教務科でのドタバタ劇を終えて理子の泊まってたホテルへ帰って来れた。
夜7時を回っており辺りは暗くなっていた。
「遅かったね銭形君」
俺が学校に行っている間不知火、そしてエレナに頼んでた。
アリアから連絡が来た当時放課後だったので頼んだら快諾してくれた。相手が理子だと伏せた上で。
すぐ戻ると言ったがあんなドタバタしてたら時間がかかった。
「まぁ……色々あってな…遅くなってごめんな」
「色々にしては時間がかかり過ぎじゃないかしら?」
エレナは金髪の髪を弄りながら言った。
「だから悪いって…」
「にしても急に護衛してくれなんて…遠山君といい彼女さんがよっぽど大切なんだね」
「ちげぇよ。あくまで仕事の上の関係だ。クライアントと関係持つなんて御法度だろ。てかキンジがなんで出てくるんだ」
不知火が色々話してくれた。最近キンジがアリアと白雪との三角関係になってるとかだ。アリアが強襲科でキンジのことしか話さないだの白雪が温室で花占いしてるだの大した内容ではなかった。
「モテる男はつらいもんだな」
「だけど最近星伽さんが遠山君のことを避けてるみたいなんだ。花占いしてた日そんなことになってるって聞いたよ」
白雪がキンジを避けてる?白雪あんなにキンジのことが好きなのに?てか避けてるならなんでキンジをボディガードに加えろとか言ったんだ?なんか変な話だな。
「とにかく報酬は忘れないでちょうだい。じゃあ私はこれで」
「じゃあ僕も失礼するよ……彼女さんは大切にしてね」
2人が去った後、ホテルの一室には理子と俺の二人きりとなった。
「……あの、武偵のお仕事だったんですよね…大変でしたね…」
「あぁ大変だったさ…」
「先程のお二人は友達ですか…?」
「あぁ。不知火は武偵高じゃ珍しい人格者さ。エレナは高飛車であんな感じだが頼んだら断らないいい女さ。二人ともに腕が立つ」
「そうなんですね…私のせいで銭形さんに迷惑をかけてしまってすみません…」
気にするなと返して俺は備えつけのポットで湯を沸かした。そんな中で俺の携帯が鳴った。着信者はアリアだった。
「もしもし?」
『もしもし平一?あんた明日の放課後暇でしょ?』
「決めつけて話すんじゃない。俺は今忙しいんだよ」
『なんでよ?なんかあるの?』
そう言われると答えに臆するんだよなぁ…かと言って正直に話すと面倒だし何より姉さんから秘密厳守を言い渡されている。
「まぁ…依頼された仕事があるんだよ…」
『抜け出せないほど?』
「その通りだ。どうしてもやらなければならないもんだからな。単位にも響くし」
『嘘ね。あんた単位大丈夫なの知ってるのよ。キンジみたいに足りないならわかるけど』
そこまで情報を押さえてるんかよ……困ったもんだ……
「………わかった。放課後何するんだ?」
『トレーニングよ。キンジにもしてるけど同じドレイのあんたがやってないのは不公平じゃない。だから強襲科のアリーナに来なさい。忘れないことよ!』
そう言い放つとアリアは電話を切った。一難去ってまた一難かよ…
次の日の放課後、俺は理子と車で武偵高に来た。不知火やエレナはみんなアドシアードの練習で来れないと言われてとりあえず一緒に来た。
しかし、車の中で留守番させるとは言え護衛から離れるのもよろしくないな…そんなこと考えてたら担任の高天原先生を見かけた。
「先生、お願いがあります」
「あら?どうしたの銭形くん?」
「しばらく俺の車の中で留守番してください」
「え?それどういうッ!?」
俺は高天原先生の手を引いて問答無用で車に入れた。
「すぐに戻りますからね!あぁ同乗者の奴は気にせずに!」
高天原先生を車に入れてすぐにアリーナへと走って行った。
「遅いわよ!」アリアは先にアリーナの中に入っていた。他の生徒も何人かは組手やトレーニング、あとはアドシアードに向けていろんな練習をしている。
「悪い悪い……てかそのカッコなんだ?」
俺はアリアがチアの格好をしているのが気になった。赤を基調とした可愛らしいチアの格好だ。
「アドシアードでチアをやるのよ」
なるほどね。俺は怪我があって大事を取るため今回参加は辞退してる。
「へぇ。似合ってるじゃん。可愛いな」
「か、かわっ!?ふざけないで!いいからトレーニングするわよ!」
「ふざけて可愛いは言わんよ…てかトレーニングって何するんだよ?」
「
「模擬戦ね……まだ痛みはあるから無茶はできないぞ…」
「だからよ。前に教務科では痛みに耐えきれずにうまく対処出来てなかったじゃない。今のあんたに必要なのは痛みを出さない、いや体に無理を強いらない立ち回りよ。トレーニングではそれを身につけてもらうわ」
アリアにしてはまともな話が出てきた。まぁ今の俺にそれが必要なのは理解できるが…果たしてトレーニングでうまく身につくもんかね…
「ちなみに今はどこが痛んだりするの?」
「屈むと胸が痛くなったりするかな…あと左脚だな。普段は何てことはないが…」
「肋骨がまだ完全じゃないのね………じゃあ行くわよ!」
いきなりアリアは俺に飛びかかってきた。もちろん俺は後ろに下がるためにステップを踏むが
「ッ!!」
やはり左脚が痛む。痛みに気を取られたそのせいで気がついたらアリアは正面にいた。勝負ありだな…
「…あんたは戦闘になるとステップを踏むわね。確かに機敏に動けるからいいけどそれは万全な体制の時、今のあんたは万全じゃないのよ」
「じゃあどうするんだよ…動かずにどう戦うんだよ」
「それよ。動かないことよ」
「何?どういうことだ?」
「動かずに相手の動きを見るのよ。そこから相手の攻撃を受け流すか受け止めるのよ」
「受け止めるってどうやってだ?」
「真剣白刃取りよ。あの要領で相手の攻撃を受け止めるのよ」
真剣白刃取り…あれはあくまで演舞のようなもんで実戦で使えるとは到底思えない。
「無茶だ。それなら上段、下段受けで受け止めればいいじゃないか」
「そんなことしたらあんた腕切り落とされるわよ?さっきも言ったけど
だから真剣白刃取りかよ…というか無理があるだろ…
「となると……剣を見切る必要があるってことか…しかも動かずにか…」
「まぁ銃を使うってのもありだけどそんな小手先の技は効かないでしょうね。今まで何人の武偵が誘拐されてるから」
それ故に近接戦を想定してるってわけか…
「だいたいわかったが…いけるか?これ?」
「いけるかじゃなくてやるのよ。あんたの怪我が治ればこんなことしなくていいんだから」
怪我治っても剣持ってる相手と近接戦でやり合いたくないよ。てかトレーニングの目的はこれだったのか…
「というわけで今から白刃取りの練習よ!ほら!行くわよ!」
ここからアリアの特訓が始まった。早く終わって欲しいと思うがこれは…長引きそうだな…