カードが絶対的な強さを見せる世界でお嬢様は今日もひたすらパックを剝く配信をする   作:らすぼす

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開封配信の続き/この世界について《side爺や》

 

『何で。何で出ないの?』

 

「お嬢様、座席を蹴らないで下さい。はしたないですし、事故りますよ」

 

それに対してお嬢様は怒りを抑えられない様子で言葉を返す。

 

『だって爺や!エイラ様だけ出ないのはおかしいと思いません?こんなの絶対確率操作してるに決まってますわ!』

 

推しが出ない事に苛つきながら消化試合となってあまり興味の無い他のパックを剥く。時折、あ。この子可愛いですわねと捲る手は止まりつつも彼女のイライラは止まらない。

 

《コメント欄》

・また燃えるのか……

・ノシ燃料

・炎系お嬢様だからな

・その度に爺やが謝罪動画を出すの草

・その後にお嬢様が謝るのも最早日常

・まるで会社の社長だな

 

「また燃えますよ」

 

『燃えて推しが出るのなら何度でも燃えてやりますわよ?もう』

 

最早爺やの忠告など何処吹く風。彼女は、唯ただ無心でパックを剥き、カードを引いていた。因みにそのせいでレアカードを神引きしまくっていたのだが、お嬢様の琴線には一切触れなかった。お嬢様は可愛いキャラ以外のカードには興味が無いのだ。

 

『また出ましたわコイツゥゥゥ!!』

 

《コメント欄》

・首狩りのデュラハンさんコイツ扱いされてて草

・結構優秀で使えるのに公式には君クビね(笑)ってクソみたいなジョークネタにされてるし、お嬢様にはコイツ扱いされて可哀想

・常識人枠だぞ

・デュラハンさんも首を縦に振ってそうだそうだと言っております

・首無いのに?

・無いのは頭だよ

 

「お嬢様、今は何のパックをお剥きになられたのですか?私はあまり詳しく無いのですが」

 

配信をしているのも忘れた様子で剥いていたので、フォローも兼ねてそう声を掛けた。

 

『あー、今のは"惨劇の騎士団"ですわね。はい……次、行きますわー』

 

それからお嬢様はひたすらパックを剥いたが、望みのカードは出なかった。

 

『皆様今日も見て頂き有難う御座います。それではご機嫌よう♪』

 

《コメント欄》

・乙

・そう言えばお嬢様って強いのかな?

・さあな

・乙〜

・ご機嫌よう〜

・カード開封ASMR助かる

・もう終わりかー

 

 

 

 

 


 

 

 

『あー疲れた』

 

「お疲れ様ですお嬢様」

 

『爺やもお疲れ……って言いたい所なんだけど最後に発送だけしといて貰える?ごめんね』

 

「いえ、構いません」

 

この世界はカードが全てだ、カードバトルの勝ち負けで全てが決まる。のだが、カードショップの存在がかなり貴重になっている。強奪、破壊、そして極一部の富裕層買い占めにより、少ないカードショップすらも閉店に追い込まれている。

 

そのせいで、デッキを作る事すら困難だ。なのにカードバトルの熱は引く事を知らない。そして最近、カードを持たない者に勝負を挑んで不戦勝で勝利する輩が増えているらしい。彼らは自らを幸せの青い鳥と名乗ってるそうだ。幸運を届けてくれる筈の青い鳥が、不幸を届け幸運を掻っ払っていくのだから皮肉な物だと思う。

 

そこでお嬢様は思った。カードが買えないのならタダで配れば良いじゃない、と。彼女の買い占め行為は一見私欲の為に行われてると思われているが、実は違う。彼女は皆の為にやっているのだ。人々の為に、まだ幼いのにまるで聖女の様な心を持っている。私はそう思いながら、今日も彼女を見守る。彼女の行動には全て理由がある。だから私は彼女のために動くのみだ。

 

全国の孤児院に向けて今回買ったカードの殆どを発送させると。私はお嬢様の部屋へ戻った。

 

『聖女ルーちゃぁん!!!今日もレイラちゃん出なかったよぉ!』

 

スウェットに着替えたお嬢様は抱き枕に抱き付きながらバタバタしている。

 

「お嬢様……」

 

これもまた彼女の魅力である。

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