ルパン4世with銭形   作:メジロカイリキー

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9話 ルパン4世を逮捕しろ!

『離陸完了しました…当機はこれより、予定通りロンドンへ向かいます…空の旅をお楽しみくださいませ…』

 

機体はどうやら理子の言う通り離陸したみたいだな…

となるとキンジも乗ったのか…警察も乗ってればいいが…いや、ともかく今はこの状況を抜け出すのが最優先だ。

何とか這いつくばって辺りに使えそうなものがないか探るが見当たらない。クソ!クソ!クソ!

俺は何もかも失敗した。武偵殺し自らに事件の証拠を見せるわ、盗聴器仕掛けられる、理子の作戦通りに動いてしまう、アリアまで怪我させる、キンジには危険な思いをさせる…

全部、全部俺のせいだ。ならここでいっそ楽になるか…?

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あぁ…安心しな。お前はまだ死なないさ。まだ利用価値がある。飛行機が離陸してからオルメスとキンジを乗せてこの飛行機を爆破してやるのさ。喜びな、ここにはワインやビールなど酒類がある。スピリタスもその中にあってそれに火が出たら…お前の大っ嫌いな火に塗れて火達磨で死ぬのさ!特別にそういう風に調整した理子特製爆弾をここに仕掛けた。喜びな」

 

「それまで短い余生をここでゆっくり過ごしておくんだな…そろそろ遠山キンジが来る。じゃあな……アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!」

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理子が言ってたことを思い出す。嫌だ。死にたくはない!いや、あんなこと言われて黙っている方俺は優しくない!アイツをムショにぶち込んでやる!

そう自分を奮い立たせて上半身をあげると

 

[ワイングラスが入っています!割れ物注意!]

 

そのラベルが書かれたケースを見つけた。こいつ、使えるぞ!

俺はなんとかケースを押して倒した。すると大きな破裂音と共に中からは割れたガラスの破片がたくさん出てきた。

よし!俺はガラスの破片を握り手足のロープを外してやっと自由になれた。

倉庫の扉へ向かうと鍵がかかっていた。やはり外から閉めるようにしているな…

持ち物はスマホと財布だけだ。スマホのストラップは念の為さっき全て外しておいた。それだけで銃や普段携帯してる十手はなかった。武器は全部奪った感じだな。

しかし、人間武器がなくても己が拳、脚が武器になるのだ。

俺は扉の前で肩幅で立ち

 

「ハァァァァァ……フゥゥゥ……」

 

息を吸い、そして

 

「ハァ!」

 

扉に力いっぱいの正拳突きを加えると見事に吹っ飛んだ。それには思いっきり凹んだ跡が残ったからもう使えないだろうな。

よし、脱出成功だ。

早いところキンジとアリア、いや誰かに合流せねばならない!そう考えて走った!

 

 

 

飛行機内を散策してキンジの後ろ姿が見えた。

「キンジ!」と呼びかけたがキンジは俺に目もくれない。

近づこうとしたその時「アリア!」とキンジは叫んだ。よく見てみると倒れたアリアがキンジの目の前にいた。アリアは頭から血を流して倒れていた。

 

「勝てる……勝てるよ……理子は今日“理子”になれるんだよぉ!!!アッハッハッハッハッハッハッ!」

 

理子がいるのか…しかも髪の毛が逆立っており、その先にはナイフ2つ、2丁拳銃でいる。

アリアが、理子に、やられたのか!

 

「キンジ!アリア!」

 

俺は急いで二人の元へ駆け寄る。

 

「へぇ…誰かと思えば銭形平一かぁ…オルメスはたった今理子がやったんだよ?」

「キンジ!アリアを連れて逃げろ!理子は俺が相手する!その間に応急処置を実施しろ!」

「平一!理子は!アイツはバケモンだ!今度はお前が!」

「いいから行け!!!早く!!!」

 

俺の精一杯の声に、キンジはアリアを抱いて逃げてくれた。理子がいる方に視線を向けた。

 

「うぅぅん…美しき男の友情だねぇ…理子そういうのだぁい好き…」

「ふん。俺はお前が大っ嫌いだよ…友達傷つけて…」

「さらに理子はもっと好きなことがあるんだぁ…」

「なんだ?」

その刹那距離を離してた理子が目の前にいたのだ。まるで瞬間移動のように。

そして胸、腹に熱い何かを感じた。いや、鋭利な痛みだ。そこを見ると、ナイフが2本胸と腹に刺さっていた。

 

「友達のために自分が犠牲になって死ぬキャラクターだよ…」

「か……は…」

「さぁ、チェックメイトだ」

 

理子が毛先のナイフを外そうとするが外れない。理子が一瞬気を緩んだ瞬間に俺は理子の両手を掴んだ。

 

