前々から考えていたネタだったんですが思った以上に難産でした。
短めですがちびっとグロとコメディーを詰め込むのには苦労しました。ホラーって意外と難しんですね。
「・・・うっ、うっ」
「・・・ひぐっ、えっく」
「・・・ふぎゅ」
王ちゃまとなのはちゃん。そして美由紀さんの三人が高町邸に備え付けられたお風呂に入っている、何故わかるのかというと後で俺もそのお風呂に入る予定だからだ。
美少女達の入った後お風呂に浸かるのが楽しみで仕方ありません!と言えたらどれだけ楽な事か・・・。
「・・・裕。さすがにあれはないだろう」
「いや、あれは俺じゃなくて王ちゃまの魔力で作られた俺の分身ですから・・・」
「だが、元はお前が考えていたものだろう」
「あ、その。・・・はい」
恭也さんと士郎さんの目の前で正座させられている俺は十分前の光景を思い出していた。
十分前。
高町家の玄関にシフトムーブした俺と王ちゃまを出迎えたのは高町家の皆さんと何人メカの邪神Jがお出迎えしてくれた
なんでもなのはちゃんが家に帰ろうとしていた矢先、公園でボーっとしていた俺に話しかけた所無反応だったらしく。最初は俺とよく人間かと思っていたらしいが根気よく話しかけると『はい・いいえ』とこちらの質問には答えるらしく、田神裕なのか?と、聞いてみた所『たぶんそう』と元気なく答えた。
元気の欠片がまるでみられないが病気をしていそうな様子もない。無気力、無表情の俺を不思議に思ったなのはちゃんは邪神Kを連れて家に帰ってきた。
それからいろいろと質問をするがはいかいいえ。もしくはたぶん。と元気なくただ淡々と答える邪神Jになのはちゃんはいろいろ話しかけた所どうやら自分の思い出と照らし合わせながら質疑応答をしていたらしい。その結果『田神裕の記憶はあるが田神裕ではない。だけど質問にはいろいろ答えてくれる。遠距離アクセルシューターの的が出来た』とも言っている。後半の言葉に嫌な予感がぴんぴんなんだが・・・。
どうやらこの邪神K。どうやらこちらの質疑応答に答えるだけの分身らしい。彼の目的も高魔力の魔導師がいるこの町で自然と放出される微弱すぎる魔力を充電するという地味すぎる役割だったらしい。というか、今までの邪神B~Jにはその機能が搭載されていたらしい。地味すぎる設定だぞ、はやて。じゃなくて王ちゃまよ・・・。
王ちゃまの外見に最初は戸惑っていた高町家の皆さんだったが素早く皆さんを集めて『はやてはごっこ遊びに夢中だから』と優しく小さな声で伝えたことにより王ちゃまをとても優しい目で迎えてくれた。やったね、王ちゃま。皆が優しいよ。
さて、この邪神分身体はこれで打ち止めらしい。残りの分身体はなのはちゃんやフェイト。アリシアといった幼女に姿を変えて魔力を集めているらしい。が、こんな深夜に美少女たちがどんなひどい目に遭うだろうか。たとえ分身たちとはいえ、その気は無いとしてもなのはちゃん達ほどの美少女を目にしたら魔の手が伸びるかもしれない。酷い目にあってほしくない。手を出そうとした準犯罪者達にな!
ほんのわずかな出来心で後ろから迫りくる青いツナギを着たイイ男の機械、じゃなくて魔の手が忍び寄る。ロリコン予備軍がゴールドラッシュ並に掘られた日には海鳴という町は薔薇の花びらが咲き乱れたただれた街並みになってしまう。その噂を薔薇の香りを嗅ぎつけたイイ男達が溢れかえるとしたら、恭也さん士郎さんはもちろん榊原君にザフィーラ。特にクロノ辺りのお尻を開発されつくされてしまうだろう!おお、怖い怖い。あとメダルトリオもイケメンだし、俺の尻を狙う奴が溢れるかもしれん。そうなる前に王ちゃまの放った分身を回収せねば!(使命感)
さて、この邪神Kだが実は一番最初に放たれた分身で一番魔力を溜めていたらしい。王ちゃまが蒐集を行おうとした時にそれはおきた。
備考として、守護騎士達は肉体を持っている。それは肉や骨。血にいたるまで魔力で出来ているがそれは確かに存在する。それは目や耳。心臓や腸にいたるまで魔力で出来ている。まあ何が言いたいのかというと・・・。
蒐集の過程が凄くグロかった。
王ちゃまの持つ杖の先に吸い込まれる邪神Jの穴という穴から人体模型の中身のような物が飛び出して王ちゃまの杖に生々しい音を立てて吸い込まれていった。
ちびった。
王ちゃま。なのはちゃんがその場でちびった。いや、仕方ないとは思うよ。だっていきなり分身とはいえ友達がスプラッタな目にあったらちびっても仕方ないと思う。美由紀さんもちびったから一緒にお風呂に入っているのか?
