ととと、とマリアベルが小走りで寄ってくる。かわいい。
マリアベルはサポート役ということで、完全に隣とかではなくは3,4歩離れた後方で俺とグランベル両方の様子を伺う立ち位置に立つようだ。
「状況の見立てとしてはそうだな、宝物の防衛をしていた君たちと闖入者、闖入者は2人を始末して宝物を強奪しようとしている、といった形でよいかな? まあ、宝物がわりの
「それで構いません」
頷く。まあ、そんな筋立ては飾りだ。
「では、」
来……ッ!?
「
来る、と思った瞬間にはもう俺の隣にグランベルが立ち、俺の喉元には皮一枚ほどの隙間を空けてグランベルの握る
嘘だろ、全神経集中してたんだ、まばたき未満の時間で
「……聖人を目指す、と言うのであれば、この訓練中にこの程度は反応できるようになって貰わぬとな?」
にこり、と微笑まれる。
(義祖父になった覚えはないが?)
こころをよんだうえにねんわをたたきつけないでいただけますでしょうか。じょうだん、じょうだんですから。
あっくびがいたいのですが! たいへんもうしわけございませんでした……!
ちょうしにのっておりました! こんごきをつけさせていただきます! はい! ほら! マリアベルさんもごらんになっておりますので! ごようしゃたまわりたく!
ゆ、許された。
●
「少々差があるようだな」
「少々どころの騒ぎじゃないですよグランベル翁……」
「ちょっとかわいそうになったのよ」
追加で三度ほど同じ動きを手加減して繰り返してもらったのだが、回を重ねるごとにスピードががくーんと下がっており最終的に視認だけはできたのだが、"反応して体を動かして防ぎきる"までに至らなかった。うそ、私の反射速度、遅すぎ……!? ちげえよおじいちゃんがターボおじいちゃんなだけだよ。
「あと私がサポート役もなにも、すぐに決着するから何もできないのよ」
「それは確かに」
「まあ、現状の強さの見極めはできた。予定通りのものを模擬戦に使う」
予定通りのものis何……? と思っていると、地下闘技場に人が十数人ほどやってきた。なんだなんだ、ロッゾの手のものか? ……いや? 人種が転スラ世界でよく見るタイプじゃないのが混ざってるな。年齢もバラバラ。するってーと……?
「"異世界人"。"呪言"で縛ったうえで自由意志も奪ってある、お爺様の手駒なの」
ド厄ネタじゃねーか! そうだよこの人ら元は敵勢力! 悪いことやっててもなんも不思議じゃねえ!
「
「ちなみにこいつらが自由意志を取り戻した場合は?」
「ワシ直々に処分せざるを得なくなる事態を
ああじゃあおっけー、気にする必要ないわ。
俺もうすでに
「運用方法はどういうのを想定してるので?」
「まずは二人一組でそちらにけしかける。なんでもいいから撃退したまえ。操作をワシがやる」
そう言ってグランベルは観客席に移動した。
「さて、準備が良ければ再開するが」
「ああ、その前に一つマリアベルに確認したいことが。『相手に死を求めさせるスキル』の発動機序が知りたいんだが、教えてもらえるか?」
「……敵意の反転、もしくは敵意をなすりつけて同士討ちを狙ってるのよ?」
できたらめっちゃ強くないか、と思ってるんだが。
「……『
だめか。本当にいらんぞ『
●
グランベル操る"異世界人"……人形でいいか、人形は前衛役二体。どちらも直剣を持っている。ショートソードってやつですね。
動きはグランベルより遅く、さらには原初の黒より遅い。まあ比較対象が悪すぎるだけで早いは早いのだが、上の方を見てると対処可能な早さのなんとありがたいことか。
「姫様への
「礼は言わないのよ!」
しかしこれマリアベルがフォロー
「ではここに魔法使い役を一名追加する。ああ、実際に魔法を使うのはワシだが魔法使い役を止めれば使用は停止しよう」
ちょっと何してるのおじいちゃん!? 2人なら余裕だが3人に勝てるか!?
どん、という音とともに前衛の片割れが吹っ飛び、魔法使い役にぶつかって倒れる。動かない。ワンショットツーキルゥ……え、マリアベルがやった? もしかしてマリアベルさん俺より強い? まあそういうこともあるか。……サポート役とは?
「ふむ、次は8人だ。役割を入れ替え、"動ける魔法使い"を増やす」
難易度曲線がおかしくないですか!?
あーでもそんくらいしないと強くなれなさそう! やるしかねえな!
あとごめんマリアベル! さっきのどん!のこと教えてもらっていい!?
……なんでも、自身の持つ強い"欲"の力をエネルギーとして変換、放出して物理的な破壊力を持たせる大技、
●
多分昼になったぐらい。8人戦で5,6人倒して敗北、というのを繰り返していたら、世界の言葉さんからの告知がきた。
《確認しました。『魔力感知』を獲得しました》
よーしよしよしよし、何度かの
魔法を
前からあった耐性系が『物理攻撃耐性』『魔法攻撃耐性』に統合され、新たに『解析鑑定』『予測演算』『思念伝達』を得ている。
改めて『魔力感知』で見てみると魔素量は人形たちの方が上なので、そこがスキル習得の要因だったと思われる。格上との
半日訓練しただけでこれだけ成果が出たとはいえ、目標は遥か遠くなんだよな。
「伝えていなかったが、この訓練はここまでしか行えない」
なぜどうしてホワイ。
「ワシは今回、
え、そしたらマリアベルと俺で訓練したい、って話したのはどうなります?
「マリアベルの訓練は折を見てワシが担当するが、貴様の訓練相手は自力で探せ。すまぬな」
「『思念伝達』を使えるようになったみたいだけど、平文は盗聴の危険があるのよ。多重暗号化ができるようになるまで私とお爺様相手の使用はしないで欲しいのよ」
いや警戒するならしょうがないんですけどもぉ! えっ今日でお別れぇ!? 攻撃用アーツまだ覚えてないですけどぉ!
「この訓練中に、反応できるようになったな?」
笑うグランベル。
グランベル=ロッゾ、指導力ヤバくね? あるいはスキルの有無の差ヤバくね? まあ別にリムルに戦闘で勝とうと思ってないんでこんなことできてもあんまり? ですけど?
うそ。だいぶうれしい。
いつまでも訓練してられると思ったか! 相手は肩書たっぷりの王族で忙しいんだぞ!
なお、できた時間で鍛えられるだけ鍛えた模様。
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特にここすきはよく効きます。