「は、離せぇ!何故だ!何故ナイフが抜けない!」

「…この手の戦闘用のナイフは背に切れ込みやギザギザなどがある。それが防弾仕様の繊維に引っかかりやすいんだよ…こうすることでナイフが抜けにくくなり止血してくれるのさ…お前さんのナイフを押さえりゃあとはこっちのもんだ…!」

 

とはいえ痛みはとてつもないけどな…意識が飛びそうになるがなんとか理子を取り押さえようとそのまま投げようとする。が

「甘いなッ!」理子は俺の腹部に膝蹴りを入れてきた。刺されてるせいもあり蹴りが何十倍も痛く感じる。

 

「くはぁ…!」

 

痛みのあまり両手の力が緩んだ。理子は俺を振り払い銃を構えた。

 

「手こずらせやがって…さぁ、これで終わりだァ!」

 

理子が引き金を引くが発砲しない。もう片方も構えて同じようにするが変わらない。それを見て、俺は蹴りで理子の両手の拳銃を飛ばしてやった。

 

「組み合ってる際に安全装置をかけたのさ…!残念だった…な…」

 

俺は力無く倒れてしまった。今までのダメージが蓄積されてきたか…力を入れようにも入らない。

理子はそんな俺を見下ろして大きな蹴りを顔面に入れてきた。もう痛みすら感じなくなってきたか。俺は蹲った。

 

「お前はもう虫の息だ…あとはオルメ…スを…」

 

理子は驚いた表情で俺を見ている。それもそのはず、こんなボロボロでも立っているからだ。

 

「……理子は俺から銃と十手、手錠と武器は全部取り上げたような?だがな、こいつは取り上げなかったのは最大の失敗さ!」

 

俺は理子に見せつけるように注射器を見せた。こいつはアドレナリンとモルヒネを組み合わせた鎮痛剤兼興奮剤だ。武偵が任務で怪我した際に痛みを和らげたり戦闘中で怪我しても興奮させて戦えるようにしたハイブリッドな万能薬だ。

武偵はこいつをみんな持ってる。きっとキンジもアリアにやってるだろうな。

 

「……さぁ、第二ラウンドと行こうじゃねぇか!」

 

理子はさっきと同じように来るだろうと敢えて半身で構えた。

 

「なんどやっても…結果は同じだぁ!」

 

理子は一瞬消える。そこから俺は理子の来る地点に思いっきりパンチをしたら、見事に理子に命中した。

「!?」理子は受け身を取り体制を立て直したが驚いた顔をしている。

 

「さっきの瞬間移動をやろうとしたのか?残念ながらそれはもうお見通しだ。お前は人間の盲点、視野の死角を利用してそこへ体を動かした。小さい体で俊敏だから成せる技なんだろう。だから俺は半身にして視野をなるだけ視野を狭めて集中し、そこから来る場所を逆算して攻撃した」

 

アリアと最初にやり合った時アリアも小さい体を利用しての戦い方をしてた。それからヒントを得れないかと考えたのが功を奏した。

理子はさらに怒りに身を任せて一気に距離を詰めてラッシュを撃ち込んできた。しかし今アドレナリンでだいぶ体が覚醒している俺は素早く避けれる。

よし、今だ!俺はラッシュが止まった瞬間に一気にワンツーを決めるためパンチを繰り出した。

が、それは理子に掴まれ、さらにグリっと手首を回した。そのせいで俺は一回転して地面に叩きつけられた。

立ち上がってみると、視界が激しく回っている。まるで焦点が定まらず、立っていられないぐらいだ。

そこから頭、顔、胸、腹に一斉に打撃が来たのだ。

 

「ぐふぅ…!?」

 

そこから何発か激しく殴られた。視界が定まらないせいで何が何だかわからない。さらには痛みの一つ一つが遅れて、さらに鋭く激しく痛み出した。

俺がその場に膝をついてようやく視界が安定してきた。気がついたら理子は目の前にいた。

 

「く……か、かはぁ…!」

 

内臓がやられたのかドス黒い血を吐いてしまった。

 

「アドレナリンで覚醒して戦いやすくする…いい案だと思うけど、さっき目が激しく回ったと思うけどあれは体が覚醒してるせいで様々な器官も活性化してるんだぁ。だから目が回るのも痛みも普段の2倍、いや4倍になっちゃうからねぇ。アドレナリンは諸刃の剣だよぉ…?」

 

俺は理子に下段から蹴りを入れるがそれを避けられて逆に蹴り返された。

壁に叩きつけられてその場に横になった俺に理子は上から馬乗りになり、首を絞めてきた。

 

「さぁって…遊びは終わりだよ…理子のために……死ね…!」

 

締まる力が強まり俺は息が出来なくなった。振り解こうにも相手の力が強いせいで出来ない。そこから段々視界が暗くなって…きた…

ヤバい……息が出来ない…死ぬ…

突如理子の手の力は弱まり、俺は意識を取り戻した。

 

