とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造   作:ネシエル

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第十一話 霊核拡張

大妖精の湖

 

煙が晴れ、曇りのない夜空が広がり、

月の光に照らされた湖の前にアストルとリンクが立っていた。

 

湖面は静かに波打ち、その光景は幻想的だった。

 

やがて湖の中心で何かが起こり始める。

 

花びらのような形が開き、

月光を反射しながら湖面は激しく揺れ出した。

 

湖全体が沸騰するように波立ち、

その中心から何かが浮かび上がった。

 

 

「ふっかつ!?」

 

 

湖から現れたのは、巨大な厚化粧の熟女だった。

その姿はまさに巨人。だがその佇まいから放たれる神聖な気配が、

この存在がただ者ではないことを証明していた。

彼女こそ、大妖精クチューラである。

 

 

「あら、あなたたちが私を救ってくれたのですか?」

 

クチューラがゆっくりと話し出すと、その声は澄み渡り、どこか安心感を与える響きだった。

 

「そうです。麗しき貴婦人よ。我らにどうかご加護を。」

 

アストルはそう言って、

手に持っていた500ルピーをクチューラに差し出した。

 

「これは些細な土産です。」

 

 

「あら、ありがとう。あなたいい男ね。顔は私の趣味じゃないけど、

中身はハンサムのようね。」

 

クチューラはにっこりと微笑みながら、

ルピーを受け取った。

 

『まあ、悪人顔だからな』

 

アストルは内心で苦笑する。

 

「ところで、貴方様に取りついた

あのモヤモヤはいったい何でしょうか?」

 

アストルが真剣な表情で尋ねる。

 

「さあ、森で寝ていたら急に出てきてね。

勝手に私の大事な森を占拠したのよ。

幸い、すぐに蕾を閉じて身を守ることはできたけど、

本当にひどい目に遭ったわ。」

 

 

「それは災難でしたね。それはいつの出来事ですか?」

 

 

「今から一時間前のことですわ。」

 

 

『一時間…私たちがここに来る少し前のことじゃないか。

通りでカカリコ村に噂を立てる間もなかったわけだ。』

 

 

アストルは心中でそう考えた。

 

 

「そうだわ。ほかの姉妹たちの様子も心配なのよ。

さっきから繋がりを感じないわ。」

 

 

クチューラは少し不安げに言葉を続ける。

 

 

「ねえ、あなたたちに加護を与える代わりに、

私の姉妹たちの様子を見に行ってくれませんか?」

 

 

「お安い御用です。」

 

 

アストルは即答した。そして少し間をおいてから、

「その代わりにもう一つのお願いを

聞いてもらえませんか?」と提案した。

 

 

 

▲▲▲

 

 

カカリコ村

 

夜更けにもかかわらず、カカリコ村は不穏な空気に包まれていた。

住民たちは松明を手に、広場に集まって騒ぎ立てている。

 

「ねえ、どうなっている?」

村人Aが興奮気味に尋ねる。

 

「さあ、森のほうに異変があったみたいだ。」

村人Bが答える。

 

「俺は確かに見たのだ!」

村人Cが声を荒げる。

 

「信じてくれ!?村の上に龍が居たんだ!」

 

ABCとか、つけるのは失礼かって、

しょうがないだろう、名前知らないし。

 

騒ぎ立てる村人たちをよそに、

アストルとリンクは宿へ向かって歩いていた。

リンクがアストルの背中を肘で軽く叩く。

 

 

「うん?」

 

アストルが振り返ると、リンクは無言で手を使って何かを伝えようとしていた。

 

『今すぐここから離れたほうがいいか…』

アストルは心中でそう考えたが、首を横に振った。

 

「ダメだ。リンク、この状況で村から離れたら、

私たちは怪しまれる。出発は明日だ。」

 

リンクは不安げにうつむいたが、アストルは力強い声で励ます。

 

「何、心配するな。あの龍が直ぐに俺と結びつけるものはいない。

それに、私には最強の勇者がいるのだ。

君さえいれば、魔王だろうが神だろうが何も怖くないさ。」

 

 

リンクは微かに微笑み、頷いた。

 

 

 

▲▲▲

 

 

宿の中

 

