ルパン4世with銭形   作:メジロカイリキー

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10話 飛行機着陸大作戦!

「平一、大会優勝おめでとう」

 

父さんが俺を褒めている。あぁ、これ確か小学校の頃空手の全国大会で優勝した時だな。小6ぐらいか?

となるとこれは走馬灯ってやつか…死ぬ寸前に生前の記憶が蘇るって話だったか?

 

「父さんもありがとう。警察の仕事忙しい中来てくれるなんて嬉しいよ」

「……まぁ奴は最近おとなしい、いや全く出てこなくなってる。アジトを片っ端から捜索したがそこにもいないからな…お陰でルパン専任捜査官のワシは暇で仕方がないわい」

 

そんなこと言ってたな…この頃から父さんは家に帰ってくるようになった。ルパン逮捕で世界を駆け巡って全く家に帰ってこなかった時もあったから。

 

「ワシはルパン逮捕が生き甲斐だ。だが、それと同じく歳子や平一の成長を見るのも生き甲斐だ。歳子は東大合格したし銭形家は順風満帆そのものだ!」

 

姉さんが東大受かったのもこの時か…父さん合格発表の際大泣きして喜んでたなぁ…

 

「帰りに何か食べるか?何が食べたい?」

「カップラーメン!」

「カップラーメン?そんなもんはいつでも…」

「父さんが作るカップラーメンが食べたいんだ!」

 

懐かしいなぁ。あの頃は楽しかった。

 

「よぉし平一!そこまで言うなら銭形特製のカップラーメンを作ってやる!」

「ホント!ヤッタァ!」

「こらこら平一、あんまりはしゃぐな…すみませんうるさくて…こら平一!待ちなさい!」

 

俺は嬉しさのあまりはしゃいで走ってる。昔の俺はこんなに落ち着きのないガキだったのか…

 

「待てぇ平一!平一……平一…」

 

「平一!」

 

ハッと目が覚めると飛行機の中にいた。

 

「平一!倒れてるけど大丈夫なの!?」

 

アリアが心配そうに俺に近寄って話している。どうやら現実に戻されたみたいだな。

 

「……あぁ…懐かしい夢を見てただけだ。大丈夫」

 

そう言って立ちあがろうとするが体のあっちこっちが痛くてうまく起き上がれない。

 

「肩を貸すわ!あたしに掴まって!」

 

アリアは手を差し伸べてきたのでお言葉に甘えてアリアと肩を組んだ。だがうまく肩が組めないためアリアは俺の体を掴んで支えてくれた。そのおかげでなんとか移動できた。

 

「身長差があるからうまく肩組めないし…てか俺の胴体掴んでるだけじゃん…」

「いいの!アンタ軽いからこのぐらいなら平気よ!さっさと歩きなさい!」

 

やれやれ…優しいんだか厳しいんだかわからんな…

 

「平一、アンタどんな夢見てたの?」

「…昔の夢さ。父さんの思い出かな…」

「もしかしてお父さんって銭形警部?」

「よく知ってるな」

「えぇ。ロンドン武偵局じゃ有名人よ。ルパン3世のライバルでいっつも逃げられてたって。でもいくつもの巨大組織を潰した伝説の警察官って。銭形管理官からも色々話を聞いてるわ」

 

姉さんが父さんの話をアリアにしてたのか…なら、父さんが亡くなったのも知ってるな…

 

「父さんはルパン逮捕に命をかけてた偉大な警官だ。その息子もルパンの娘と対決するとは何かの因果かねぇ…」

「私もある意味そうよ。ひいお爺様がかつてアルセーヌ・ルパンと対決したもの」

「……もしかしてアリアはシャーロック・ホームズの子孫か?」

「えぇ。初代からわたしは4代目。4世になるわ。シャーロック・ホームズは武偵の始祖ともいえる偉大なひいお爺様よ。お互いルパンに因縁深いなんてあたし達なんだか似たもの同士ね」

 

少し面白いな。いやはやアリアがそんな有名人の子孫とは。

そんな話をしていたら飛行機の操縦室のとこまで来た。キンジは操縦席に座り何やらどこかと話してるみたいだ。

 

「今キンジは学校に連絡して仲間と情報共有してるわ。今のキンジは航空無線全て聞いて状況判断できる凄腕のスーパーキンジモードよ」

 

