とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造   作:ネシエル

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第六話 召喚

焼け野原。

 

 

雷と炎の激突の結果、草木はすべて焼き尽くされ、

炎が燃え尽きた後には、灰と化した大地が広がっていた。

 

その地面には、四本の誇り高き脚を

無残にも潰されたライネルが横たわっている。

 

「ぐううう……」

 

彼の呻き声が響く。足は異様な方向に折れ曲がり、

全身は打撲だらけで、多重骨折の痕跡が痛々しい。

 

それでもまだ命の灯火は消えていない。

 

「GUUUUOOOOOOO……!」

 

ライネルは吠えるように声を上げながら、

空を飛ぶ龍をじっと見据えた。

 

「……」

龍は沈黙を保ちながら、彼を見下ろしている。

 

「!?」

一瞬の隙を見たライネルは、

右腕を懸命に動かして獣王の盾を掴むと、

それを力任せに投げつけた。

 

盾に取り付けられた刃が、

龍の頭を割ろうと迫る。しかし――

 

『凄いな。やはり……』

 

龍は低く唸るように語りながら、首を捻り、刃を避けた。

盾は遠く、彼方の地平線まで飛んでいく。

 

「……」

 

ライネルは肩を落とし、

ついには悔しげに笑みを浮かべた。

 

そして、龍が放った雷のブレスがその全身を貫き、

彼の命を完全に断ち切った。

 

▲▲▲

 

 

湖のほとり。

龍はその長い体を滑らせるように湖の前へ移動し、

やがてその身から光を放った。

 

光は次第に凝縮されてゆき、

やがて人の形へと変わっていく。

 

「意外と簡単に戻れるものだな」

 

その場に現れたのは、

龍の姿から変わったアストルだった。

 

アストルは湖に映る自分の姿をじっと見つめる。

 

「ふむ……秘石はない。ゼルダのように分離したわけでもなく、

完全に一体化し、体に吸収してしまったのか」

 

額に手を当て、体のあちこちに触れながら、

冷静に状況を確認する。

 

 

「容姿に変化なし。服もなぜか、治っている……。

そういえば、ゼルダも人に戻るとき服はそのままだったな」

 

アストルは自分の手をじっと見つめる。

その両手には銀河のような模様が浮かび、

暗闇の中に星々の光が輝くような幻想的な姿をしていた。

 

「まあ、そうだろうな……

何の代償もなく戻れるわけもないか」

 

彼は不気味な模様を眺めながら苦笑し、

やがて燃え尽きたかつての家の跡地へと向かう。

そして、そこに奇跡的に残っていた一冊のノートを発見した。

 

 

「あ……まだ残っていたのか」

 

 

ノートは家があった場所からかなり離れたところに落ちていた。

 

「最初の爆発の影響でここまで吹き飛ばされたのか

道理で燃えないはずだ。」

 

アストルはその傍に駆け寄り、表紙を叩きながら読み上げた。

 

「プロジェクト:究極の一……。

そうだ、これからどうする?」

 

ノートを手に、アストルは思案を巡らせる。

 

『このまま引きこもって魔力を大量生産する方法を見つけるのか。

それとも、一度世界を旅して答えを見つけるのか……。

それがいい。ここに居続けても何もできない予感がする。

せっかく、この世界に来たのだ。

旅をせずにどうする?』

 

決意を固めたアストルは、自分の魔力で小屋を瞬時に建て直した。

その姿はかつて住んでいた家にそっくりだった。

 

「うん、いい出来だ。

龍になった影響で魔力が数十倍に膨れ上がっているぞ」

 

満足げに言うと、アストルはその小屋の中へ入った。

 

「我ながら素晴らしい出来だ」

 

服を脱ぎ、パジャマ姿になってベッドに飛び込むアストル。

しかし、床に就いても考え事は止まらない。

 

『とはいえ、龍の力を得ても旅ができるのだろうか。

この比較的やさしい始まりの台地ですら、

あのライネルがいた。

それも、現実では人が絶対に敵わないようなモンスターだ。

できれば最強の護衛が欲しいが……

雇うのは無理だろうな。そんなやついるわけないし』

 

