗られた自覚もないわね。
あと衛星撮影も測量・地図作成だけにして、産業スパイ行為には使わないで。
不健全な一極化を招くわ」
リムルそんなことやってんの〜?(すっとぼけ)
まあ衛星は俺も実用化間近だから気をつけてねってマリアベルに言ったんだけど。
「え、他の国のいいものをウチでよりよく改善しようと思って……」
「研究をどれだけ頑張っても
人材だって一方的に流出するわ、やめなさい?」
「ハイ」
ゼネコンだっけ三上悟。営業か施工管理のみの非研究職だとその辺の認識甘くなるかも知んねえなたしかに。産業スパイと研究費用ケチる連中は滅さないといけないよ。
というか、リムルの場合単純に「仲間がやってくれるっていうならやろう」かもしれない。
弱肉強食、できるならやる、という価値観なら絶対やんなきゃいけないレベルだもんな。そりゃやるわ。倫理観が違う。
「そのうち……今の戦乱の後かしら。
産業スパイを防ぐための不正競争防止法を評議会の議題に上げるからその時には絶対撤退させておいて。
その時に証拠が残ってたら容赦なく槍玉に上げるから。面倒ごとは嫌でしょ?」
「ハイ、ワカリマシタ」
リムルがカタコト返事になってる。おもろ。
見た目幼女に内政干渉される見た目JK国家元首。
なんかの隠語かな? 単純に事実なんだけど。
でまあ、スパイの脅威がなくなった上で、国を産業的にどういう方向に発展させてくか、なんだよな。
一応その辺の話はマリアベルと既にしている。
「私とソウゴの国では本格的にエンターテインメントを発展させていくつもりではあるわ。それ方面でパテントも取る。
そちらは事業を被せてきてもいいし、回避してもいい。
あと、過去には文明発展させすぎると天使による文明リセットがあったと聞いてるけど、サトルが今相手してる敵を倒せば天使は出てこなくなって技術抑制の必要はなくなるのよね?」
「多分、一応?」
いやちょっと待て。
これから流通させたいエンターテインメントの話は
そんなもん建国する話はなかっただろ。
「?」
「シルトロッゾじゃダメなのか?」
「別にいいのよ」
「じゃあシルトロッゾを繁栄させる、で」
リムルがなんか変な顔してる。
なんだよ、と言う間もなくマリアベルが次の言葉を放つ。
「あと。軍事方面での利用を第一にした技術開発、例えば武器開発とか、そういうのは原則しないから、そちらもしないで」
「まあいいけど、そりゃどうして」
リムルに同意だ。戦争関連が一番技術が発展するだろうに。
前世の飛行機とかそうでしょ。
「ソウゴみたいに戦争、紛争由来で恨まれる人をもう出したくないのよ」
戦争をコントロールして大儲けしてたんじゃなかったっけマリアベルの前世って。
「そんなことやってたのか!?」
「前世は前世! 今世は今世!」
まあ、そういわれたら納得するしかないけど、変な顔をしてしまった。
リムルも変な顔してた。
「本当に純粋な経済力で争おうってのはわかったよ。本気でやっていいんだな?」
「言っておくけどサトルのスキルで前世の
「ウソだろ!?」
「それを認めたらサトル一人で生産ライン全部やってそっちの勝ちじゃない。
今日以降の直接介入は禁止!
