ルパン4世with銭形   作:メジロカイリキー

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19話 狼とヒステリア、そして騎士

はぁー暇だ。

メイド喫茶での作戦会議から2日経った。実行日について理子に聞いたがメイド服来るまで時間かかるらしい。

昼休みの今理子とアリアは健康診断の再検査、キンジはどこにもいないし何故か電話に出てくれない。詰まる話今は一人だ。

最近は色々憂鬱な日が多かったしちょうどいい。たまにはゆっくり一人でコーヒーブレイクで一服しようか。そうと決まれば売店でコーヒーを買いに行こう。蓋つきの缶コーヒーを屋上で優雅に一人で飲むのも洒落ている。

鼻歌を歌いながら階段を降り一階について売店に向かう途中、ちょうど通りかかった保健室から悲鳴が聞こえてきた。

悲鳴を聞いて急いで保健室のドアを開けると……倒れてる小夜鳴に、倒れている棚に割れたガラス瓶、下着姿の女子達、そしてその中に紛れているキンジと武藤…さらには…狼がいた。

目の前の光景に脳の処理が追いついてないが、割れた窓ガラスを見てある程度は察しがついた。狼が侵入してきて、小夜鳴を襲ったのか。

狼が窓に登って逃げようとした。俺はすぐに銃を取り出して撃とうとしたが

 

「待て撃つな!跳弾する可能性がある!」

 

キンジの言葉で撃つのを止めた。その隙をついて狼は窓から逃げ出した。まずい!あんなのが学園島の街に出たら大変なことになる!

 

「キンジ!これを使え!外に置いてある!」

 

武藤はキンジに何かを投げ渡した。見たら鍵…バイクの鍵だった。

 

「行くぞキンジ!運転は頼んだ!」

「いえ、私が行きます」

 

レキが出てきた。下着姿だから目のやり場に…いや女子みんなそうだが…

 

「危険だ。俺が行く。レキは待っていろ」

「あなたではあの狼は見つけれない」

 

真っ直ぐと、そして確信を持ったようにレキは言った。不思議とレキの一言に下がるしかなかった。しかし、俺も追いかけねばならない。数は多い方がいいしな。

 

「いっくん!理子のバイク使って!」

 

理子の声がした方向を振り向く……うお、理子の下着エッロ…じゃない!緊急事態に何考えてやがるんだ!理子から鍵を受け取り

 

「ありがとうな!場所は?」

「保健室の窓から出てすぐのところだよ!いっくん!頼んだよ!」

 

俺は理子に言われた通り出て理子のベスパを見つけた。

鍵を差しエンジンをつけ、ハンドルを一気に回してキンジの後を追うように校舎を出た。

 

 

 

 

 

キンジの後をつけてついたのは島の南にあるビルの工事現場だ。足元を見ると狼の足跡がついていた。

 

「よくここにいるって気づいたな…」

「足跡が見えました」

 

レキは狙撃銃であるドラグノフに弾を装填して言った。レキには見えてたとは…あの時言った理由がよくわかったよ。

足跡があるなら今はここにはいない。きっと工事現場のどこか別のフロアにいるに違いない。

 

「レキ、それは麻酔弾か?」

 

キンジがレキに聞くと「違います」と機械的に答えた。

可哀想だが麻酔弾なんか準備したら時間がかかって逃げられるし人に危害を加える可能性がある以上仕方ない。

 

「二手に別れるぞ。俺はあっちに…」

「平一!ここから離れろ!」

 

そう叫んでキンジはバイクをすぐに動かして俺から離れた。動かなかった俺は横から衝撃を加えられて俺はバイクから放り出された。顔を上げて見たらあの狼がいた。

 

「!?」

 

狼は俺に飛びかかりにきた!急いで立ち上がり腕を体の前でクロスして迎撃体制になるも腕を引っ掻かれた。

 

「チッ!」

 

すぐに蹴りを繰り出したものの狼は俊敏な動きですぐに躱して俺から離れて逃げ出した。

 

「逃がすかよ!」

 