宿の部屋には二つのベッドがあり、

荷物はほとんど片付いていた。

アストルは最後に、自分の瓶の中にいた妖精を、

リンクのポーチに入れた。

 

 

「さて、これで最後だ。」

 

荷物の準備を終えたアストルは、

部屋を見回して一息ついた。

 

 

二人は宿をチェックアウトすると、

カカリコ村の門をくぐり、

村の外へと向かった。

 

 

 

『ふむ、短かったような気もするが、

三日も経たずに出るのだから当然だな。』

 

 

アストルはそう思いながら村を後にした。

 

村人が通りすがりに声をかける。

 

「こんにちは。」

 

「こんにちは。」

 

アストルは笑顔で返し、

リンクはペコリとお辞儀をした。

 

 

『昨日の噂はもう流れていないようだ。

まあ、このゼルダ世界でも龍は珍しい存在だから、

見間違いだと思われるのも無理はない。』

 

 

 

そう考えながら、アストルたちは村を後にした。

 

 

▲▲▲

 

 

洞窟内

 

リンクはアストルを見守り

アストルは地面に自身の血で魔法陣を描く。

 

 

『さて、これでいいはずだ。

方角と地脈があっている。

後は妖精を特定の位置に合わせればいい』

 

 

アストルは瓶の中にいた妖精を解放し、

妖精たちは魔法陣の周りを漂う。

 

 

「リンク、後はお前が中に入れば儀式は完成だ。

これでマスターソードの力を再現できる」

 

 

 

リンクは魔法陣の中に入る。

 

 

それは、リンクの持つ剣。

マスターソードの真の力を引き出すためだ。

 

 

今のマスターソードは不完全な状態だ。

理由は単純明快。

 

 

リソース不足だからだ。

身体能力およびステイタスの再現をするために、

霊核の容量は思ったよりも食ってしまった。

 

 

マスターソードは剣とはいえ、リンクの体の一部。

宝具のような存在であり、

霊核に深く結びつけている。

 

 

そのせいで、マスターソードに退魔の力を宿らず、

ただ受けたダメージを回復できるだけの、

自動的に修復できる剣となってしまった。

 

 

 

 

解決策は霊核を拡張すればいいのだが、

無理に拡張すれば魔力の結合が切れてしまう。

 

 

 

これは、全て私の魔力操作が未熟のせいだ。

まあ、魔力を注げば拡張せず膨張できるが、

その場合は魔力が暴走し霊核が崩壊する。

 

 

これを解決するために妖精を大妖精から貰い受けた。

妖精はゼルダの伝説の最強のアイテムだ。

 

 

持つだけで、瀕死の時に瓶の中から

出てきてリンクを蘇生してくれる。

 

 

ゲームのご都合的な部分が嘘でなければ、

彼女らの力はまさに、神に等しいだろう。

 

 

妖精の確保は大妖精に服の強化をしてもらうことに

次いでのもう一つの目的である。

 

 

そして妖精の確保に成功した。

彼女らの不思議な力があれば、

霊核の拡張や膨張も可能になると予測できる。

 

 

その予測は当たった。

妖精たちの力は俺が望んだものだ。

 

 

拡張に必要不可欠な魔力の結合を強くし、

膨張も可能にし、新たなリソースの確保することが出来た。

 

 

さらに、ハイラルの盾の強度を、

オリジナルに近くすることができ、

マスターソードの退魔の力も再現できる。

 

 

「さあ、始めよう」

 

 

魔法陣の周りに妖精がぐるぐると周り、

血塗られた魔法陣に光り輝く。

 

 

「!?」 

 

 

リンクはマスターソードを引き抜き、

空にかざす。

 

 

妖精からの光が指し込み、

マスターソードに吸収される。

 

 

それだけではない、

リンクの体も白い光に包まれ、光り輝く。

 

 

「ハ!」

 

魔法陣は光るのをやめ、妖精たちも瓶の中に戻る。

マスターソードは微かに光を再現され、

その身に聖なる力が宿った。

 

 

 

▲▲▲

 

 

マスターソードに第一形態から第二形態に進化しました。

退魔の力「弱」が手に入れました。

 

 

 

 

 

 




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