邪神の目の前に最悪の罠が立ちふさがる!
『?』:うふふふ。私がそんなに欲しいの?
闇の書内部。
それは今まで蒐集してきた生物たちの魔力がまじりあった迷宮。
その迷宮からは時折、唸り声を上げながらゾンビの様に出現する魔物や人の形をしたなにか。
守護騎士である自分もこんな風に作られたのかと思いながらも鉄槌の騎士ヴィータはシャマルが誘導するその方向に向かって歩みを進める。
魔力を使えばそれを嗅ぎつけられて彼等がやってくるかもしれない。
そんな時に役に立つ、邪神が持ってきた段ボールだ。
バニングスの持つ人脈を駆使して最高級の段ボールを用意、そしてそれにWCCを施すことにより『隠密効果(大)』の効果を発揮、闇の書から生まれただろう異形の者達は段ボール自体が見えていないように先へ、先へと進んでいく。
だが、やり過ごすことが出来ない時、溶岩や氷山が降り注いで来たり、接触した瞬間に自爆する異形のモノが現れた時はヴィータが段ボールの中から飛び出し、それを防いだり、
砕いたりするのが彼女役目だ。
邪神の役目はそのようなそのような罠を事前に探知し、解除もしくは発動させないようにする。
その部屋に入れば周りからモンスター達が一斉に襲い掛かってくる仕掛けを外したり、逆に襲い掛かってくる抜け道を予め潰しておくなど、サポートに徹する。
直接的な物はヴィータが潰す。
間接的な罠は邪神。裕が潰す。
この二人ならどんなダンジョンも攻略できると思っていた。
だが、ダンジョンというのはそんな思いを打ち砕いた。
それは欲。
金が、そして、目の前にある『もの』が欲しいという欲が二人を襲った。
はやてを助けたいと信念を持つ守護騎士が・・・。
物なら殆ど作り出すことが出来る邪神が・・・。
とても欲しいと思い、隣にいる協力者を蹴落としてでも欲しいと思う物がそこにはあった。
何もない一本道その床に落ちている三枚の金貨。
別にこれは問題無い。
だが、この三枚があることによりその奥に浮遊というか不自然に空中に固定されている『?』と書かれた箱。
謀ったな!謀ったな、任○堂ぉおおおおおおおっっ!!!
それを見た瞬間にヴィータと裕は金貨を取り、『?』ボックスを真下から腕を九十度にしてジャンプして叩きたい衝動に駆られた。
猛烈にあの金貨が欲しい!
『?』ボックスを叩きたい!
WCCで調べた結果、あの地面に落ちている金貨をとっても罠らしい罠は無い。
だが、『?』ボックスは空中に浮いているので調べようがない。
アレを叩けば何が出てくるか分からない。
だが、叩きたい。叩きたいのだ!
「じゃあ、あれは私が叩くからな」
「いや、何があるか分からないから俺が一度触ってから確かめるのが先だろう?」
「いやいや、だったら尚更頑丈な私が触るべきだろう?」
「いやいやいや、WCCで強化しまくっているこの服なら大丈夫だって」
「いやいやいやいや、あれの中身がエイリアンみたいなやつだったら終わりだろ?」
「いやいやいやいやいや、ソフトタッチする程度だから仕掛けは動かないって、間違って強く叩かなければ」
「てめぇっ、やっぱりアレを叩くつもりだな!」
「そういうヴィーたんだって叩きたいんだろ!」
「金貨を拾って『?』ボックスを叩くのは私だ!てか、ヴィーたん言うな!」
「金貨はくれてやるが『?』ボックスを叩くのは俺だ!Vita!」
「携帯ゲーム機みたいに言うな!」
ギャーギャー言いあう二人に闇の書侵入時からずっと後を追うように漂っているクラールヴィントの片方から連絡が入る。
『あのー、二人共、早く先に行ってくれないかしら?まだ半分しか進んでいないのよ?あの箱は無視して進めばいいじゃない。あなた達の身の安全もあるけど、はやてちゃんの事も考えて走って行きなさい』
シャマルからの注意を受けた裕とヴィータはお互い、足元に落として口げんかを辞めた。
「そうだな。一応、ここもダンジョンで危ないもんな」
「そうだな。ここははやての事を第一に考えて」
『そうそう』
シャマルが相槌を打った瞬間にヴィータと裕は顔を上げて駆け出した。
「「Bダッシュ!」」
『二人共、私の話を聞いていた?!』
シャマルの耳がコイーン。コイーン。コイーン。ドムッ。コイーン。と、いう音を拾ったのはそれからすぐの事だった。
ダンジョンの根本的な深層に行けば行くほど出てくるモンスターも罠も一癖、二癖ある物が出てくる。
まあ、罠はWCCで探知、罠潰しは可能なのだが、先程の『?』ボックスの様にWCC対策の罠まで出現してくる。
シャマル曰く、裕(邪神)が侵入してきているのは闇の書も感知しているからそれに対応してダンジョンも変化している可能性があると示唆してきた。
WCCがあれば、即座に深層までシフトムーブできないのも邪神の存在を、守護騎士を通して知っているからか、深層部は生体部分。まるで内臓の様になっているそうだ。
まったく、バグがあるのに自分には何で対応するんだと思う裕。
そんな時、ヴィータが指さす方向に目を向けてみると、そこには・・・。
コピーシグナムA:バーサーカーモード
コピーシグナムB:ムカチャッカファイヤーインフェルノ状態
コピーシグナムC:俺は怒ったぞおおおおお形態
の三体の魔物が闊歩していた。
さーて、段ボールを用意しなくっちゃ。
裕とヴィータは再び段ボールを被り、ゆっくりゆっくりと深層部へと進んでいくのであった。
邪神&ヴィータ「くそっ、あと3コインあれば1アップだったのに!」