ルパン4世with銭形   作:メジロカイリキー

14 / 22
14話 凍った銭形

アドシアード当日になった。

俺は怪我で出場出来ないため準備委員をやってるが…雑用メインだし何より出場待ちの生徒や先生とかも手伝ってくれるためあまりやることがないのだ。

その方がありがたい。何せ色々動きやすいからな。

俺は耳につけてる無線に手を当てた。

 

「こちら平一、聞こえるか姉さん」

『聞こえるよ。峰理子さんは特段異常ないよ。あと学校内に配備してる警官からも異常は聞いてないね』

 

一昨日姉さんに白雪が魔剣(デュランダル)に狙われていると説明した。さらにアドシアードに白雪を誘拐しに出現する可能性があるから警官を寄越してくれって頼んだら二つ返事で返してくれた。

今学校内には多数の人が来るため交通整理と警戒という名目で警官、さらには学校内には私服警官をかなりの数潜伏させたのだ。

 

「急なお願いでごめんな。だけど緊急だったからさ」

『わかってるよ。でもよく魔剣(デュランダル)の話を聞いてたね』

「まぁ…白雪からそれでボディーガードを頼まれたんだよ。それで聞いたんだ。配置は俺の説明通りに配置してくれたか?」

『なるほど…平一の言う通り正門、会場、あと校内を重点的にしたよ。警官をこれだけ配備したし流石の魔剣(デュランダル)といえどこれを突破するのは難しいんじゃないかな?あと平一のアドバイス通り通信は密にやってるよ。とりあえず私は峰理子さんの護衛をするから、平一はアドシアード楽しんでね。じゃあ通信を切るよ』

「了解、理子を頼むよ」

 

プツッと無線が切れた音が聞こえた。姉さんには申し訳ないが実は利用しているんだ。警官が多数いるこの状況を作って欲しかったんだ。

白雪は俺と同じ準備委員であり、今俺と一緒に受付をしている。

 

「もう開会から時間経ったせいか受付には人が来なくなったな」

「うん…」

 

今日は朝から白雪は浮かない顔をしている。何を言っても上の空な感じがある。

 

「……平一くんはキンちゃんとは仲直り…したの…?」

「…それについてはあんまり触れたくない…言い方悪いが白雪には関係ないと思うが?」

「いや…実はキンちゃん、アリアとも喧嘩したみたいだから…キンちゃん寂しくならないかなって…」

「まーた喧嘩したんか……まぁキンジとアリアは喧嘩しても仲直りするさ。あの二人なんだかんだ仲良いしさ」

 

実はそれ知っている。屋上で派手に喧嘩しただとか。しかも貯水タンクにバカキンジと銃で書いたとか。派手にやって欲しいとは言ったがそこまでやれとは言ってないぞ…

 

「だったら…平一くんもキンちゃんと仲直りして欲しい…!キンちゃんは平一くんといる時はとても楽しそうだし、何より同性の友達だからきっとキンちゃんは嬉しいと思うから…!」

 

白雪にしては珍しく強く推してきたな。いつも控えめな女の子なのに…

 

「……わかったよ…アドシアード終わったらね」

「………平一くん、キンちゃんのこと頼むね…」

 

急に畏まった感じになったのを見て少し違和感を抱いた。何かあるなこれ。

 

「じゃあ私は席を外すね…」

「待て、どこにいくんだ?」

「生徒会に少し用事があるから…それまで受付をお願いね」

 

そう言って白雪は席を外した。しかも足早に去っていった。

ビンゴだ。そう思いアリアとキンジに無線で連絡した。

 

「アリア、キンジ、聞こえるか?白雪が動いた。これより尾行を開始する。場所が分かり次第また連絡する」

 

 

 

 

 

白雪は警官が配備されてない手薄な場所を進んで行った。尾行していたら第9排水溝がある建物へと辿り着いた。人工島であるがゆえにこう言った排水施設は学校に多い。白雪はそこへ入っていった。

 

