ルパン4世with銭形   作:メジロカイリキー

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21話 盗み出せるチャンスは一度

『なるほどぉ…じゃあ計画決行は最終日!アリアが小夜鳴先生を誘き出して金庫から離れさせる、キーくんがダクトを経由して金庫へ侵入していく!いっくんは全体の様子を見ながら指示を出していってね!』

 

 

 

 

 

 

理子に潜入してからの結果を連絡したらそのように言った。

急に決まってしまった。だがある意味チャンスだ。小夜鳴を外に誘き出したと聞いて尚更そう思った。なぜならその日は昼頃から雨が降り出すのだ。

 

『アリアよ。今小夜鳴先生を誘い出すことに成功したわ』

 

耳に入れたインカムのイヤホンからアリアの声が聞こえた。そこから首につけたマイクのスピーカーにスイッチを入れた。

 

「了解。キンジ、金庫への侵入を開始しろ。ダクト内には何もないことは確認済みだが気をつけろ。金庫室上に着いたら連絡を頼む。その時追って指示を出す」

 

キンジの了解という声と共に無線は切れた。

よし、全ては整った。作戦は手筈通り。それも理子の作戦ではなく俺のだがな。

無線の内容的にアリアと小夜鳴が中庭に入っていくのを確認した。今頃奴らは中庭のバラ園を二人は話しながら歩いてるだろう。話によるとそれらは小夜鳴が品種改良で生み出したバラで構成されてるだとか。

 

『いっくん!みんな順調に進んでるね!』

 

「あぁ。手筈通りさ。理子は無線を聞きながら待ってるだけでいいさ」

理子と話しながらスマホの天気予報を見ながら時が来るのを待つ。そろそろのはずだ…。

 

『キンジだ。今金庫室上に着いた。蓋は外してある。いつでも侵入可能だ』

「了解。しばし待て。また追って指示を出す」

『ちょ、ちょっといっくん?キーくんを下ろして、理子の釣竿で十字架を取る予定だよ!?』

「慌てるな理子。今はその時じゃない。それに指示役は俺だ。タイミングは俺が決めることだ」

 

理子は不服そうにむぅと鳴き出した。安心しろ、もう突入させるよ。何てったって………天気予報通りなら今降り出したぐらいかね。

 

『アリアよ!大変!今降り出したわ!』

 

ビンゴだ。最近の天気予報は正確なもんだ。

 

『ま、まずいよキーくん!今すぐ突入して!』

『平一!どうしたらいいの!?小夜鳴先生は帰っていくわ!』

 

よし、準備が整った。今俺はレバーに手を伸ばし、一気に落とした。パァンと音がしたと同時に灯りが全て落ちた。

俺のいる給電室は先ほどまでうって変わって真っ暗で何も見えなくなった。だが急いで出なければならない。

何故なら、チャンスは一度だ。

 

 

 

 

 

「小夜鳴先生!今の停電は!?」

 

急いで屋敷へ駆けつけた小夜鳴にキンジは話しかけた。小夜鳴の隣にいたアリアは驚いている。当然だ。地下の金庫室にいるキンジが今一階にいるんだからな。

 

「わかりません!ですが地下は!?彼から地下の金庫室にある十字架を守るように厳命されているんです!」

 

小夜鳴は走りながら地下へ向いて走り出した。俺たちは小夜鳴に着いて行った。

走り階段を降りると例の地下金庫前へと着いた。暗い地下でキンジはスマホで灯りをつけてくれたお陰で小夜鳴に着いていけることができた。

小夜鳴はポケットから鍵を取り出し地下金庫の扉にそれを差し、回し重厚な扉を開けた。やはり電源が切れた今はデジタルな認識装置などは使えなくなったんだな。

中に入り小夜鳴は棚を上を見てホッとした表情を浮かべた。

 

「よかった…十字架は無事でしたね…」

 

キンジが灯りを棚に向けると十字の真ん中に宝石が入った金色の十字架が見えた。

 

「これは何ですか?」

「私も詳しくはわかりませんが…彼が大切にしているものらしいです。これは何があっても守って欲しいと言われたので。停電になった時心配しましたが無事でよかったです」

「へぇ……近くで見てもいいですか?」

「えぇもちろん」

 

俺はお言葉に甘えて近づいた。恐らく真ん中に入った宝石はかなりいいものだろうな。まぁしかし盗品を大切なもんだと言い張るのはどの面下げて行ってんだか。

俺は小夜鳴が扉へ振り向き歩き出した瞬間に取り、それを偽物の十字架へとすり替えた。

 

「銭形さん。見てるところ申し訳ありませんがもう閉めますので退出をお願いします」

「おっと…すみませんね…あまりにも綺麗なもんでね…じゃあ出ますよ」

 

小夜鳴に言われたため出ることにした。奴は気づいてもいないな。作戦は成功だ。

しかし…こんな暗い金庫で小夜鳴はよく灯りなしで十字架が見えたもんだな。目がいいのかねこいつ。

まぁ何はともあれ目的は達成した。

 

 

 

 

