というわけで『ヒロインは七罪 R-18』も投稿中なので、気が向いたらどうぞ。
初手からTS・ふたなり・百合という業の塊みたいな内容です。
https://syosetu.org/novel/400674/
「収束魔力砲、ミストルティン発射」
蓄えられた魔力が主砲から光として放たれる。まともに当たればエレンと言えど無傷じゃいられない。
「敵艦の状況を確認しなさい」
これで終わってくれたら楽なんだけど。
「それはやってないときでしょ、妹ちゃん。後ろだ」
そこには無傷の敵艦が浮かんでいた。
「いつの間に⁉」
「あいつを艦だと思わない方がいいよ。巨大な
なるほど、あれは巨大なエレンのCR‐ユニット。火力の代わりに小回りを失った戦闘艦とは違うってことね。
「来るよ、ちゃんと守って」
「
敵の砲撃をなんとか
呆けていたら確実に間に合わなかったわよ。あの威力なら一撃で堕とされていてもおかしくない。
「助かったわ、二亜」
「DEMが勝ったらあたしも困るからね。積極的にサポートさせてもらうよ」
二亜はにかっと笑ってウインクする。案外頼もしい仲間だったみたいね。
「あいつに何か弱点はあるかしら?」
「うんにゃ、多分ないんじゃないかな。シンプルに速い、巧い、強い、みたいな敵さんだから」
二亜の情報はとてもありがたいけど、同時に残酷ね。難攻不落ってことだけよくわかるわ。
「搦め手もあまり通じなさそうね」
相手は世界最強の
「そうだね。だから、漫画家としてはあまりオススメしないけど、初手から奥の手行っちゃおうか」
二亜が
「妹ちゃん攻撃の準備して」
「二亜、何をする気?」
「いいから早く。敵さんの隙を作るよ」
二亜の言葉通り、結果はすぐに出た。敵艦の自由落下という形で。
「どういうこと⁉」
まるでただの鉄の塊みたいに落ちていく。完全に
何とか立て直したけど、
「へっへっへ、どこぞの悪い子供から
「は⁉」
「
あの艦の中の本体を操ったっての?
「そのまま倒すのは無理だけど、妨害くらいならお手の物よ」
味方ながら恐ろしい能力ね。全力の戦闘中にそんなことされたら普通戦いにならないわよ。
「エレンの戦闘力は七、八割ってところかな。思ったより上手く行かなかったや」
二亜は残念そうに敵艦を眺めている。確かに、動きが少しぎこちないくらいね。
流石エレンと言ったところかしら。
「十分よ、二亜。感謝するわ」
エレンは妨害に意識が回って戦闘に集中できない。
正直、まともに戦ったら勝てなかった。でも、これなら。
「神無月、《グングニル》の準備をするわ。細かい指揮は任せるわよ」
「承知しました、司令」
神無月は恭しく礼をして私の代わりに指示を出す。
「さて、エレン・メイザース。あなたに敬意を表すわ」
残念だけど、精霊の力を借りないとまともに戦えない。不甲斐ないことこの上ないわ。
だからこそ、もう出し惜しみはなし。破壊衝動がどうだとか言っていられない。
胸の前で手を握り、炎のように霊力を溢れさせる。ちゃんと理性が保てるラインぎりぎりで。
「私の手札全て使ってあなたを倒す。ダンスの用意は十分かしら?」
軍服の上に羽衣をまとい、紅い焔が肩口からチリチリと舞う。これが私の全力よ。
灰になるほど熱いでしょうけど、受け取って頂戴。
♦♦♦
「ふっ!」
「はぁ!」
刃と刃がぶつかり合い、鈍い音が響き渡る。世界でも有数の戦士が戦っている。
闇色と金色の髪が風の中でなびき、混ざり合う。霊力と魔力の光が火花と一緒に散る。
十香の天使は最強の剣。近接戦においては最強格の精霊。
その力を以てしても彼女を斬り伏せることはできていない。アルテミシア・ベル・アシュクロフトはそれほどに強かった。
「流石は《プリンセス》。その首はなかなかくれないみたいだね」
殺意を乗せた刃は鋭く十香の身体を切り裂こうとする。