「そこまでだ!理子・峰・ルパン4世!」

「あんたを殺人未遂の現行犯で逮捕するわ!」

 

キンジとアリアが来てくれた。

理子は観念したように手を上げて俺から離れた。

 

「平一!今までよく頑張ったわね!」

「……おせえ…バカ…」

 

なんとか俺は立ち上がって言った。

 

「……へぇ、いっくんはアリアとキンジの復活のためにここまで戦ってたんだ…」

「時間稼ぎぐらいなら出来るからな…キンジがアリアに注射するだろうと見てそれまではお前を足止めしたんだ…さぁ、3対1なら確実にお前の負けだ!観念しな!」

「……平一はここまで理子を追い詰めるなんて。流石銭形警部の息子だね。いや、アリアもキンジもかな。理子初めてだよ、ここまで追い詰められるの」

「まぁ…面会ぐらいなら行ってやるよ。ムショにぶち込んでやる」

理子は急に口角を上げて

「ぶわぁーか…」

 

その一言を言うと、飛行機は急に揺れ始めた。

理子は俺達が揺れで立てなくなったのを見てから見事に逃げ出した。

 

「待てぇ!理子!」

 

俺は手元に落ちたアリアのガバメントを手に、揺れに負けずに走って理子を追いかける。

理子は軽快に走り、飛行機の後ろまで行った。そこで理子に追いついたが理子は壁にもたれていた。

 

「とうとう追い詰めた…ってわけじゃなさそうだな…逃げる気かよ」

 

まぁ持たれている壁には円を描くように爆弾がつけられており、円の中に理子がいる。ここを爆破して逃げる気だな。

 

「ふふっ。いっくんよくわかったね」

「じゃあ最後に教えてくれよ」

「何?」

「お前、俺やアリア殺す気あったのか?」

「……へぇ。なんでそう思うの?」

「じゃあまず最初に倉庫に閉じ込めたよな?あそこに割れ物注意の札があったケースがあった。ロープをそれで切ったけど普通ならあんなもの片付けるだろう。それだけじゃない、扉は正拳突きで破れたが飛行機の扉は基本頑丈なんだよ。なんで人がパンチしただけで壊れるんだ?その時点で色々おかしいんだよ」

 

理子は黙っているが俺は続けて話す。

 

「あと、お前とその後会った際「誰かと思えば…」って話してたな?まるで待ち侘びてたような感じだ。普通はあんな拘束して出てきたら驚くのが普通だ。ナイフもそう、刺されたがそこまで深い傷じゃない。だから今こうして立てるんだ」

 

俺は銃を構えて続けて話す。

 

「首絞めた時、あれは確かに死ぬと思ったよ。でも理子は離した。キンジ達が来たから?違う。なら何故キンジ達の声が聞こえる前に手を離した?そもそも俺を殺す気ならそもそも倉庫で撃ち殺せばいいのにそんなことしないのは矛盾してるよ。理子、お前の目的はなんだ?」

「……さっすがいっくん。全てお見通しだね。じゃあ教えてあげてる、全てはイ・ウーに入るためのテストみたいなもんだよ」

 

イーウー…かなえさんの面会の時に出たワードだ。

 

「イ・ウーはこの世の天国だよ…だけどそこに入るためには並大抵の人間じゃなくて選ばれた優秀な人間のみが入れるんだ。いっくんは目をつけられたんだ…光栄なことなんだよ?」

「へぇ…つまり今までのテストでもし死ねばそれまでか。残念ながらそんなもん遠慮する。そんなわけわからないもんに入るほど俺は怖いもの知らずじゃないからな」

「残念だなぁ…じゃあ理子からのお願い聞いてくれる?」

「なんだ?」

「アリアにも、キーくんにも伝えて。わたしたちはいつでも、待ってるし歓迎するよって…」

 

そう言い終わると爆弾が爆発して壁に大きな穴が空いた。俺は穴から出る風に飛ばされそうになるが、その穴へ大量の紙や物が飛んできて穴を塞いでくれた。

落ち着いて窓から覗くと理子は制服をパラシュートのように広げてどこかへ消えていった。あのフリフリの改造制服そんな機能あるんかよ…

そんな中、急にまた揺れ出した。理子か?いやアイツは出ていったから違う!

外を覗くと翼のエンジンから火が出ている。

 

「は…?」

 

呆気にとられていると何かが飛んできているのを確認した。それはミサイルだった。

ミサイルは反対の翼のエンジンを破壊し、そこからも火が出てきたのだ。

 

「っ……!?」

 

体から力が抜けて……いく……。なんだ…これは…

注射の効果が…切れたのか…!?

俺の意識は闇の中へと消えていった。

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