リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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 艦これイベント制覇だ、おらぁっ!
 ようやく落ち着いて小説を書ける&投稿!
 戦果は『丙提督!投稿してもいいけどさ、時間と場所を考えなYO!』
 ・・・うちのダイヤモンドちゃんの笑顔を直視できない。


第五十六話 邪神様のふゅーちゃー

 時は12月24日。場所は海鳴市の小学校。終業式を終えたその場所は急ピッチでパーティー会場へと変貌させるためにバニングス・月村の両家から貸し出させてもらったメイドや執事の皆さんがセッティングしてくれている。

 執事の中にはやけに力持ちな人がいてテーブルをまとめて十も二十も持っている。外見は盾の守護獣的な人だ。人手が足りないからといってゲストに手伝わせるのはどうだろう?

 

 それはさておき、クリスマス・パーティー。

 それはリア充共が非リアたちに現実を見せつけるという外道極まりない行いであり、非リアとリア充の明暗が分けられる実に忌むべき会合である。

 

 だが、それは昨日までの事。

 今年の邪神。俺は頑張った!

 どれくらい頑張ったかというと「世界を二回も救ったんだぜ!まあ、誰にもそれを言わないがな。どやぁ、俺かっこいいやろ~」

 くっくっくっ。と、思わずにやける両頬が緩みまくっているところで後ろから声をかけられた。

 

 「裕君、声に出てるで」

 

 「俺のカッコよさがか?」

 

 ゲストとしてよんでおいたはやてと八神一家の声を聴いて振り返るとなんだかとても残念な人見ている感じだった。

 

 「いや、残念雰囲気が。気づいていないんか?世界を救ったんだぜとか言っているところから」

 

 「いやん。恥ずかしいところ見られちゃった」

 

 「むしろ残念な所しか見ていないというか・・・」

 

 俺の冗談に冗談で返してくれると思ったら熱のこもっていない瞳で非情な現実を突きつけてきたはやて。

 

 「俺、そこまで残念かな?!」

 

 「いや、まあ、その、うん。・・・まあ、頑張ったよな」

 

 ヴィータのフォローとも思えない言葉に衝撃を受けた裕。

 

 「まあ、そう思わせる為の演技なら分からんでもないが・・・」

 

 「そう言えば、最近、地が出てきているんだよなぁ。イエーガーズの秘宝。グラビア写真集の隠し場所も何故か№3ことちーちゃんを始めとして女子団員。というか、なのはちゃん達によく見つけられるし」

 

 「また燃やされたんか?」

 

 「俺一人だけだったら燃やされていたが他の団員たちもいたから無事だったぜ」

 

 その時のパス回しはとても見事な物だった。それはもう、プロラグビー選手も唸るようなパス回しとランで女子の魔の手から秘宝を守りきった団員達の表情はとてもさわやかなものだった。

 

 「そんな事をしているからもてないんじゃないかしら?」

 

 「だけど、シャマルさんっ。裏表のないの男性はモテるって月刊モテ男にしっかり記載されていて」

 

 「裏も表も残念だから駄目なんじゃないか」

 

 ぐはっ!シグナムさんの言葉に思わず崩れ落ちそうになる。

 お、俺、残念な奴じゃないし。

 リーダーシップは他の団員や先生からも好評化だしっ。

 

 「非モテであったとしてもリーダーだし。非リアじゃないしっ。非モテのリーダーだしっ。・・・げふ」

 

 「自分の言葉にダメージを負ってどうするんだよ・・・」

 

 ちょっと焦って思考と口が合わなかっただけだ。

 

 思考と口が交差(事故)する時、邪神は膝をつく!

 

 カッコよく言っても事態も内容も残念だ。

 しかし、確かに今の俺は残念だ。残念過ぎる!

 

 「お、俺やばいかも・・・。なんだか最近、相手に舐めてもらうようにドジを自ら踏んでいこうとしていた所為か、ドジが癖になっている?!」

 

 「ドジが癖になるって・・・。一体どういう事なんだ?」

 

 「お笑い体質?」

 

 「ドジは癖になるもんじゃありません!生まれ持った特徴です!」

 

 「はいはい。ファリンはちょっと黙っていようね」

 

 リインフォースは呆れ顔で見てくる。ちょっぴりゾクッてきた。って、いかんよっ。マジで!はやての言葉に反論しようとすればするほど自分の残念さが明確になってくる。

 後ろで天然ドジっ子メイドのファリンが有能メイドのノエルに引きずられていく。ドジっ子のという割にはスカートの奥にある布を未だに見たことが無い。くっ、これがメイド服(ロングスカート)の力か!

