転生したらスライムの敵だった件   作:一宮 千歳

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訓練(半日)を終えて

マリアベルとグランベルとは解散したが、その前にいくつかイベントと、ロッゾの勝利に向けての話し合いをした。……実はちょっとヤバい気がしてる。

 

まず訓練開始時に言われた通り、特質級(ユニーク)の防具を貰った。情報提供料だそうだ。

単純に質がいい、というのはいいことだ。あらためて『解析鑑定』したら特上級(スペシャル)だったファルムス支給の騎士鎧とはおさらばだ。

なお、結構長いこと使ってる鬼殺刃(オーガイーター)特質級(ユニーク)だった。

これもファルムスからの支給品で、支給品が攻撃に偏重しすぎだよとかなんでこんなもん一騎士に持たせたとかだから原初の黒の手加減攻撃に耐えたのか、とか色々思うことはあったが、まあ結果的に全身そこそこ強い装備で身を固められているという現状を見ればそれでヨシ! ロッゾの二人に感謝ですわ。

 

また俺のアイデアとして、漁業権と領海の設定、港ごとの漁獲量の記録を始めてほしかったり、

いずれ魔国連邦(テンペスト)の財政と宣伝を預かるようになるミョルマイルについてなんらかの対応をしてほしいという話もした。

 

この世界、ある程度強い上で飛行か水上歩行ができない限り海に出られない(船は容易に破壊される)という過酷な環境なので、

漁業権と領海を設定をする意味が薄い、と難色を示された。

とある国は漁業を行えていると聞いたが、

海産物は自国消費に留まっており輸出はゼロと聞いてしまうと現地民的にメリットが皆無すぎて無理に推せなくなった。

法でリムルの動きを縛るの、いいアイデアだと思ったんだけどな。

あとその国は創作日本人にありがちな『サカナ食いたい欲』からぜーったいリムルが目をつけそうなんで、

とりあえず魔国連邦(テンペスト)の傀儡国家にされないようにその国の政情を安定させておいた方がいいね、という結論に達した。ノーモアファルムスなのだ。

 

ミョルマイルは俺からすると明らかに見えてる弱点なのだが、

まだギリギリブルムンド王国にいるであろう現段階での対処(・・)は準備と実行が間に合うか微妙、

先に金銭的に囲い込もうとしてもそれを蹴る可能性が高いと三人とも思えるぐらい魔国連邦(テンペスト)があまりにも魅力的、

さらに開国祭準備が始まってしまえばもう魔国連邦(テンペスト)国外に出なくなり、魔国連邦(テンペスト)領土内では感知されて敵対行動が厳しいということでミョルマイルの対応はお流れになった。

ミョルマイルに対処するには俺の転生時期が悪いなこれは。その時には既にリムルと縁ができてたから。

 

最後に、魔国連邦(テンペスト)開国祭で表面上シルトロッゾ王国として友好関係を築いておくべき事、

マリアベルはスキルが進化すれば戦闘時の切り札になりうるのでリムルとの直接接触は避けるべき事、

しかし西方諸国評議会(カウンシル・オブ・ウェスト)はほぼ確実に乗っ取られるので評議会入りは希望されてものらりくらりとかわしておく事、

多分その頃には魔国連邦(テンペスト)にいるであろう五人の子供たち、というかヒナタ同様勇者の素質を持つクロエ・オベールが重要人物である事(と、俺はクロエに接触したくない事)の四つ(五つ)を伝えておいた。

 

こちらがクロエについて話してる時にグランベルが少し微妙な表情をしてたので「グランベル翁、何かあるのか?」と聞いたら時間をたっぷり置いた後頷かれたんだよな。そのあと何も語ってくれなかったが、色々知ってそうだし、俺が未来を知っている事について何も言及がない辺り確定的で、そこはまあ喋る気ないならいいやと思ってたんだが……

今、俺がいる事でクロエ周りでマズってる可能性がある、と思い至った。

 

そう、グランベルはマリアベルと同じくweb版にいない書籍版、コミカライズ版でのキャラ。

俺はグランベルの未来を知らない。書籍版でクロエと絡みがあるか知らないが、どうやらありそう。

 

……再走とかぁ……出来ませんかねぇ……

 

 