キンジが飛行機の操縦…?いや、キンジの口調とアリアの話で何となく普段のキンジじゃないなと感じた。ヒステリアモードのキンジになったのか。なら安心だな。

 

「羽田に戻って着陸でいいじゃないか。出来ないのか?」

「空港は封鎖されたから無理よ。防衛省からの指示でね。街に墜落するのを防ぐために外には戦闘機。ミサイル攻撃受けて燃料も危ないしかなりヤバい状況よ」

 

防衛省に戦闘機…街を守るために出てきたってわけか…さらには燃料がもうない。危機的状況過ぎるだろ…

 

「アリア、空き地島に着陸する。そこなら着陸するまでの距離は確保出来るからな」

「大丈夫なの!?」

「俺を信じろ。俺は君を死なせたりしない!」

 

そんなやり取りしてたら操縦室のドアから乱暴にノックする音が聞こえた。

 

「何がどうなっているんだ!」「私達大丈夫なの!?」「翼から火が出てるんだぞ!この飛行機ヤバいんじゃないか!」「機長はいないのか!」

 

乗客の叫びが部屋の中からでも聞こえてくる。

火が出てる、その言葉と理子が逃げた時に見たエンジンの出火を思い出して震えが出てきた。が、今は怖がってる場合じゃない!

 

「…乗客を説得してくる。部屋で大人しくしておくように伝えないと着陸の際に怪我する可能性があるからな」

「平一!アンタは怪我人なんだから無理しちゃダメよ!」

「怪我人?大丈夫だ。さっきまで歩けてたしな。なぁに。すぐにわかってくれるさ」

 

大丈夫ではないがな。今は薬が切れて痛くて痛くてしょうがない。正直横になりたいぐらいだ。だがそんなのしてる暇はない。

ドアを開けると通路には老若男女、多数の乗客がいた。中にはCAさんもいる。

最初みんなが俺を見た際にギョッとした。当然だな。鼻血は出てるわ制服はボロボロだわさらにはナイフが体に2本刺さってる人間見たらそりゃそんな反応になる。

 

「私は武偵の銭形平一と申します。この飛行機は先程爆弾魔がいました。現在は逃走して機体外に逃げて行きました。機長や副機長はそいつのせいで飛行機にはいません。今私の仲間2名でこの飛行機を操縦しております。ただいまから着陸するためどうか部屋で大人しく待機してCAさんの言う通りにしてください」

「機長がいない!?ふざけるな!じゃあ俺ら死ぬのかよ!」

 

一人の男が声を上げる。

それに続けて乗客が色々言い出した。

 

「それに爆弾魔って…そんな危ない奴がいたのにフライトしたの!?」「そいつまだ機内にいるんじゃ…」「飛行機を着陸するってパイロットじゃない人間が出来るわけないだろ!」「爆弾魔が逃げたなんか信用できるか!武偵ごときが!」「俺は死にたくねえよ!武偵に命なんか預かれるか!」「今火が出てるんだぞ!そんな無責任な言い方するな!何とかしろ!」

 

「やかましいィ!!!」

 

その一言でシィィンと静まりかえった。

 

「……失礼しました。確かに不安になる気持ちはわかります。どうか部屋で大人しく待機してください。我々が無事にあなた達を家に帰すことは保証いたします。今爆弾魔はもうこの機体にはいません。なので安心して部屋へお戻りください…どうか…お願いします!」

 

俺は精一杯頭を下げてお願いした。そのせいで体の中で何かが逆流したのか何かが口から吐きそうになるがそれを抑えた。

 

「……あんた、その姿は爆弾魔ってのと戦ってそうなったのかい?」

 

一人の乗客が前に出てきて俺に言った。俺は「はい」と頭を下げたまま答えた。

 

「こんなに身体張って戦ったんだな…しかも今立って俺達の前に出ているなら爆弾魔はいない。まぁやっつけてくれたんだな……俺たちの為に戦ってくれたもんだよ。俺はあんたを信じるよ。みんな、部屋に戻るぞ!武偵の皆さんを今は信じよう!」

 

乗客のその呼び方にみんな部屋へと戻っていった。みんながいなくなってから

 

「ゴホ…かぁはぁ…!」

 

頭を上げたと同時に咳をして血を吐いた。肋骨が肺に刺さってしまったせいで今気管に血が入って咽せやすくなっている。さっきの吐き気はそのせいだな。飛行機も俺もかなりヤバいかもな…