 

 「・・・俺は、俺は、モテ男に、成れない」

 

 どこぞのマイスターさんの様な言葉をこぼしながら両手を地面について言葉をこぼす邪神の肩にいつの間にか車椅子で近付いてきたはやてが優しく手を置く。

 

 「大丈夫やって、裕君だって、がんばればぷすぅ」

 

 笑い出すのを堪えながら、いや、こらえきれずに肩に手を置いた。

 

 「慰めるならせめて噴き出すのを堪えてくれよ!」

 

 「いや、だって、ぷふぅっ」

 

 「はやてぇえええっ!」

 

 はやての笑いをこらえてプルプルと震えているほっぺたを引っ張ろうとしたが、彼女の繰り出す車椅子裁きは見事なもでスピードはこっちより遅いくせに回避性能はいい。

 

 パーティー会場の準備の邪魔にならないようにはやてと裕はそこらじゅうを駆け巡るのであった。

 

 

 

 はやてとの追いかけっこも20分ほどした後、裕はパーティー参加者の名簿を見ながらチェックを行う。

 そこにはイエーガーズ団員の名前とその保護者の名前。送迎の車の時間に、運ばれてくる料理、プレゼント交換の時間など事細かに書かれたそれは裕が自主的に作った物だった。

 

 「えーと、パーティーに参加する人と来れない人への連絡は~と」

 

 「なんか、裕君、様になっているなぁ。こういうのなれてんの」

 

 「ああ、悪巧m、じゃなくて、悪戯、でもなくて、まあな」

 

 「ああ、もう、この邪神は。・・・もう」

 

 「「こんなやつに辱められたのか私達は」」

 

 「まあまあ」

 

 一秒前までは小学生にしてはしっかりと幹事としてきりっとしていたように見えた裕だが、すぐにその残念さが露呈する。

 はやてが邪神に話しかけ、返ってきた言葉にヴィータはもう彼の弁護のしようがなく、シグナムとリインフォースは落ち込み、それを慰めるシャマルだった。

 

 「参加者といえば、私達なんて本当に無関係やけどほんまにええの?」

 

 「大丈夫だって、ここの校長と教頭には賄賂、じゃなくて話は通している。イエーガーズ関係者だけでやるパーティーだから大丈夫。それにこれからわらわらと団員やその関係者が来るんだ。はやて達の五人や十人どうってことはない。それよりもプレゼント交換に使うブツは持ってきたか?」

 

 もう突っ込まない方がいいだろう。

 はやてはそう思いながら、家から持ってきたプレゼントを自分の膝の上に乗せる。

 

 「出来るだけ手作りがいいって言っていたけど、やっぱりこういう時はちゃんとした物がいいと思って買ってきたんやけど・・・」

 

 「何を言っているんだ、だとえ不器用なものでもそれにお前嘘でもいいから恥ずかしがっている姿の写真を添えて『私が作りました』って、コメントを添えれば大きなお友達が大歓喜だぞ?」

 

 「いろいろとそれはやばそうやな。そういう裕君は手作りなんか?」

 

 「当たり前だろ?俺ってばこういうのは大の得意だからな!」

 

 ふんすっ。と鼻息をこぼしながら綺麗にラッピングされたプレゼント箱をはやてに見せつける様に取り出す。

 

 くちゃあっ。と、生々しい音を立てながら。

 

 「なんやねん今の音は?!絶対にラッピングには向かない物が入っているやろ!」

 

 「何を言っているR-12指定に入るか入らないかの代物だ!」

 

 「はやてちゃんや裕君にはアウトじゃないかしら?」

 

 「大丈夫だから、本当に大丈夫だからっ」

 

 「ますます信用ならないな」

 

 「大事な事なので二回言いました!」

 

 「お前の言葉はどれをとっても怪しいな」

 

 シャマルの言葉に慌てて言葉を重ねるがそれは更に不信を買うだけだった。

 

 「大丈夫だから、ちゃんとテストもしているから!」

 

 「テストって?」

 

 それは裕が準備したプレゼントを使った時のコメントをまとめた物だった。

 

 

 

 通りすがりの邪神さんのコメント。『新しい扉を開けそうになりました』

 夜天の王Aさんのコメント。『言葉にならない未知の感触でした』

 街中を歩いていた烈火の将さんと祝福の風さんのコメント『『くあせpwjkこ?!』』

 

 

 

 「と、被験者の声も上々」

 

 「被験者というか被害者しかいないな」

 

 「というか、中に入っているのは『邪神キッス』やろ!」

 

 触手の生やしたかのように見えるマスクを対象の口の中に入れることにより何とも言えない感触を与える物を思い出した夜天一家は一気に引いた。

 

 「害はないだろ!悪戯するほうには!」

 

 「悪戯前提のプレゼントですか・・・」

 

 「俺らしいでしょ?」

 