さておき。置いていいか怪しいけど、次の目的地。

西に広がるイングラシアは自由組合(ギルド)の本部がある分、ユウキの強い影響範囲でもあるっぽいのでやはり避けたく、ファルムス方面にシルトロッゾを抜けてから南下、西方諸国を渡り歩くことにした。

最初その予定だったのにうっかりシルトロッゾに寄ってしまったのが大変良くなかった。いや、結果的には良かったんだけど移動距離が増した。

ユウキが自由組合(ギルド)総帥(グランドマスター)辞めるタイミングがあればまあ冒険者もやってもいいかもなんだけどさ……。アレの管理する組織に身を置きたくない……。

 

というわけでそのうちファルメナスとなるはずのファルムス王国をもさもさと歩いている。可能性としてはディアブロとエンカウントする可能性があるの嫌だな。次は本気だろうし。

 

「おい」

 

オッずいぶん敵対的なやつが声かけてくるじゃん。時期的にソウエイか?

 

「ずいぶん良いもん身につけてんじゃねえかよ〜、俺たちにちょっとおこぼれをくれねえか〜?」

 

全然違ったソウエイとかじゃなくこれ野盗だわ。

のそりとその辺の茂みから現れてくるのは個々で見るとそれなりの格好をしているが全体としては統一感のない、つまり別々の集団から奪ったものを身につけている男男男。総勢……15ぐらい?

そうか、定期的に起動してる魔力感知に引っかからない時点で魔力のないパンピーじゃないと理屈にあわないんですね。

はずかし。

 

「生憎だが初対面の相手にタカる男にくれてやる金はないね」

「実力差がわからない相手に強気だな〜。俺たちには元Aランク冒険者がいるんだぜぇ? それも二人だ!」

 

そう言われて、一際ガタイのいい男二人がズイッと出てきた。片方は割と顔がいい。ま、『解析鑑定』したら2人とも実態は上振れしてDランクより少し上がいいとこみたいだ。周りの連中もEとかDとか。多分兵士になろうとしてなれなくてゴロツキに落ちたタイプか? 騎士団壊滅して治安が悪化してますねコレは……。

そもそも元Aランククラスの実力者がこんなとこで野盗やってるわけないだろ、絶対ファルムス内戦のどっちか陣営に引き込まれてるよ。情勢を読め情勢を。

とはいえ特AやSランクは現実味が薄そうだから、Aランクってのが一番ハッタリとして言いやすいんだろうな。Bクラス魔物が村を滅ぼせて、さらにその上っていうなら強さが理解しやすい。なるほどそれでいい暮らしをしてきたんだろう。

けど、それがいずれ破綻するやり方だとは考えてなかったらしい。野盗をやる連中なんてそんなもん、といわれたらそう。

 

「いいのか? 俺が本気を出したらお前ら死ぬぞ?」

「……う、うるせえ! こんなに舐められちゃ引けねえ!

お前ら! やっちまえ!」

 

短剣を振りかぶって飛びかかってくる小柄な男、次に姿勢を低くして長剣(ロングソード)で横薙ぎを狙ってくる男。まずこいつらとの距離を敢えて詰めて懐に入り肘打ちと爪先蹴りで処理。

次に弓を構えた三名に寄って頭を剣柄で順にがんごんべきっ。

これで10秒ほど。うーん、普通。

 

「どうした、5人減ったぞ」

「逃げろ!」

 

敵頭目の判断が早い! いやほんとに早いな。どっちかっていうとこの嗅覚で生き残ったんかな。まあどうでもいい。

別に追う義理はない。なんとなーく気配が遠のくまで待って、残された連中は死んでなかったが意識がなかったので、パンイチに剥いた上で連中が身につけていたものを適当に地面に埋めて放置することにした。野盗捕まえて届け出るのがお金になるのは知ってるよ、でも人を輸送する手段がないんだもん……。

 

敵集団の中に女とか居たらそいつ優先して狙って改心させて旅に付き合わせたんだけどな。

いや、『敵対者(クソスキル)』のせいで無理か。

 

なおファルムスを通過するまでの間、野盗には5,6回遭遇した。構成員は全部男。

バカの治安じゃん。

はやく頑張れディアブロ。なんで敵の応援してんだ俺。




このあとノーミスならOKOK。


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