リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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三十一話 JASIN SAMA

 フェイト・テスタロッサとアリシア・テスタロッサ。

 二人の金髪美少女が転校生としてやって来た日。

 邪神。田神裕のクラスは大いににぎわっていた。

 

 「アリシア・テスタロッサですっ。妹のフェイトともどもよろしくねっ」

 

 「ふぇ、フェイト・テスタロッサです。よ、よろしくお願いします」

 

 方や元気娘な美少女。ちっこい系けどお姉さんぶりたいところが可愛い。

かたや守ってあげたい系の美少女。更に妹。これ重要。

 

 

 

 「よろしくお願いしますっ」「こちらこそよろしくお願いしますっ」「やめろ!お前等俺のフェイトが怯えているだろ!」「・・・いらっしゃい。フェイト。アリシア。ストレス世界へ」「バニングスさん、しっかり!・・・目が。・・・死ん、でる」「可愛い系の姉に儚げ系の妹、これで勝てる!」「タガミフラッシュ!」「月村さん、田神君のカメラを没収して」「アリシアさん!ご趣味は何ですか!」「妹へのセクハラです!」「はい」「俺のデジカメを没収しても第二第三の携帯電話による撮影が行われ…」「アリシア?!」「裕君、携帯も没収なの」「騒がしい奴等だな、アリシア、フェイトそんなに気にすることはないぞ。このクラスには俺がいるからな」「良い御趣味ですね。次は僕も混ぜてください!」「ぬああああああっ!カメラが、僕のカメラと携帯がぁああああっ」

 

 

 

 これだけの会話が一つの教室で繰り広げられていた。

 誰がどの台詞を言っているかは各々の想像に任せます。

 

 そんな騒動の後、アリシアとフェイトはお昼時間になるとなのは達と一緒にお弁当を食べようと思ったのだが、アリサ・すずか・なのはの三人はお昼時間になると同時に二人目掛けて走り出した。

 その行動に二人は驚いた。何故なら三人は必至と言ってもいい形相でこちらへ向かってきたから。驚いている間に腕を取られた二人をよそになのはたちは勢いそのままに走り出す。

 そんな二人を左からなのは・アリシア・アリサ・フェイト・すずかの五人六脚のような形で教室を出ようとすると、そこに金髪の王城が扉の前に立ちふさがるように五人に声をかけてきた。

 

 「皆、どうした。そんなに急いで、俺と一緒にどこか落ち着いたところで昼飯でも食べ「煙幕!」むぎゃっ?!」

 

 ボフンと立ち上った黒い煙に包まれた王城は五人を見失った。それは後ろから声をかけようとした白崎も同じだった。

 

 「なんだ?!この煙は!?」

 

 「げほっ。・・・げっ、白崎!俺のフェイト達をどこに連れて行きやがった!」

 

 「あん?お前の手が届かない所に決まっているだろ!」(ちい、いつの間に俺のアリシア達は何処に行った?)

 

 そこからは王城と白崎はお互いに魔力強化をした殴り合いになるのであった。

 

 

 

 

 

 中庭の一角。

 それこそ気をつけてみないと見つけにくいところでなのは達とイエーガーズの何名かが真剣な顔つきで携帯電話のやりとりをしていた。

 

 『イエーガーズ・リーダーより、全イエーガーズへ。目標乙・甲は互いの潰しあいを開始した。昼休み時間終わりまでやり合う模様。これより監視体制を五名から俺と№59と№31の三名にする。各員、昼食を取れ』

 

 「ラジャー。イエーガーズ3とその他これより昼食に入る。・・・では、お昼時間に入りましょうか。どうかしましたフェイトさん?」

 

 「あ、うん。なんでもないよ。というか、小学校って、私初めてだから驚いちゃって・・・」

 

 携帯電話で教室の状況を伝えられたイエーガーズの女子がお弁当箱を広げる様子をフェイトは少し引いた状態で見ていた。

 逆にアリシアは目をキラキラさせている。

 

 「日本って、本当にすごいね!NINNJAは本当にいたんだ!」

 

 「今日は静かなほうよ。いつもはあれの1.5倍はうるさいんだから・・・」

 

