リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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第二十話 ・・・・・・・邪神様だ

 アリシアの遺体が入っているカプセルの前で気が付いたことがある。

 

 一つ、アリシアは今のところ俺にしか見えない。ただし、見えるだけで何を言っているまではわからない。

 二つ、アリシアの体は死体として分類されているのにカスタマイズが出来ない。少なからず、WCCでは死体として認知されない。というか、WCCが反応しない。

 三つ、アリシア幽体は全裸であ

 

ズドオオオオォン!

 

 「いきなりライデインをぶっ放さないでください」

 

 「今のはライデインではなくデインよ」

 

 四つ、アリシアの母親であるプレシアは子煩悩の大魔王である。

 

 「更に付け加えると、私にはあと二段階以上の雷撃があるわ」

 

 四つ目を訂正する。フリーザ様である。

 

 五つ目、ここが重要。アリシアもWCCのメニュー画面が開ける。

 傍にいることでその人の神技を扱う事が出来る『共鳴能力』でも持っているのか?

 いやいやびっくりしたよ。ただ、日本語で表記されているからかアリシアからしてみれば何やら見たことが無い文字が沢山あって分かりにくい。と、いった表情が見られる。

 それでもこちらが言っていることはわかるのか、手を使って○や×で意思表示を示す。

 それと本当にアリシアの幽霊なのかと尋ねてきたプレシアさんに、アリシアしか知らない情報を尋ねてみると、WCCのメニュー画面を利用して、何やら英語のような物を表示してくる。

 これを伝えろと言いたいのか、アリシアはその画面をグイグイと押し付けてくる。

 とりあえず、今いる場所の床を借りてその文字を掘り(彫り?)こむ。

 なにやら数字が書き込まれているからにして誕生日か何かなのだろう。

 どんどん、渡される情報を地面に書いていくとプレシアさんの表情は懐疑的な物から真剣な顔になる。その途中でプレシアさんの顔が突如赤くなる。

 

 「あなたなんてことを書くの!」

 

 「いや、俺はアリシアから渡される情報をそのまま掘りこんでいるだけなんですけど?」

 

 大体読めませんから?なにこれ、英語?

 何を書かせたんだアリシア?もしかして、エロいことなのか?

 アリシアの表情から見ると悪戯心を隠しきれていない笑みを浮かべながら、次の文章を彫れとメニュー画面を押し付けてくる。

 それを地面に彫りこむとプレシアさんに締め上げられた。

 

 「…貴方、書いて良い事と悪い事があるのよ?」

 

 「だから何が書き込まれているんだってばよ…」

 

 拘束を解かれた俺の傍で「…私だって女ですもの。…仕方ないじゃない」と、ぼやいていたところを見ると、エロい事だな!と、確信をもってアリシアの方を見ると、彼女の方もやり遂げたと言わんばかりの表情で頷く。

 ならば、読めない文字から妄想でプレシアさんのエロ情報を探る!

 

 ズドオオオンッ!

 

 「ぎゃあああっ!目が、目がぁあああああ!」

 

 地面を走る紫色の雷が個人情報を焼き払う。その光に目を焼かれたかのように目を抑えながら床を転がる邪神。

 

 「…ええ、認めるしかないようね。アリシアの幽霊がここに居るという事を」

 

 顔を赤くしたプレシアさんが落ち着きを取り戻し、目が回復した裕は今後の打ち合わせをして、本日はお開きという形になった。

 裕を返す前にフェイトに会っていかないのかと言われた裕は、顔を赤らめながら呟く。

 

 「え~、今、磯臭いから恥ずかしい~」

 

 「なんなの、その恥じらい?」

 

 ダイバースーツのまま時の庭園に連れてこられた裕は確かに磯の香りがしていた。

 だったら、お風呂に入ればいいじゃない。

 その一声でお風呂を借りることになった裕はフェイトとアルフと遭遇することになる。

 

 

 

 アリサ視点。

 

 裕が攫われてから数時間が経った。

 恭也さんと忍さんにもう遅いから家に帰るように言われたけど、あの場に居合わせて何も出来なかった私はせめて裕のご両親に事の詳細を伝える。それによる罵倒を受ける責任があると感じて、今、田神の表札がかかった一戸建ての玄関前にいる。

 翠屋になのは達。…あの銀髪の榊原を含めたジュエルシードの今後の管理について話し合いが続けられている。

 隣には事情を説明するために恭也さんがいる。

インターホンを押すその瞬間まで私に家に帰ることを進めたけど、私はそれを受け入れることは出来なかった。

 裕が攫われたとあのいつも笑って出迎えてくれる裕のお母さん。シアおばさんが泣くのは間違いないだろうと思いながらも覚悟を決めてインターホンを押す。

 

 ピンポーン。

 

 インターホン越しにシアおばさんの声が聞こえると思ったその時だった。

 

 『・・・・・・・私だ』

 

 「誰よ!」

 

 妙な間を持って答えた声に聴き覚えがあると思いながらも、思わずツッコミを入れた私は悪くないと思う。

 出迎えられるはずの扉を開け放ち、田神家の家へとお邪魔する。

 裕の家は一般家庭にあるような玄関を入ってすぐのところに居間がある。

 そこでは紫色の髪を腰まで伸ばした見たことが無い人とシアおばさん。そして、なのはの持つレイジングハートに見せてもらったフェイトという女の子とアルフというお姉さんが居間でなにやら真剣に話していた。

 

 「どうだい裕君。かなりの出来だと思うんだが」

 

 「かなりの物だと思います。今までカスタマイズを施してきたものの中でもベスト5に入りますよ」

 

 「ほほう。ちなみにランキングを教えてもらえるかな?」

 

 「ジュエルシード。デバイス。時の庭園にあったロボット。病院や月村邸の施設。そして、この黒袴ですね。てか、ダイヤモンドよりレア度が高いんですけど…。どこで作られたんですかこれ?」

 

 「南米の祈祷師に作らせたものだが本物みたいだね。…あの呪いに使う髑髏の飾りも本物かもしれないな」

 

 「なにそれ怖い」

 

 そして黒い袴をつけた裕が私のパパと愉快に話をしていた。

 裕は紫の人。プレシアさんに誘拐された後、しばらくすると本当に帰ってきた。

 そんな時、私のパパから連絡があって、前から頼んでいた物が出来たとパパ自ら持ってきた袴をカスタマイズしてお披露目をしていたらしい。

 裕はジュエルシード事件に関わるようになってから『これでもか!』というぐらいに豪華な袴をパパにお願いしていたらしく、パパもジュエルシードの事は聞かずそれを了承したらしい。

 いろいろと言いたい事はあるけど、私はどうしてすぐに連絡をしなかったのかと尋ねた。

 

 

 

 「ちょっと、そこの女の子とお風呂をしていたら遅れた」(テヘペロ)

 

 

 

 次の瞬間、アリサの膝が邪神の顎に綺麗に決まった。

 




 邪神なりの心配させないためのジョークだったんですが、アリサには通じなかった様子です。

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