「生憎、この命をやることはできぬ。シドーに救ってもらった大事なものだからな」
その一撃一撃を天使で切り払い、救いの想いを乗せて刃を返す。敵を、アルテミシアを救うために。
「貴様も仲間がいるのだ。わかるだろう」
「わかんないね。精霊の気持ちなんて」
分かり合えないと知っていても十香は手を伸ばす。士道がそうしてくれたように。
私はそれを少し離れた位置で見ている。アルテミシアの隙を突くために。
天使が私の周囲を舞い霊力を破滅の光に変える。
「やらせるかよ!」
「アルテミシアの邪魔はさせません!」
セシル・オブライエンとアシュリー・シンクレアがためを始めた私の隙を狙う。背後から二人の攻撃が迫っていた。
アルテミシアの支援をするために彼女たちも必死。
いくら精霊になったと言っても、彼女たちは無視できるほど弱くない。攻撃を止めて相手せざるを得なかった。
――私一人なら。
「わりーですけど、折紙さんの前にまず真那の相手をしてください」
二人の攻撃をまとめて払った少女。特徴的なポニーテイルと泣き黒子が輝く。
「崇宮……真那」
憎々し気に真那のことを見るセシル。
「真那のことを忘れてもらっちゃ困りますね。あなたたちとの決着、しっかりつけたいと思っていやがりましたから」
真那ならば、二人まとめて時間を稼ぐことができる。その二人のことは任せた。
遠方から攻撃が放たれる。スナイパーの弾丸が私の命を狙う。
しかし、脅威に値しない。二発目の狙撃なんて、避けられて当たり前。
身体を逸らして軽く避ける。これで、レオノーラ・シアーズも問題ない。
あとはアルテミシアに集中する。
「あなたは私たちが救う」
アルテミシアを倒さないと救うことができない。
「アルテミシア、悪いけれど殺す気で撃たせてもらう」
アルテミシアを相手に手加減する余裕はない。半端な気持ちでは何も救えない。
「死なないで、アルテミシア」
天使を集めて巨大な砲台を作り出す。私の最高の技をお見舞いする。
アルテミシアは十香ばかり見ていてこちらを見る余裕がない。今なら当てられる。
狙いは正確に。アルテミシアだけを狙って。
「
私のできる最高の攻撃を放った。
「これで、終わって」
もう彼女と戦いたくない。これ以上、こんな悲しい戦いを続けちゃいけない。
「終わるのは、お前たちだ。精霊!」
白煙を割いてアルテミシアが現れる。ボロボロになりながらも真っすぐ精霊のもとまで。
怒りと殺意を込めて刃が振るわれる。
間に合わない。せめて急所だけは守らないと。
腕を交差して何とか防御の姿勢を取る。刃が私の腕を斬り落とさんと迫る。
「ようやく、隙を見せたな」
しかし、彼女の刃は届かなかった。その前に彼女自身が斬り伏せられたから。
彼女は私の攻撃に耐え、反撃までしてみせた。驚異的な戦闘能力としか言いようがない。
しかし、敵に背中を見せたのは間違いだった。相手はあの十香なのだから。
「プリン……セス」
アルテミシアは崩れ落ちる。空に手を伸ばしながら落下する彼女を先回りして受け止めた。
「貴様は強かった。本来の実力を出せていたなら、折紙と二人でも敵わなかったかもしれぬ」
「洗脳処理を施されていたこと。彼女が敵になった理由で、私たちが勝てた理由」
彼女の思考は歪められていた。物事を正しく見ることができなくなっていた。
曇った眼で何かを成し遂げられるはずがない。
「無事終わったみたいでいやがりますね」
「真那、あなたこそ」
その手には三人の女性が抱えられている。アルテミシア同様に洗脳された彼女の仲間たち三人。
「以前は好き勝手されましたからね。今度こそ真那の方が上だって教えてやったんですよ」
勝ち気な顔をして笑う彼女はとても素敵だった。
「彼女たちはフラクシナスで治療する。一旦戻って――」
爆撃音が響き、何かの混ざった風が視界を遮る。今の衝撃は?
