(銃撃音及び爆音が絶え間なく響いている)
【ぎゃあああぁああ!?】
【レイがやられた! 救護班は!? 援軍は!? 何時になったら来るんだ! これ以上は持たないぞ!】
【持つも何も最初から無理に決まってんだろ! 奴等に俺達の武器が通じた事があるかよ!】
【食い止めるなんて最初から無理だったんだ! 退却するしかない!】
【俺達が此処を逃げたら、アイツらは町まで行くぞ! 俺には娘が、あ、ぎゃああっ】
【くそっ! またやられたぞ! 土嚢も鉄条網もなんの役にも立たねぇ! なんなんだよあの光は! なんでぐにゃって曲んだよ!】
【作戦本部の連中は何やってんだ! 戦車どころか戦闘機も来ないぞ! 空爆は何時再開するんだ!?】
【そんなの分かりきってんだろ! とっくに全滅してるに決まってる! あの変な光に全部撃ち落とされてな! 今じゃもう俺達歩兵しか残ってねぇよ!】
【士気を下げるような事を言うんじゃない! 戦わなきゃ終わりなんだぞ!】
【畜生っ! あんな化け物の意味分かんねぇ攻撃で死ぬなんて、そんな最期はごめんだ!】
【あ、ああ……主よ、何故こんな……】
【何時まで不貞腐れてんだテメェは! 十字架を握る前に銃を持て! 撃ちまくれ! どんな化け物だろうが、銃で死なない訳がねぇ!】
【銃なんかで死ぬ訳ねぇだろアイツらが! 戦車も空爆も効かねぇんだぞ!】
【じゃあどうしろってんだよ! このままじゃ……】
(今まで鳴っていた爆音が急に静まり返った。銃声も少しずつ静かになる)
【ま、待て! 見てみろ!】
【アイツら、退いてる……?】
【逃げてる……奴等逃げてるぞ!】
【な、なんだ? 俺達が勝ったのか?】
【勝ったんだ! 奴等ついに逃げ出したんだ!】
【い、いや、おかしくないか? 戦車も爆撃も効かなかった奴等が、なんでここで帰るんだ?】
【いいじゃねぇかそんなの! 俺達が勝ったんだからよ! 合衆国万歳ってな!】
【いぃやっほおおお!】
【生きて帰れるぞぉぉ!】
(言葉が聞き取れないほど激しい歓声が響く)
【作戦本部に連絡だ! 奴等の驚く顔が目に浮かぶぜ!】
【お、おう。それは、なんであれ必要だな……】
【お前は心配性だなぁ。ほれ、俺が代わってやる。そんなに心配なら見張りでもしとけ】
【あ、ああ……】
【たく。アイツの心配性は相変わらずだな】
【ま、気持ちは分かる。なんで奴等が引き返したか分からねぇからな。兎に角報告を】
【や、ヤバい! みんな逃げろ!】
【……今度はなんだ?】
【つ、津波だ! 津波がここに迫ってる!】
【はぁ!? 海からここまでどんだけ離れて……】
【嘘だろオイ!? 作戦本部からも退却命令だ! 津波が来るから全隊高台に避難しろって……】
【ど、どういう事だよ!? なんで津波が……】
【奴等は逃げたんじゃない! 俺達を全滅させる準備が出来たから、帰っただけなんだ!】
【畜生! 全部奴等の掌の上って事かよぉ!?】
【兎に角逃げろ! 少しでも高い場所に避難するんだ!】
【で、でも此処は平地で……】
【建物の上でもなんでもいい! 兎に角高い場所に逃げ】
(激しい水音と共に音声が途絶える)