願いの物語シリーズ【奇跡へ繋がる物語】   作:とーふ@毎日なんか書いてる

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第6話『なるほど天野さんは人妻好きか』

何でも願いが叶う魔法の呪文とやらを使い、アタシはその自称天使を名乗る怪しげな男を呼び出した。

 

世の中なんでも試してみるものだと思う。

 

だからアタシは願うのだ。この途方もない壮大な願いを

 

「お前の願いはなんだ」

 

「ダイエットが続く様にして欲しい」

 

「……はぁ?」

 

しかし帰ってきたのは呆れたような声でした。

 

アタシはなんだこの自称天使も所詮はパチモンかと手を振りながら出来ないのなら帰ってくれと言った。

 

「別に出来ないとは言ってないだろう。俺はこれまで幾多の願いを叶えてきた。良いだろう。貴様のダイエット。俺が成功させてやろうじゃないか!!!」

 

「おぉ、頼もしい。んぐんぐ」

 

「って、おいィィイイ!! いきなり何食ってんだお前は!!!」

 

「ハッ、手が勝手に」

 

「ダイエットをすると言った傍からそれか? どうしようもない人間だな。お前は」

 

「照れる」

 

「褒めてねぇ!!」

 

怒り狂う天野さんにケラケラと笑いながら、アタシはマカロンを飲み込んだ。

 

そしてやや落ち着いてきた天野さんと再び話をする。

 

「そもそも貴様。ダイエットが必要あるのか? 十分痩せてるだろ」

 

「そうなんだよねぇー。アタシ。なんか太らない体質って言うか。肉が全部胸と尻にいくタイプでさー。必要さを感じないのよ」

 

「ならやらなくて良いだろ。俺は帰らせてもらう」

 

「わー。待って待って待って!」

 

「なんだ! 服を掴むな!! 伸びるだろ!」

 

「いやー。へへへ。事情を聞いてくださいよ。旦那」

 

「その面倒な話し方を止めろ。ほら。聞いてやるから。手も放せ」

 

「へへ。ありがとー。お礼にーアタシでエッチな妄想してもいいよ」

 

「やかましい。興味がない。さっさと話をしろ」

 

「えぇー。ひどいー。これでも学校じゃモテモテなんですけど」

 

「俺はお前の様な乳臭いガキに興味は無いんだ。さっさと話をしろと言ってるだろ」

 

「なるほど。天野さんは人妻好きか」

 

「なんでだ!!」

 

「んじゃ、こんな感じ? うふーん。あはーん」

 

「……いい加減話が進まんから言っておくがな。男は体格がどうこうも大事だが、それ以上に中身が大事なんだ。今のお前は精神年齢が低すぎて全く興奮せん」

 

「そうなの!?」

 

「当たり前だろう。幼稚園児が見た目だけ大きくて興奮するか? する訳が無い。見た目も大事だろうが、それに似合った中身も大事なんだ」

 

「でも、天野さんはロリコンなんでしょ?」

 

「おい。無礼な発言にも程があるだろ」

 

「え。でもでもでもー。男の人はみんな小さい女の子が好きなロリコンだって友達が言ってたよ」

 

「主語がでけぇんだよ。なんで男がみんなロリコンなんだよ。同年代で結婚してる奴、付き合ってる奴だっているだろ。年上だって居る。そこを疑問に思わんのか」

 

「いや、妥協かなって」

 

「急に現実的になるな。ったく。いい加減話を戻すぞ。お前がダイエットをしたい理由だ」

 

「ふふふー。ずばりお答えしましょう! ババン!」

 

「……」

 

「デロデロデロデロデロデロ」

 

「……」

 

「ダラダラダラダラダラダラ」

 

「いつまでやってんだ!! さっさと言え!!」

 

「おぉー。良いツッコミ。ねぇねぇ。天野さん。アタシと付き合わない?」

 

「何度同じ事を言わせるつもりだ! 俺はガキに興味はねぇ!!」

 

「でも天野さんってロリコンでしょー?」

 

「無限ループか!? 永遠に同じ会話をさせるつもりか!?」

 

「おぉ~。良いね。アタシ。天野さんの事、気に入っちゃった。ねぇねぇ。天野さんってどんな人がタイプなの?」

 

「少なくともお前じゃない」

 

「つれないなぁ」

 

「そろそろいい加減にしないと俺は帰るからな」

 

「はぁーい」

 

アタシは腕を組みながら怒りに震える天野さんに困ったという顔を向けながら事情を口にする。

 

「実はさー。サキと喧嘩しちゃったんだぁー」

 

「ほうほう」

 

「サキったらねぇー。アタシがダイエットした事ないって言ったら、『ダイエットの苦しみも知らない癖に女を語るな!』なんて言ってさー。じゃあダイエットすれば良いんでしょーって言って、喧嘩になっちゃった」

 

「それで?」

 

「うん。それだけー」

 

「帰る」

 

「ちょっとちょっとー! かーえーらーなーいーでー」

 