 

「うまく行ったな」

 

俺達は目標達成して潜入が終わり、小夜鳴と別れを告げた。車を走らせながら平一はそう言った。助手席に座ってる俺から平一の顔を見たらまるで肩の荷が降りたような顔をしている。

 

「屋敷を停電させてみんなで中に入る、そしてその隙に十字架を盗む……にしてもあんたそんな事を考えてたのね…にしてもなんでそれを理子や私に黙っておいたのよ?」

「……敵を欺くには味方からと言うだろう。だから黙った」

「じゃあ何で俺には話してくれたんだよ?」

「さぁな。まぁ昔からの仲だからこそかねぇ」

「理子に話さなかったのは何でよ?出し抜きたいから?」

「…ジャンヌの時、俺は理子に助けられなければ死んでた。理子からして見りゃ俺に勝ったんだ。ハイジャックの時もだ。思えばあいつに出し抜かれてばかりだ。だからこそ仕返ししてやりたかったんだよ。やられっぱなしは癪だからな」

「平一、お前理子みたいなこと言ってるな。曾祖父さんの因縁、いやお前の場合は親の因縁か?」

 

かもな、と返事をして車を走らせる。目的地である横浜ランドマークタワーまではあと少しみたいだ。

 

 

 

 

 

目的地であるランドマークタワーに到着し、エレベーターで最上階に着いた。

エレベーターから屋上のヘリポートに出ると6月にも関わらず冷たい風が体に当たる。待ち合わせ場所にヘリポートとは理子のセンスのなさをいささか感じる。

 

「あっ!いっくーん!」

 

理子の声と共に俺は理子に抱きつかれた。

 

「流石だよいっくん!アリアもキーくんもよくやったね!理子の出来ないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れるゥ!」

 

体で理子の柔らかい胸の感触を感じた。名残惜しいが俺は理子に腕押しして体から離した。

 

「おい、こんなことするためにここに呼んだわけじゃないんだろ。お前の目的はこれだろ」

 

取り返した十字架を渡してやる。受け取った理子は飛び跳ねて喜んだ。嬉しいのが見ただけでもわかるぐらいに。

 

「約束を忘れたわけじゃないだろうな」

「もっちろん!ほら!」

 

そういうと理子が何かを俺の足元へ投げた。見るとM360Jだった。ハイジャック事件の時に理子が取った銃だ。俺は銃のシリンダーを開けて弾が入っているのを確認してコートの内にあるホルスターへとしまった。

 

「返してもらうのは嬉しいが…それではない。何故俺を助けた?答えてもらおうか?」

「いいよ?じゃあ…理子の頭のリボンを、キーくんに解いてくれたら答えてあげる!」

「キンジ…ご指名だ。やってやんな」

 

なんで俺が…と文句を言いながら渋々理子に近づいてリボンを解いた瞬間、理子はキンジにキスをした。

まるでそこが時が止まったかのようになった。理子の唇がキンジから離れた時に

 

「な、な、な、なにやってんのよ!」

 

アリアが顔真っ赤にして叫んだ。その時になって時が動いた。

理子は宙返りして俺らと距離を取った。こんなバカな真似を理子がするはずがない……そう考えた時

 

「理子…君は悪い子だな…わざわざこんな回りくどいことをして舞台を整えてくるなんてな…」

 

キンジの口調が変わった…これはヒステリアモードのキンジに変わったんだ。

 

「ふふふ…キーくんの言う通り理子は悪い子だよぉ?この十字架さえあれば理子の手札は揃ってるんだ…」

「どういうつもりだ理子。俺との契約は嘘か?」

「嘘じゃないよ。もちろん教えてあげるよ……理子を倒せたらね」

「キンジ!平一!構えなさい!理子はやる気よ!」

 

俺は言われるがままに銃を取り出した。理子を見るとあいつも銃を取り出していた。さらに髪が逆立っていた。まるでハイジャック事件の時のように。

 

「理子は十字架さえあれば理子本来の力が出る。だから取り戻して欲しいから今回の件を依頼したの。取り戻したらアリア、ヒステリアモードのキーくんにいっくん……三人を斃す」

 

あくまで狙いは俺達……つまり最初から理子は俺達を倒すのが目的か。自分の自由を得るために…

 

「……やるしかない……か!」

 

コートから手錠を取り出し、それを理子の手元へと投げるが、理子もそれに気づいてよける。

流石にバレたか…しかし距離を離してたらいつまでも勝負はつかない。ならば!

そう考えて俺は一気に距離を詰めた。あと2mぐらいのとこまで近づいたその時

 

バチィ!

