リリカルなのはW.C.C   作:さわZ

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遅れてすまない。
その分、ヒロイン力ましましだ。
誰のとは言わないが・・・。



第七十ニ話 邪神様過ぎぃ

 アリシアと出店回りをしたら赤いマフラーに白いジャンパーにこげ茶のジーパン白いニット帽をつけたイエーガーズ一の美少女の千冬ちゃんこと、ちーちゃんが人ごみの方から出てきてアリシアと繋いでいる手とは反対側の方を掴んで自分の方へと引き寄せる。

 

 「では、団長。今度は私といきましょう」

 

 「もしかして俺、今最大のモテ期っ」

 

 寒さ以外の原因で顔を赤らめる裕。大晦日の出店回りをアリシアと歩き回れたという事もあるが、前世と現世で初めてのデートに続いて二回目のデートか、と浮かれてもいたし、嬉恥ずかしという物があった。特にアリシアが西欧系美少女ならちーちゃんは日系美少女だから尚更である。

 

 「自覚はあるんだ・・・」

 

 「いつもはぐらかされるから気付いてないと思っていました」

 

 「え、あ。・・・マジで?」

 

 「「マジで」」

 

 冗談で言ったつもりがまさか本当だったとは。いや、本当はうすうすそうなんじゃないかと考えたこともあった。なにせ、この邪神、前世ではコミュ症で現世に入ってからは人との繋がりを大事にすることに力を注いできたのだ。その分人の感情に敏感になっていた。だからこそ拒んでいた。

 自分が特定の誰かと恋人関係を結べば、他の人。邪神が大事にしている友人達との繋がりが薄くなることを恐れていた。それなのにそれを確かめるような言動に出たのはよほど今の状況に浮かれていたに他ならない。

 

 「・・・アリシアさんはもう団長と十分に楽しみましたよね?今度は私の番です」

 

 「まだもっと楽しみたいもん」

 

 裕が戸惑っている間にちーちゃんとアリシアは裕を取りあう。が、この後なのは達も順番待ちしていることを伝えると不承不承ながら裕から離れるアリシア。だが離れ際に裕に抱きついて、その頬にキスをした。

 

 「私本気だからね」

 

 「あ、あ、アリシアさんのトキメキハラスメントッ」

 

 「行きますよ、団ちょ。・・・裕君」

 

 「ちーちゃんまで。・・・トキメキクライシスっ」

 

 突然名前で呼ばれるだけでもドキドキものなこの邪神は本当にチョロ過ぎぃ。

 だが、そんなある意味純粋な所も考えてみれば魅力の一つと言えよう。

 WCCによって自信がついたおかげで、同世代(肉体年齢が)に対してカリスマを発揮し、体力と行動力があり、バニングスというパトロンがついており、前世の記憶から場を和ませたり盛り上げたりすることが出来る。まとめるとこうなる。

 

 ・カリスマ ランクE

 ・体力 週に一度の高町道場のおかげで上位にあたる。

 ・行動力 この海鳴の街では恐らく最上位。

 ・黄金律(バニングス家と月村家。テスタロッサ家の繋がりがある限り) ランクD

 ・純粋な性格?

 ・前世の記憶(主に賑やかし)

 ・WCC(物体操作) ランクEX

 

 やだ、この邪神、主人公力高過ぎぃ。

だが、逆にWCCが無かったら?WCCによって生まれた自信が無かったら?

 

 ・前世の記憶(賑やかし)

 

 やだ、この転生者、主人公力低過ぎぃ。

 特筆すべき点が賑やかしだけとなる。

 

 「だ、ううん。裕君、どうしたの?」

 

 「いや、どうして俺が皆に好かれているのか疑問に思っていたところだ」

 

 ちーちゃんと共に賽銭箱のある境内の奥まで歩いている間に自分の事を振り返った裕だった。いかにWCCに助けられているかを再確認した裕はもうちょっと自分磨きに力を入れようと思った。

 

 「女の子と一緒にいるのに考え事は駄目ですよ」

 

 「うん。・・・うん。そうだよね。ごめん」

 

 WCCが無ければ今の状況は作れなかった。そう考えるとちーちゃんは何故自分が好きになったのか分からない。WCCが無ければ自分の魅力は半分どころか5分の1にも満たないだろう。

 なのは達のように魔導師関係の人間にはWCCの事を伝えており、それが魅力的に見えるだろう。だがそれを知らない人間。ちーちゃんはどうしてこんな見た目平凡。行動変態紳士な自分の事を好いてくれるのか。もしやちーちゃんってば倒錯的な趣味が・・・。

 

 「ちーちゃんの男を見る目を鍛えられますように」

 

 「裕君が変な事ばかりに頭が働きませんように」

 

 お互いに失礼な事を言っているがお互いのことを思ってである。そしてお互いに視線をかわしているとちーちゃんは裕の手を引っ張って人気のない境内裏の建物へと連れて行く。

 

 「ちょ、ちーちゃん。こ、こんなところに連れ込んで何するつもり・・・」

 

 「こういう変な所での対応は早いんですね。もちろん、返事を聞こうと思って」

 

 「へ、返事って・・・」

 

 「さっきも言ったと思いましたけど団長。私は裕君の事が好き。裕君は?」

 

 「うぐっ」

 

 顔を赤くしながらも顔を近づけてくるちーちゃんに壁ドンされるようにもたれかかる裕。このまま近付いていけば唇の正面衝突待ったなしである。

 

 「お、俺は」

 

 「俺は?」

 

 くらくらしていく思考の中で思わず同意の言葉がのど元まで来た時だった。

 裕が背中を預けていた建物の天井に物凄い勢いで何かが二つぶつかった。

 

 「追いつきましたよキリエ!」

 

 「アミタしつこい!」

 

 (助かった―!)

 

 なにやら無視できないトラブルが起こったようだが邪神にとってはこれ以上ないくらいの時間稼ぎだった。

 




 番外 フェイトちゃんと邪神様の関係。

 アリシアとちーちゃんが裕の取り合いをしている間になのは達は恋バナをしていた。

 「そう言えばフェイトは裕の事好きじゃないのね」

 「私も裕の事は好きだよ?ただ友達としてでアリサ達みたいにそこまで好意を持っていないだけだし」

 「じゃあ、裕君の事をどう思っているの?」

 「ん~。・・・たぶん相性じゃないかな」

 「相性?」

 「どういえばいいいかな凸凹コンビっていうんだっけ?性格が似ていないのに仲がいい事を」

 「まあ、だいたいあっとるな」

 「私と裕はどこか似ているんだよ。凸と凸というか、磁石のS極とM極みたいな」

 (フェイト、それを言うならMじゃなくてNだよ。SとMって言ったら二人共Mになっちゃうんじゃ)

 「だから私は裕の事、皆ほど好きになれないんだよね」

 「というか主はやて達はあの邪神の事を美化しすぎです」

 「まあ、楽しい奴ではあるんだけどな」

 確かになのは達の周りに裕のように騒がしたり賑やかしたりする奴はいないだろう。

 「主はやて、どうか考え直してください。あいつに身動きを封じ込められたことを考える」

 「あれはシグナムが油断しすぎたからじゃないかしら?」

 (あいつも大変だな)

 (((妹・娘達の好意の対象が特殊すぎてどういえばいいか分からん)))

 誰がどの台詞を言っているかご想像にお任せします。

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