リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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シュテルんファンの皆さん申し訳ございません。


第六十六話 邪神様が乗っています。

 王ちゃまを高町家に預けて邪神様の海鳴に散らばった闇の欠片(笑)の分身体探索は終わらない。世界のノンケを救うため、ロリコンホイホイと貸したなのはちゃん達の形を模した分身をすべて回収せねばならない。この状況を作り出した邪神として。というか、なのはちゃん達みたいな美少女が深夜を徘徊。ロリコンがホイホイついてくる。その後ろからブラック・ゲッター改めゲイ・バキュームが海鳴の一角に彼等を招き入れる。この三連コンボを阻止しなくてはいけない。一応、王ちゃまからマジカルステッキを借りて自分でも蒐集が出来るようにWCCで加工した。もちろんグロ展開にならないように設定もしたし、大丈夫だろう。

 

 「それじゃあ、少し出てくる。忍にも話をしているからすぐに来るだろう」

 

 「なんかジュエルシード事件からお世話になってすいません」

 

 「あれはお前の所為じゃないだろう。まあ、今回は自重しなかったお前が原因だろうから、まあ、これでチャラだな」

 

 自分達の妹をちびらせた相手なのにこんな風に恩を着せないように言ってくれる恭也さんマジ男前。否、漢前!これだから文武両道で容姿端麗の出来る男は違う!欲望まみれの邪神とは違う。さっすが天さん!(高い声で)

 

 「なにか変な事を考えていないか?」

 

 「俺が真面目な事を考えているとでも、いた、痛い、痛いですっ!すいません真面目に考えます!」

 

 いつか、『(モテる為の)技を借りるぜ!』という前にアイアンクローを受けネタを出す前に中断せざるを得なかった。剣士の握力舐めたらあかんよ。マジで頭蓋骨から聞こえてはいけない音が聞こえる。すずかちゃんのアイアンクローは音は聞こえないがじわじわと痛みが増すのに比べていきなり危険域に来るんだもんな。もう、恭弥君のせっかちさん!あがががが、すいませんっ。今度こそ真面目に考えます!

 

 「まあ、プレシアさんとグレアムさん達。あとシャマルさんに頼めばすぐに捜索隊を出してくれますって・・・」

 

 恭也さんのアイアンクローから逃れると同時に携帯電話を使って

 餅は餅屋。魔法の事は魔導師に。特に人海戦術としてテスタロッサのゲッターロボには手伝ってほしい。管理局側にはたっぷりと貸しがあるのでこういう時にこそ払ってもらわないと。シャマルさんというか守護騎士達にも動いてもらおう。なんて言って手伝ってもらおう?う~んっ、あっちもあっちで交渉後だから疲れていると思うんだよな。闇の書の欠片(笑)があちこちに散らばって悪さをしようとしている。は、ダメか。ただでさえはやての立場は危うい。俺が原因だったとはいえ、ここで騒げばのちのち厄介な事になること間違いなし。となると・・・。

 

 件名:邪神の所為で海鳴がヤバい。

 

 これでいいか、関係者に一斉送信。と。

 

 

 

 魔導師組。特に管理局サイドの人間に激震が走る

 邪神は未だに自分の影響力というものを理解していなかった。

 

 

 

 「裕、なんとなく『やらかした感』がぬぐえない気がするんだが?」

 

 「いや、『魔導師の分身が大量発生。対処方法は邪神の俺に一報を』って、メールを入れたんですけど」

 

 「まあ、それならいいか」

 

 もう、天さんってば気にしすぎなんだから。

 高町家の玄関で待っているとファリンさんが運転する軽自動車がやってきた。ファリンさんって免許持ってたんだ。ドジなイメージがあるから免許とかそういうものは持ってないように思えたんだけど。軽自動車から降りてきたのはファリンさんだけで、忍さんやノエルさんは明日の大晦日の会議に備えて家で待機しているそうだ。ブルジョワ様は年越しを外国で迎えるそうだ。恭也さんもそれについていくらしい。まあ、海鳴で過ごす俺にはあまり関係ないんだけど。

 ファリンさんに今回の探索の協力についてお礼をいいながら軽自動車に乗ろうとして、

 

 

 キンコーン。

 『物損事故を起こしすぎた車』。人身事故を起こしていないのが不思議なくらい事故を起こしている車。とあるメイドがとある敷地内での接触事故のみしか起こしていないというある意味奇跡な車。

 

 

 降りた。

 忍さーんっ!なんでこの人を車に乗せてこっちに連れて来たんですかーっ!?