「放せ!! くだらない喧嘩に俺を巻き込むな!!」

 

「んもう! 天野さんは天使なんでしょー。天使なら人はみんな幸せで、手を取り合って、愛に生きて。とか言わないと駄目じゃない」

 

「そういうのは俺の管轄外だ」

 

「ぶーぶー」

 

「文句をたれるな!! そもそもお前の友達は苦労しろってお前に言ったんだろ。甘えるなっていう事じゃないのか? 少し話しているだけでお前が甘ったれのクソガキだって事がよく分かる。そういう所が癪に障ったんだろ」

 

「そんな事ないもん。サキはアタシの事大好きだから」

 

「どうだか。そんな様子じゃ、いずれ友達なんか誰も居なくなるぞ」

 

「ぶーぶー! 天使の癖に口が悪すぎますぅー! 抗議だ抗議だー!」

 

「じゃかあしい。そうやって何も変わろうとしない精神性をどうにかしろ!!」

 

「えー。でもなー。めんどうだしなー」

 

「そもそもお前。そんなんでどうやって生きていくつもりだ? その社会性の無さは絶望的だぞ」

 

「どうやってって。へへっ。アタシ。ガッコの成績は良いもんねー。いい会社に入ってシャチョーになります」

 

「……」

 

「あー! 今、コイツがトップじゃ長く続かないなとか思ってたでしょー!」

 

「おぉ、正解だ。なるほど本当に頭が良いんだな」

 

「んむっかー! バカにしてー! 本当に頭が良いんだからねっ」

 

「はいはい。そこまで言うのなら、お前の未来を見てやろうじゃないか」

 

「どーぞ!」

 

天野さんはそう言いながらバカにした感じでアタシの頭に触った。

 

そして、何やらうんうんと頷いた後、突然お化けでも見たみたいに目を見開いてアタシを見る。

 

「は? 嘘だろ? お前が?」

 

「なぁーに? シャチョーになってた?」

 

「いや、社長にはならないが……まさか、こんなふざけた奴が……」

 

「ねーねー教えてよー。なーに。なーに?」

 

「すまんが、これは伝えられん。伝えれば未来が大きく変わる。最悪は、数百万人……いや数千万人がその変わった運命に巻き込まれる」

 

「はえー。そうなんだ。じゃあ聞かないどこー」

 

「物分かりが良いな」

 

「まね。そっかー。でも、そっかー。アタシの未来はそんな感じなんだねー。ふふふ。これは未来が明るい!」

 

「という訳だ。俺は帰る」

 

「くふふ。って、あ!! にげられたー!」

 

天野さんはアタシが目を離した隙にサッと消えてしまった。

 

呼び出しに応えたのに、願いを叶えずに帰るなんてとんでもない天使である。

 

しかし、こうなった以上は自分で頑張るしかないかなと、アタシはダイエット計画を立てるのだった。

 

 

 

そして三日後。

 

「デラデラデラデラデーン! 天野さんよ! いでよ~!」

 

「……またお前か」

 

「ふふふ。呼び出し機能は完全に解析したよ。これでいつでも天野さんを呼び出せるのだー」

 

「チッ、才能を無駄遣いしやがって」

 

「という訳で、天野さんには願いを叶えてもらいまーす!」

 

「はぁ。分かった。ほら、願いを言え。どうせダイエットだろ?」

 

「え? なんでそんな事するの?」

 

「いや、お前、自分が前に言った事もう忘れたのかよ。友達の気持ちを知る為だろ?」

 

「あー。サキの事? そっちは解決したからダイジョーブ」

 

「いや、解決って、ダイエットに成功したのか?」

 

「ううん。ぜーんぜん」

 

「は?」

 

「天野さん呼び出した次の日にさー。サキにやっぱりメンドクサイからダイエットもやらないし。メンドクサイ事言ってくるサキとは話すの止めるねーって言ったら、何か仲直り出来ちゃった」

 

「そこから仲直り出来る気がまるでしないが」

 

「えぇー? 天野さんはソーゾー力が足りないなぁ。前にも言ったでしょー。サキはアタシが大好きだから、アタシに捨てられたくないって、泣いてたの。だから許してあげたんだ」

 

「鬼か」

 

「鬼じゃないよー。人間だよー」

 

「どこがだ。それが友にやる事か?」

 

「アハハ。おもしろー。前からおかしいなーって思ってたけど。サキの事、アタシの友達だと思ってたんだー。アハハ。おかしー。アタシの友達はあかりだけだよ。サキはたまーに面白い事やるから話をしてあげてるだけなの」

 

「はぁ……お前と話してると頭が痛くなる。それで? 俺を呼び出した用はなんだ」

 

「おなか減ったからー。パンケーキ作ってー」

 

「自分でやれ!!!」

 

怒る天野さんを見て、アタシはケラケラと笑った。

 

サキは何だか飽きてきちゃったし。今度は天野さんで遊ぶのも面白いかもしれないなー。なんてこれからの日々を想って、ワクワクするのだった。

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