リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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第二十五話 これを使えば、神にも悪魔にも邪神様にだってなれる!(はずです)

 夏の兆しを見せる陽射しの下で携帯ゲーム機を片手に公園に集まった『イエーガーズ』の子ども達。

 そんな中で見慣れない格好の少年。いや、少女達がいた。

 

 「私のアズマオウで全員を叩き潰してやるわ!」

 

 「わ、私のリニス。じゃなくて、ぺ、ペルシアンでお相手します」

 

 「…裕君の代理で相手します」

 

 「す、すずかちゃん落ち着いてね。また携帯ゲーム機が壊れちゃうよ」

 

 Tシャツにジーパンという格好で現れたのはアリサとフェイト。すずかの三人のポケモントレーナー。もとい、ゲーム機を持った少年少女たちは公園に集まってお互いの育てたポケモンで競い合うことになっていた。

 

 「あの~、ダーリンの代理ってどういうことですか?」

 

 なのはとフェイト達は今まで頑張ってジュエルシードを集めてきた疲れを取るためにも一度、息抜きもかねてこうやってイエーガーズの皆と遊ぶことになっていた。

 

 ジュエルシードの事は管理局の局員に任せており、彼等の手にも負えないようだったらなのはの持つレイジングハートに連絡が行くことになっている。彼女はバニングスさんが資金をだして翠屋のクッキーを参加賞。優勝賞品に好きなケーキをワンホール無料券を用意している。

 

 管理局に素性を知られたくないフェイトはWCCで魔力を抑える効果を持つ白いかつらをかぶり男装?男の子の格好をしてポケモン大会に出るように裕に言われた。

 

 アリサは元から参加するつもりだったのだが、メダルトリオの誰かに目をつけられては困るのでなのは達同様に男の子の格好で出ることになった。

 

 すずかは時の庭園で念の為にと大量に作った元時の庭園をガードするロボットのゲッターロボのチェックで来れなくなった裕の代理を務めることになった。

 その際、裕の使うポケモンのデータを見た時だった。

 

 以下、ニックネーム。修得技。ポケモン名の順でお送りします。

 

 トミタケ:フラッシュ:マルマイン

 チャッピー:「かみなり」「ふぶき」のガチ装備:ニドキング

 

 ここまではよかった。

 

 アリサ:ぐぬぬの「がまん」を修得。:リザードン

 フェイト:「なきごえ」は最後まで取っている。:ピカチュウ

 なのは:「はかいこうせん」は常備:ピクシー

 すずか:「かみつく」「きゅうけつ」:ゴルバット

 

 彼女達の特徴を表したかのようなポケモンと夜の一族をちらつかせるニックネーム。

 しかもカッコいいとも可愛いとも言えそうにない口を大きく開いた蝙蝠を模したポケモンに自分の名前をニックネームとしてつけた邪神のセンスに一度は渡された瞬間に携帯ゲーム機を丸ごと握りつぶしてしまった程だ。

 慌ててWCCで直すことに成功したが、そのあとで二人きりになったすずかに怒られた邪神だった。

 

 

 

 

 一方その頃、時の庭園の格納庫にあたる場所で邪神と魔女は問答を繰り返していた。

 無理矢理つけてしまった変形と合体機能の所為でビームを放つことが出来なくなったゲッター1の前で裕はあれこれWCCでいじっていた。

 

 「あれも駄目。これも駄目。ゲッター線が無いとやっぱり無理か?代わりにジュエルシードを…。いやいや」

 

 「そもそもたかが2~5メートル程しかないロボットにそんな余計な機能をつけただけでも一杯一杯なのにそれに乗り込もうなんて無茶苦茶な話よ」

 

 トマホーク、ドリル、ミサイルなど兵器を積んでいる状態で変形や合体をしようとするとその武器自体が邪魔になって変形や合体に支障をきたす。というか、体積的に考えても無理がある。

 時の庭園に合ったロボットの品質の良さとWCCの力でどうにか形だけは整えることが出来たゲッターロボだった。

 

 「な、なら鎧としてつけるのは?バリアジャケットみたいに装着する形で」

 

 「あなたの体って変形と合体が出来るの?」

 

 裕はガクリと膝を突きながら落ち込む。

 そして、何も言わないゲッターの前で呟いた。

 

 「お前と、合体がしたい」

 

 別の合体ロボ。機械天使に当てはまりそうなセリフを呟く邪神を見たプレシアはため息をこぼす。

 

 「まあ、別にビームを放つだけなら出来ないでもないけど…」

 

 「本当か!?」

 

 「そんなに目をキラキラさせながらこっちを見ないでくれる。あなた時々すごく子どもっぽく、まあ、子どもなんだけど、本当にフェイトと同い年なのか分からなくなるから対応に困るのよ」

 

 「そんな事より、ビームは!ビームは本当に撃てるのか!」

 

 「変形と合体機能を外せば…」

 

 「やだ!そんなのゲッターじゃなくな…。いや、一応あれなら…?一応あれもゲッターだし…」

 

 即答で答えた裕にプレシアは呆れたと再びため息をこぼすと、自らが持つデバイスを起動させてとある設計図を見せる。

 

 「無理に一機分でやっても無理なら百。いえ、千機でそれを担えばビームも変形も可能よ。ただ、変形の部分はあなたのWCCでやればいい。それでも人間でいう所の胴体の部分はあまり変形が出来ないけどね」

 

 「…これって」

 

 プレシアが見せた物を見て裕は打ち震えていた。

 初めて時の庭園でロボットを見た時の感動で忘れていたがゲッターロボは人が乗り込むための巨大なロボットであり、時の庭園にあったロボットのサイズではあまりにも小さすぎた。プレシアの見せたそのロボットは人が乗り込むには大きすぎるサイズだが、それでも裕が望んでいたビームを放つことが出来る機能を搭載することが出来る。

 数千、数百ものロボが一度資材化されて、再び同じ風貌のロボを作り上げる。それはただ大きくしただけなのだが、裕はその多くのロボットが一つになるという所で天啓を得たように感じた。

 あのゲッターなら大きく変形することは少ない。それどころかビームも放つことが出来る。WCCでプレビュー画面を開いて確認しても大丈夫だし、先程思いついたもう一つの案もプレシアから可能とお墨付きをもらう。

 最初に思いついたゲッターは変形合体できないもののトマホークとビームを撃つことが出来るが変形機能と合体機能がないロボットというかバトルアーマー。

 そして、もう一つのロボットは人というよりも異様とも思える形だが、確かゲッターである。戦艦サイズという特大サイズのロボットだった。

 

 「ふは、ふははははっ!これなら、これなら神にも悪魔にもなれる!」

 

 「あなたは邪神でしょ」

 

 これまた別のスーパーロボットを髣髴させる台詞を叫ぶ裕にプレシアは三度目のため息をついた。

 

 


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