転生したらスライムの敵だった件   作:一宮 千歳

40 / 42
同業他社に同情する

さて、マニカンの設立は喜ぶ人もいれば困る人もいる。

誰が困るかというと既存の金貸しだ。

彼ら、なんと平均的には金利を年50%だとかに設定しており、前世価値観で言うとひでえぼったくりをしていた。ひどいところだとひと月に二倍(年利1200%!)に設定しており、つまり基軸世界の金貸しというのはとんでもない暴利を貪っているのだ。これには今はリムルの元でクリーンな事業をしているミョルマイル君も含まれる。

そこに上限12%、下限0.5%なんてマニカンが現れたら。

そう、債務者は全員借り換えますね。

本来自分たちが貸した分で一生儲けられるはずだった金貸したちが用心棒を連れてマニカンにカチコミにくるが、ロッゾの雇った冒険者に返り討ちにされていく毎日が出来上がっている。

 

なんなら、警備だけでなく、ロッゾの名の下に高利貸しの魔の手にかかっている貧民を庇護して回る部隊も作った。

借り換えしないのはなんかしら意味があるに違いない、と思ったら、金貸し側が「ロッゾから借りたらタダじゃおかねえぞ」という通常契約の範囲を超えた脅しを行っていたのだ。聖者ヅラしてこれを討伐すれば、マニカンユーザーがまた増える。

 

そんで、金貸しが行なっていた、貴族への根回しもやる。

「融資しまっせー。金利は年0.5%でっせー。」

これで大体の貴族は転ぶ。腐敗してない貴族だってイチコロだ。だってテンペストが次々新機軸の技術や商品を吐き出しているのだ、周りに足りないのは方策ではなく金。借りた金を使って地元を整えてしまえば0.5%はすぐに回収できる。つまり、真っ当に仕事をしているだけなのに裏勢力からこちらに乗り換えてクリーンな政治(諸説あり)をしてくれるのだ。いやあ、わりがいいね。

 

で、ここで普通の慈善事業家がやる教育支援は行わない。

だって、学習されたらじゃあくさに気がつくもんね。

文字が読める、四則演算ができる。そこまでは教えてもいい。しかし、それ以上は教えない。複雑なことを教えるコストは高い。じゃあ、教えなくていいだろう、というのがマリアベルの言だ。

 

「いやあ、流石にひどくない?」

「教育を受けさせる権利・受ける権利は否定してないのよ。ただ商業的には支援は 必要ないとみなしているだけなの」

「ギィ怒んないかなあ」

「呼んだか」

 

うわでた。どこからともなくギィ=クリムゾンが現れた。《瞬間移動》かな?

 

「何しに来たんだよ」

「悪巧みの監視だよ」

「んー、金銭流通の独占は流石に目に余る?」

「いや、俺が問題だと思うのは飼い殺しだな。反乱される余地は作れ」

「ええ……めっちゃ難しい……」

 

しかしマリアベルはなんてことないように呟く。

 

「あら、簡単よ。ベルペイを普及させない土地を意図的に作って、そこに実物貨幣信奉者を押し込めばいいのよ」

「……ええ?」

「不満そのもののスポイルがダメなら、発想の転換。いくらでも不満に思わせればいいのよ。スラム街、みたいなものよ。ベルペイ導入に反発した領主や国王のいる土地は、独自の倫理で動く金貨地帯。そうなってもらうわ」

「それなら反乱の余地は残るだろうけど……いいのかなあ?」

「いいぜ」

 

いいんだ。

 

「お前らの管理社会、たぶんつまんねえからな。反乱を楽しみにしてるぜ?」

「ダチが厳しい」

「悪いことやってるダチには相応の態度で対峙しなきゃなあ?」

 

ギィが笑う。

 

「あら、反乱が起きるとすれば、ベルペイを導入しろ、と言う民の反乱、よくて民の移住よ?」

「そりゃあそうだろうな。だが、反乱を鎮圧できない王だけだと思うか?」

「そこはまあ、思わないのよ」

 

あれ、地味に話がズレてるな……

 

「反乱、見たいの?」

「魂の輝きってのは苦境に陥ったヤツが足掻く時に一番見られるんだ。死にかける程度に抑圧される環境があれば一番だな」

 

やっぱこいつ魔王だし悪魔だなー。価値観が人間とちゃうよ。

 

「さいで。まあ、気まぐれでサーバーを破壊するようなことはよしてくれよ」

「お、それいいな。退屈になったらやるわ」

「やめてやめて、民衆がギィを敵と認識しちゃうよ」

「俺に逆らうような骨のある奴がでてくるなら、それこそやる価値があるな?」

 

ニヤニヤ笑うギィ。あかーん、地雷踏んだ。

 

「退屈が嫌ならマサユキ(ルドラ)と喧嘩でもしてればいいじゃん」

「あっちの体が壊れるだろ。それに……」

「それに?」

「ヴェルザードが嫉妬するからな。」

 

あらあらうふふ。ニヤニヤわらうとはたかれた。いたい。

 

「そうだ、ベルペイ・カジノはどうかしら。一発逆転を狙う人間の欲は、魂の輝きとは違うかしら?」

「ふむ……いいぜ、やってみな」

 

え゛。また作るもの増やすんですか。

カジノ周りにハイブランド店舗置いて所有欲を刺激すればさらにカジノにのめり込む連中増えそうだけどさあ。

仕事が増えるんですけど!

 

「これも時間がかかるのが難点よね」

「これまでとは違うベルペイの流通経路を作るのは大事かもしれないけどさあ」

「がんばれ♡がんばれ♡」

「……がんばるかー」

「がんばれ♡がんばれ♡」

「ギィが言うの!?」

「いや、言った方が面白いかと思ってな?」

「だめだこのまおう」

「なんだとこのやろう」

「いたいいたい」

 

平和だなあ。じゃあくだけど。




評価、感想、お気に入り、ここすきお待ちしております。励みになります。
特にここすきはよく効きます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。