「見ろ、折紙。フラクシナスが⁉」
フラクシナスが赤炎を上げて街に墜ちていく。まるで、前の世界の出来事と同じように。
地面が燃えて、地獄と化す。
「琴里……」
「行きましょう、折紙さん」
私たちはフラクシナスに向けて一直線に飛んだ。無事でいて、みんな。
♦♦♦
空間震から逃れるための地下シェルター。そこには大勢の市民が集まっている。
僕はみんなから離れて聞こえる音に集中していた。
防犯ブザー何か渡しても二人が使ってくれないことはわかってる。だから細工を施しておいた。
集音機も内部に仕掛けてある。二人の状況をいつでも知れるように。
『今すぐ非難しなさい!まだ間に合うかもしれないわ!』
琴里の焦った声がインカム越しに聞こえる。クルーのみんなに避難指示を出している。
琴里とエレンの対決はもう決着した。フラクシナスはこれから墜ちる。
「琴里、君は全力を尽くしたよ」
あのエレン相手に十分食い下がった。敗北は琴里のせいじゃない。
「後は任せて欲しい」
本音を言うと、できる限り精霊の力は使いたくない。でも、そんなこと言ってられないからね。
右手を前にかざし霊力を集める。
「行くの?」
振り返ると七罪が腕を組んで壁にもたれかかっていた。僕のことをじっと見ている。
「うん、琴里がピンチみたいだから」
「ふ~ん、私のことは諦めるのね。あんたの監視がないなら私は逃げるわよ」
七罪はどうでもよさそうな顔で意地悪な宣言をした。
「優先順位を間違えるつもりはないよ。七罪はまた捕まえたらいいけど、琴里たちの命は取り返しがつかない」
僕を救ってくれた大事な仲間たち。見殺しにはしたくない。
「気に食わないわね」
「あはは……」
リリースした魚みたいに言われたのが気に食わなかったかな。逃げ足に自信のある七罪に対して。
「え?」
七罪は僕のもとにつかつか歩いて来て胸ぐらを掴む。そして僕の顔を思いっきり引き寄せた。
「そういう意味じゃないわよ。あんたの顔見てるとなんかイライラするわ」
七罪の顔は怒りで歪んでいる。その顔に思わず放心してしまった。
「あんたのことなんてどうでもいいはずなんだけどね。命を使い潰すのを見ていられないのよ」
「どうして……それを?」
七罪には話していないはずだ。教えたら逃げられるかもしれないから。
僕は霊力を使えば始原の精霊に近づく。それは詰まるところ、僕自身の死を意味する。
「あんたわかりやすいのよ。その力、何かリスクがあるんでしょ。それこそ命に関わるような」
「気づいてたんだ」
隠してたつもりだったんだけど。流石七罪と言ったところかな。
「確信したのはついさっきね。あれだけの力があって、シェルターに逃げるなんて不自然だもの」
「それもそっか」
僕も七罪も空間震なんて本来は恐れる必要がない。結界を使えば防げるんだから。
わずかな霊力すら惜しいって言ってるようなものだ。
「あんたに死んでもらっちゃ困るのよ。じゃないとあの狂人どもは未亡人扱いしそうだから」
七罪は僕の胸倉を放す。同時に僕は尻もちをついた。
「私が代わりに行くわ。さっきまで戦ってたならヘロヘロでしょ」
七罪は不敵に笑う。その性格で何度も痛い目見てたのに。
「敵は強いよ。常時バリア張ってるような奴だと思って」
「それって私の天使の力も弾くの?」
「そこまではわからない」
「ふーん、そう」
七罪が『あっ、やっぱ止めようかな。敵強そうだし』って顔してる。
「わかった、一緒に行こうか」
「あんたついて来る気なの?」
「大丈夫、力は使わないよ」
「だったら余計行く意味ないじゃない」
精霊化しないならただの人間。そんな風に思われているんだろうか?
