とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造   作:ネシエル

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第十二話 召喚2

洞窟内

 

進化したマスターソードを手にしたリンクは、

試すようにそれを振り、感触を確かめた。

 

その刃は微かに輝きを放ち、

彼の手の中で確実に力を宿しているのを感じさせた。

 

 

「どうやら、成功したようね」

 

そう言いながら、

アストルは満足そうに頷いた。

 

リンクは言葉を返さず、代わりに小さく頷く。

彼の静かな反応に、アストルは興味深そうな眼差しを向けた。

 

『ふむ、人格面に特に変化もないな。

肉体もさほど変わらないように見える。ただ――』

 

アストルはリンクの周囲を歩きながら観察し、

さらに続けた。

 

『――霊核は確実に拡大している。概ね順調だ。

だが、細かいところは実戦で確認しなければ分からん』

 

 

 

観察を終えたアストルは、

満足げに頷くとリンクに向き直った。

 

「よし、リンク。こっちに来い」

 

アストルの指示で、二人は近くの森へと向かった。

そこは魔物の巣窟であり、試し斬りには絶好の場所だった。

 

 

▲▲▲

 

 

 

森の中

 

「はあっ!」

 

リンクは勢いよくマスターソードを抜き放ち、

目の前のボコブリンに襲いかかった。

 

続けざまに他の魔物たちも、

リンクの手によって次々と殲滅されていく。

 

「ぐがぁ!」

 

「ごへぇ」

 

「うぎゃあ」

 

瞬く間に、

血の池地獄が形成された。

 

「うん、これはあまり参考にならないが、

ひとまずデータは出てきた」

 

 

アストルはリンクの戦闘の様子を観察し、

そう呟く。

 

 

「肉体的な成長は見られず、

切れ味および耐久力も以前とさほど変わらない。

ただし、修復力は前回の1.5倍に向上しているな。

恐らくだが、カースガノンとの戦闘では攻撃力が上昇するだろう」

 

 

最後にそう締めくくると、

彼はリンクに手を振りながら言った。

「今日はここまでだ」

 

 

▲▲▲

 

 

ハテノ村

ハイラルの東端に位置するこの村は、

現存するハイラルの集落の中で最も広い規模を誇る。リ

 

ンクとアストルがここを訪れたのは、

ほんの気まぐれだった。

 

村に到着すると、アストルたちは物々交換を始めた。

 

アストルが魔法で生み出した黄金を使い、

それを換金して得たルビーで荒稼ぎする。

その結果、一軒家を購入するに至った。

 

その家は、約100年後にリンクが購入することになるものと同じ物件だった。

ただ、今は新居として売りに出されている。

それを偶然目にしたアストルが、

衝動的に買ってしまったのだ。

 

「思っていた以上に狭いな」

 

家の中に入ると、

アストルは内装を確認しながらそう呟いた。

 

「・・・家を買ったのはいいものの、

やはり自分で建てればよかったな」

 

 

そう後悔するアストルの脳裏には、

かつて始まりの台地で建てた自作の小屋が浮かんでいた。

 

その小屋はこの家と同じくらいの大きさだったが、

遥かに低コストで建てられていた。

 

リンクは小さく頷き、

アストルの言葉に同意するような仕草を見せる。

 

「まあいいだろう。勢いに任せて買ってしまったのだから、

私にも責任がある。

それに、立地は悪くない。

村からさほど離れていないし、

隠れて何かを作業するには丁度いい場所だ」

 

そう言うと、アストルは家から出て、

庭にある井戸をじっと見つめた。

 

 

「ふむ、やはりな」

 

アストルが井戸の中に入ると、

そこには一部屋分の空間が広がっていた。

 

 

「おお、まるで秘密基地のようじゃないか」

 

リンクが後を追ってきたが、彼は相変わらず無言だった。

「リンクはそう思わないか?」

「・・・」

リンクは何も言わない。

 

「おい、何か言えよ」

そう言いながら、アストルは肩をすくめた。

「まあいい。さて、始めるぞ」

 

 

 

▲▲▲

 

召喚の儀式

井戸の中で、アストルは魔法陣を描き始めた。

それは血で形成された不吉な円だった。

彼の計画は単純でありながら壮大だった。

 

「俺の計画を簡単に言うと、

星を作り、そこに女神ハイリアの魂、精神、肉体を入れて

神を生み出すことだ」

 

 

アストルはそう語りながら、

手を動かして魔法陣を仕上げていく。

 

 

「魂はこの世界のゼルダ姫を使い、

肉体は空想具現化で生み出せる。

この中で最も重要なのは精神だ。

精神は魂と肉体を縫い付ける接着剤の役割を果たす。

そして、それは女神ハイリアの生まれ変わりとされるゼルダ姫の中でも、

スカイウォードのゼルダに限る」

 

 

アストルは詠唱を開始した。

 

 

 

「素に銀と鉄。爬行するのは龍の血。礎に石と契約の大公――」

 

赤く光る魔法陣の中央に置かれた霊核が輝き始め、

やがてその光は空間を満たしていく。

そして、ついに召喚が完了した。

 

光が収束した中心に現れたのは、

一糸まとわぬ金髪の女性――ゼルダだった。

 




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