とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造 作:ネシエル
女神像の前
青空が広がり、透き通るような風が頬を撫でる。
女神像の前に立つゼルダは、大地を見つめ、目を細めた。
風の流れ、小鳥たちのさえずり、草木のそよぎ――
かつて夢見たこの場所に、ようやく立つことができたのだ。
隣に立つリンクをそっと見つめながら、彼女は小さく呟く。
「わたし……ずっと、ここに来たかった。」
彼女の心に長く抱えていた願い。
幼い頃から大空の世界で育ち、ずっとこの大地に憧れていた。
「大地をこの目で見てみたかった。
この風を肌で感じてみたかった……。」
なぜ、これほどまでに大地に執着するのか、自分でもわからない。
それでも、ここに立ちたかった――
ゼルダは女神ハイリアの化身。
かつて世界を救うため、神々の秘宝トライフォースを守る使命を担っていた。
その使用条件として、人間でなければならなかったため、彼女は不老の肉体と神の力を捨て、一人の少女として転生した。
「今は……わたし、ここで生きていきたい。
大地を踏みしめて、雲を見上げて……トライフォースを守りながら。」
彼女の歩んできた道は険しく、苦難に満ちたものだった。
過去の記憶。
女神として施した封印を維持するため、長きにわたり自身を犠牲にしてきた。
だが、終末の者はその封印を打ち破り、世界は滅びの淵に立たされた。
しかし、女神に選ばれし勇者――リンクによって終末の者は討ち払われ、世界は再び平和を取り戻したのだ。
ゼルダは彼の横顔を見つめながら、静かに問いかける。
「リンク……あなたはこれからどうするの?」
その瞬間、世界に異変が起きた。
ゼルダの耳にノイズが響く。
「え……?」
驚きに目を見開くと、周囲の景色が変化していた。
最初に消えたのは空を舞う鳥たちだった。
次に人々の姿が消え、空の色が失われた。
世界は闇ではなく、まるで全てが存在しなかったかのような“無”へと変わっていく。
草木が消え、辺り一面、ただ茶色い土だけが残された。
そして、最後に――大地が消えた。
完全なる無の空間が広がる。
ゼルダは焦りに駆られ、リンクの手を掴もうとする。
「何が起きたの……? 大地が、いいえ、世界が消えていく……リンク、大変! 今すぐ、ここから――」
だが、リンクは動かなかった。
ゼルダは不安に駆られ、リンクの顔を覗き込む。
「リンク?」
彼は無表情のまま、静かに呟いた。
「わからない……」
ゼルダは困惑し、彼の言葉の意味を考える。
「え……?」
「何をすればいいのか、わからない。ずっと、こうだったから……」
彼の声はどこか遠く、虚ろだった。
ゼルダは必死に呼びかける。
「ねえ、リンク、何を言っているの? ねえ、聞いてよ!」
リンクの目がゼルダを見つめる。
「もう、どこにもいない。■はいつ動く……いつ戦う……」
その言葉の意味を理解する前に、ゼルダの意識がふっと闇へと落ちていった。
▲▲▲
小屋の中
太陽が昇り、窓から差し込む光が部屋の中を照らしていた。
ゼルダはゆっくりと目を開け、眩しさに顔をしかめる。
「うぅ……」
上半身を起こし、周囲を見渡す。
平凡な部屋――
見知らぬ空間に、胸がざわめく。
「ここは……一体……?」
ふと、布団がずれ落ち、自らの白い肌が露わになる。
「きゃあっ!」
驚いて布団を掴み、必死に身体を隠した。
「なんで、裸なの……?」
その疑問に答えるように、
階段を上る足音が響く。
「すまないね。」
そう言って現れたのは
アストルと名乗る男だった。
「霊核の調整が思った以上に手間取った。
危うく君は消滅しかけるところだったよ。」
ゼルダは思わず距離を取り、壁に背を押し付ける。
「あなたは……一体……?」
布団をしっかり抱きしめ、警戒の眼差しを向ける。
「我が名はアストル。
貴方様をこの世に召喚した者だ。」
「召喚……?
まさか、あの現象はあなたが?」
アストルは軽く笑う。
「まあ、あのノイズまみれの状態は確かに私が引き起こしたものだ。」
ゼルダは彼に詰め寄る。
「今すぐ、元の場所に戻して! さもないと――」
その瞬間、彼女の首元に剣が突きつけられた。
「!?」
驚愕の中、剣を持つ人物に目を向ける。
それはリンクだった。
「どうして……リンク……?」
ゼルダの声が震える。
「ねえ、リンク……何で私に剣を向けるの……?」
ずっと、信じ続けた。
封印に眠りに付くとき、きっと、リンクが助けてくれる。
だから、耐えきれた。
長い孤独に耐え続けた。
だから、ゼルダは信じられなかった。
自身を守ってくれた勇者が自身に剣を向いたことに、
今まで、リンクという存在によって保たれた精神が
崩れてしまった。
ただ、これだけの行為だけで崩れ去るほど、
ゼルダの精神は脆かった
目は虚ろになり、
絶望するゼルダに対し
リンクは沈黙を保ったまま動かない。
その行動は、上記の行動の裏付けになり、
嘘ではことに悟ったゼルダは
力が抜け布団を落としてしまい、ゼルダの白い肌が露わになる。
「ちょっ、服、服!」
アストルは顔を背け、慌てて服を持ってきた。
ゼルダは震える手で服を着る。
「・・・」
服を着たゼルダはベッドの上に座り、
地面を見詰める。
『あれこれ、5分が経った。
リンクに剣を向けられたことにそこまでショックを感じだのか。
メンタル弱いな。何か思っていたのは違うような・・・』
「あなた。」
『お、やっと口を開いてくれた。
感情を落ち着かせたのかな』
「・・・リンクとはどういう関係なの」
「どういう関係で、普通の主と従者の関係だ。」
「・・・何で」
「私が主なのか。
聞きたいのか」
「・・・うん」
「そうだな、そういう仕様だからだ。
そうやって作られ、そうやって生み出された。
簡単に言えば、リンクは俺の分身だ。」
「どういうこと。」
「君にもわかりやすく説明しよう。
簡単に言えば、俺は君たちの創造主だ。」
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