銃を取り出して撃ったがやはり動きが素早いせいで当たらない。弾を撃ち尽くしてしまった。それを見抜いたように狼が体勢を整え飛びかかろうとした。

懐からロープ手錠を取り出しこれで動きを止めようとしたその時

 

「私は…一発の銃弾…」

 

銃声が一発、工事現場に轟いた。見るとレキがバイクから立ち上がり、狙撃銃を構えていた。レキの放った銃声だったのか。

すると、あの狼が少しふらついた後に倒れた。近づいて見るが撃たれたような形跡はない。

 

「頸椎と胸椎の間、その上部を銃弾で掠めて仕留めました。それにより脊髄神経が麻痺して首から下は動かなくなりました」

 

狼の近くにきてレキは言った。なんだよそれ…あの足場が不安定なバイクから立ち上がってそんな芸当が出来るとかレキはバケモンかよ…

 

「……助け出したかったが、レキが照準を合わせ出したから出来なかった。すまないな平一」

「いいさ。あの時動かなかった俺が悪い」

 

レキは狼を見つめて言った。

 

「あなたはもうすぐ動けるようになる。逃げたければ逃げなさい。ただし、私の2キロ四方近づけは…確実に射抜く。そうなりたくなければ主人を変えなさい。今すぐ私に」

 

その声はレキの普段の静かな声で話されているが、何か威厳のようなものを感じた。まるで王が下に命令を下すような感じがある。

狼はレキが言ったことが理解できたのかふらつきながらレキの足元へ来て頭で足をスリスリとしてきた。

レキもしゃがみ込み撫でると狼は落ち着いたようにレキの膝で寝出したのだ。

「すごいな…」俺はポツリと言った。さっきまでの様子と全然違う。狼がレキの一言、いや命令を理解したかのように従い、手懐けている。

 

「で、その狼どうするんだ?」

 

キンジが聞くとレキは「飼います」と即答した。

 

「武偵犬ということなら問題ありません。お二人は気にしないでください」

「レキがいいならいいが…その前にな…」

 

俺は制服のジャケットとカッターシャツを脱いでレキに羽織るように後ろからかけた。

 

「……服を着てくれ。色々困るんだよ…」

「?私は困りませんが…」

「あー……まぁともかくダメなもんはダメなんだよ…」

 

というかこちら側が困る。帰っていく道中下着姿の女子と帰ってたら確実に通報案件だ。

というかキンジは今まで下着姿のレキと一緒にいてヒステリアモードにはならなかったしなってないな…レキの事ではあんまりならないのか?

てかこないだ理子とイチャコラした時もだ。なってないのが不思議な感じがある。

こいつの体質は不思議なもんだな。そう思いながらバイクを起こして、エンジンをかけた。

 

 

 

 

 

学校に戻り、理子にバイクを返した。

 

「おかえり!バイクで走り去るいっくんかっこよかったよぉ!」

 

何心にもない事言ってんだよ……と理子を見てたらあの時の姿が頭によぎってきた…ボッキュッボンだったな……

 

「にしても…いっくんどうだった?」

 

「何が?」缶コーヒーを飲みながら返したら

 

「理子のブラとパンツ。あれ勝負下着だよ?」

 

ぶーっと口の中のコーヒーを吹き出してしまった。そりゃ理子脱いでも凄かったな…あ、いやいや何を考えてるんだ…こいつはあくまで俺の目的に利用するだけだ。そんな情を持つな…

 

「ば、バカな事言うな!見てない!お前の下着なんか興味ない!」

「何色だった?」

「黄色の…ってふざけるな!だいたいお前はあくまで一時的に協力してやってるだけだ!」

「ふぅーん…いっくんやっぱりむっつりの変態さんだねぇ…」

 

小悪魔みたいにニヤニヤ笑いながら理子は言う。そう言われて少しカチンときた。恥ずかしさもあるが何よりプライドが許さない。

 

「そういうお前はなんだ!小テストの時キンジとちちくりあって、今日はなんだ…キンジに聞いたが身体検査のぞきさせて下着の色答えろとかやったらしいじゃないか!お前こそキンジにやらしいことさせてる変態じゃねぇか!なんだよ!キンジが好きなのか!?」