操縦室に戻り、窓から外を見るとレインボーブリッジの向こうに空き地島が見える。俺はふらついて壁にもたれかかるようにしゃがんだ。

 

「平一!大丈夫!?」

「大丈夫……少ししんどくなっただけだ……乗客はみんな部屋で待ってくれているから今のうちに着陸しようぜ…」

「……見えないんだ…」

「キンジ…?何が見えないんだよ…?」

「島が見えない…!暗すぎてどこにあるのかわからない!距離感が掴めないんだよ!」

 

この感じは普段のキンジだな…てか、島が見えない!?じゃあ…着陸出来ないのか…!?

 

「だったら……水面着陸だ…!それなら…」

「ダメだ!今機体はかなりダメージを受けている!それで水面着陸したらバラバラになるぞ!」

 

クソ!じゃあこのまま墜落するのかよ!

 

「…キンジ、諦めないで。武偵憲章第10条、諦めるな。武偵は決して、諦めるな。大丈夫よ。キンジならいけるわ…それにあたしはママの冤罪を晴らしてない…こんなところで死ぬわけにはいかないのよ!」

 

その通りだ……それに俺は、父さんの仇を討ててない!それを果たすまでは、死ねないし、死なない!

俺も何かできるはずだ!そう考えて立ち上がって見ると窓の外には2本の光のラインが見えた。その時着信音が鳴った。

 

『キンジ!俺だ!見えてるか!?島を照らしてるんだ!装備科からありったけのライトを持ってみんなで島の両端に設置した!着陸したら全員分の反省文書いてくれよぉ!』

 

武藤の声だ。武藤や学校のみんながやってくれたのか…?

 

『キンジ!平一!アリア!もう少しだ!頑張れよ!』『機体が見えたぞぉ!』

「……バスジャックの時バスに乗ってた奴だ。みんな、俺たちのために駆けつけてくれたんだ…」

「……死ねない理由がさらに出来たな。反省文100枚書きますか…あいつらのためにな」

 

そこから着陸した。着陸の衝撃で俺は転けてしまった。

 

「「止まれぇぇぇ!!!」」

 

二人で懸命にブレーキをかけるが、機体のスピードが落ちない!

このままではマズイ!そう考えて俺もブレーキを一緒にかけた!

 

「「「いっけぇぇぇぇ!!!!」」」

 

その瞬間轟音と共に機体が激しく揺れた。そこから回転して、止まった。

それと同時に俺は吹っ飛んでしまい、どこかに頭をぶつけて、意識が落ちた。

 

 

「キンジ!平一!無事か!?」

 

聞き慣れたその声で重い瞼を上げた。そこには武藤の姿が見えた。

 

「……武藤か。あぁ、大丈夫だぁ…」

「お前…とんでもないぐらい怪我してるじゃねえか!おい平一!大丈夫か!?」

「大丈夫だっ……がはぁッ!」

 

安心して体を起こそうとしたらまた血を吐いてしまった。そのまま倒れてしまい意識が段々暗くなってきた。

 

「無理に話すな!おい!平一がやばい!血を吐いてる!急いで運び出せ!」

 

周りの音が大きくなってきた。武藤の声で何人かが操縦席に入ってきたんだろうな………やばい…俺の意識はそこでまた…落ちていった。

 

 

 

目を覚ますとそこには無機質な白い天井が見えた。病院だな。俺が起き上がった瞬間

 

「平一!!意識を取り戻したんだね!」

 

姉さんは泣きながら俺に抱きついてきた。

 

「イタタタタ…」

 

姉さん、痛い。

 

「あ、ごめんね!」

 

姉さんはすぐに俺から離れた。

横には母さんもいる。

 

「…あれからどれくらい経ったんだ?」

「丸一日ぐらいだね。よかった…平一が目を覚ましてくれて…」

「平一、歳子凄く心配してたんだよ?警察の仕事ほっぽり出してここに来てくれたんだから感謝しなさいよ?……おかえり」

「ただいま母さん。母さんにも心配かけさせてごめん。とりあえず腹減ったからなんかちょうだい」

「あんたこの状態でよくそんなセリフいえるわ…あの人そっくりね…はい、りんご」

 