 これはあれか。夜間運転の練習も兼ねてと言う事と物損事故ならWCCで直せると打算付きのやつなのか!いや、まあ、それくらいなら協力するけどさ。とりあえずファリンさんは初心者マークを車に貼ろうか。とりあえずファリンさんが乗って来た車に耐久力(小)を付与して出発する。あまり効果をつけるとファリンさんがそれに依存しかねない。壊れたらその場ですぐ直すからさ!

 俺と恭也さん。ファリンさんの三人で探索か。まあ、後で魔導師組の人間も来るだろうから近場の触手スポットとなってしまった公園に行って色々と回収しよう。

 という訳で公園近くまで行くと青い髪のツインテール娘が『いいもの有ります』と書かれた看板を持って公園を出入りしている姿が見えた。よく見ると青い髪をしたフェイト(バリアジャケット装着済み)に似ている。そんな彼女の後ろには何人かの大きなお兄さん達(おそろらく30歳以上)がぞろぞろとついていく。その異様な光景に恭也さん、ファリンさん。俺自身も呆気にとられていた。そんなフェイトに似た少女が向かうのは公園の茂みに不自然に建てられたトイレに入っていく。って、あのトイレは・・・。

 

 アッ―――――――!!

 

 完全防音とはいえ中に入っていった大きなお兄さん達の悲鳴が聞こえた気がする。現にトイレから出てきたのはフェイト似の少女だけ。そんな彼女は歩くのに疲れたのかトイレの上に視線を向ける。その先にはなのはちゃんに似た少女が鎮座していた。

 

 「シュテルーん。僕、もう疲れたよ。交代してよ~」

 

 「我慢してくださいレヴィ。王が不在の間私達が魔力を集めないといけないんですよ。体が出来たての私達は魔力を上手く練れないから、簡単な射撃魔法と飛行魔法。身体強化を使っても一般人の身体能力に毛が生えた程度しかないのです。それに貴方に蒐集という細かい作業は出来ないでしょ」

 

 「そうだけどさ~。って、僕から見てもあの人達は魔力を持っていそうに見えなかったよ?」

 

 「レヴィ、この国。日本にはとある伝承があるそうです。何でも人は誰でも魔法を使う事が出来ると」

 

 え?そんなのあるの?

 

 「とある条件を三十年を満たせば男は皆、魔法使いになれると」

 

 それは満たしたんじゃなくて満たせなかっただよ!そっとしておいてやれよ!じゃあ、あれか!トイレの中に入っていった人達は童貞より先に処女を失ったって事か?!

 

 「それにこんなに美味しい事はまだあなたには早すぎます。・・・はぁっ、はぁっ」

 

 駄目だ。あの子、腐ってやがる。トイレとアベを回収するのが遅すぎたんだっ。

 

 「・・・そんな伝承は初めて聞いたな」

 

 「私も初耳です」

 

 恭也さんとファリンさんは少女の言葉を疑問に感じていた。イケメン&美女にはほぼ無縁の事だから仕方ないよ!畜生っ!これ以上被害者を出すものかっ。幸いな事にあのトイレとアベはWCCではギリギリ射程圏内だ。トイレと触手は土に返して、アベは海鳴の地中深くに封印しておこう。何かあった時の為の保険にしておこう。WCCを使ってトイレを土に戻すとその上にいた少女は突如足場を崩されたことに少しだけ驚いた表情をしたが、すぐに着地体勢をとり音もなく更地になった地面に降り立った。フェイトに似た少女はトイレが消えた事とトイレが光りに包まれて消えていくのと変わってその中に入って行ったお兄さん達(非処女)のいわゆるアヘ顔に驚いていた。

 

 「・・・なのは、じゃないな。そっちの少女もフェイトちゃんではないな」

 

 「というかあの人達は大丈夫なんでしょうか?全身がビクンビクンしているみたいなんですけど・・・」

 

 触れないであげてっ。ちょっとした下心(ロリ)が出た所為で大事な物を失った彼等の事はそっとしてあげてっ。

 

 「どうやら夢のエネルギーじゃなくて、魔力が溜まる前に前に大本命である邪神の方がこちらの方に来たみたいですね」

 

 「え?あ、本当だ。あ、でも分身たちがいっぱいいるんだよあれが本物かな?ねえ、君が悪戯の神様?」

 

 「イエス」

 

 「即答するな。少しは否定しようとしろ」

 

 残念だけど恭也さん。俺の生き様がそれを否定する。そんな俺にややあきれた様子でファリンさんも言葉を投げかける。

 

 「少しは直そうとする努力はしないんですか?」

 

 「俺もちょっとな、と思う事もあるんだけど・・・。こんな自分が結構気に入っている」

 

 ここ最近、命や生活に関わる事件や事柄に関係しすぎて麻痺しかかっているけど、やっぱりそんな事件を解決したりして誰かに感謝されたりするよりも馬鹿やっている自分の方が好きなんだよね。だからこそこんな物騒な事になりそうな事は事前に摘み取る必要がある!