「どうしたの?いっくんやけにムキになるね?あっわかった!いっくん嫉妬してるんだ!もぅー理子が可愛いからってだめだよぉ?」

「ふ、ふ、ふざげるな!」

 

くっそ。なんか弄ばれてる感じがする。

 

「…実は理子の策略なんだ。ヒステリアモード…キーくんの特殊体質だよね」

 

ヒステリアモードという単語に反応してしまった。

 

「お前…何故それを知っている…」

「性的興奮することで身体能力が向上する遠山家から代々伝わる体質…今回の作戦にはそれが必要なんだ。だからあえてキーくんをえっちな気持ちにさせてスイッチが入りやすいようにしたんだけど……ぜぇんぜん上手くいかないの」

 

だからあんな事したのか…こいつ俺に対しても色仕掛けやキャラ変えてでも情報収集したりキンジをヒステリアモードにさせるために体出すとか中々だな…泥棒の血が入ってるのがよくわかる。

 

「その体質を何故知ってるかと聞いているんだよ。キンジはよほど信用してない人にしかこのことは話さないぞ」

 

俺が初めてヒステリアモードになったキンジを見たのは入学試験の時だ。あの当時の俺は武偵校に来るやつなど大した経験もない連中でたかが知れてるとスカしてたガキだったがその時のキンジには手も足も出なかった。この時はそれを知らずに強い奴だと思ってパートナーになった。そこから色んな事件を一緒に解決してく中でようやくアイツが話してくれた。しかもこの話をしたのは俺が初めてらしい。

そこまで信頼を勝ち取ってようやく話すレベルなのに、何故こいつが知っている?

 

「理子はキーくんのお兄さんを知ってるんだぁ。そのお兄さんから教えてもらったの」

「キンジのお兄さんから……?バカな…お兄さんは死んだはずじゃ…」

「カナは理子の先生で、彼氏だからねぇ」

 

カナ…?お兄さんの名前か?今の話が本当ならキンジのお兄さん、カナさんは生きているのか?

いや、下手に信じるのはやめておこう。理子が本当のことを言ってるとは限らないし、仮に事実だとしてもキンジにそれを話せば混乱する可能性がある。理子の泥棒計画に支障をきたすかもしれないし、この件はあいつには伏せておいた方がいいな。

 

「そうか。お前みたいなコウモリ女にも彼氏が出来るとはね。じゃあ俺は教室に荷物を取りに行くから行く」

ばいばーいと理子の声を背中で受けながら校舎に向かう。

 

 

 

 

 

 

次の日、潜入用のメイド服やスーツが届いた。それにより作戦決行は週末になった。

雨が降る校舎を歩いてるとどこからかピアノの音色が聞こえてきた。

なんの曲を弾いているかわからない。だがその曲は熱く激情的だがどこか悲しさがある感じだ。

俺は曲を聴きながらその音を頼りに足を運ぶと音楽室に入った。ピアノの演奏者の後ろ側に座り曲を聞いた。

最後曲調は一転して静かに、そして物悲しく終わった。

「いい曲だったよ」俺は拍手をしながら言った。演奏者はピアノに向いたまま動かない。その背中はまるで俺を見ているかのように微動だにしない。

 

「なんて曲だ?俺はクラシックは聴かないからさっぱりでさ」

「火刑上のジャンヌ・ダルクだ。オラトリオなのだが私がピアノでアレンジして弾いてみたんだ」

「ご先祖様の曲とは……いい曲だったよジャンヌ…」

 

ジャンヌは俺の方へ振り向いた。まるで俺がいたのを最初から知ってたようにだ。

 

「お前も司法取引か?」

「そうだ。理子と同じだ。お前の姉、銭形歳子がいいように取り計らってくれたおかげで私はフランスからの留学生、情報科2年のジャンヌを演じている」

「姉さんがそんな事してくれたのかよ。イ・ウーの事はビビって手も出せずにいるってのに」

「…モノを知らずに銭形歳子を否定するとはいい身分だな。イ・ウーを知らない青二才の癖に…」

 

やはりこいつも口を閉ざしそうだな…なんなんだよこいつらイ・ウーってのは…

 

「ジャンヌは怖いのか?組織のことを口外してイ・ウーの連中に狙われるのが。あんなに強かったのに」

「私はイ・ウーの中でも最弱の部類だ。下手に喋れば私なんか簡単に殺される」

 

は…?ジャンヌで最弱?あれだけ俺たち四人で戦って苦戦して、しかも理子がいなければ俺は死んでたんだぞ?そんな奴が最弱だと?