アストルはふとベッドから跳ね起き、

ひらめいたように呟いた。

 

「そうだ、あれはどうなった?」

 

 

▲▲▲

 

 

回生の祠。

 

空が紅く染まり、太陽が沈もうとしている中、

アストルは祠の前に立っていた。

 

『祠は無事のようだ。別にリンクの心配をしているわけではない。

ただ、気になるだけだ』

 

 

そう思いながら、彼は壁に触れ、

感触を確かめるように叩いた。

 

 

「設定では、古代の材料から作られていると聞いたが……

確かに素晴らしい強度だ。

だが、入る方法は……ないらしい。

まあ、だろうな」

 

落胆したように呟くと、

アストルは坂道を下り、小屋へ戻った。

 

『リンクはあと100年後に目覚めて

厄災ガノンを倒すのか……マスターモードで?

完全に無理ゲーだろう。俺でも怪しいな。

外の世界がどれだけ人外魔境になっているのか、想像もつかない

リンクと二人で挑めば話は変わるけど・・・!?』

 

「そうだ」

 

彼はふと考えを巡らせ、

歓喜の声を上げた。

 

「そうだ!そうだ、そうだ!

あれを使えば……私は天才だ!」

 

 

▲▲▲

 

 

小屋の中。

アストルは椅子に腰掛け、

机の上で怪しげな光を放つ霊核を見つめながら言った。

 

『私の能力――情報具現化で再現できる空想上の存在は、

ゼルダの伝説に限られる。

それも、私がプレイした作品だけだ……

だが、ブレワイ、ティアキン以外にももう一つプレイ済みの作品がある』

 

 

「空想を現実へ出力する核。

通称、霊核を使えばアイテムだけでなく架空上の生物も生み出せる

人だった私ならまだしも今の私ならいける。

うおおおおおおおおお」

 

 

彼は高揚しながら魔力を凝縮し、霊核を形作る。

 

「今の私の全魔力なら

一個を作り出せるに決まっている。」

 

手の中に完成した大きな透明な核を見て、彼は満足げに頷いた。

 

 

「成功したぞ!」

 

 

▲▲▲

 

 

小屋の前。

朝日が差し込む中、アストルは魔法陣を地面に描き、

そこに自身の血、龍の血を流し込む。

中央には依り代となる霊核を設置。

 

『別に魔法陣は必要無い、

だか、雰囲気が大事だ。

詠唱もしなくてもいいが、した方が集中できて魔力も増す。

思うだか、詠唱したら魔力が増すとはどういう原理だ。

いや、ゼルダの伝説では歌で色んなこともできるし、

詠唱、もとい、歌には魔力を高める効果があるのか』

 

「ふうう、はあああああ」

 

深呼吸をして集中し、詠唱を始める。

手を前にかざし、告げる。

 

『召喚と言えば、やはりこれだろう。』

 

 

 

前世で一番好きな召喚に関する詠唱。

これがあれが一番集中できる

 

 

「素に銀と鉄。爬行するのは龍の血。

 

礎に石と契約の大公。

 

降り立つ風には壁を。

 

四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ

 

閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)閉じよ(みたせ)

 

繰り返すつどに五度

 

ただ、満たされる刻を破却する」

 

龍の血で描かれた魔法陣は赤く光り、

中央においてある、霊核は浮かぶ上がる。

 

 

 

「――――告げる

 

汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に

 

我が意思に従い、この意、この理に、

神に誓うのならば汝は応えよ

 

誓いを此処に

我は常世総ての善と成る者、我は常世総ての悪を敷く者

 

汝星雲の言霊を纏う七天

母なる星より来たれ、天秤の守り手よ―――!」

 

 

霊核が輝きを放ち、魔法陣の光が消えた。

そして、中央に立っていたのは――

 

明るい茶髪、緑の服と帽子を身に纏い、尖った耳を持つ青年。

背中には伝説の退魔の剣、マスターソードが輝いている。

 

アストルは微笑みながら、

言葉をかけた。

 

「初めまして、リンク。

そして――久しぶりだ、リンク」





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