カードが絶対的な強さを見せる世界でお嬢様は今日もひたすらパックを剝く配信をする 作:らすぼす
『〜〜♪〜〜〜♫』
「楽しそうですねお嬢様」
人が幸せなのを見ていると気分が良い。ましてはそれが自分のお陰ともなると尚更だ。この上ない幸せだと思う。
『ええ、爺やのお陰で情報屋をサクッと倒してエイラに関する情報が手に入りましたし!正直バトルはしたくなかったけど……』
この世界はカードが絶対的であると言うのは前言った様な気もするが、カードバトルの結果も全てである。敗者はそれ相応の覚悟を背負わなければいけない。
お嬢様のご両親は、お嬢様がまだ幼い時にカードバトルによって亡くなった。
そのせいでお嬢様はカードバトルをしない物だと思っていたが、それはどうやら杞憂だった様で。デッキを持ち歩いてなかったので、私が昔使っていたデッキを貸し、ルール自体も理解していなかったからイヤホン越しにナビゲートしながら解説をした。正直ゲームとしてはかなりグレーだが、バレなかったのでギリギリと言った所か。今まで絡まれていた時は私が対処をしていたので、今回は驚いた。
『それにしても私が最近おっさんばっかり引くのは青い鳥のボスのせいだと分かってスッキリしましたわ!』
まぁ、この幸せそうな笑顔には何も変えられない。もし、罪に問われたから代わりに喜んで豚箱にでも何でも入ってやろう。この笑顔が守れるのなら。
「まさかお嬢様みたいな人間が他にもいるなんて驚きましたよ」
情報屋によると、幸せの青い鳥のボスは大の美少女カードコレクターらしく好きが暴走して店の在庫やパックを奪い、今回みたいな事態になったとの事だ。でも様子がどうもおかしいらしい。
『それはどうでも良いの。大事なのは、私の!美少女カードが手に入らない事。これは由々しき事態って言う奴ですわ!』
「成程。今までただ単に運が悪いだけかと思っていましたが、ちゃんとした理由があったのですね」
『私は運が良い方なので!つまり、ボスがパックを奪うのを止めさせれば良いって事ですわ!』
「でもどうやってやれば良いのでしょう?ボスの居場所も分からない。次に何処の店を襲うのかも分かりませんし、先読みや辺りを付けるにしてもカードショップは少なくなっているとは言え、私達二人で待ち伏せしたってあまりにも効率的ではありません。それに初対面の私達の意見をあっさりと聞く様な人ですかね」
そう言うとお嬢様は頭を抱えてしまった。きっと何か考えてるんだろう。少し経てば名案が思い付くに違いない。それから少しの間、唸っていたと思ったら急に立ち上がった。
『爺や』
「はい?」
『なんでも良いからパックを沢山頂戴』
「良いですけど、何故ですか?」
『爺やのデッキさ、ゴツい男ばっかりで可愛いキャラが一人も居なくて美少女成分不足だからパックが欲しい。今日は疲れたし、ボスの事は後にする』
「畏まりました」
倉庫から美少女が出るパックを箱ごと出し、そのままお嬢様に渡した。
『さてさて、お楽しみの時間ですわー!今日はちょっとしか引いてなかったから消化不足でしたのよね。この為に生きてると言っても過言じゃないのですから』
「今回は数ヶ月眠らせた『
もう私の声は届かず、お嬢様は熱心に出るカードの一覧を舐め回す様に眺めていた。はぁはぁと息を漏らしながらパックを見る彼女のその姿は、私で無ければ通報されるだろう。