スキルの意思。
あっちから話を仕掛けてくるパターンをマリアベルの時に聞いた。
リムルのシエルさんは対話型がシンギュラった感じ。
で。たぶん『
リムルやリムル陣営に対して変に殺意や敵意のスイッチ入るんだもん。絶対なんかやってるだろ。
というわけなのだが、まずは対話を試みたい。
えー
《……その名前で呼ばれたら、出てこないわけにはいかないですね》
ちゃんと考えればおかしなとこがあった。
なら、意識はどこかに残っている可能性があり、それが「
俺の異世界転生時スキル枠(そんなもんあるのかは知らないが)はヤマスにいいように使われちゃった説ですね。
どうやらそれで当たりらしい。
オメー
で、ヤマスに本題。いやね、干渉してくるのをやめて欲しいんですワ。
《魔物・悪魔は殺せる時に殺すのが当然でしょう? 何か問題が?》
価値観合わね〜。
ある意味、
《では逆に、
それを言われると論破できなくなってしまうなー?
んじゃヤマスとしては基本的には魔物と和解する気はなくて、皆殺しにしたいってワケ?
《弱肉強食と言って憚らず、強者に命じられなければ弱者を迫害し続ける害獣どもを何故生かそうと?》
えーん、不利なレスバだ!
魔素溜まりから無限に湧いてくるから根絶は無理じゃないかな?
《それこそ「それでも」ですよ。終わらないかもしれないからやらない、よりも、終わるかもしれないからやる、の方が生産的でしょう? ま、種族ごと絶滅させるのは生産的とは言えないですが》
くすくすと笑われる。
あかんなあ、なんでこんな転スラ世界の外れ値みたいな危険人物に憑依してしまったんやろ。
魔物に家族を殺された悲しい過去とかなんもないよなヤマス?
《なぜ執拗に殺そうとするか、ですか。それはもちろん殺した方が益になるからですよ。リムル=テンペストと
それはほんまにそうなんよな……アレが暴君と化した時の備えは絶対に要るので。
ブルムンドみたいな信じて全振りできる国ばっかじゃないしなあ。
まあ、説得が功を奏したっぽいので多少は穏当な政治形態になってくれそうな気配はあるけど。
《まあ、今の
それは助かるんだけどさあ。それミカエル・フェルドウェイが片付いたらコトを起こすかもって宣言か?
やめちくり〜胃が痛む〜。
《ただ、貴方は自己保身を第一に考えているが、同時に人類の得になるような選択ができている。そこについては私よりも考えが回るようだ、と評価せざるを得ません。それを鑑みて、私はしばらく何もしないことにしてあげましょう。 では》
あーん。何もしないってのは本当っぽいが、話は終わりましたみたいな雰囲気出さないでくださいー! しばらくっていつまでだよ!
そもそも対話が成立してねえじゃねえか、言いたいことばっか言って……!
●
さて、その後話しかけても全く返事のないヤマスはひとまず宣言通り黙っててくれるっぽいので、マリアベルの方に問題が移る。
マリアベルは『
《もしもしマリアベルー? 今大丈夫?》
《どうしたの?》
手短に要件を伝える。スキルによる思考誘導の恐れはないか、過去の、転生前の自分と比べて何か不自然なところはないか、という確認。
返事は。
《そうねえ、確かに前の自分から考えると変わった、という点はあるのよ》
《本当か!?》
マジなら結構大ごとなんだが、マリアベルの反応は平静そのもの。初対面時のスキルの影響を指摘したら取り乱した様を見せた相手とはとても同一人物とは思えない。何だ? 何でそんなに落ち着いている?
《手段を選ぶようになったわ。
苛烈な手段はちょっと良くないんじゃないか、って思うようになったのよ。
恨みを買うのは怖くないけれど、恨みを買って万が一があったら困るもの》
それは、なんというか。
《……『強欲』系統とか、『
《ふふ、ソウゴのせいよ》
……は?
《だから、私を変えたのは貴方。責任とってくれるわよね、ずーっと?》
ものすごいデレじゃん。認識したらかおがあつい。
マリアベルってこういうキャラなんですか? 教えてくれ誰か。
俺このマリアベルしか知らんから判断できないの。
ヤマスも何も言ってくれない。笑ってる、というか爆笑してる気がするんだよなこいつも。
《あと、俺がスキルに体を乗っ取られたらどうする?》
《殺すわ》
わあ。
ちょっと気になってマリアベルに聞いたらこれだよ。
ちなみにその心は。
《外見が同じでも、それはもうソウゴじゃないし、
もともとその身体は『ヤマス』なのよね?
体に執着はないわ。私はソウゴの"欲"を信じたもの》
割り切りがすごくて何も言えねえ。
●
さて、そのマリアベルだが。
ソウゴとの通信が終わった後、リムルに対してソウゴに内緒で『思念伝達』による通信を行っている。
要件は、ミカエル・フェルドウェイ陣営が最初に襲ってきた地点への救援を行う旨の伝達。
「ま、十中八九、一番最初はレオン様のところなのよ。このあとレオン様にも通信するわ」
《……シエルさんもそう言ってるな。確かに『
「
ならば、妻として恩を返さないわけにはいかないわ」
戦いに赴かせたくないというグランベルとソウゴの思惑が一致して後方支援役になっているはずなのに、
ようやく絞り出した言葉は、ツッコミ。
《……まだ婚約もしてないんだよね?》
「この戦いが終わったら盛大に婚約発表の予定なのよ」
それってフラグじゃないかなあ、でもマリアベル、滅多な事で死にそうにないよなあ……と思う、リムルである。
《あ、それとさ》
「なあに? 私への願い事なら高いのよ?」
《う゛。……いや、ユウキの部下がさ、ミカエルに操られてるっぽいんだよね》
急な話の転換にマリアベルは興味を惹かれる。なぜこのタイミングでその話をするのか。
「……ふうん?」
《ユウキは死んじゃったみたいなんだけどさ、最後ユウキとは同盟関係にあったんだよ。だから》
「できれば助けて欲しいってこと? お優しいのね」
《……ダメ、かなあ?》
「ユウキ……ね。ちょっと
マリアベルは考える。リムルに恩を売る意味。その可能性。
メリットの方が大きいし、ここは要求に応えてやろうと判断した。
「いいわ、貸し一つにしといてあげるのよ。利息もつけてね」
《……ほんとに高くつきそうだあ……》
商談は成立した。これにより、世界はまた変わる。
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