 

「……だが、話せない事はない。秘密に触れない程度でなら話してやる」

 

イ・ウーに近づけるチャンスだ。情報が少ないかもしれないがないよりはマシだ。

 

「じゃあ場所を変えようか…」

 

 

 

 

というわけでドライブして女子寮に送りながら話すことにした。車に入る前にジュースを自販機で奢った際「どれでもいいのか?」と聞かれ好きなの選べと言ったら全部押そうとしたので止めた。流石に勘弁してほしいな。

 

「………で、ジャンヌは理子と内通してたんだな。俺にわざと近づく、いや白雪に近づけると判断して」

「あぁ。だが貴様を殺そうとした時に裏切られるのは想定外だったがな」

 

こないだの白雪の件を話した。内容は俺の推理通りだったが理子が俺に近づいた理由は白雪に近い存在で騙しやすいからだと言うことで近づいたらしい。つくづくアイツに舐められてるな…

 

「これを提案したのは理子か?」

「いや私だ。理子がアリアとお前に敗れてイ・ウーを退学になりそうな時、名誉挽回として私が提案した。白雪を連れていけば失敗が水に流されると考えたんだ。まぁ白雪を攫うのに失敗してもアリア、キンジ、そしてお前の誰かを連れていけば問題なかった」

「だが、そうなる前に理子に裏切られた。何故だと思う?」

「わからないが…おおかた理由はわかる。お前とアリアを倒すためだ。初代アルセーヌ・ルパン、ルパン三世を超えるためにな」

「どういうことだ?」

「……その前に本題であるイ・ウーとは何かについて話そう。イ・ウーは才能を高めるために天賦の才を持つ者たちがそこで競い、教え合い、そして高めあうための組織だ。イ・ウーで私達は生徒であり同時に先生でもあるのだ」

 

なんだそりゃ?ただのクラブ活動みたいな組織だな。そんな組織が世界の機密になるようなほどか?

 

「なんのためにそんな事をする?目的はなんだ?」

「目的はない。目的や目標はあくまで個人一人一人が持つのだ。私が理子に作戦立案を教えて、理子は私に変声術を教え合った。自分達の目標のためにな」

「そんなバラバラな組織が何故CIAや公安に一目置かれる?危険な組織には思えないが?」

「残念ながらそれは話せない。私が話せるのはここまでだ」

 

やはり例の緘口令が出たか……とはいえ、イ・ウーがどんな組織かわかっただけいい収穫か。いや、何のためにそんな事するかがわからないが…

 

「質問を変えよう。理子の目的はなんだ?」

「……理子は強くなり、誰よりも優れた人間になりたい、そして自由の身になるのが目的だ」

 

ジャンヌは買ったジュースを一口飲んだ。そこから静かに語り出した。

 

「私は彼女が好きだ。理子は努力家だからな。ひたむきに、そして貪欲にただ強くなりたいと願って学ぶ彼女は素敵だ。悲痛な境遇に同情してる面もあるが…やはりその姿勢には尊敬の念がある」

「その境遇というのは…両親が殺され、その後引取先の親戚に虐待されたからって言うやつか?」

「……違うな。いや、あってる部分はあるが違う」

 

記憶喪失のふりしてた時に理子が話してた内容を話してたが違うのか?やはりあいつは出鱈目しか…

 

「理子は……幼い頃ずっと監禁されていた」

「何…?」

「理子は両親が殺された後親戚を名乗るものに引き取られたが…そこで監禁されて、その上で貧しい食事とボロ切れの布しか与えられず檻の中でずっと育ったのだ。理子が小柄なのはその後遺症だ。衣服に対して強いこだわりがあるのはボロ切れしか着てなかったせいだ」

 

なんだと……想像以上に酷いじゃないか!しかも監禁されて下手したら死ぬような環境だろ…!