 榊原が粛清。もとい、心を入れ替えたのでアリサやなのは達の気苦労は減ったとはいえ、魔力で身体強化を行っている二人から逃げるには未だにイエーガーズの援護がなければ逃げれない。

 その時発生した煙玉も裕が駄菓子屋で見つけた玩具花火をWCCで少しだけ派手にしたもので、後の掃除も軽く箒で掃くだけという安心設定の煙幕だった。

 

 「・・・あれの1.5倍」

 

 フェイトは戦闘経験が少ないだろうなのはのスタミナと諦めてはいけないというガッツの出所を知った気がした。

 

 「それにしてもここの皆って元気がいいよね。私ワクワクしてきたよ」

 

 「・・・アリシア。あんた肝が太いわね」

 

 「あはは、アリシアちゃんが気に入ってくれたら両方貰って行ってもいいんだよ」

 

 肝はすわっているものでは?それとも神経が図太い?その両方を混ぜた良い方なのだろうか?

 すずかはようやく無表情から復帰して笑顔を見せた。が、その心は穏やかじゃない。さりげなくアリシアに件の二人を押し付けようとしたがアリシアはそれを首を振って拒否する。

 

 「うーん。それよりは私はユウのほうがいいな~」

 

 「「えっ?!なんで?!」」

 

 なのはとすずかはなんの躊躇いも無く出てきたユウの名前に驚いていた。

 

 「なんでって、言われても私がよく知っている男の子ってユウぐらいだし・・・。それに命の恩人だよ?悪く思うわけないじゃん」

 

 アリシアのもっともな意見に二人は黙り込む。そう言われればそうだった。と、

 

 「まあ、それだけじゃないんだけどね・・・」

 

 意味ありげに頬を赤らめて、視線を逸らすアリシアに周りの全員が慌てる。

 

 「私達の裸見られちゃったし・・・」

 

 「裸?!ていうか、達?!フェイトも見られたの?!」

 

 「あ、あうううう・・・」

 

 アリサはアリシアの発言からフェイトまで裸を見られたと推測して、彼女達に問いただそうとした。が、彼女達の口ではなく、態度で理解した。

 お弁当の中身をフォークでかき混ぜているフェイトは時の庭園であったことを思いだしたのか、耳まで真っ赤である。

 

 「・・・やろう、団長の奴、許せねぇっ」「いつの間にフラグを・・・」「・・・しかもご近所さんらしいぞ」「・・・お、お隣さんだと」「金髪美少女姉妹を・・・」「・・・なんたる裏切り行為」「とられる前に取るしかないのか・・・」「・・・団長の穴は俺の物」

 

 と、イエーガーズの面々から恨み節が聞こえるが、不意に現生の邪神のお尻辺りが寒くなる言葉も聞こえる。

 それからテスタロッサ姉妹との交流を深めるイエーガーズの面々となのは達。

 お昼休憩が終わりかけたころ、メダルコンビの様子をうかがっていた団長こと田神裕から電話がかかってきた。

 

 『こちらイエーガーズ・リーダー。№3応答しろ』

 

 「団長ですか?私達は丁度お昼を終えた所ですが何かありましたか?」

 

 お昼ご飯が終わってもテスタロッサ姉妹の人気は衰えず、それどころか電話の向こう側にいる裕まで興味の対象になっていた。

 №3こと森下千冬の持つ携帯電話に注目が集まる。

 放課後はおしゃべりしながら帰り、プレシアの設立した研究所を案内すると約束を漕ぎ告げたなのは達は金髪姉妹と一番仲がいいだろう裕も一緒に帰らないかと話していた。

 その実、どれくらい親密なのかをはかり知る為に・・・。

 

 「ええ、そうなんです。・・・はい?はあ、わかりました皆さんには私から伝えておきますね」

 

 携帯電話を切った千冬の様子をうかがっていたなのは達はユウが一緒に帰れるかどうか尋ねてみると、帰ってきた答えがあまりにもひどい内容だった。

 

 「今日は新入りと一緒に薄幸系美少女に恩を着せて仲良くするためのナンパに行くからパスだそうです」

 

 後日、邪神の顔にアリサの拳。すずかのアイアンクロー。アリシアのドロップキックが突き刺さり、テスタロッサ研究所の地下に設けられた演習場ではフェイトとなのはにボコボコにされる未来が待っているのだった。

 


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