「アリア、キンジ。白雪は第9排水溝のある建物に入った。俺も後に続くために先に行く。2人も来てくれ」

『平一、地下倉庫に行くことになるが大丈夫か…?』

 

地下倉庫、武偵高校危険地帯の一つである。理由としてこの倉庫は弾薬庫なのである。もしここで爆破があれば学校なんか簡単に吹き飛ぶぐらいの爆発が起こる。立ち入るにはパスワードがかかった鍵を開けなければ入れないぐらい厳重な場所だ。さらに言えば危険地帯なので普段は誰も立ち入らないのだ。

 

「いや、こちらの計画通りだよ。予想通り奴はあまり表に出たくないんだろうな…白雪をここへ呼び出したのはそれが理由だろうな」

魔剣(デュランダル)が呼んだのね…あいつどこまでコソコソ動いてるのよ…!ママの懲役107年分はあいつなのよ!絶対に許さないわ!』

「アリア落ち着け。地下倉庫の入り口は一つのみだ。出ようにも姉さんが配備した警官が多数いるんだ。逆に考えれば奴は袋の鼠さ。ともかく先に行くから通信を切る」

 

通信を切って建物に入った。奥へと進んだが白雪の姿はない。先に進んだようだ。

地下倉庫に繋がる扉を開けて、梯子で降りた。降りた先の扉を開けるとファイルや本が詰められた棚がずらっとある。資料室だ。

そしてその奥のドアは地下倉庫、いや火薬庫がある。

一歩でも間違ったことをすれば一発で学校が吹っ飛ぶというので怖くはなるが…俺は満を辞してドアを開けた。

開けた先には「危険!」や「danger!」と書かれた黄色いテープが巻かれた木箱が沢山ある。弾薬が入ってるんだろうな。イメージ通りだ。跳弾したら危険と判断して俺は十手を取り出した。

中を進んでしばらくすると何やら話し声が聞こえる。物影に隠れて見てみると巫女の格好をした白雪がいた。

 

「どうして私を欲しがるの…?魔剣(デュランダル)…大した能力のない私を…」

『我が一族は影に隠れ、そこから人を操る術を学び、磨いた……』

 

魔剣(デュランダル)と話しているのか…?しかし、白雪一人しかいない。暗くて見えないだけかと奥も見てみたが誰もいない…

 

「何の話…?」

『貴様のような超能力者(ステルス)はダイヤの原石だ…大したことない武偵共に守られているお前はまさに手に入れやすい代物だ……それならば手に入れようとするのは自然なことよ…覚えているか?バスルームのことを…』

 

その時キンジの声で「白雪!バスルームに来てくれ!」と声がした。

 

「ま、まさか…」

 

さらに続けてキンジの声で「アリア、平一は俺たちに黙って理子を護衛している」と話した。

 

『遠山キンジに偽って貴様と神崎・H・アリアを欺いた。貴様らは見事に騙されて銭形平一は護衛を離れ、さらには遠山とホームズは仲違いを起こした……全ては私のシナリオ通りだ…』

 

やはり魔剣(デュランダル)の仕業だったのか…俺たちを騙すために…

 

『そんなことで騙される武偵共に身を捧げて何になるのだ?さぁ…白雪よ…私に続け…イ・ウーは貴様を受け入れよう…』

「私たちを…騙したんだね…!」

『お前に拒否権はないだろう……拒否すれば武偵高の生徒、特に遠山キンジの命はないぞ……』

 

白雪は悔し涙を流した。魔剣(デュランダル)は自分の策がうまく行ったと思ってやがるな…なら、その鼻っ柱をへし折ってやるとするか。

 

「おい、陰でコソコソしてないで出てきたらどうだ魔剣(デュランダル)?」

「へ、平一くん!?」

『これは…何故白雪以外の武偵がここにいるのだ?』

 

身を晒して出てきたがやはり魔剣(デュランダル)はいない。

 

「さっきから聞いていたら何が影に隠れて人を操るだ。コソコソ動いて戦いもしない卑怯者が何偉そうに講釈垂れてんだよ」

『貴様……どうやってここに辿り着いたか知らないがただの武偵に何が出来る…』

「白雪、離れろ。こんな奴の言うことは聞く必要なんかはないぞ。帰るぞ」

「ダメ!超偵に武偵が敵うはずがない!」

「大丈夫、だ…!」

 

その時、足元に強烈な冷気を感じた。足元を見ると足が、凍っているのだ!