母さんからりんごを貰い食べた。腹減ってたから無性に美味く感じる。

 

「先生ビックリしてたよ。歯が折れてるし肋骨3本折れてるわ、それが肺に刺さってるわ、ナイフはかなり深くに刺さってるわ、足の骨が折れてるわで…しかも出血がすごくてあともう少し遅かったら死んでたらしいよ?」

「まぁ死んだら父さんのところに行くだけだよ。母さんの近況報告してやろうか?最近ネトフリでイカゲームハマってるとか」

「ふざけないの。縁起でもない」

 

懐かしい感じがあっていいな、家族は。

 

「そういえば飛行機は?乗客は無事なのか?」

「……飛行機は人工フロートに設置してた風力発電の風車が翼に当たったおかけでそれで止まったんだ。乗客に怪我人なし。遠山くんも神崎さんも無事だよ…」

 

あの時一回転したのはそういう事か…キンジ、これも計算のうちであの島に着陸したんだな…

 

「怪我人は俺だけか…」

「さぁ、歳子は仕事に戻んなさい。平一は私が見とくから」

「……お母さんありがとう。じゃあ平一、また後でね」

 

姉さんは部屋を出てった。そこから母さんといろんな話をした。ハイジャック事件の事を一通り話したら次は学校はどうだの友達はいるかなど他愛もない話だ。

 

「そう。友達と一緒に止めたんだね…」

「あぁ。キンジやアリアは凄いよ。アイツらいなかったらヤバいよ」

「友達は大切にしなさいよ?高校の友達って社会出てからも付き合い長いから」

 

俺は軽い返事で返した。

 

「……平一は武偵続けるの?」

「あぁ続ける。さっき話したけど乗客が「俺はアンタを信じる」って言ったんだ。俺は人を守りたい。その思いは変わらないからやりたいんだ」

嘘である。実際には違う理由だがそれを言えば母さんは止めるだろう。

「私は、基本的にはアンタ達がやることは止めずに見守るようにしていきたい。でもね、どうか危ないことはしないでほしいってのが母としての心情だから…危なくなったりしたらすぐに、逃げるんだよ?」

「……わかってる。母さんより先に死なないさ。安心して欲しい…」

「そんなことを信じれるような自分でいたいわ…なにせあの人を失ったせいか…不安なのよ…」

 

そんな話をしてると病室の扉が開いた。見るとキンジとアリアが来てくれた。

 

「あぁ…初めまして。平一の母です。いつも息子がお世話になっております」

「初めましてお母さん。遠山キンジです。こちらはアリアです」

「キンジくんにアリアちゃんね……これからも平一をよろしくお願いします。それじゃ私は失礼しますね…」

 

母さんが部屋を出てった。キンジとアリアは何故か最初肩で息をしてたのが気になった。さらにキンジは制服のジャケットないし。なんかあったなこりゃ。

 

「何があったんだ?」

「逃げてきたのよ」

「何に?」

 

アリアから説明を受けた。アリアは今日ロンドン武偵局からの迎えのヘリに乗って帰る予定だった。だけどキンジが引き止めたからアリアもヘリから降りて、さらにそれから二人で逃げてここに来たらしい。

話を聞くとヤベェことしてんなぁコイツら。しかもロンドンの武偵から逃げてきたって…

 

「今回の事件で武偵殺しに関してはママの冤罪がわかったから裁判の再審が決まったのよ」

「へぇ。そりゃよかった」

「あたし一人じゃこんな事出来なかった…ドレイ…パートナーであるキンジのお陰だし、ハイジャックの時アンタに助けられたわ。今回は大手柄よ」

「大した事してないさ…それに今回の事件は理子に騙された俺が一番の戦犯さ……バスジャックの時も俺がヘマをしなければアリアは怪我をせずに済んだ…ハイジャックも理子に誘導されて二人に危険な思いをさせてしまった……俺のせいだ…………ごめん…」

「いいのよ。結果的に事件解決したから問題ないわ。それより…」

 

アリアは俺を指差して

 

「平一!アンタはあたしのドレイになりなさい!キンジとあたしの三人で最強パーティを作るわよ!」

 

最初に部屋で言ったセリフだ。あの時はキンジに来たが今度は俺に来たか。

 

「………長い付き合いになりそうだな…」




武偵殺し編終了です。
ここまで読んでくれた皆様ありがとうございます!
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