「敵は最強の
「あんたには勝てる策があるってこと?」
「勿論」
誰が世界最強相手に真っ向から戦ってやるものか。卑屈に最低に陰湿に勝利をもぎ取りに行く。
「なんででしょうね。あんたの言葉を信じたいと思ってる自分がいる」
七罪は
周囲の人にどよめきが広がる。シェルターの大事な壁に穴が空いたらそうなるよね。
琴里、ごめん後でどうにかしておいて。
「乗りなさい」
七罪は
「しっかり捕まえて離さないから、安心してね」
七罪の身体をぎゅっと捕まえて密着させる。これで振り落とされる心配はない。
「……まあいいわ。行くわよ」
七罪は半目で僕のことを見ている。必要な措置であって他意はないよ。
景色は一瞬で地下から青い空と荒れた街に切り替わる。DEMはずいぶん好き勝手暴れてるようだ。
「あのデカブツが処分すべき敵かしら?」
「そうだよ」
エレン専用の戦闘艦《ゲーティア》。あれが一番の難敵だ。
他の敵もちらほらいるけど大半処分されている。精霊のみんながやってくれたんだろう。
「愛、どうしてここにいるんだ?」
士道が
「琴里がピンチみたいなので。来ました」
「来ましたって、お前」
士道が困った子でも見るような目を向ける。士道だけにはそんな風に見られたくないな。
「安心してください。力を使う気はありませんから」
「本当に頼むぞ」
士道は本気の顔で懇願している。いざとなるまでは使いませんよ。
「安心しなさい、五河士道。そんなことするまでもなく私が倒すから」
「七罪、お前そんなキャラだっけ?そもそも仲直りしたのか?」
士道が不思議そうな顔で七罪を見る。確かにそんな勇ましいこと言うタイプじゃないよね。
「目の前で死にそうな顔してる奴を放っておけなかった。それだけよ」
七罪は士道から顔を背ける。
「よかったよ、また仲のいいお前らが見られて」
それを見て士道は笑った。とても嬉しそうに。
「他に戦える人はいますか?」
少しでも戦力が欲しい。できればあと二、三人。
「あとは四糸乃たちが……」
「呼んだかい、士道君?」
士道が考えるよりも先に本人が現れた。うさ耳つけた怪獣がぬっと顔を出す。
「よしのん、魔術師たちは一掃できたのか?」
「よしのんにかかればちょちょいのちょいよ」
「頑張り……ました」
その言葉通り周囲に敵影はない。残りはエレンだけか。
「頑張ったな四糸乃」
「えへへ」
士道に頭を撫でられて嬉しそうにしている。少しだけ微笑ましい空気が混じる。
「私も頑張ったんですけどねぇ」
羨ましそうにしている美九は適当にスルーする。
「さて、エレンと戦えるのはここにいる五人と一匹でしょうか?」
僕、七罪、士道、四糸乃、よしのん、美九。思ったよりは集まった。
「耶倶矢さんと夕弦さんは……フラクシナスの人たちを……助けに行きました」
「折紙さんと十香さんは強ぉい
他の精霊たちはここから離れてるってことか。通信はできないと思った方がいい。
「ここにいるメンバーでエレンを倒さないといけませんね」
増援が来るかもしれない。ただ、そのつもりで動くと痛い目を見る。
「何かあるのか、エレンを倒す手段が」
「ふむ……」
正直なところ、あまり武闘派ではないメンバーが集まった。このまま突っ込んだら確実に負ける。
「美九さん、
「何人かかわいい子を捕まえてますけど」
女の子をつまみ食いするつもりだったな。まあ、そのおかげで助かった。
「操れますよね?」
「それはもちろんですけど、何をする気なんですか?」
「エレンを相手にするんですから。騙し討ちは本気で騙しに行かないと」
知恵比べで
さあ、打倒エレンだ。楽しんで行きましょう。
今回の裏話はなんで七罪の記憶を戻さないかについて。
単純に戦争前に気絶されると困るからですね。アホみたいな情報をインストールしますから。
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