 

「なぁ、は、え!?」

『これで終わりだ』

 

さらに続けて身体中に寒気、いやだんだん体が冷たくなり寒くなってきたのを感じた。寒さで…力が、抜けて、いく…力が抜けたせいで……立てなくなった…。

 

「へ、平一くん!」

『さらばだ、白雪は貰って行くぞ…』

 

白雪は暗闇へとき、消えて……行った…俺は寒くて……立てない……

その時だ、どこからかナイフが飛んできた……まるでスローモーションに見える。

しかし

 

ガキィン!!!

 

ナイフは弾き飛ばされ、床に力無く落ちた。

 

魔剣(デュランダル)!あんたを逮捕するわ!」

「大丈夫か!平一!」

 

アリアとキンジが来た。アリアは剣を持っている。どうやらナイフを弾いてくれたのはアリアらしいな…

俺はキンジが氷を割ってくれたので動けることが出来た。そのお陰で寒さはどこかに飛んで行った。

 

「死ぬかと思ったよ…」

「平一!構えなさい!奴がいつ攻撃するかわからないわよ!」

 

アリアに言われて俺はすぐに十手を構えた。

 

『何故だ…何故貴様らがここにいる…!』

「お前さっき俺たちが仲違いしたって言ってたな…あれは演技さ。お前、俺達を盗聴して監視してたな」

「あたしとキンジが平一と喧嘩した時に平一はアイコンタクトしたのよ。これは魔剣(デュランダル)の策略だって。だからあたしとキンジはわざと喧嘩したふりをして仲間割れしたように見せかけたのよ。あたしもキンジと屋上に喧嘩したの、あれは演技よ」

『バカな……いつ私の策に気づいたんだ…!』

「キンジがアリアに理子のことを話した時さ。キンジがそんなことするわけないと思ったし何より話しても意味がないはずだ。さらにキンジが白雪をバスルームに呼んだって話を聞いてそこで確信した。魔剣(デュランダル)はキンジの声に変装して俺達を分断しようって魂胆だってな。そこで俺は敢えてお前の策略に乗っかって仲違いしたふりをしたんだ。そうして白雪を孤立させればお前は白雪を誘拐するはずと見込んでな」

『なんだと……』

「さらに話してやるが今日警官を配備してるが何故か手薄な場所があったのを覚えているか?あれも俺の作戦だ。敢えて配備を一部手薄にしてこの地下倉庫へと誘導するようにな。キンジと偽って俺達を分断しようとした奴だ。そう易々と姿を現さないだろうと見越してここへ来るように俺が仕向けたのさ」

 

そう話してやると魔剣(デュランダル)の声は聞こえなくなった。相当悔しがってんだろうなぁ。

白雪を探そうと歩き出したその時、アリアは俺の前で剣を振った。一瞬驚いたが「プツン」と糸が切れた音が聞こえた。

 

「気をつなさい。魔剣(デュランダル)はこの辺にピアノ線を敷いてるわ。トラップで私達が仮に来ても対処できるようにしたのね」

抜け目ないな…と思ったがピアノ線であることを思い出した。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「そうよ!あの凶暴女は恐ろしいのよ!盗聴されてたり吹き矢が飛んだり落とし穴に落とされたり、あとピアノ線まで仕掛けられたのよ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

教務科に潜入する際にアリアがそんなことを話していたのを思い出した。

 