俺?俺は常に携帯している黄金の懐中時計で平常心を保っていたから、冷静に対処したよ。ちびったパンツを即座にシフトムーブさせたよ。
清潔な状態にしながら自分の家の玄関に転移させたよ。いきなり玄関に俺のパンツが落ちているのを見たお母様。もしくはお父様は何を思うだろうか。さっさとこの事件を解決してパンツを回収しないと。(使命感Ⅱ!)
王ちゃま曰くあの邪神Kは比較的俺の嗜好。もとい思考に近いモノらしく、出来るだけ魔力を溜めていたからこそ中途半端な肉と魔力を持ち、あんな事になったらしい。
いや、まあ、試作型インベーダーの中にもそんな脅しを兼ねた奴を考えたことはあるよ?だけど実装するには早いし、プレシアの許可も貰ってないから未だに机上の空論なのだが?というか王ちゃま(はやて)が知っているのはおかしい。もしかしてシャマルさんから何かしら何か聞いていてそれを実行に移した?いや、だったらちびるはずがない。それともあまりにショッキングだったから記憶から外したとか。てか、そのショックで髪の毛が白くなっちゃった?
つまり、この闇の書の欠片事件(笑)の元凶は俺だったんだよ!!
な、なんだってぇえええええ!!!?
「裕君、話を聞いているのかねっ」
「あ、はい。すいません。何か本当にすいません。まさかこんな事になろうとは思いもせず・・・」
自己完結で驚愕していた俺に士郎さんのお小言が飛んできた。いや、本当に反省しないと。
「まったく、うちの娘たちをあんな目に遭わせて責任は取れるのかしら」
「責任が取れなくても最大限補填はします」
テスタロッサやバニングス。月村の方はまあ、大丈夫だとしても王ちゃま(はやて)となのはちゃんは本当に災難だったのだろう。よ~し、WCCで色々サービスしちゃうぞ。『トラウマ克服』の効果って作り出させるかな?
「まるで経営破たんした責任者みたいな言い草だな」
「はい。申し開きもありません」
自分の体勢を正座から土下座へとシフトさせる。いやぁ、邪神って本当に大変だわ。自分でも知らないうちにあちこちに迷惑かけているんだもんな。・・・本当に『災厄の邪神』だよ。なのはちゃん達がお風呂から出てくるまでこんこんと説教された俺はお風呂から出てきた王ちゃま(裕のパジャマだけしか着こんでいない為ノーパン)にパンツを作ってあげる為になのはちゃんのパンツをサンプルとして欲しいと言ったらさらに怒られた。泣きべそを未だにかいている王ちゃまとなのはちゃん。あと美由紀さんを気遣っての事だったのだがそれくらいならそのままなのはちゃんのパンツを王ちゃまに譲渡すればいいじゃない。ということになった。そりゃあ、そうだ。
とある路地裏にて。
「おいおい、なのは。こんなところに俺を連れ込んでどうしようっていうんだ」
白崎はようやく闇の書事件で負った負傷から回復してしばらくすると夕暮れ時に目の輝きを失ったなのはを見つけた。それはなのはの友人だけでなく、周りの人達がよく見れば何か様子がおかしいと感づけたが白崎には『高町なのはの形をした何か』が高町なのはに見えたのだろう。
お目当ての女の子が向こうから近付いて来た時にはとうとうデレたかと思いあがっていた。だから、『高町なのはの形をした何か』に誘われるがままホイホイと路地裏に連れて行かれた。その『高町なのはの形をした何か』に促されるまま目を閉じた、だが、彼は薄目で『高町なのはの形をした何か』の動向を見た。見てしまった。
それは海の妖精『クリオネ』。見た目は愛らしいが、捕食体勢に入ると頭にあたる部分がイソギンチャクのように広がり獲物を捕食する。それを連想させるような体勢をとった『高町なのはの形をした何か』の変態の姿を・・・。
「アッ――――――――――――――――!!!!!!!」
海鳴の薄暗い路地に少年の悲鳴が上がった。
同時刻、王城が入院していた病院でも似たような悲鳴が上がった。その際、フェイト・テスタロッサ。もしくはアリシア・テスタロッサに似たような人物を見たとかどうとか。その情報は定かではない。
邪神のRは閲覧やばいのR。