とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造 作:ネシエル
部屋の中
「エネルギーはどうすればいい!?」
アストルは頭を抱え、目の前のノートをじっと見詰めていた。
その表情は険しく、焦燥感が滲み出ている。
ノートにはこう書かれていた。
▲▲▲
プロジェクト:究極の一
女神ハイリアを星と融合させ、最強の生命体「アルティミット・ワン」を生み出す。
必要な工程:
情報
内容:星を構築するための完全な設計図。
状況:入手成功。
エネルギー源
内容:惑星を創造するために必要な膨大な魔力。
推定量:文字通り天文学的数値が必要。
現状の魔力では、たとえ100億年が経っても不可能。
器
内容:情報をエネルギー源で具現化して星を形成するための容器。
状況:地球は仮想の存在ではないため再現用の器は不要。
ただしエネルギー不足により製作不能。
儀式
内容:星に女神ハイリアを定着させる魔術的プロセス。
目的:星の完全な機能化と女神ハイリアの転生。
詳細:星の核に女神ハイリアの魂を定着させ、
女神の精神を挿入。そして、外郭を糧に新たな肉体を生み出す。
星、そのものを材料にした大計画。
現状、製作費に目途がたたない。
▲▲▲
アストルはノートを閉じ、深く息を吐く。
「はあ、大まかな計画の概要は
これで決めた。しかし……」
しばらく考え込みながら、
ペンを指先で弄ぶ。
「まさに、言うは易く行うは難し。
設計図があっても、材料がなければ話にならん。
どこで補充すればいい……」
ペンを頭に軽く当てながら考え込む。
『シンプルにハイラル全土から魔力を集めるか……
いや、それでは全く足りない。
おそらく、雀の涙程度だろう。
いや、それどころか世界を滅ぼす必要すらある。』
考えが堂々巡りする中、ふと呟く。
「トライフォース……か。
それを使えば……
いや、どこにあるかも分からないものに頼るのは愚策か……」
苛立ちを抑えきれずペンを投げ捨てる。
「完全に詰んでるじゃないか……」
椅子から立ち上がり、大きく伸びをする。
『落ち着け、時間はまだたくさんある。
とりあえず、食事でもしてエネルギーを補給しよう。』
そう言いながら、
ノートを片付け机を綺麗に拭く。
「今日の夕食は……高級寿司でいいか。」
情報具現化。
地球から与えられた恩寵。
自身のイメージや情報から物質や現象を生み出すことができ、
無機物、有機物も情報さえあれば創造できる。
しかし、情報の破損、
ノイズがあると、この世の物とは思えないゲテモノを生み出す。
事実、最初の創造では、
パンが出ると思いきや、
ダークマターが出てきた。
幾度もなく失敗したが、
今度も手を机の上にかざすと、
瞬く間にお皿の上に美しい寿司が生み出される。
「ふむ、うまい。食べ物まで再現できるとは、
いつ見ても素晴らしい……」
アストルは箸を手に取り、醤油を垂らして食べ始めた。
味、匂い、感触、食感。
全てはイメージ・・・設定図通りに出来た。
母星の加護から情報を得ても、
それを、再現できるのは別問題だ。
言うならば、設定図だけを見て、
東京スカイツリーを自力で建てることに思えばいい。
食べながらふと呟く。
『そういえば、魔力はどこから生み出されている?ガノンの言葉を見るに、
「心の臓」……つまり心臓が魔力の源なのだろうか。
心臓を強化してみるか?……
いや、それが可能ならガノンは秘石なんてものを奪う必要もない。』
寿司を食べ終えたアストルは皿を片付け、
洗い終えるとベッドに横たわる。
『やはり秘石を使うしかないか……
だが秘石は一人一個だけ。
例え秘石が完成しても、俺の魔力だけで足りるのか?』
模様の付いたダイヤモンドを
手に取り、じっと見つめる。
『そういえば、この模様は何だ?』
じっくり観察しているうちに、ある考えが閃く。
「そうか、そういうことか!」
▲▲▲
食器を片付け、
椅子に座り直す。
「なぜ今まで気付かなかった……」
ガラス瓶から青いゼリー状の
物体を取り出し、目を輝かせる。
「情報体は宿った肉体を変化させる。
この模様も秘石本来の姿を
再現するための変化だったのだ。ならば……」
変化ができ、魔力もあるスライムゼリーは輝きを放ち始め、
徐々に透明な石へと変化していく。
「完成だ。」
▲▲▲
家の外
アストルは新たに完成した秘石を手に、外に出る。
「早速実験だ。」
秘石に魔力を注ぐと、模様が浮かび上がり輝き出す。
「おお……!」
秘石は宙を浮き、彼の額に吸い付くように張り付いた。
青い光が周囲を照らす。
「力が……漲ってくる!」
アストルは拳を握りしめ、
目の前の木に手をかざす。
手のひらから雷が放たれ、木は一瞬で灰となった。
「ふふふ……はははははは!これが秘石の力……私はついに手に入れたぞ!」
しかしその時、
後ろから矢が掠め、頬に傷を負う。
「はあ?」
矢が飛んできた方向を睨みつけ、
瞬時に身をかわした。
「嘘だろ……」
草むらに隠れじっくりと観察すると、そこに現れたのは……
「ライネル……!」
下半身は馬、上半身は筋骨隆々とした獣王ライネルが、
凄まじい迫力でアストルの前に現れた。
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