アイデア出しはいいのよ。
でもそこから先は配下に開発させた技術だけ、配下の活動だけで勝負するのよ!」
「ま、まあ俺のスキル強すぎるし、そのほうがフェアか……」
小声でリムルが「あれ? でもそれ勝てるのか俺?」とか言ってる。 多分勝てないんじゃないカナー。
ロッゾの暗躍ではマリアベルが案出ししてるの、
まあマリアベルに好き勝手ルールを決めさせたことを悔いるが良い。
戦争というのは戦う前から勝負は決まっているものだよははは。
「ん? 待てよ、マリアベルとソウゴは寿命があるんじゃないか?」
これはリムル。しかしその心配はない。
「
もう寝なくて飲まず食わずでもいいくらい。寝るしご飯も食べるけど。
これが聖人化、ってやつだと思うのよ。
ソウゴもたぶん、
せやね。寝ないでいいとかご飯食べなくていいってのも違和感あるからこれまで通りの生活してるけど。
「で、
「あー、そうだよなあ。長命種が一生上層部に居座れる社会システムだと、国内外どこに対しても影響力が大きくなりすぎる。
適当なところで現役を退いて後継に任せてもらうのが一番いいと思ってる」
あ、リムルもそう思ってた感じかこれ。
「幹部だけじゃなくてリムルも含むぞ。
自分が賢い、いくらでもやれる、という自信がないなら適当なところで現役を退いて後継に任せるのが一番いい。
ドワルゴンとサリオンは自分に自信があって続いてる方の君主制だから、見習うのもいいけど向いてなければ無理する必要がない。
あとリムルに聞きたいのは、国の実務を一生死ねずにずっとやりたいの? という話」
「俺も謹んで隠居させていただきます!」
《私は
そう、一応前例があるんだから別に長命種がトップにいてもいいとは思うんだけど、独裁できちゃう君主制、リムルは長命種、っていう
その上でシエルさんに判断投げちゃう、だとやはりシエルさんの心変わりが怖いわけで、適当に引退がやっぱりお前によし周りによしだよ。
何より俺が一番気にしてるのは「実行犯は許さないが首謀者は許す」方針だ。
これを考えるとやはりリムルは法とかではなく自らの内側、短期的な感情を軸にして動いてしまう面があり、外から見た一貫性を期待できない、と言う評価になる。まあ今後変わる可能性はあるんだが、いつ? という話。
変わりつつはあるかもしれんけどね、俺許してくれたし。
あと俺のそのあたりの懸念を抜きにしても、一生(死なない)仕事漬けとかよっぽど仕事好きじゃないと無理だよ。
知ってるぜ、俺は日本人のほとんどは今しかできない趣味か、仕事のない老後のために生きてるって……! いいすぎか。
「そうだな、もしそれでも政治が気になるとかなら、水戸のご老公みたいな形で裏から世間を見るとかでよくないか?
まあ内政干渉になるから、それやっていいのは
「あー、それはいいな……」
引退後、そーゆールートもあるよ、という話だ。擬態先にシズさんベースのをずっと使ってるけど、今から自作ゴーレムとかに擬態してもいいんじゃないか。擬態解除するか、シズさんベースに再擬態すれば本人証明もできるし、と伝えるとリムルは俄然乗り気になってる。
まあ例の番組俺のいた世界だと放映終了してるけど、って言うとリムルものすごいびっくりした。
「で、サトル。ソウゴの
「……それは持ち帰らせてくれ。 一応、俺はもう怒ってない」
ヨシ、これは完全勝利Sやりました。流石に気分が高揚します。
ボーキサイトこの世界にあんのかな? アルミボトルは作って損ないと思うから欲しいんだけど。
「経済戦、国のあり方についてはこんなとこね。詳細はまた後で詰めるのよ」
「『については?』 まだなんかあんのか?」
マリアベルがまとめに入ったが、枝葉を突っ込む。まだなんかあんの?
「決まってるでしょ、武力よ。
まずは私たち二人で、リムル=テンペスト単独には十分対抗可能。
そう見せておかないと、まずサトルの国の弱肉強食を是とする住民が納得しないのよ?」
「……それはそうかも」
マリアベルさーん!? リムルさーん!?
あかんこの人らかなり好戦的だ!
誰だこの人たち育てたの! グランベルとハクロウか! 納得!
●
小部屋を出て、ダンジョン内で俺とマリアベルvsリムルで模擬戦をすることになった。
お互い無限復活の腕輪をつけた、平和な殺し合いだ。
ところで、気になってることが一つある。
「なあマリアベル。なんでリムルの事
「そのこと? 『魔王リムル』は強大な仮想敵だったのだけど、
「そうか。……でもなんかモヤモヤするんでリムル呼びしてくれるか?」
「……わかった。リムル陛下、で通すのよ」
いやマジでめちゃくちゃモヤモヤすんだよな。
リムルはリムルって感じだしシズさんの顔してるからサトル呼びがあまりにも馴染まないんだよ。
そのせいだと思う。
さて、準備が整ったら、戦闘だ。
死を気にしなくていいのは久々だからな、腕が鳴るぜ。
理論・理屈や制度の理解に穴があったり、流れに不自然さがあったら当然作者のせいで、マリアベルやリムル(シエルさん)の知性を描ききれなかったということです。
この回公開するのマジで胃が痛い。なんでこんな展開に手を出したんでしょうねこの作者……。
12:57 案の定ミスを指摘いただいたので改稿しました。
幹部引退あたりのセリフを一部ソウゴのセリフからリムルに変更。
評価、感想、お気に入り、ここすきお待ちしております。励みになります。
特にここすきはよく効きます。
本作で一番好きなキャラは?
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ソウゴ
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シオン
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ゴブエ(シオンが庇ったゴブリンの子)
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ディアブロ
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リムル
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マリアベル
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グランベル
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ユウキ
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ギィ
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レオン
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ルミナス
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ガドラ
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ラーゼン
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アダルマン
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ガゼル
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シエルさん