「…もしかしたら、ピアノ線を仕掛けたのは魔剣(デュランダル)かも知れないな…アリアを強硬的に排除しようとしたんだな…」

「学校にはもう潜入してたってことか…?」

「あぁ。キンジ、ボディーガードをやる前に白雪がお前を避けてたりしてたのがあったのを覚えているか?俺は不知火からそんな話を聞いたぞ」

「そんなことがあったが…」

「もしかして避けた理由は白雪が白雪じゃないからだろうな…魔剣(デュランダル)は白雪に変装して学校に潜んでたんだろうな。というか避けてた相手にいきなりボディーガードを頼むのも変な話だ」

「……そういえば不知火が白雪が花占いしてたのを見たって話してたな…それと同じ頃ぐらいに確か俺は白雪を見た記憶がある…なるほどな。もう初めから学校にいたんだろうな…」

 

魔剣(デュランダル)が俺たちの部屋に盗聴器を仕掛けてこちらの様子を見ることが出来たのはそれが理由か…中々のやり手だな…

そんなことを話していると、目の前に鎖で柱に縛りつけられた白雪がいた。

 

「白雪!無事か!」

「キンちゃん!」

 

どうやら無事みたいだが…この拘束を解く必要があるな…

 

魔剣(デュランダル)はどこに行ったの!?」

「……魔剣(デュランダル)はそこの扉から逃げていったよ…どうも焦ってる様子だったけど…」

 

白雪が指している扉とは天井にある扉のことらしい。あそこから逃げた感じか…

 

「白雪、魔剣(デュランダル)といつから接触してたんだ?」

「昨日キンちゃんと花火を見に行った時かな…その時携帯に「言う通りにしなければ遠山キンジを殺す」ってメールで来てたの…私キンちゃんが傷つけられるって思ったら…グスッ…怖くって…従うしか…」

 

やはり白雪の連絡先を知ってたってわけか。電話したんだからそりゃそうか。それも学校に潜入して得た情報だろうな…

 

「白雪、泣くな。お前は悪くない。外してやるからな」

 

キンジは白雪の頭を撫でて慰めている。こいつヒステリアモードでなくても女には優しいイケメンなんだよな…

 

「…キンジといちゃついてるところ申し訳ないが魔剣(デュランダル)は何者なんだ?俺を凍らせたが何だあれは?」

「あれは超能力、国際分類で言えばクラス3の超能力者(ステルス)。多分魔法使いじゃないかな…」

 

超能力者(ステルス)、近年武偵でも注目されている分野だ。うちの学校でも超能力捜査研究科、通称SSRという学科があり、そこでは超能力者(ステルス)がその力を使って事件解決に導くということが行われている。また超能力が使える武偵は超偵と言われている。

 

「アリア、私アリアに酷いことをしちゃったよね…なのにそんな私を助けてくれるなんて…ごめんなさい…」

「べ、別に気にしないわよ!あたしは魔剣(デュランダル)を逮捕するために白雪のボディーガードしたのよ!謝る必要はないわよっ!」

 

アリアは鎖を外そうとするが外れない。キンジも鍵をいじったりするが解錠する様子は無さそうだ。

 

「……ともかく助けが必要だな…俺が助けを呼びにい…」

 

その時だ。地響きと共に床の排水口から水が溢れてきた!排水のどこかを破壊したんだな!

 

「アリア、お前泳げないんだろ?平一と一緒に逃げろ!」

「ば、バカ言わないで!あんた達置いて逃げるなんて出来ないわ!」

「キンジ!?何バカなこと言ってんだ!早くみんなで白雪を助ければいいだろ!」

魔剣(デュランダル)を倒して鍵をとって来い!相手は超能力が使えるんだ!俺はそんな奴と戦ったことはない!戦闘能力の高いアリアと平一なら勝てるはずだ!早く行け!」

 

キンジは鬼気迫った顔で俺とアリアに逃げるように伝える。しかし、俺はキンジを置いてくなんてできない…

 

「……わかったわ!でも危なくなったらすぐに呼びなさいよ!行くわよ平一!」

「…キンジ、無理すんなよ!」

 

俺はアリアと一緒に天井の扉を開けて上の階へ行った。水かさはさっきよりも増えてきたし急がねばキンジと白雪が危ない!

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。