ニゲロ
コッチダ!イソゲ
グァァ!
ゼンセンガモタナイ!
「おい!お前たち何をしている!」
木張りの床は変わり硬く冷たい石畳が広がっている。
周囲は何世紀にも渡り変わらぬ暖かさを感じさせていた転生寺ではなく、中世の石煉瓦で組み上げられた重厚な都市が広がっていた。
とても綺麗な街並みであったと思うそれは破壊されていた。
太く巨大であり粗末な腰布を巻いただけの異形、相対するは鉄鎧を着た者達、建物の扉の大きさを見る感じ異形側が侵攻し鉄鎧達が防衛をしている様に見える。
「うぇーん」
前線を突破した異形の歩幅で10歩も無いぐらいの場所で少女が泣いている。
泣いたからこそ兵士に知られたが、同時に異形にも知られてしまった。
2歩、1歩、異形の手が届く所まで迫るも前線を抑えている兵士には遠く、少女を守るために動かせる兵力もなかった。
少女に異形の魔の手が口が届く直前、異形の近くに赤い服を着、反りの入った片刃の剣を持った少女が現れた瞬間、異形が輪切りになった。
その少女の赤い服はその見た目通り動きやすい布でできているらしく、鉄でできた鎧で身を護る理解できないことであった。
どちゃ、
完全に崩壊した前線に居た同じ姿の異形たちがその音に振り向き、仲間の死体を見て側に居る少女に多少の警戒を抱いているようだ。
「無事ですか?」
「え…え?…あ、」
狙われていた少女は状況が理解できないのかキョロキョロとし、隣で輪切りになっている異形を「て理解したのか泣き始めた。
その声に我慢ができなくなったのか異形の集団が走り出した。
「うーん」
赤服の少女は剣を片手に悩んでいるような声を出しだがすぐに決意した顔になり
「異形どもやはり斬るのは貴様らだ」
一瞬で10は下らない異形を斬り裂いた。
そして、そのまま恋焦がれたような表情で逃げていく竜を追いかけて行った。
少女が斬り裂いた異形たちで襲撃者は最後だったのか殆どの兵士が生き残った市民や兵士の応急手当てを始めた。
「何だったんだあいつ、危険度Bのオーク軍団を一瞬で」
「助かったのか?」
黒髪の頬のこけたベテランの顎髭と金髪の若手が兜の頬面を上げ、安全を確認し兜を取った。
ーーぁぁぁぁぁぁ
「そうだな、ひどい状況だがあの謎の女のおかげで全滅は免れた。」
「あっ!もしかして今のが勇者だったんじゃ?」
そう言うとベテランの顎髭は自慢げに鎧の一部を持ち上げ若手に見せつけ
「それは無い!」
そう言い放ち見せつけている鎧の一部を更に近づける。
「勇者マニアの俺が知らない勇者なんてこの国には居ない!」
「そう!全員のサインを鎧に掘っているからな!」
そう自慢するベテランと勢いに押されて引き気味な新兵の近くに何かが落ちてきた。
砂埃が立ち上がるもすぐに晴れ、少し凹んだ地面には成人を迎えたぐらいの少女、いや女性が倒れていた。
その女性はすぐに立ち上がり空に向かい中指を立て怒気を露わにし叫んだ。
「ふざけるなクソ仏!飛ばすなら引き継ぎを行わせろや!現代社会舐めとんか!そんなんだから人間社会でブッタやイエスしか馴染めない社会不適合集団とか言われんやぞ!仏に十字教ォ!」
ベテランと新兵は顔を見合わせて声をかけることにしました。
「す、済まないがもう少し怒りを抑えてくれないか?子供が泣いてしまう。」
ベテランは慎重になるあまり最初の言葉を間違えてしまった。要するにびびって居た。
本来なら彼はお前は誰だ、どうして空から落ちてきたのか、何を行うつもりなのか問うはずだった。
「!…っち。子供の為だそれに、」
女性はそこで言葉を切り、周囲を見渡す。
「戦を行ったみたいじゃないか、アタシに構うより付近の人を助ければいいんじゃない?兵士さん、アタシも手伝ってやだからさ」
そう言い笑顔を見せるその女性は先ほどあれだけの怒りを露わにしていた人と違うようにすら感じる。
「あ、ああ。もちろん救助するさ。でもな、俺も兵士でな、先にしないといけないことがあるだわ。」
腰に戻していた剣を抜き構える
「あんたは誰だ!オーク首魁か!」
「アタシは天霧・陽雨、大日本皇国の皇族の血縁者であり、30を越える業種の仕事を纏める企業の社長さ。オークってのはそこに転がってる肉のことってんなら知らん。アタシが率いるのは狐に知能の高い奴だけだ。頼まれても嫌だねあんな低脳そうな奴は。」
そう詰まることなく言い切った彼女の瞳には嘘はないように思える。
「…そうか、済まない。疑ってしまった。襲撃を受けたばかりだったから俺はクラーク、後ろのはハイスン。ところでミス・ヒサメ」
「天霧が家名で陽雨が名前だよ。ミスもミスタも要らないし、陽雨でいいよ。」
「…済まない。ヒサメ、ここには何の用事で?」
「あー…仏ってやつに転移術で飛ばされたんやわ」