カードが絶対的な強さを見せる世界でお嬢様は今日もひたすらパックを剝く配信をする 作:らすぼす
『此処から此処までお願いしますわ!!!!』
沢山のパックがある棚の端から端までを指を差すと店員は困った表情をする。
「申し訳ございません。お金は大丈夫ですか?」
『これで足りないかしら?』
ポケットから出て来たのは黒いカード。別に、闇のカードとかでは無く、いやある意味闇のカードなのかもしれない。限度額無制限のブラックカードであるそれを見ると、店員の態度はガラッと変わる。その様子に彼女は慣れた様子で溜息をつく。
『全くいつもこうだから困りますわね?皆様』
そう言って、彼女はカメラマンの方へと顔を向けた。
《コメント欄》
・草
・まぁ、見た目はお子ちゃまだし
・皆金持ちとかが良いカードを買い占めて価値も上がってる中で箱買いどころか棚買いするなんて店も思わないだろ
・↑レアカードだけバラ売りしてる奴を買った方が効率良いもんな
・いっぱい買ってて偉い
・破産しない?大丈夫?
「お嬢様、心配されてますよ?」
黒服を着た白髪の男がカメラを片手にそう伝える。
『心配御無用ですわ……何故なら!今日は朝の星座占いでも一位でしたし?此処へ来るまでの信号は全て緑でスムーズに来れました。何より、この私!豪商院カドナに、ハズレと言う言葉など存在しません。ふふふ……』
「お嬢様、もしかしたら先程ので運使い切ってる可能性はありませんか?」
『私を誰だと思ってるの?私の運はそれっぽいじゃ何とも無いわ。多分……。じゃ、じいや少しだけ残して後は全部車に運んでくれる?移動している間にパックの開封をするから』
「畏まりました」
『皆様〜!カードも集まった事ですし、いよいよ開封の儀と行きますわよ〜!』
彼女が楽しそうにそう言うとコメント欄もそれに応じて加速する。
《コメント欄》
・キタキタきたー!!
・祭りじゃあ!
・やっとか
・さぁ、何が出るかな
・今回は視聴者プレゼントあるかな
・最近無かったし流石にあるだろ
・さてさて、此処最近爆死が多いから此処らへんで流れを取り戻したい所だけど
・さぁどうなる事やら
『ありがとう。それでは早速、一パック目を……その前にパックの概要から。結構バラバラなパックのを買ったので皆様も飽きないかと思いますわ〜。今回のパックは"異世界からの英雄達"を引いて行こうかと。私が思うにこのパックの目玉はロリ魔術師のサダナート・エイラ様なんです。やっぱり何と言ってもその姿。そして、それを決して認めず自分を一人前のレディーだと主張する愛らしさ。なのに、戦闘面ではめちゃくちゃ頼りになるお姉さんって言うギャップもまた私は最高だと思います。見た目は幼女なのに、周りより一回りぐらい年齢が高くて経験豊富だけど甘いものが好きで怒っていてもすぐ釣られるそう言うチョロい所も私は大好きなのです。だから、どうか出て欲しい。どうかどうかお願いします……』
結局最後は神頼み。暫く祈った後、彼女は意を決した様に勢い良くパックを破る。
『一枚目、コモン。二枚目レア。三枚目魔法カード。四枚目……これは?』
三枚目から四枚目へ捲る時うっすら光が漏れた。それによって彼女の期待とテンションは爆上がりする。震える手を深呼吸で落ち着かせながら、捲るとそこには……光り輝く。
こんがりと焼けた肌で腕組みをしている半裸で筋肉質のおじさんがいた。
『……は?』
《コメント欄》
・草
・良かったね!当たりだよ!
・本当の目玉カード当てたのに全く嬉しそうにしてなくて草
・エイラは結構デッキを選ぶからな。そのおっさんの方が使えるぞ
・凡庸性のあるおっさんだからな
・お嬢様、エイラはね強いけど条件下じゃ無いと弱いんだよ。おっさんはいつでもフルパワー出せるから使え♡
・露出度高いじゃん良かったね!
・いらないならくれ
・主人公の師匠ポジのおっさんじゃん
『こ、これは皆様にあげますわぁ!!私、別におじさんいらないですし!それに……おじさんが五枚目も出て喜べる方がおかしいのでは!?』
お嬢様はついに耐えきれなくなってキレ出した。欲しかったのはおじさんでは無く、美少女だったのだから当然の反応だ。
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