Archives   作:彼岸花ノ丘

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No.07 テレビ報道

(放送スタジオと思われる場所で、男女四人が横並びになっている)

 

若い女性:かの生物は自衛隊により撃退された、という認識でよろしいでしょうか。

 

中年男性:防衛省はそのように発表しています。ですが実情は、全くの別物であるように思えます。

 

若い女性:別物と言いますと?

 

中年男性:今回も米国同様、市街地への上陸というのもあり、民間の目撃例は非常に多いです。中には自衛隊による攻撃を目にした者もいます。ですが生物が負傷したという、明確な証拠がありません。

 

若い女性:自衛隊によるミサイル攻撃を受けたのに、傷を与えられなかった、という事ですか?

 

中年男性:勿論あくまで目撃証言です。今後の調査で生体の破片などが見付かれば、与えたダメージの大きさを測れるでしょう。ですが最終的に自力で立ち去ったという事は、歩き回れる程度には健康的だったと言えます。

 

中年女性:それってつまり、自衛隊の装備に問題があったって事なのかしら?

 

中年男性:いえ、そうとは限りません。防衛省の発表では攻撃に不備はなく、また生存者の目撃情報から判断しても極端な失敗はなかったと思われます。そもそもミサイル着弾時の映像が動画サイトなどに流れていますが、爆発自体は起きています。多少不備があったとしても、数百度の高熱に晒されている事実は変わりません。普通の生物ならば、致死的な火傷を負う筈です。かの生物は我々の常識外の防御力を有していた、と言うのが正しいでしょう。

 

中年女性:ううん……

 

初老男性:しかしそうなると、ネット上で噂されている、所謂陰謀論ってやつですかね、あれが真実味を帯びてくる、という風に感じるのですが。

 

中年男性:陰謀論と言うと、中露生物兵器説でしょうか。現時点では情報が少なく、否定も肯定も困難ですが、恐らくその可能性はないかと。

 

初老男性:と、言いますと?

 

中年男性:まず現代の生物兵器において、生きた生物を使う事は、少なくとも国家としてはあり得ません。何故なら結果が予測出来ないからです。単純な細菌でさえ、完全なコントロールが出来る訳ではありません。つまり予期しない行動により、自国兵士や国土が攻撃を受ける可能性が生じます。

 

初老男性:しかしね、犬ぐらい賢ければ訓練でどうにかなるのではないでしょうか。あの生物は大きいし、かなり知能も高いのでは?

 

中年男性:その犬で失敗しています。第二次大戦で爆弾犬という、犬に爆弾を背負わせて自爆させるという作戦が考えられました。犬達に、戦車の下に餌があると教える事で、敵戦車を爆破するというものです。その結果何が起きたかといえば、戦場の音に驚いて自陣に戻る、自分の国の戦車の下に潜るなどして、却って自分達がダメージを受けています。生き物なんて簡単に操れる、自分達の思い通りに動くと考えるのは間違いです。もっと賢ければ、それこそ出し抜かれる事もあるでしょう。

 

初老男性:むぅ……

 

中年男性:それに細菌なら冷凍保存も可能でしょうが、ああも大きくてはそれも無理でしょう。だとすると餌代は掛かりますし、飼育施設の維持費や、管理する人員も必要です。当然これらにはお金が掛かります。あまり経済的とはいえず、普通にミサイルを買う方が戦力は安価に強化出来るでしょう。

 

初老男性:……成程。しかしあんな生き物が、自然界にいるとはとても思えませんが。

 

中年男性:それについては、なんとも言えません。ただ、人類は全ての生命は勿論、地球の全てを知っている訳ではないのですから、知らないから人工の生命だというのは論理の飛躍でしょう。

 

若い女性:解説ありがとうございます。まだまだ謎は深まるばかりです。次は今回の事態に対する、与野党の動きについてお伝えしたいと――――

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