カードが絶対的な強さを見せる世界でお嬢様は今日もひたすらパックを剝く配信をする   作:らすぼす

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お騒がせの鳥《side来訪者》

 

「俺とバトルしねえか?オジョウサマ」

 

『しません』

 

さっきまでのキラキラした顔とは違って冷てえ目をしながら、オジョウサマは言った。おいおいそれじゃあ困るぜ。やっぱりバトルはしない主義なのか?それともオジョウサマらしくケガをしないアンゼンケンから札束でしか殴れねえのか。

 

無意識に出る舌打ちを無視しながら、俺は会話を続けた。此処ではいそうですかと変える訳には行かねえからだ。そうなるとメンドクセー事になる。俺が。幸い、俺の手札にはどうにかなりそうな情報(カード)が一枚あった。それが引っ掛かるどうかは知らねーけど。やってみねえと分っかんねえよな。

 

「おいおい何でだよー?やろうぜ!バトル」

 

『やりません』

 

「……サダナート・エイラ」

 

『は?』

 

体は動かさず、頭だけがこちらに向く。その顔は……俺が良く知っている欲望の顔だった。そうなったらこっちのモンだ。心の中で笑いながら、俺はそれを出さない。知ってるか?カードゲームにはボーカーフェイスが強いんだぜ?

 

「知ってるぜ?好きなんだろ?じゃなきゃあんなにカネを出してカードを買わないもんな」

 

『よくご存知の様で。それが何か?貴方が下さるの?』

 

「いや、流石に持ってないさ。憧れはするがな……それがあれば一体いくらに変えられる事やら」

 

『……話はそれで終わり?』

 

「まだ終わりじゃない、俺は情報を持っているんだ。オジョウサマなら知ってるだろ?最近街を騒がしている鳥の話。俺はそこに所属している、此処だけの話。金さえくれればアンタに情報を流してやっても良い。昔は情報屋もやってだからそのツテでレアカードの情報は毎日の様に流れてくる。デマ情報も多いが、そこは俺を信用してくれ」

 

『へぇ、貴方から情報を買えって事?カラスさん』

 

「カラス?……ああ、確かに俺はゴミ捨て場がお似合いの存在だよ。まさか、面と向かって言われるとは思わなかったけどなぁ。やっぱり、オジョウサマだから何にも知らねえんだな」

 

『どう言う事かしら?』

 

しらばっくれやがって。調べなくても想像が付く。どーせ優しい父親と母親に沢山の愛を注がれて何不自由無く、空腹も絶望も悲しみも苦しみも知る事無く育ったんだろ?そう言う顔してるぜ。

 

「アンタには人の気持ちが分かんねえだろ?だから、そうやって平然と人を罵れる。そのくせ、危なくなったらすぐ逃げる。俺とのバトルから逃げるのもそうだろ?」

 

『違……』

 

「違わねえだろ、周りを見てみろ。カードバトルをやってねえ奴の方が少ないぜ?そうだな、なら。俺が買ったらアンタは金を払って俺の情報を買う。その代わり、俺が負けたら情報をタダで売ろう。これでどうだ?」

 

バカな俺が生き残るには、ひたすら大人に勝つしかなかった。バトルで勝つ為には最近の流行りのカードやそれに対抗するデッキを考えて戦う事がイチバン。だから、情報屋になった。そうすれば色々な情報が入ってくるし、たまにデマを流して八百長試合をさせたりする。そのせいで口のうまさには自信があった。特に今回は絶対乗ってくる。こう言う相手ならこーいえば絶対。

 

『……バトル。でも、』

 

まだ迷ってる様だから此処で仕留めるか。

 

「アンタが失うのは金で俺が失うのは信頼だ。どう見たって釣り合ってない。初対面の俺が此処まで言ってるのに、アンタはそれを無視すんのか?」

 

「悲しいね……そんなに俺は信用が無いか」

 

声を震わして泣き真似をすると、慌てた様にオジョウサマはバトルをやると言った。やっばりちょれーな。サクッと勝って臨時収入でウマいもん食いてえな。

 

「それじゃあ、バトルと行くか!」

 

この先の明るい未来に期待しながら、俺はバトルの宣言をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

『「チェックメイト」ですわ!!』

 

「嘘だろ?」

 

数分後、俺は何も出来ずにオジョウサマに負けていた。

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