 確かに邪神から贈られる物といえそれらしい。だが、それだけだ。

 結局、そのプレゼントは駄目と言われた裕はしぶしぶながら引っ込めた。出さないとも言ってもいないが・・・。

 あと、それから特別ゲストとして何もしない訳にもいかないのでザフィーラ同様に何か手伝いをしようかといいだしたはやてに裕はにこやかな笑顔である衣裳の入った袋を彼女達に渡した。

 

 「じゃあこれを着てパーティーの皆を盛り上げてくれ」

 

 「変な服だったら着ないぞ」

 

 「・・・。大丈夫だってちゃんと俺が着るのと同じ衣裳ペアルックだから」

 

 「ペアって・・・」

 

 「クリスマスでペアルックといえば」

 

 邪神は服を取り出して見せた服。それは赤い服に赤い帽子。そしてミニスカート。そしてハイグレ水着に似た感じの物だ。ハイグレの上からスカートをはくのだが、はかなくても十分。むしろつけない方がいいと強く言う裕。イメージとしてはフェイトのバリアジャケットを参考に作ったらしい。

 もう片方にはトナカイの角と赤くて丸い花と首輪だけという何とも簡素なものだった。

 

 「サンタとトナカイのコスプレだ。レディーファーストで好きな方を選ばせてあげよう。希望としてはトナカイの方をチョイスしてくれると嬉しい」

 

 「ちなみにどうして片方の装飾は少ないんだ?」

 

 裕の意見にヴィータが質問を投げかける。

 ヴィータもはやてからクリスマスという習慣からサンタやトナカイの存在を教えられている。トナカイの装飾の少なさに違和感を覚えたヴィータの質問に裕は静かに答えた。

 

 「ヴィータ。サンタさんやトナカイは知っているな?」

 

 「ああ、はやてから教えてもらったけど・・・」

 

 「サンタさんは赤い服を着ているな」

 

 「そうだけど・・・。まさかっ」

 

 「トナカイは動物。服を着ない。そのコスプレをする。合法的にその裸体をををををををぉWOWOW!?シグナムさんのゴッドフィンガーがめり込むめり込む!」

 

 「無論、サンタを選ばせてもらう!」

 

 ミシミシと軋む音を内部から感じさせるシグナムの握力にしばらく苦しめられた裕を補降り投げるとシグナムはサンタ服の方に手を伸ばし、そのまま苦笑しているシャマルとシグナム同様に羞恥で顔を赤くしたリインフォースを連れて普段は女子学生たちが着替える更衣室にのっしのっしと歩いて行った。

 その後ろ姿をちらりと確認した裕はにやりと口角を上げた。

 

 かかったな、この間抜けが!お前はこの邪神との知恵比べで負けたのだ!サンタかトナカイの二択しかないと思ったのがお前達の敗因だ!すべてはお姉様であるお前達のサンタコスチュームを拝むための布石よ!このクリスマスパーティーにお呼ばれされた時点でそれを着込むフューチャーだったんだよ!その着やせする体型に隠されたムチムチバディを披露するというふゅーちゃーにな!そのサンタ服は予めはやてから聞かされた体のサイズ。個人情報保護の為に黙っておくが一回り小さくしているっ。着れない事はないが体のラインが確実に浮かび上がる代物よ!「そのムチムチバディを拝見させるがいい!サンタもトナカイのコスプレをしないとは言えんよな!断れんよな!なぜならばこの場、っ、このクリスマスパーティーという雰囲気に呑まれ、はやてが楽しみにしているこのイベントに水を差す真似なんて出来ないよな!凄いよ!このクリスマスパーティー凄いよ!流石リア充空間への登竜門!全体的に楽しげな雰囲気を作りだし、その雰囲気をぶち壊してはもったいないと言わんばかりのイルミネーションにパーティー料理!これがゲレンデマジックという物かぁ!WRYYYYYYY!!最高にハイってやつだぁあああああ!」

 

 「裕、裕」

 

 「どうした、ヴィータ?」

 

 ヴィータがつんつんと裕をつついて正気に戻す。

 

 「声に出ているぞ」

 

 「え?どの辺から?」

 

 「ムチムチバディという所から」

 

 「俺の作戦丸見えじゃないかっ」

 

 「まあ、シグナム達には聞こえてへんようやけど」

 

 「まあ、たとえ聞こえていたとしてももう断る事などできんがな!」

 

 ふぅわはっはっはっは。と、勝ち誇った裕を再度つつくヴィータ。

 

 「裕、裕」

 

 「どうした、ヴィータ?」

 

 ヴィータは黙ってとある場所を指さす。

 そこには幼馴染トリオ&テスタロッサ姉妹が静かに笑う姿があった。

 

 「・・・OH」

 

 自分の残念さをこんなに恨んだことはない。

 そう、自分の残念なフューチャーを呪う邪神だった。


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