 

 「どうやら邪神は護衛を連れてきているみたいですね。しかもロボット達も集まってきている!幾分エネルギーを蓄えた私でもメイドとお兄さんを倒し、ロボ達から逃げるのは困難・・・」

 

 「えっ、シュテルん。回復していたの?僕は回復してないのに?」

 

 「ふっ、あそこにいる方々から幾分分けてもらいましたから」

 

 「え?あの人達魔力ないよね?」

 

 「腐腐腐腐腐腐っ」

 

 「シュテル~ん?」

 

 もうやだあの子。発酵が進み過ぎているじゃない。腐りきっているじゃないっ。まあ、原因は俺なんだけどさ。なのはちゃんに似ているだけでもやりづらいのにこれじゃあもっとやりにくい。その上、俺と恭也さんを交互に見て無表情ながらにも抑えきれない笑い声をあげているんだもの。

 

 「何を考えているかしらんが裕君に簡単に近づけると思うな。大人しく俺達について来い。子どもがこんな時間帯までうろつくんじゃない」

 

 「そうですよ。事情は裕君から聞いています。だからごっこ遊びはやめてください」

 

 「ごっこ遊びじゃないぞーっ。力を取り戻せば『砕け得ぬ闇』が手に入るんだから!」

 

 恭也さん達の声にフェイトに似た少女。レヴィと呼ばれていた少女が反論の声を上げる。はやてめ、フェイトに似た分身にまでごっこ遊びを強要させるとは許せん。そんな事しないで直接言えばいいのに。きっとごっこ遊びに付き合ってくれると思うぞ。

 

 「そうです。それに目の前の人が本当に邪神なら。私達が知る邪神であるのなら戦いなどせずにこちらに来させることは容易です」

 

 シュテルんと呼ばれた少女がレイジングハートによく似た杖を何もない空間から呼び出すと同時にこちらに向ける。その矛先はなのはちゃんが持つレイジングハートよりも鋭利で杖というよりも槍に近い形状のものだった。

 その矛先に赤紫の光が灯る。まさか、ビームをぶっ放す気かと俺と恭也さん。ファリンさんが身構える。

 

 「邪神の弱点。それはっ」

 

 彼女の持つ槍の先から出てきたもの。それはっ!

 

 べちゃっ。

 

 「・・・バナナ、の、皮?」

 

 「・・・え?裕君の弱点って?」

 

 恭也とファリンは一瞬何が起こったのかわかなかった。目の前にいる少女が魔法を使うのかと思ったら、いや、使ったのだろう。彼女が持つデバイスにある拡張空間に収めていただろうバナナの皮が丁度自分達との間に放り捨てられたのだから。

 いや、なんで、バナナの皮?まさか戦闘開始をすると同時に自分達が突っ込んでこれを踏むと予想していたから?いや、だとしたらもっと気づかれないように捨てるべきだ。わざわざ杖の先を光らせて、いまからバナナの皮を置きますよ。と言っているような物だ。罠だとしたらあまりに稚拙。こんな物に自分はもちろんドジっ子のファリンだって引っかからない。それはもちろん自分の後ろにいる裕だってそうだと。と、恭也は考えていた。考えてしまった。その次の瞬間邪神である田神裕は自分達を置いてシュテルん達に飛び出していた。そこで彼はようやく気が付いた。邪神がこんなお膳立てされた場面を見逃すはずがないと。

 

 「うおおおおっ、走り出さずにはいられないいいいいぃっ!」

 

 全力でバナナの皮を踏んだ邪神は思いっきりバナナの皮で滑り、まるで超低空のオーバーヘッドキックの体勢のまま宙へと投げ出されていた。

 

 「今です!」

 

 「うんっ」

 

 その瞬間、レヴィが魔法を使い高速移動で裕に急接近。そのまま彼を抱えてその場を離脱、海鳴の夜の空へと逃げて行った。シュテルもまたレヴィを追うように空へと飛んでいった。WCCの対象となる地面から切り離された裕に成す術は無かった。まさに邪神を知っていたシュテルんの計算通りであった。

 

 

 

 「な、何が起こったかさっぱりわからないがよく聞いてくれ。気が付けば裕のやつが飛び出していったんだ。あれは超能力とか魔法とかそういった物じゃなく・・・」

 

 「恭也さん。ファリンさん。もうちょっとしっかりしてください」

 

 数分後、海鳴の公園に合流してきたクロノや管理局の皆さんにお小言を貰う高町恭也とファリンの姿がそこにあった。

 




邪神様がピーチ姫化している気がするのは作者だけでしょうか?

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