月曜日。
オカルンはサイボーグ0013ことレオンハルト、そして鞄に忍び込んでいたターボババアと共に、登校していた。
「しかし、ヤベーことになったな。なあ、オカルン。お前さんは元から素質が有って、弱体化したワシが見えていたが、全ての人が人の魂から派生した妖怪が見えるわけじゃねーんだぜ?」
ターボババアがふとそう言う。そろそろ行方不明となった赤龍帝のタマタマが行方不明になり、過剰なエネルギーが譲渡として初めて放出された頃だ。
そしてターボババアの言う通り、全ての人が死んだ人間から派生した妖怪や怪異が見えると言ったら、嘘になる。魂から派生した妖怪…ターボババアのような存在を見るため、認知するには最低限の霊感が必要なのだ。
「それがどうかしたんですか?」
「……」
「ワシら死んだ人間は基本的に見えている人間しか接触しない。つまり、見えてない人には手出ししない、という訳だ。
だが、赤龍帝のタマタマが力を譲渡すると…今まで見えていなかった人も霊感に目覚めて、認知出来るようになる。そうなると、悪霊や霊から派生した妖怪に襲われるようにもなるんだぜ」
たとえ神器が無くても、超能力に目覚める素質が無くても、タマタマの譲渡を受けると悪霊などの存在を認知出来るようになる。そうなると、ターボババアのように霊から派生した妖怪を見れるようになるし、反対にターボババアのような妖怪から襲われるようになるのだ。
「…」
「サイボーグの坊やはわかったようだね。オカルン、お前さんは裏側のことを知ったのは最近だ、だから分からないことも多いだろう。
この世は理不尽で溢れていてな、殺人事件やニュースでも言われない酷いことがら、そして大昔から三大勢力の手で理不尽な目に遭った人々も多い。そんな人達が成りたくなくても、悪霊に成ってしまい……襲いたくないのに、自分達を見れる人間を襲ってしまうのさ」
この世のオカルト事件は三大勢力関係やセルポ星人のような、事件だけではない。理不尽に殺された人が悪霊に変異してしまい、生前の記憶は薄れてしまい、誰かを呪いたくもないし殺したくないのに、自分達が見れる人を襲ってしまうことも多々ある。そんな悪魔に殺された人は不審死や行方不明として扱われてしまい、供養されることはあまりなく、負の連鎖が産まれるのだ。
「つまり、タマタマから力を与えられた人は神器や超能力に目覚めることがあるけど、どちらの素質もない人は……妖怪に襲われるようになるってだけですか!?」
「そうなるね。出来るだけ急ぎな、オカルン。突如として力を与えられた若僧は、だいたい持て余して道を誤るよ」
ターボババアの言葉を受けて、学校への道を歩く2人。そんな時だった。
「0013!0013じゃないか!!どうだい?普通の生活にはなれたかな?」
孤児院だろうか?何処か教会を彷彿させる作りをした建物の前で、1人の初老の男が掃き掃除を行っていた。
「0011こそ、この町には慣れた?」
「ああ…エクソシストになった娘とは連絡がつかないけどね。でも、君達のお陰で普通の生活を取り戻すことが出来た」
0011とその初老の男はレオンハルトから呼ばれた。
彼は孤児院の院長であり、サタナエル率いる一派の手で次世代型サイボーグ0011に改造された過去を持つ元エクソシストである。
「レオンくん。知り合いですか?」
「彼はサイボーグ0011。サタナエルの手で次世代型戦闘サイボーグ0011に改造され、戦いを強要させられた元エクソシストだ。たしか…本名は…」
「紫藤トウジだよ、宜しく」
本名は紫藤トウジという、そこそこ優秀なエクソシストだ。だからこそ、サタナエルにサイボーグの素体として選ばれてしまった。
アドルフがグリゴリ時代、00ナンバーの素体として選ばれた男女は全員が共通して神器を宿していない、代替えが利くありふれた人間ということで素体が選ばれた。しかし、サタナエルが0010、0011、0012の素体に選んだのは優秀な戦闘力や肉体を持つ人間達だ。この事から、サタナエルは圧倒的な力で紫藤トウジを襲撃し、拉致…その後は0011に改造し…しかも人間離れして何処から見ても円盤に沢山のマニピュレーターや銃口等を取り付けた兵器として作り上げたのだ。しかも、意識を残して「00ナンバーとアドルフを殺せば、肉体を元に戻す」と告げてである。
だが、00ナンバーの協力プレイで内部の自爆装置と戦闘強制プログラムを破壊され、その後はアドルフの手で…人間らしいボディに戻ったのだ。但し、脳ミソ以外はサタナエルの手で機械化されていたので、生身の部分は脳ユニットしか残されていない。
「サイボーグにも…色々有るんですね」
「彼らのお陰で、今の私があるんだ。教会では死んだことになってるし、戸籍もなくなってイギリスには戻れなくなったけどね。
今は天界のため、エクソシストとしての任務で多くの命を奪った罪滅ぼしも兼ねて、孤児院をしてるんだ」
エクソシストは当然ながら、悪魔や堕天使を祓うため命を奪うことも多い。転生悪魔や純血悪魔も殺すし、なんなら生まれの為にハーフとして産まれた混血児さえも殺す。そして天界からの命令が有れば、神器を持って産まれた幼子や赤子、その家族さえも命を一方的に奪うのだ。
