とあるアストル(厄災の黙示録)の女神創造   作:ネシエル

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すみません、遅れてしまい申し訳ありません


第九話 霧の森

森の中

 

霧が立ち込める薄暗い森。

 

木々の影が揺らめき、音もなく広がる瘴気が不気味さを漂わせていた。

 

アストルとリンクは迷いながら森の中を進んでいた。

 

「ふむ、おかしいね」

アストルは足元を確かめながら、周囲を慎重に見渡す。

足場の悪い地面を踏みしめながら、手を木に支え、立ち止まった。

 

そのとき、突如として森の奥から矢が飛んできた。

 

「!?」

リンクの反応は素早かった。背中に背負ったマスターソードを一瞬で引き抜き、

迫りくる矢を正確に切り裂いた。

 

矢の破片が地面に落ちる音が、

森に静かに響く。

 

「やはり、おかしい。森の大きさが想定より大きいのはいいとして、

敵が多すぎる」

 

アストルが冷静に状況を分析する中、

霧の中から瘴気に染まった白銀のボコブリンたちが現れた。

 

複数の武器を携えた彼らは、

ゆっくりとアストルとリンクを取り囲むように近付いてくる。

 

リンクは迷うことなくマスターソードを構え、

突進してきた敵を次々と斬り伏せた。

 

「うがあ!」

 

剣を振り、リンクは迫るボコブリンを盾ごと斬り倒した。

瘴気に染まろうが関係ない

 

彼の動きは正確で無駄がなく、剣閃が次々と敵の首をはね飛ばしていく。

 

その様子を見ながら、アストルは呟く。

 

「リンクは意外とえげつないね。

これ、プレイヤーの残虐性を反映してる結果かな?」

 

彼の言葉には皮肉と冷静さが混じっていた。

 

 

そのとき、アストルの背後にボコブリンが忍び寄る。

リンクがそれに気づき、声を上げた。

 

「!?」

 

振り返ろうとしたリンクよりも先に、アストルが言った。

 

「問題ない」

 

冷静に剣を構えたアストルは、飛びかかるボコブリンの顔面に剣を突き刺した。

 

「びぎぃい!」

 

悲鳴を上げたボコブリンはその場で絶命する。リンクはその様子を確認し、

再び前方の敵に向かうべく戦いに集中した。

 

▲▲▲

 

アストルは戦闘中、淡々と自らの能力について語り出した。

 

『私の能力は空想具現化。作り出したものを自在に操れる。

範囲は私を中心に半径10メートル。範囲内なら意のままだが、

範囲を超えると制御が難しくなる』

 

アストルの周囲には無数の武器が宙に浮かんでいた。剣、槍、斧、両手剣、短剣、刀……多種多様な武器が彼を中心に回転している。それらは高速で回転し、遠心力を利用して次々と射出される。

 

「ゲート・オブ・バビロン、なんでね」

 

アストルは軽く微笑むと、飛び交う武器を操り、次々とボコブリンを串刺しにしていく。血しぶきが舞い、森に血の匂いが広がった。

 

 

『最初は扱いが難しかったけど、今ではこうやって低コストで戦える戦闘方法を編み出した。低コスト、運用費は低く、効率的に戦う術さ』

アストルの声は冷静だったが、その背後では次々と武器が飛び交い、モンスターを打ち倒していった。

 

▲▲▲

ボコブリンたちの死骸が散乱する中、リンクは剣を収め、アストルの元へ歩み寄った。

「終わったのか?」

アストルが問いかけると、リンクは無言で頷いた。

「傷一つないな。相変わらずだよ、全くとんでもない」

リンクはその言葉を聞いて、少ししょんぼりとした表情を浮かべる。

 

「あ、怒ってるわけじゃないよ。ただ驚いてるだけだ。もう慣れたけどね。驚きすぎて表情筋が動かなくなったんだ」

アストルはそう言うと軽く笑い、再び森の中を進んでいった。

 

▲▲▲

 

森の中

 

「すでに入ってから20分が経過したか……」

アストルは森を進みながら呟く。目的地はカカリコ村の隣にある大妖精の泉。防具を強化する大妖精に会うためだったが、入ってすぐに霧に包まれ、魔物に襲われた。森のスケールも異常に感じられた。

 

「一度、飛んでみるか」

アストルは巨大な龍に変身し、空へと舞い上がった。霧を抜け、上空100メートルに達する。そこから森を見渡すと、全体が霧に包まれていることに気づく。だがその大きさは驚くほど小さかった。龍の全長とほぼ同じ程度だったのだ。

 

「この霧、視界を遮るだけでなく、空間そのものを拡大しているのか……なら」

アストルは深く息を吸い込み、森に向かって暴風を放った。時速200メートルを超える風が霧を吹き飛ばし、月光が差し込む神秘的な森が姿を現した。

 

霧が晴れた森の奥、異様な存在が目に入る。大妖精の蕾が赤紫の瘴気に包まれ、不気味に揺れていた。

 

「嘘だろ……」

アストルは目を見開き、リンクに向かって叫んだ。

「リンク、今すぐ避けろ!」

蕾から溢れ出した瘴気がリンクを襲う。リンクはとっさに剣を構え、瘴気を斬り払った。もし盾を構えていたら、体ごと瘴気に飲み込まれていたかもしれない。

 

蕾の前に集まった瘴気がゆっくりと形を成していく。それは血肉で構成された異形の存在――まるで森そのものが歪んだかのようだった。




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