 

突然の音に俺は固まった。理子は

 

「な、なんで…お前が…?」

 

そう言って力無く倒れた。見ると理子の後ろに人影が見える。暗くて最初は見えなかったが、スーツ姿に左手にはスタンガンを握った人影がだんだんとその姿はハッキリとした。

 

「小夜鳴…?」

「……銭形さん動かないでください。遠山くんも神崎さんもです」

 

コートの内ポケットから取り出した銃を理子に向けながら小夜鳴は言った。何故小夜鳴がここにいる?いや、考えるのは後だ。

それに理子を人質にしてるが奴の言う通りにする理由なんてない。何故なら俺と小夜鳴との距離は近いからだ。すぐに動き出して、奴を取り押さえればいいだけだ。

膝を軽く曲げて、奴に悟られないように動けるようにしようとしたが

 

「グルルル……」

 

小夜鳴の後ろから狼が二匹出てきた。こないだレキと追いかけた狼と同じ種類のようだ。

 

「おっと…前に出ないようがいいですよ。近づけば貴方達を襲うように仕込んでます…」

 

二匹の狼は理子が落とした銃を咥えて、それを屋上から落とした。そういった飼い慣らされたところを見るにこないだの狼も小夜鳴の飼い犬だったということか。

 

「何のつもりだ…小夜鳴…」

「私は彼から言われてルパン4世を回収するように言われただけです。もうすぐ来ますからね」

「アンタ…ブラドの部下なのね!ブラドと会ったことないって私達を騙すなんて!」

「騙す…?いえいえ。私は彼とは会ったことはないですよ。私達は会うことができない運命ですからね」

 

何か違和感のある言い回しだ…会うことができない…?

そういえば屋敷に潜入して話した時…「ブラドとは親密だが直接話したことない」と…

あの時は流したが…尚更違和感を感じる…

 

「何にせよ……お互いに騙してたってことか。例の保健室の件も、俺達が紅鳴館に潜入してたのも」

「遠山くんや神崎さんがやった学芸会の演技よりはマシでしょう?まぁ銭形さんのコソ泥はよかったですよ。最初は気づきませんでしたから」

 

どちらにせよ、俺達がやったこと全て奴の手中で泳がされてただけだったのか……

 

「……彼が来る前に、貴方達に補講をしましょう。以前ルパン4世と遠山くんが不埒な遊びをしたあの追試で話した内容です。特に……“銭形さん”には聞いていただきたいです」

 

小夜鳴は俺を見て言った。俺達に向けて話してるはずなのに、この話は特定して俺に向けての話みたいに。

 

「遺伝子は父、母の遺伝子のそれぞれが子供に遺伝します。それぞれの長所が遺伝すれば優秀な子が、それぞれの短所を遺伝すれば無能な子になる…10年前、彼からの依頼でルパン4世のDNAを調べてみました」

「お…お前だったのか…理子を誘拐したのは…」

「調べると驚きましたよ。何故ならルパン4世には…」

「い、言うなぁ……オルメス…銭形には関係ないっ…!」

 

理子が何かを言おうとした時、小夜鳴は理子の頭を踏みつけて黙らせた。

 

「優秀な遺伝子が遺伝されてなかったんですよ。ルパン4世は()()な子だったんですよ」

 

また理子の頭を踏みつけた。まるでその言葉を体に刻ませるように。何度も。

その後理子の首にかけてた十字架を取り

 

「お前はガラクタなんですよ…こいつと一緒でね!」

 

理子の口に押し込み、手をグリグリと回して捩じ込んだ。

 

「人間は遺伝子が全て。頭や顔が優れた人間は優秀な遺伝子を持つから金持ちになり、劣っている人間は無能な遺伝子を持つから貧乏になる…お前は所詮、あの汚い檻がお似合いなんですよ!」

「おい!いい加減にしろ!」

 

俺は銃を取り出し、小夜鳴に向けた。女が殴られてるのを黙って見ていられるか!

 

「……貴方も同じなんですよ銭形さん。無能が無能を同情するとはね」

「どういう意味だ?」

 

パァン!

 

脇腹から激痛が走り、俺は脇腹を抱えて膝をついた。小夜鳴が発砲したのだ。

幸い防弾制服のおかげで弾丸を弾いているが、痛いことには変わりはない。

 

「まだ思い出せませんか?3年前のあの日……熱い熱い火の中で這いずるように逃げたあの日…」

 

その言葉を聞いた瞬間、心臓の鼓動が鈍い音を立てていった。

何故、何故、何故、お前がそんなことをしっている?

 

「な、何の話だ…」

「とぼけているのか忘れているのかわかりませんが……私はルパン4世と同じように貴方のDNAを調べようとしたんですよ…銭形の遺伝子がどれほどかをね」

 

小夜鳴が何を言っているのか、何のことを話しているかわからない。だが……その言葉一つ一つを聞いていくと、脇腹の痛みが鋭く体を刺していく。

心臓は血がたくさん送られているからなのか?激しく鼓動している。何故かはわからない。わからない。

 

「体は覚えているようですね…ならば…教えましょう。3年前のあの日、私と貴方に何があったのか…」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「彼からの依頼とはいえ、気になりますね。ルパン4世はハズレでしたが貴方はどうですかね?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「や、や、やめろ…!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「っ……!この!」

 

パァン!

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

そうだ

すべて

おもいだした




リアルが忙しくて全然投稿できませんでした…申し訳ありません…
次回からは早めに投稿できるように頑張ります!
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