『普通科がスカウトされる1個の方法』 作:ゆるぁ
「あなたをプロデュースさせて下さい」
スカウト、とは。
求められる人材を見つけ、勧誘すること。 対象の人材が既に所定の組織などに属している場合は、好条件を示してそれら組織から自陣営側の組織に呼び込むことも行われる。
と、いうのが共通認識だよね、ネットだし。
だが一旦、この広すぎる意味を持つ言葉の検索条件に、"アイドル"という単語を書き加えさせて欲しい。
……そう、アイドルのスカウトだ。
これが街中で行われるような、えっと……とにかく有名無名な芸能プロダクションのスカウトなら想像しやすいんだろうけどね、限られた場所での出来事じゃない、から。
とくに、初星学園という、アイドルの為の学校においては。
「あ、え……?」
「……どうかしましたか?」
この学校の高等部には二つの学科がある。
まずは普通科……まぁ、特筆して説明するようなこともない、けど。
言うなれば、普通の高校生だ。
勉強して、する人は部活をする……それだけ、わざわざ言葉にするまでもない。
そして、アイドル科。
こっちはこっちで言うことがないんだけど。
要するにアイドルになりたい人の為の道だ、こっちで卒業したら……なんだっけ、繋がりのある芸能プロに入れたり? だったかな。
詳しい条件は知らない、だって知ろうとも思わなかったから。
「その……あなたは、プロデューサー科? ってとこの人ですか?」
「? はい、その通りです」
「あ、あはは……」
私立であるここは、私じゃ想像も付かないであろう規模のお金持ちが建てた"アイドルの為になる学校"だ。
アイドルに必要なもの、つまりサポートしてくれるプロデューサーだってちゃんといる。
専門大学だけど。
「すみません、お断りさせて下さい」
「……何故ですか?」
「いや、その……」
お姉ちゃんづての話をざっくりと噛み砕くと。
プロデューサーの人はアイドルに対するしんびがん? とか経験を積む為に"アイドル科の人"をスカウトするらしい。
そして、目の前のメガネのお兄さんは、件のプロデューサー科の人である。
「……何か、あなたの気に障るようなことをしてしまいましたか?」
「あ、いやそうじゃなくてですね!? その……」
「?」
「非常、に……その、言い難いこと、なんですけど」
そう、プロデューサー。
「私、普通科なんです」
「……は?」
「ごめんなさい! 場所が場所だからすっごい紛らわしかったですよね!?」
私の名前は小鳥遊みこ、初星学園の普通科に通う2年生。
だから、紛らわしくてごめんなさい。
あなたの望む、アイドル科の子じゃないんです。