 

「誰にやられたんだ…犯人は捕まったのか?」

「いや、犯人は捕まってない。何故なら犯人はイ・ウーのナンバー2、無限罪のブラドだ」

「なんて奴だ……アリアのお母さんに冤罪を被せて…しかも理子の大切な十字架まで奪うなんて…最低な野郎じゃねぇか!」

 

俺は怒りのあまりハンドルを殴ってしまった。理子相手だろうがそんな事して、しかもそんな悪党がイ・ウーのナンバー2でまだ世間にいるというのが腹立たしいし警察も手出ししないなど…許されない!

 

「……怒る気持ちはわかるが…今のお前たちでは勝てない」

「関係あるか!そんな悪人を見過ごすなんておかしいだろ!逮捕されて然るべきだ!」

「かつて100年ほど前我が一族、三代前の双子のジャンヌダルクがブラドと戦って敗北した。アルセーヌ・ルパンと手を組んでだ」

「100年前?ちょっと待て。何故100年前に戦ったブラドが今もいるんだ?世襲制なのか?」

 

そう言った途端ジャンヌはこちらを見て

 

「奴は…人間ではない」

 

真面目な顔でそう言った。人間じゃないだと…?

 

「奴はバケモノ……日本でいうなら「オニ」と同じようなものだ」

 

白雪が「狼が十字架を持ってるから気をつけてってなんか変な結果が出たんだ……」と言ったのを思い出した。まさか本当にその通りの結果だ。

これは…かなり信憑性が生まれたな…占いはバカにしちゃならんな…

 

「ブラドは檻から脱出した理子を追ってイ・ウーに来たのだ。その実力からすぐにナンバー2になった。そして理子はブラドに戦って敗北した。その際にある約束をしたのだ。その成長に免じて、初代と三世を超えた事を証明するためにアリアと平一を倒せ。生死は問わない。勝てば一生手出しはしない…そう約束したのだ」

 

全てが…繋がった。何故最初に俺とアリアを狙ったのか。そしてハイジャックでのあの豹変ぶり。ジャンヌを裏切ったのは殺すのは自分だから殺されないようにするために助けた…

全ては自由になるため…檻から出るために…

 

「……お前達はブラドの屋敷である紅鳴館に理子の十字架を取り返しに行くのか?」

「…さっき口が滑ったがそうだな。理子から言われたんだ。大切な十字架を取り返したいから泥棒しようってな。アリアとキンジもこの話に入っている」

 

するとジャンヌは後部座席に置いた鞄からペンとノートを取り出した。

 

「奴を説明するのは難しいから絵で説明する」

 

メガネをかけてジャンヌはノートに絵を描き始めた。

 

「いいか?ブラドが留守中ならいいが…奴が帰ってきたら即刻逃げろ。奴には絶対に勝てない」

 

描きながらそうジャンヌは言った。しかし、俺はそんな事はしない。たとえ命に変えてもそいつを逮捕してみせる。差し違えてでもこんな奴捕まえてやる。

 

「奴は力や背丈が人の何倍もある。近づけば一発で死ぬ。しかし、遠距離なら勝ち目はある……かつてバチカンの聖騎士の秘術により生涯消える事がない弱点をつけられた。その弱点は4つあり、そこには紋章がある。そこを同時に攻撃すれば勝てるが……残念ながら我が祖先とアルセーヌ・ルパンは弱点の紋章は3つしかわからず、攻撃できなかったせいで敗北した。その場所は残念ながら失伝してしまいわからない……よし、出来たぞ」

 

描き終わったジャンヌの絵を見た。が………

 

「……なんだこの3歳児みたいな絵は?」

「さ、3歳児とはなんだ!これでも一生懸命描いたんだぞ!」

 

なんというか牙があるから立ったライオンか?いや耳があるから犬か?そんなよくわからない絵を無理やり受け取らされた。真面目に聞いた俺の時間を返してほしいもんだ……

 

「ジャンヌ…俺と一緒にお絵描き教室に行こうか?」

 

冗談で言ったらジャンヌは顔を赤らめて肩をポカポカ叩いてきた。

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