カスな人たち 作:かわいいはせいぎ
「ふぅいー、ただいまかえりましたよっと……。はやくコタツであったまりタイム……」
雑に履いていたサンダルを脱ぎ捨て、手も洗わずコタツへと野球選手もびっくりするほど綺麗なヘッドスライディングで入る。
寒い日に外へ出掛けるなんていう自殺行為をした後、冷たくなった身体を温めてくれるコタツは恋人と言っても過言じゃない。まあそれは起きてる時の話で、おねむの時間になればお布団というバブみを感じられる子に浮気するんだけどね。
「あったかぬくぬく……コタツくんはやっぱり優秀だ……」
コタツからひょっこりと顔を出し、残りの部位はコタツの中に収納する。その様は正しくコタツのカタツムリ、コタツムリである。
「ちょっと……ねむたく……にゃって──ーzzz」
冷え切った身体を温まれば、瞼が重たくなるのは自然の理で。世間の人たちが仕事をする中、ヤニカスお姉さんは眠りにつくのであった──。
──-
「~~~~♪」
「────スンスン」
どれほどの時間眠っていたのだろうか。
軽快なリズムで鼻歌を刻んでいる音が耳に入ってき、お腹の虫が鳴っていしまうぐらい美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐってくる。
これはもう起きる時間ではないか──。
「うーーーん、もうこんなじk「いつまで寝とんねん、このアホンダラ!」ぎゃぁぁぁーいたいいたい!」
寝ていた体を伸ばし起き上がろうとしたら、誰かに思いっきり鼻フックをされてしまった。それも両鼻ともに。
乙女の鼻に指を突っ込むという暴挙に反逆しようと腕を振り回すも簡単にあしらわれてしまう。
「はにゃ、はにゃとれるから! まじで!」
「だまりんしゃい! 私は
「かんぜんなやつあたりじゃん! てかほんとにはなとれちゃうからやめて!」
こちらは鼻が取れそうなぐらいの痛いというのに、仕掛けてきた側は
必死の攻防の末、何とか鼻フックから逃れることに成功した。
「あーめちゃくちゃ痛かったよ! 鼻伸びたらどうしてくれるの!? 私のビューティフルでパーフェクトフェイスの一部である鼻が崩れたらどうしてくれるの!? この、最強パーツである、私のは「ちょっと黙れぇい!」ぎゃぁぁぁー! あたまつぶれるー!」
鼻フックの次はリンゴも粉々にできるであろう威力のアイアンクローを正面からキメてきた。ただでさえ痛いのに伸びた爪が頭に突き刺さり、更に威力が増していることをこのカスは理解しているのだろうか。
ウザいぐらい整った顔目掛け先ほどよりも頑張って抵抗するが、腕の長さで負けていてそもそも当たらず、目の前でこちらを見下しているカスの力は一向に収まらない。
私は頭をザクロみたいに潰されて死ぬのか……と意識を手放しそうになったところに、遠くから天使の言葉が耳に入ってくる。
「ナギちゃん、ごはんの前なのにプリプリしちゃダメよ~」
「……流石にマリを怒らせるわけにはいけないな……。今日はマリの顔に免じて見逃してやるが次はないぞ」
台所から聞こえてきた声にアイアンクローをしてくるカスこと、ナギの力は弱まり何とか死ぬのは回避できたようである。危ない危ない。
暴力女のナギを止められるのは、この家の主でもあり天使の皮を被った悪魔のマリにs────
「あら~、手が滑ったわ~。リサちゃん大丈夫かしら~?」
マリからのほほんとした声を掛けられるがそれどころじゃない。
何故なら私の真横を包丁が通過したのだ。少しでも私が動いていたら確実に突き刺さっていたであろうそれは、ダーツならブルは確実に取れているほどの精度を誇っているだろう。
後ろの壁には今もその存在が深く突き刺さっており、先ほどのアイアンクローよりも明確に死を彷彿させてくる。
もちろんそれを非力な乙女な私が経験すれば起こる現象はただ一つ。
「あぁ……。もらしちゃった……」
「……」
足元から伝わってくるコタツの暖かさとは違う生温かい感触とアンモニアの独特な臭いがコタツのわずかに空いた隙間から鼻を刺激してくる。
あまりの出来事にナギも啞然としていたが、臭いに気付いたのか哀れみを浮かべながらこちらの顔を一瞥し、静かに立ってどこかへと向かっていった。
ああ、死にたい────。
モチベーションあるので次も頑張って書く予定