「ところで君達…イザイヤくんって知ってるかい?私の孤児院に住んでる子供達が探してるんだが…歳は…そうだな、生きていれば16~17の歳かな」
別れ際に0011は1枚の写真を見せてきた。その写真にはユウトを幼い子供にしたような子供が写る。
そうこうしてると、学校に到着した。
「健。この学校、可笑しくなってるよ」
「どうしたの!?」
突如として学校に入るなり、オカルンだけに聞こえるようにレオンハルトが振動操作で話しかける。
「何人かの生徒達が神器に目覚めてる。創造系や異能系の神器、超能力は分からない。だけど、封印系の神器はなんとなく分かる。金曜日と比べて、何十人も目覚めている」
「それって…兵藤さんのタマタマが関係してるんじゃ!?」
オカルンの言葉に対して、レオンハルトは頷くように答える。封印系の神器を宿した存在であるレオンハルトは、同じく封印系の神器を宿した人達をなんとなくだが、察知できるようだ。その数は休み前の金曜日より遥かに増えており、封印系だけで推定何十人も目覚めてるなら…他の神器も同数以上目覚めている可能性が高く、超能力も含めればもっと多いかも知れない。
「まあ、一応。駒王組にもメッセージを入れておこうよ。悪魔だからテレポーテーションみたいに転移できるし、時間つくって来るだろし」
しかし、急に能力に目覚めた異能者が多いとなると、タマタマが関係している可能性が高い。レオンハルトはスマートウォッチのような端末を用いて、タマタマ捜索隊全員にメッセージを送信する。勿論、00ナンバーには脳内無線機を使ったメッセージも送った。これにより、放課後はイッセー達も来るし、探知に優れた003も外から学校を見てくれるかも知れない。
「そういや、レオンくんの声って僕にしか聞こえてない?」
「ああ、実際に精神的な言語障害だしな。神器の力がなかったら、振動操作での言葉も伝えれない」
「なあ、健。健はターボババアの婆さん、桃は星子の婆さんってお目付け役が居るでしょ?
でも、突然…力に目覚め、お目付け役が居なかったら…きっと大はしゃぎするよな?」
レオンハルトは危惧していた。人間とは突如として大きな力を持ってしまえば、困惑するか、はしゃいでしまうかどちらかなのだから。
ありふれた神器でさえ、力を倍にしたり*1、炎の様々な物を燃やす球体を自在に操ったり、そこら辺の物を凍らせたりと様々だ。
「噂をすればだ。健、最低限の警戒を解くな」
オカルンに骨伝導でレオンハルトから警告が響く。
すると……
「いやっ俺ってすげーよ!!この籠手を出したら力が2倍!100メートルもボルトより、速くなる。あと、腕っぷしも強くなるし…隣の高校のやつらもボコボコに出来るしな」
「俺も!女子の動きを停めて好き勝手に出来るしな!!」
「スゲーよな!!やりたい放題出来るし!!警察も怖くないよな!!」
オカルンやレオンハルトのクラスメート、そこの不良グループがやって来る。顔が良いためか、女子ウケも良いし…先日までオカルンにちょっかいをかけたり、陰ながら虐めていた奴らだ。
「レオンハルトくん」
「ああ、アイツら…全員神器に目覚めてるよ。あの様子なら、ヤってるよ。行くぞ、絡むだけ…無駄だ」
『003から0013へ!!緊急事態発生よ!!大至急、校舎裏まで向かって!!怪異が現れて、1人の生徒が丸飲みされわた!!』
「オカルン!!ターボの婆さん!!緊急事態だ!!」
「緊急事態!?」
その時、003…フランソワーズから緊急無線が入り、レオンハルトはローギアでの加速装置を作動させて走りだし、オカルンも変身して走り出す。変身したオカルンはターボババアの魔力の影響を受けて髪が逆立ち、白髪になり、制服も変化する。
「萎えるぜ…緊急事態は苦手だぜ」
変身したオカルンは『本気』を使うことで加速装置に匹敵する速さで動くことが出来るが、今は2回までしか使えない。
「おい、高倉のやつも力に目覚めたんじゃね?」
「ハッハハ!!どうせ、それでも雑魚だよ。だって、高倉だぜ?喋れないハイドリヒが転校するまで、友人が出来なかったくせによ!」
そんな2人を尻目に、不良は嘲笑うが、気にしてはいけない。
3分前…
タマタマを拾い、天から授かりしマテリアと勘違いしている白鳥愛羅…アイラは恐怖で震えていた。
「さあ、アイラ…お母さんですよぉぉぉおお!!」
アイラは背丈が5メートルほどの、人の魂から派生した妖怪 アクロバティックさらさらに両手で鷲掴みにされており、身動きが取れない。それどころか、アクロバティックさらさらは自分のことをアイラの母親と自称していたのだ。
「なっなによ!!ここには十字架(ライター)と天から授かりしマテリアが有るのよ!!この悪魔!!化物!!」
「悪魔?…私とあの子の全てを奪ったアイツらぁぁと私を一緒にしないでょぉ!!」
アクロバティックさらさらは大きな口を開けて、アイラを呑み込んでしまい、同時に赤龍帝のタマタマを呑み込んでしまい、大幅パワーアップしたのだった。
次回!タマタマブーストのアクサラVSオカルン、0013、桃、白音、駆け付けるジェット&アルベルト
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