マリアベルと話さなきゃいけないことなあ。なんだろう。
「そういや俺がグランベル=ロッゾに会ったら多分即座に殺されると思うんだよな」
「何故……ああ、貴方のその敵意」
マリアベルがどうでもよくて忘れてた、という風にくすくすと笑う。ふーん、そういうふうに笑うんだ。かわいいね。
「俺じゃなくスキルが勝手に出してんだよなー……」
「例えるなら……そうね、世界の全てを呪って敵視しているように感じるのよ。そんなふうに見られていたらこちらとしても敵と認識せざるを得ないのよ。もちろん、欲のほうに目を向ければそんなことはないとわかるのだけど」
「そんな凶悪な人に見えてんの俺」
びっくりだよ。俺そんな悪い人間じゃないよ。いやメインキャラ殺してるわ。十二分に悪いわ。しかもそんな運命押し付けられて世界呪ってなくもないわ。あれ、じゃあ妥当か? いや全ては呪ってないわ、
「まあ、そこは有益な情報を多く得られました、ぐらいで報告してくれればいいかな……。あと、グランベル氏に会えるとは思ってないが、会ってお互いのプラスがあるとは思えない、というのも伝えてくれると助かる」
「ええ、ええ、ではそのようにするのよ」
「本当に助かる」
頭を下げる。いやめっちゃ助かる。なんでこんなに良くしてくれるのかはわからんが助かる。
「あら。その感謝の意と同時に頭を下げる仕草、……日本人?」
「ああ。……そういえば名乗ってなかったな。前世の名は、
「ふうん……じゃあ、人目がある時はヤマスで、2人の時はソウゴね」
「2人になることがそうそうあるとは思えないけどな……」
頭下げたら人種を特定された件。解せぬ。この人やっぱ頭の回転おかしくないですかー?
「さて、それじゃあ
「望むところなのよ」
「まず、洗脳や離反防止の類がまともに機能しない。
知ってる中だとファルムスの
『
あと支配の"呪言"、これは"呪言"をリムルが解除手段を解析済みで、リムルが"呪言"対象者の近くにいれば、解除しちまう」
「……じゃあ、"呪言"で縛った召喚者を差し向けたら」
「彼我の戦力差をわからされた上で意に沿わない"呪言"から解放され、大喜びで
「……計画に使えるコマが減ったのよ」
マリアベルめっちゃ苦々しい顔してる。不完全召喚で呼んだコマを便利遣いしてたんだろうな。それが通じないと困る、と。
「あと隠密行動に秀でる情報戦、隠密戦用の部隊を初期から持ってて、練度が高い。それの指揮官がリムル直通の通信方法を持ってる上、指揮官は分身を敵に当て、本体は後方待機する強かさもある。
それに
危険を感じた段階で肉体を一欠片も残さず消滅する勢いで自死する方法を持たせないと、こちらのコマが知ってる全情報を抜かれるぞ」
「そんなのデタラメなのよ! まともな情報戦ができないじゃない!」
そう、もう今の時点で相当にデタラメなんだよ。だからそんなものに勝てると思う方が間違ってる。
「軍事面、軍としての武力担当はベニマルってやつとあとさっき言った
武具の開発はクロベエってやつの担当で、こいつは希少級や特質級の武具をぽんぽん産み出す。で、武力で
「……欲を、支配できれば」
「そこで出てくるのが一番最初に耳打ちした
「……」
顔色悪いなあ。俺だって転生自覚直後にそうなったからしょうがねえんだけどな。
「最後、ロッゾの主戦場であるはずの経済面。連中、いまは流通を抑えようとしてる。独自手段で新鮮な海産物の輸送ルートを確保してて、これがウマい。そしてこの世界に大陸鉄道……たしか計画名は魔導列車だったか? を構想としてぶち上げ、各国の協力を募る腹づもりだ」
「そんなこといつどこで公開するのよ!?」
「あいつらそのうち自国で祭りを開いて西側諸国全部の首脳と隣国民間人を招待するぞ? ……要するにサミットだな」
「……ぐうの音も出ないっていうのかしらね、こういうの」
ほんとにな。現行の戦力だと武力面で詰んでる、情報戦も勝てない。経済戦もあちらがほぼ勝利を収めつつある。絶望的じゃないか。
「……けど、黙って敗北なんかしたくないわ」
そらそうだ。でもな。
「ただ一つ、ロッゾにとってはプラス要素がある。俺の知ってるリムルはファルムスによる
「ふつう、首謀者も同じ目に合わせるものでは?」
本当にな。web版でも書籍版でもその記述見た時目を疑ったよ。
まあ理由は想像できる、今の
「だからマリアベル、今のうちにロッゾによる人類支配を一度諦めて雌伏の時を過ごすなら、
「……」
「まあ、ファルムス兵を皆殺しにし、魔王になった段階でリムルは寿命による死が限りなく遠くなった。普通の人間のままアレを相手しようとするとこっちが寿命でタイムオーバーだな」
「それじゃあ雌伏も意味ないじゃない! 何がプラスよ!」
マリアベルが叫ぶ。まあそう。普通に考えればそう。けど、抜け道の心当たりが一つある。
「マリアベルのお爺様、グランベル=ロッゾ。
いったい
「……ああ、そうね、
超長生きじゃん。聖人級は間違いなくて、神人に片足突っ込んでるんかな。
「じゃあ、やることは決まる。短期的にケリをつける計画は一旦リセットして、
「そうね」
そういうことになった。
やっと主人公君の名前が決定しました。
ヤマス(ソウゴ)君をよろしくお願いします。
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